ムベ
ムベはアケビの仲間ですが、アケビやミツバアケビなどが落葉性であるのに対し、常緑です。
果実はアケビに似ているのですが、果皮は薄く、その果皮の内側にかたい乳白色の層があり、アケビの果実のように裂けることはありません。
内側には甘い果肉に包まれたたくさんの黒い種子と、その間を埋める甘い果汁が入っています。 果肉と種子を分けるのは難しく、ムベにすれば果肉と一緒に種子を食べてもらって糞といっしょに出してもらう狙いでしょう。
人にとっては果実が裂けないので日持ちのする果実ですが、アケビよりは少し小さく、種子を食べたくない人にとっては食べにくい果物ですので、店先に並ぶことはあまりありません。
花は5月で、雌雄異花ですが、アケビやミツバアケビほど雌花と雄花で花の大きさが異なることはありません。 下は雄花で、右端には果実になりかけのものが写っています。
ところで、「宜(むべ)なるかな」という言葉、「いかにももっともなことだ」という意味で使いますが、この言葉とムベとの関係について、わんちゃんからの私信をもとに調べてみますと、次のようなおもしろい話がありました。
昔、天智天皇が近江八幡市の近く、蒲生野の狩りに行幸の折、出会った老夫婦に長寿の秘訣を尋ねたところ、この地で採れる霊果を食するからだとの答えに対し、天智天皇はこれを食され「むべなるかな」と得心され、「例年貢進せよ」と命じられたということです。
「むべなるかな」が先か、「ムベ」が先か、つまりこの時からこの果物が「ムベ」と呼ばれるようになったのか、「ムベか、なるほどよくわかった」ということであったのか、いずれにしても、植物の「ムベ」がこの故事に関係しているのは確かなようです。 ちなみに、近江八幡市北津田町では今でもムベを皇室に献上しているそうで(毎日新聞'09年10月27日地方版)、天智天皇を御祭神とする近江神社にもムベが献納されているようです。
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