※ この記事は昨日の続きです。 最初にこの記事に来られた方は、昨日の記事からお読みください。
写真で分かるとおり、ディモルフォセカはキク科です。 キク科の1つの花のようにみえるものは、じつはたくさんの花の集まり(=花序)です。 このような花序は頭状花序または頭花と呼ばれています。 そして、ディモルフォセカのようなタイプの花では、2種類の花が集まっていて、頭花の周囲には舌状花が並び、中心付近には複数の筒状花があります。
下はディモルフォセカの花を真上から撮ったものですが、これに上の話を当てはめてみると、いちばん外側の白い部分は舌状花が並んだ部分で、その内側の黄色い部分は、色からして花粉を出している筒状花、そして中心部の青い部分は筒状花のツボミの部分だろうということにります。 ただ、この青い部分の、上から見るとウメの花のようなツボミというのは、他にあまり例がありません。 これはツボミの花弁なのでしょうか、それとも花弁が見えず、5本のオシベの葯がくっつきあっているのでしょうか。
頭花のつくりを確認するために、断面を作ってみました(下の写真)。 この写真をじっくり見れば、5つセットの青い部分の謎をはじめ、いろんなことが分かります。 それに、青い色の下には、表面的にはけっして見えない赤紫の色、こんな美しい色を隠し持っているとは“贅沢な”花です。
上の写真を見ると、頭花がたくさんの花からできていることがわかります。それぞれの花の下には黄緑色の子房があり、この子房は平たく、左右に翼のようなものが張り出しています。
ひとつずつ確認していくことにします。 まずは舌状花です(下の写真)。 舌状花にはオシベは見当たりません。 メシベの柱頭は2裂しています。
そして、5つセットが問題の筒状花です。 下の写真のように、筒状花をバラバラにして写すと、何の不思議も無いですが・・・。
青い部分は花弁でした。 2つの筒状花が写っている上の写真で、上がツボミ、下の筒状花は、花弁が5裂し、その中央からオシベの葯が伸びだし、その中央から花粉があふれ出ています。 この花粉を押し上げているのは、くっつきあったオシベの葯の中央にあるメシベでしょう。 このメシベは見えていませんが、大きな子房を持っていることから、筒状花は両性花だろうと思います。
このようにしてみると、ディモルフォセカの花のつくりは、きわめて普通のキク科の花なのですが、筒状花の5枚の花弁の先が丸く厚く膨れていて、この5枚の花弁がくっつきあっているツボミの状態を上から見ると、梅の花のように見えるということのようです。 最後に、咲いている筒状花を斜めから撮った写真を載せておきます。
今回は色の美しさに導かれて、キク科の花のつくり、つまり頭状花序、舌状花のつくり、筒状花のつくりを確認することになりました。
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