カテゴリー「水草」の7件の記事

2020年8月27日 (木)

オオバミズオジギソウ

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 オオバミズオジギソウ Aeschynomene fluitans は東南アジアの湿地や沼沢地に自生するマメ科の水草です。 ちなみに、ミズオジギソウ Neptunia oleracea は、マメ科ですが、上のような蝶形花ではなく、ネムノキのようなたくさんの小さな花が集まった花です。 このように両者は全くの別物ですが、アクアリウムでは本種をミズオジギソウと呼んでいる場合があるようです。

(2020.8.2. 咲くやこの花館)

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2012年10月 2日 (火)

オニビシ

Onibisi120922_1     オニビシ

 上はオニビシですが、オニビシやヒシに水面を埋め尽くされているため池を見る季節になりました。 オニビシやヒシは1年草ですから、水面に広がるまでに時間がかかります。 まず、春に水底に沈んでいる種子が発芽し、根を下ろし茎を伸ばして水面に達してからでないと、十分な光合成ができません。 しかし、水面で葉が増えだすと、それだけたくさん光合成が可能になり、その光合成産物を使ってたくさんの葉を作り・・・と、どんどん成長できるわけです。 葉柄には膨らみがあり、中はスポンジのようになっていて(下の写真)水に浮きますから、葉を支える茎(=光合成産物を消費する部分)は丈夫である必要はありません。

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 オニビシの名前は、「鬼のようなヒシ」の意味ですが、何が鬼のようなのでしょうか。
 水面に浮かぶオニビシはヒシとよく似ているうえに、両者とも葉の大きさは変異が大きく、上から見ても区別はつきませんが、果実の形が違います。

Hisi120922_2     ヒシの果実

 上はヒシの果実です。 完熟した果実は、ゆでるとクリのような味わいで、もちろん食べることができます。 英語でも water chestnut(水中の栗)です。
 ちなみに、ヒシの形が「菱形」なのですが、ヒシのどの部分の形なのかについては、葉の形だとも、この果実の形だとも言われています。
 これに対して、下がオニビシの果実です。 ヒシの果実のトゲが2本なのに対し、オニビシの果実には4本のトゲがあります。 この刺々しさが「鬼」なのでしょう。

Onibisi120922_2     オニビシの果実

 なお、ヒシの仲間にはヒメビシというのもあって、これもトゲが4本なのですが、全体にオニビシより小さく、各地で個体群が消滅し、絶滅危惧種に指定されています。

 オニビシの果実も食べることはできるのですが、それより有名な?用途として、忍者が使う撒菱(まきびし)があります。 乾燥させたオニビシ(やヒメビシ)の実を竹筒に入れておき、逃げる時に追っ手が来る所などに撒き散らします。 ヒシの実を撒いてもトゲは地面と並行に左右に向くだけですが、オニビシのトゲは立体的に4方向を向いていますから、この実を撒けば、どれかのトゲは上を向いていることになり、歩けば足の裏に刺さります。

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 1枚目の写真にも4枚目の写真にも花が写っていますが、オニビシの花を拡大したのが上の写真です。 オニビシの果実のトゲも本来は果実が食べられてしまうことから守るためで、花は鬼どころか控えめな花です。 ガク片と花弁は各4枚、オシベも4本です。
 受粉を終えた花は花茎を曲げて水中に入り、葉の下で果実を形成していきますから、果実は上からは見えません。

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2010年9月24日 (金)

ホテイアオイ

 ホテイアオイは南アメリカ原産のミズアオイ科に分類されている水草です。 葉柄が膨らんで浮き袋となり、水面に浮きますが、和名は、この浮き袋が布袋(ほてい)様の腹のようだというところから来ています。
 花が美しいので、日本でも明治時代に観賞用に持ち込まれていますが、気温が高ければどんどん増えるので、困った状態になる事もあります(こちら)。 世界的に見ても、あちこちの熱帯・亜熱帯域で増えすぎ、「青い悪魔」と呼ばれ恐れられています。
 水に浮いたままでも花を咲かせますが、水中に伸びた根が土に接すると、土の中に根を伸ばし、十分な肥料分を吸収し、たくさんの花をつけます。 土に接して水に浮く必要のなくなったホテイアオイの“布袋の腹”は痩せ始めます。
 下は琵琶湖で撮ったホテイアオイですが、土に接してたくさんの花をつけていました。

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 花茎は葉の間から高く伸び、大きな花を数個~十数個つけます。
 花は青紫色で花被片は6枚、上に向いた花被片は幅広く、虫を誘導する黄色の蜜標があります。
 オシベは6本あるのですが、うち3本は長く、他の3本はたいへん短くなっています。 下の写真では、この短いオシベは重なっていて、3本確認することはできません。
 花糸や花柱にはたくさんの腺毛が生えています。

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 花は大きいのですが、花穂全体が1日で開花してしまい、次の日には花茎は曲がって先端を水中につっこむ形となり、果実は水中で成長することになります。 しかし、日本で種子ができることはめったに無く、あちこちで増えているホテイアオイは冬の寒さを生き残った株から増えたものです。
 ちなみに種子から育つ場合は、水中にばら撒かれた種子から発芽した実生は、最初は浅い水中や水辺の泥の上で土中に根を下ろさないと成長できません。 そこで大きく育った株は水平に茎を伸ばし、その先に芽が生じて新しい株を作り、水面に生活の場を広げていくことになります。

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2010年8月26日 (木)

バイカモ

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 写真は滋賀県醒ヶ井のバイカモです。 ニュースなどで見て一度行ってみたいと思っていたのですが、実際に見て思っていた様子といちばん違ったのは、水中に咲く花が断然多いということでした。
 水中に咲く花をきれいに撮ろうと思えば、カメラを水中に沈めなければなりません。 簡単にきれいな花を撮ろうと思えば、水面から顔を出している花を狙うことになります。 つまり、少し大げさに言えば、事実と違った形で紹介されることになります。
 私も防水のコンデジを持っているのですが、報道された映像を信じ、普通のカメラしか持って行かず、結果として私も水面から顔を出している花を狙うことになってしまいました (^_^;

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 水中に咲く花と水面上に咲く花が混じるということは、受粉のしくみについて疑問を抱かせます。 水中に花が咲き、受粉するというのなら、花粉が水によって運ばれる「水媒花」でしょうし、水面上の花が受粉するというのなら、花のつくりからして昆虫によって花粉が運ばれる「虫媒花」であろうと思われます。 水媒花なら水媒花として、虫媒花なら虫媒花として進化してきたはずです。 バイカモが両方の受粉様式を兼ねているとは思えません。
 本やネットで調べてみると、水媒花であると書かれてあるものが多いのですが、具体的に詳しく受粉の様子について書かれてあるものには出会うことができませんでした。 また、虫媒花と水中の閉鎖花に近い繁殖様式による種子生産を行っているのではないかと書かれてあるものもありましたが、これも確認が必要なようです。
 水中に咲く花と水面上に咲く花の比率は、水量や季節などによって変化するのかもしれません。 しかし、醒ヶ井の場合は湧水ですので、そんなに水量の変化は無いでしょうし、ライトアップのために水中にライトを設置してありましたから、花期を通して水中に咲く花が多いのでしょう。
 いずれにしても、バイカモの種子生産に関しては、今の私にとっては謎です。 近くにバイカモが生育していれば詳しく調べることもできるのですが・・・。

 このバイカモの間にはトゲウオ科のハリヨが住んでいます。 といっても、下の写真は水槽内のハリヨですが・・・。

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 このハリヨ、年間の水量が一定した湧水地や、そこから流れ出る水のきれいな川にのみ見られる魚で、現在では滋賀県東部と岐阜県西濃地方でしか生息が確認されていない貴重な魚です。

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2009年9月22日 (火)

ガガブタ

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 ガガブタは本州以西のため池などで見られる多年生の水草です。 葉はスイレンに似た少し小ぶりの浮葉ですが、花は全く違います。
 7月から9月に咲く花は径1.5cmほどの白い花、花の花弁の周囲は細かく裂けていて、一面に毛が生えたようになっています。 花弁の周囲が細かく裂けているといえば、花の色は違いますが、アサザもそうでした。 じつはガガブタとアサザは、同じ科どころか、同じ属( Nymphoides属 )の植物で、たいへん近い関係にあります。 ちなみに属名の Nymphoides は「スイレン( Nymphaea )に似た」という意味です。
 花は朝から昼過ぎまで開いていて、夕方には水中に没する1日花なのですが、撮影したのは9月13日の午後3時半、まだきれいに咲いていましたので、秋になって反応が少し鈍くなってきているのかもしれません。

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 上で、葉はスイレンに似ていると書きましたが、他人の空似、スイレンはスイレン科ですし、ガガブタはミツガシワ科の植物で、花も違えば全体の体制も違います。 スイレンの茎は地下茎で、そこから水面まで長い葉柄を伸ばして葉を広げます。 ところがガガブタには水面近くまで伸びる長い茎があり、そこから短い葉柄を持つ葉を伸ばします。
 種子植物の芽のできるところは2ヶ所、茎の先端と葉の付け根です。前者の芽を「頂芽」、後者の芽を「腋芽」と呼んでいますが、もちろん「花芽」も芽ですから、この場所で作られます。 つまりスイレンは地下茎から花茎を伸ばして花をつけるのに対して、ガガブタは水面近くの葉の付け根から花を咲かせます。
 下はガガブタを水から少し持ち上げて写したものですが、葉の付け根、つまり茎と葉柄の境から花が咲き、たくさんのツボミなどをつけています。

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 写真では見られませんが、この茎と葉柄の境から根を出すことも可能で、このことが、例えば水位が下がった時に、ここから出た根で定着するなど、スイレンとは違った生活を可能にしています。

 

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2009年6月19日 (金)

コウホネ

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 上は神戸市立森林植物園の長谷池で撮った、アサザに囲まれて育つコウホネです。
 コウホネは水位変動の少ない浅いため池など、落ち着いた環境を好みます。 アサザに比較すれば、ずっと逞しそうなコウホネですが、やはり減少しつつある植物です。
 根茎は白く、肥大し、葉を出しながら横にはっていきます。 コウホネ(河骨、川骨)の名前は、この白い根茎が葉を落として凸凹した様子を、動物の背骨に見立てたものでしょう。
 葉は、水面から飛び出したやや厚くてつやのある葉が目立ちますが、薄くてヒラヒラした水中葉もあり(下の写真)、冬には水中葉だけが残ります。

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 花は6月から9月頃、長い花茎の先端に1つだけ、黄色い光沢のある花を咲かせます。 花弁のように見える外側の5枚はガクで、その内側にたくさんあるリボン状のものが花弁です(下の写真)。 中央にはメシベがあり、それを多数のオシベが幾重にも取り囲んでいます。
 オシベの様子を見ていると、外側から順に、花粉を出し尽くしては倒れていき、結果として1つの花が長期間花粉を出し続けるつくりになっているのではないかと思われますが、確認はできません。 もっと身近な所に咲いていれば、同じ花の変化を連続して観察できるのですが・・・。
 下の写真では、花粉を出しているか、またはこれから花粉を出すであろうと考えたオシベを「若いオシベ」と、花粉を出してしまったと考えられるオシベを「古いオシベ」と表現してみました。

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2009年6月18日 (木)

アサザ

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 土曜日に神戸市立森林植物園の池にアサザが咲いているという情報を得て、日曜にさっそく見に行ってきました。
 アサザは、ミツガシワ科に分類される多年性の浮葉植物ですが、環境省レッドリストの絶滅危惧Ⅱ類にランクされています。 かつては北海道から九州までの各地の湖沼やため池に見られた植物で、1株が数百メートルの大きさを占有するまでに地下茎を伸ばして成長できる植物なのですが、汚染などによる水環境の悪化とため池などの減少、水位の人為的コントロールなどで、水環境は急激に変化し、アサザはそれに耐えられなかったようです。
 アサザの種子は、水中では発芽が抑制され、光の遮られる土壌中でも発芽できません。 また、寒さで発芽が促進されます。 つまり、発芽には四季による水位の変動が必要で、春先の水位低下で種子が空中にさらされることが必要になります。 アサザの語源は、生育する場所である浅沙(アササ=水深の浅い所)からきているとする説があります。
 また、酸性の湖沼では生育できないことも知られています。 さらに、アサザには花柱の長いタイプの花を咲かせる株と花柱の短いタイプの花(写真の花)を咲かせる株の2種類があり、この異なる花の間で花粉のやりとりが行われると良質な種子ができるのですが、減少したアサザにあって、この2種類の株が揃っているのは、もう霞ケ浦しか残っていないのではないかと言われています。 なお、アサザの花のタイプには、もうひとつ、前述の中間型の花があり、この花では自家和合性が高いことも知られています。

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 アサザの花は朝開き、午後にはしぼみだします。 いわゆる1日花で、柔らかい花冠の裂片の縁は、房のように細かく裂けています。 オシベは5本、メシベの柱頭は深く2裂し波を打ったようになっています。

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