カテゴリー「ツル植物」の12件の記事

2009年11月22日 (日)

ムベ

 ムベはアケビの仲間ですが、アケビやミツバアケビなどが落葉性であるのに対し、常緑です。
 果実はアケビに似ているのですが、果皮は薄く、その果皮の内側にかたい乳白色の層があり、アケビの果実のように裂けることはありません。
 内側には甘い果肉に包まれたたくさんの黒い種子と、その間を埋める甘い果汁が入っています。 果肉と種子を分けるのは難しく、ムベにすれば果肉と一緒に種子を食べてもらって糞といっしょに出してもらう狙いでしょう。
 人にとっては果実が裂けないので日持ちのする果実ですが、アケビよりは少し小さく、種子を食べたくない人にとっては食べにくい果物ですので、店先に並ぶことはあまりありません。

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 花は5月で、雌雄異花ですが、アケビやミツバアケビほど雌花と雄花で花の大きさが異なることはありません。 下は雄花で、右端には果実になりかけのものが写っています。

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 ところで、「宜(むべ)なるかな」という言葉、「いかにももっともなことだ」という意味で使いますが、この言葉とムベとの関係について、わんちゃんからの私信をもとに調べてみますと、次のようなおもしろい話がありました。
 昔、天智天皇が近江八幡市の近く、蒲生野の狩りに行幸の折、出会った老夫婦に長寿の秘訣を尋ねたところ、この地で採れる霊果を食するからだとの答えに対し、天智天皇はこれを食され「むべなるかな」と得心され、「例年貢進せよ」と命じられたということです。
 「むべなるかな」が先か、「ムベ」が先か、つまりこの時からこの果物が「ムベ」と呼ばれるようになったのか、「ムベか、なるほどよくわかった」ということであったのか、いずれにしても、植物の「ムベ」がこの故事に関係しているのは確かなようです。 ちなみに、近江八幡市北津田町では今でもムベを皇室に献上しているそうで(毎日新聞'09年10月27日地方版)、天智天皇を御祭神とする近江神社にもムベが献納されているようです。

 

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2009年10月28日 (水)

ホシアサガオ

 9月にはたくさん咲いていたホシアサガオの花も今はほとんど見られず、たくさんの果実が実っています。

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 下は上の写真と同じ場所の9月中旬の花の様子です。

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 下は昨年の9月に別の場所で撮ったもので、少し印象が違いますが、野生種に“個性”はつきもの、これもホシアサガオでしょう。

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 ホシアサガオは南米原産と思われる帰化植物ですが、北米原産と思われる同じ Ipomea属のマメアサガオの淡紅色タイプ(これをベニバナマメアサガオと呼ぶこともある)とよく似ています。

 ホシアサガオ(ホシ-)とマメアサガオ(マメ-)を区別する特徴としては、

  • ホシ-の方が花枝が長い。
  • ホシ-の花枝のイボ状の突起はマメ-ほど密生しない。
  • ホシ-の種子はマメ-ほど肥厚しない。
  • ホシ-の葯はピンク(花粉は白い)で、マメ-の葯は白色。

などが挙げられます。

 

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2009年10月27日 (火)

ゴキヅル

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 ゴキヅルは水辺に生えるウリ科の1年草です。 花は黄緑がかった白い色で、径は7mmほど、8月から11月にツルを伸ばしながら次々と咲いていきます。 雌雄異花で、同じツルに雌花と雄花をつけます。
 ウリ科ですので合弁花なのですが、ガクも花冠も深く5裂し、しかもガクの裂片と花冠の裂片はほぼ同じ姿をしているので、細い10枚の花弁があるように見えます。
 下の写真の2つの花はいずれも雌花です。 白っぽい花被にオシベもメシベも白っぽくて分りにくいのですが、下側の真上から写っている花では、5本のオシベと、その中央に少し緑がかったメシベの柱頭が見えます。 上側にある横から写っている花では、花冠の下に半球形の子房が見えます。 花は終わりかけで、子房は少し大きくなりかけています。

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 下は雄花です。 やはり2つの花が写っていますが、上側の花はガクも花冠も6裂してしまっています。 雄花ではメシベは退化していますし、花冠の下の子房の膨らみも認められません。

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 果実は長さ1.5cmほどになります。 熟すと横に割れて蓋(ふた)が取れ、中から2個の種子が出てきます。 kuwachanの「野山でカシャ!ブログ」にはこの種子の様子が載せられています。
 日本名の「ゴキ」は「合器」つまり蓋つきのおわんで、この果実の形に由来しています。 このような蓋のある果実は、裂開果の一種で、蓋果(がいか)と呼ばれています。
 オオバコなども蓋果を作りますが、ゴキヅルの方が断然大きく、観察が容易です。

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2009年10月13日 (火)

ミツバアケビ

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 山道を歩けばミツバアケビやアケビの実が落ちているのをよく見る季節になりました。 上の写真は、ミツバアケビの果実です。 アケビの仲間は、果実が熟すと写真のように割れ、たくさんの黒い種子を包みこむ白い果肉が見えるようになります。 アケビは「開け実」からきているようですが、この白い果肉は甘くおいしく、鳥も動物もそして人も喜ぶ山の幸です。 もちろんアケビの仲間にとっては、このように果肉と一緒に種子を食べてもらい、種子を撒布してもらうのが狙いです。
 ちなみに、果肉を取り除いた果皮も、内部にひき肉を詰めて揚げたり、刻んで味噌炒めにするなど、山菜料理の食材として利用されます。

 ミツバアケビの花は4月から5月、濃紫色の雌雄異花で、小さな雄花は房状に多数付き、その基部に大きな雌花が付きます。
 雄花には、花弁はなく、3枚のガク片と6本のオシベがあり、オシベに囲まれて退化したメシベがあります。
 雌花にも花弁はなく、通常は3枚のガク片があるのですが、下の写真の花では4枚のガク片があります。 その中央には数本のメシベがあり、これが受粉して生長すると果実になるわけですから、写真の雌花のメシベが全部果実に生長すると9個の果実が鈴なりになるはずですが、そんなことはまず起こらないでしょう。

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2009年10月 9日 (金)

アメリカアサガオ

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 アメリカアサガオは1年性の帰化植物です。 原産地は熱帯アメリカで、第二次世界大戦後に輸入食品に混じった種が元になり、各地に野生化したと考えられています。
 アサガオ類の種類も多いのですが、この種はガクの様子で他のアサガオ類から見分けることができます。 すなわち、ガクは肉が厚く、ガク裂片は広い基部から急に尾状に細くなり、尾状部は左右両縁が内側に巻き込みU字溝状となって先は著しく反り返り、ガクの外側には長毛が密生しています。

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 ガクから少し離れた茎寄りの所に、多肉化した1対の苞葉があるのも大きな特徴なのですが、この苞葉は密生した長毛に囲まれてガクと紛らわしく、見分けるには注意が必要です。 下は上の写真の一部を拡大し、苞葉を赤い矢印(2つ)で示したものです。

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 アメリカアサガオには葉の分裂しない型と、深く3~5裂する型があり、写真は前者で、マルバアメリカアサガオと呼ばれています。 似た名前の種にマルバアサガオがあり、葉に切れ込みの無いところは似ていますが、ガクの様子などはかなり違っていて、別種です。

 

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2009年9月11日 (金)

ホドイモ

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 岩湧山で咲いていたホドイモの花、葉を見ても花を見てもなんとなくマメ科であるというのは分りますし、花のつくりもおもしろそうなのですが、一目見ただけでは何がどうなっているのか・・・

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 マメ科の蝶形花は5枚の花弁、つまり1枚の立った旗弁と、2枚がくっついてオシベやメシベを包み込んでいる舟弁(竜骨弁)、そしてその舟弁の左右にある側弁(翼弁)で構成されています。
 以前記事にしたノアズキも、舟弁がよじれて分りにくい花になっていましたが、このホドイモも舟弁がみごとにねじれています。さらに側弁が丸まって筒状になり、この部分の色が目立つので、その部分に目が奪われて、いっそう分りにくくなっています。
 下は花を側面から写し、花弁の名称を入れてみたものですが、花のつくりが分っていただけるかどうか・・・

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 この花のつくりはどのような虫にどのようにして花粉を運んでもらおうとしているのでしょうか。

「ホド」とは「塊」で、地下に塊根があって、焼いて食べられるようです。

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2009年7月28日 (火)

マタタビ②

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   雄株の虫えい

 この時期、あちこちでマタタビの実(と実のようなもの)を見ることができます。
 6月23日のマタタビの記事で、マタタビには2種類の実(のようなもの)が見られ、そのうちの1つは虫えい(虫こぶ)であることを書きました。
 上は雄株の花にマタタビタマバエが寄生してできた虫えいで、中央部が少しへこんでいます。 雄株には虫えいしかできません。
 そして下は、この2種類の実(のようなもの)が並んで写っています。 両性株(じつは雌株:上のマタタビの記事参照)のたくさん咲いた花のうち、マタタビタマバエに寄生された花はゴツゴツとした虫えいとなり、寄生されなかったものは、ツルリとした細長い本来のマタタビの果実になっています。 マタタビタマバエに寄生されてしまうと、両性花の立派なメシベを持った花でも、中央部が少し膨れてはいるのですが、雄株の花に寄生された場合(上の写真)とあまり変わらないような虫えいになるところが、おもしろいと思いました。
 木天蓼(もくてんりょう)と呼ぶ生薬にされるのは、マタタビタマバエに寄生された虫えいの方だということも、以前の記事で書きました。

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   両性株の正常な果実と虫えい

 ところで、マタタビは花の季節になると葉の一部が白くなり、この様子はハンゲショウの葉に似ていること、この白く見える原因となっているのは、細胞間中の気体による乱反射のためであること、ハンゲショウの葉の白い部分では、柵状組織の葉緑体がなくなっていることなどを、マタタビハンゲショウの記事で書きました。
 マタタビの白い葉の柵状組織はどうなっているのか、気になって、白い葉を2枚持ち帰りました。 持ち帰ってビックリ、白い色が数時間のうちに薄れています。
 これはたぶん、光合成の盛んなうちは気体が生産され続け、白さを維持しますが、ちぎられて暗いリュックの中にしまわれた葉では、気体が減少してしまったのでしょう。
 そしてルーペで見るかぎり、マタタビの柵状組織は緑のままでした。 つまり、マタタビの葉は、ハンゲショウの葉に比較すると厚く丈夫で、表皮と柵状組織の間にある気体による乱反射のみで、十分白く見えているということなのでしょう。

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2009年7月 4日 (土)

タチカモメヅル

 タチカモメヅルは、日当たりのいい湿った場所に生育するツル植物で、本州の近畿以西から、四国、九州に分布します。
 カモメヅル属(Vincetoxicum属)は、従来はガガイモ科に分類されていましたが、新しいAPG植物分類体系ではキョウチクトウ科に分類されています。
 多年生植物で、「タチ」は、春に芽が出てしばらくは、他のものに巻きつかなくてもグングン上に向かって伸びるからですが、その後は他の植物などにゆるやかに巻きついて伸びていきます。
 ちなみに、「カモメ」の語源は、暗紫色の花からも、植物全体の様子からも、鳥のカモメは想像できません。 この仲間は花の大きさのわりにはビックリするような大きな果実(袋果)をつけますが、この果実が割れると、中には長い白毛を生やしたたくさんの種子がありますから、その様子をカモメに見立てたのだと思われます。

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 葉は対生し、葉腋に群がって生じる花は、径が1cmに満たない大きさで、色も暗紫色ですので、ほとんど目立ちません。 この花は、6月の終わり頃から咲き始め、夏中咲き続けます。
 小さな花ですが、花のつくりは複雑で、暗紫色の花冠の先端は深く5つに切れ込み、同色の副花冠がオシベとメシベを取り囲んでいます。 オシベで作られる花粉は、花粉塊と呼ばれるかたまりになっています。

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 花の蜜は多く、上の写真でも、花冠があふれ出た蜜で濡れています。 上で人の目には目立ちにくい花であることを書きましたが、蜜が多い花には虫たちは敏感で、いろんな虫が集まっていました。 下の1枚目はカナブン、2枚目はアリたちです。

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 花に集まる虫たちを狙ってでしょうか、葉の上にはアリグモも来ていました(下の写真)。

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※1 この記事の写真は全て、6月27日に、「堺自然ふれあいの森」で撮影したものです。

※2 花と訪花昆虫との関係、特に共進化について、コメント欄にいろいろ書いています。

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2009年6月28日 (日)

ツルアジサイ・イワガラミ

 下はツルアジサイ。 杉の大木に絡んでいました。

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 ツルアジサイは、主にブナ林などの夏緑広葉樹林帯で見られます。 ツルアジサイにはゴトウヅルという別名がありますが、この「ゴトウ」は何でしょうね。 人名か地名か、それとも・・・
 ツルアジサイにもいろいろ変異があって、下の2枚は、すぐ近くに咲いていた別の株ですが、1枚目は装飾花のガクの幅が広く、ほとんど隙間が無いのに対し、2枚目はガクの間に隙間が目立ちます。

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 分布域も生態的にもツルアジサイによく似た植物にイワガラミがあります。
 イワガラミの装飾花はガクが1枚だけ発達していて、これだけ花の様子が違うのですから、もちろんHydrangea属ではないのですが、比較のために載せておきます。
 花の無い時期には、ツルアジサイとイワガラミは、ほんとうによく似ています。 葉の鋸歯がイワガラミの方が少し荒いのですが、これも遠目では分かりません。
 下のイワガラミの写真では、葉の色が上のツルアジサイの葉の色とかなり違いますが、これは環境条件によるもので、あてにはなりません。

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2009年6月23日 (火)

マタタビ

 6月に山道を歩くと、まるでツル植物が花を咲かせたように、マタタビの白い葉が目立ちます。

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 そのマタタビが花を咲かせ始めました。 マタタビには雄株と両性株(実は雌株? 詳しくは下に書きます)があります。 雄株にはメシベの無い雄花を咲かせ、両性株にはオシベとメシベが揃っている両性花を咲かせます。 メシベの先端は、たくさんの花柱が放射状に開出しています。

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   雄花

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   両性花(雌花)

 マタタビの両性株には花弁のない雌花もつけると、保育社の「原色日本植物図鑑」などに書かれています。 すぐ上の写真の左上に半分写っているのがその花でしょう。 しかし、なかなかさんによると、これは単に両性花の花弁やオシベが枯れて取れてしまったものではないかということです(詳しくはこちら)。 上の写真の左上の花では、オシベはまだ残っているが、花弁は枯れて落ちてしまった状態ということになります。 花弁より少し小さな白いものはガクです。
 さらになかなかさんによれぱ、両性花と呼ばれている花のオシベは、見かけは立派ですが、花粉には発芽能力は無く、見かけは両性花ですが、機能的には雌花だということです。

 花は葉の陰に下を向いて咲きます。 これは雨の多くなる時期に花粉を雨に流されてしまわない良いアイデアかもしれませんが、これでは虫たちに目立たず、虫たちに来てもらえません。 葉が白くなるのは、これらの花のかわりに、虫たちの注意を引き、マタタビの存在を虫たちに知らせる“広告用の看板”ではないでしょうか。 花の時期よりかなり早い目に葉が白くなりだしていますが、“ここにもうすぐ花が咲きますよ”という“新装開店のお知らせ”といったところでしょうか。
 なお、この葉が白くなるしくみについては、葉が白い色素を作っているわけでも、葉緑体がなくなっているわけでもありません。 無色の表皮と葉緑体を持つ葉肉との間の細胞の隙間に気体が存在し、水分の多い細胞と気体の屈折率が異なるために光が乱反射され、白く見えるのです。 このことは、爪で葉の表面をしごくと、気体が周辺に移動し、緑に戻ることで分かります。
 上記の気体の発生は、光合成の盛んな葉で起こっているようです。 つまり、よく光の当たる元気な葉、つまり外からよく見える葉が白くなるわけで、苞のように花が近くにある葉が変化するのではありません。 しかしこのことは、マタタビの存在を知らせる“広告”としては、とても有意義ではないでしょうか。

 マタタビにはいろんな薬効成分があります。 木天蓼(もくてんりょう)と呼ぶ生薬にされるのは、マタタビタマバエが花に寄生してできる虫えい(=虫こぶ=ゴール)ですが、正常な果実もマタタビ酒の原料とされます。 なお、木天蓼は虫えいですので、雄株の雄花にもできます(というより、雄株の方が多いようです)。
 ちなみに、マタタビという名前は、疲れた旅人がマタタビの果実を食べると疲労が回復し、また旅ができるということからきているとする説が有名ですが、他にも、上記のように虫えいと正常な果実との2種類の“実”がみられることから、「またつ実」が訛ったとする説や、牧野富太郎博士は、アイヌ語の「マタタヌブ」が訛ったとする説を書かれています。 いずれも薬効成分が関係しているようです。
 「猫にマタタビ」と言われるのも、マタタビに含まれているマタタビラクトンとアクチニジンという成分が猫科の動物に恍惚感を与えるようで、ネコ科の動物であるトラやライオンにも有効なようです。

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