カテゴリー「ツル植物」の47件の記事

2014年6月14日 (土)

テイカカズラの花

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 テイカカズラはキョウチクトウ科のつる性常緑低木です。 和名は謡曲「定家」に由来しています。
謡曲「定家」 : 賀茂の斎院だった式子内親王は藤原定家と人目を忍ぶ深い契りを結びましたが、世間に漏れ、逢えぬまま亡くなりました。 それ以来定家の執心が、葛となって内親王の墓にまといつき、内親王の魂もまた安まることがありませんでしたが、旅の僧の法力によって成仏し、テイカカズラにまといつかれた墓の中に帰ります。

 テイカカズラの花の色は歌人藤原定家の心の色かもしれません。 ところがこの花、外見は清楚ですが、生殖器官としての花のつくりとなると、さすがにキョウチクトウ科の花、なかなか複雑です。

 上は花の中央部を見たものですが、中心に円錐形のものが見えるだけで、オシベもメシベもはっきりしません。 白く芳香のある花は、夜の蛾による花粉媒介を思わせます。 円錐形の周囲の5つの穴は、蛾が口吻を差し込む所なのでしょう。

 上は花を横から見たものです。 ガク片は5枚、色の付いた花筒が長く伸びています。 この花の断面を作ってみると・・・

 上の花の断面を見ると、左に子房があり、そこから花柱が長く伸び、三角錐の部分に入っています。 三角錐の部分はゴチャゴチャしているうえに花粉があって分かりづらくなっています。

 上は花粉が出る前のツボミの三角錐付近の断面です。 花粉の入ったオシベの葯が三角錐の内側にあります。 つまり花粉は花の外にではなく、三角錐の内側に出されます。

 上は咲いている花の三角錐付近の断面です。 花粉が三角錐の外側に出ていますが、これは断面を作る時に出たものです。
 他の花で吸蜜し、口吻に花粉をつけた蛾が飛来したとしましょう。 蛾は三角錐の周囲にある穴から口吻を差し込み、花筒の底にある蜜を求めて口吻を伸ばします。 さて、蜜を吸い終え、口吻を抜こうとした時です。 どうやら花筒の内側に生えている毛によって、口吻は三角錐の細い隙間に誘導されるようです。 そして口吻を抜く過程で、口吻に付けていた他の花から運んできた花粉は拭われて①にくっつき、②の所で粘液をつけられ、その粘液に③の花粉がくっつく、ということになるようです。 花粉を受け取るメシベの柱頭は①の場所にあります。

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2014年1月 1日 (水)

2014

2014

あけましておめでとうございます。

本年もよろしくお願いいたします。

※ ウマノスズクサはこちらに載せています。
  また、オオバウマノスズクサはこちらに、アリマウマノスズクサはこちらに載せています。

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2013年10月23日 (水)

キヅタ

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 ツタの名前は「つたう」から、つまり他の植物や岩などをつたって伸びるところからと言われています。
 ツタは落葉のツル植物ですが、少しこれに似て冬でも葉を落とさない、ヘデラ、アイビー、セイヨウキヅタなどと呼ばれている植物を、よく目にします。 ちなみに、ヘデラは学名(属名)、アイビーは英語(ivy)です。
 この植物は、品種改良が進み、鉢植えや生け花などの観賞用として、またグランドカバーなどとして、利用されていますが、日本にもセイヨウキヅタと同じ属(つまりヘデラ)の、キヅタというツル植物が自生しています。

 上は木の幹を覆うようにして育っているキヅタで、花を咲かせています。 キヅタは今が花の時期です。
 キヅタは茎からたくさんの根を出しますが、この根はくっついてよじ登るための根で、他の木の幹に食い込んで養分を吸収するような根ではありません。
 ツタも年々伸びていきますので、「草」ではなく「木」なのですが、キヅタ(木蔦)の名前は、茎も硬く、より木的な雰囲気を持っているからでしょう。 落葉性のツタがナツヅタ(夏蔦)と呼ばれるのに対し、キヅタはフユヅタ(冬蔦)と呼ばれることもあります。

 花は散状花序につきます。 1つの花に注目すると、黄緑色の花弁が5枚、オシベは5本、メシベの周囲には花盤が発達しています。
 この花のつき方や花の様子はヤツデの花に似ています。 キヅタはヤツデなどと同じウコギ科の植物で、春にはヤツデとよく似た実をつけます。
 なお、上でツタとキヅタは似ていると書きましたが、似ているのは生活のしかたであって、ブドウ科のツタとは、キヅタの花や果実の様子は全く異なります。

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2013年9月27日 (金)

サンカクヅルの果実

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 サンカクヅルはブドウ科の落葉性ツル植物です。 葉が三角形のツル植物という安易なネーミングですが、栽培されているブドウと同じ属( Vitis )に分類されていて、黒く熟した果実は、なかなかの味です。
 葉と巻きひげの位置関係などもブドウと同じですが、このことは既に書いています(こちら)ので、今回は重複を避けます。

 よく似た植物に、同じブドウ科ブドウ属のアマヅルがありますが、アマヅルの鋸歯と鋸歯の間は膨れているのに対し、サンカクヅルの鋸歯間はへこんでいます。

 サンカクヅルにはギョウジャノミズという別名もあります。 これは、維管束を流れる水分が多いので、茎を切ると喉を潤すことができるということですが、やはり茎を切って得られる水よりは、果実の水分の方がいいですね。

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2013年8月21日 (水)

ヤマノイモ

 ヤマノイモは、ジネンジョ(自然薯)、ヤマイモ(山芋)などとも呼ばれ、栽培もされています。(長芋は同じヤマノイモ科ヤマノイモ属の植物ですが、中国原産の別種です。)
 これまで、オニドコロヒメドコロカエデドコロなどのヤマノイモ科の植物について書いてきましたが、ヤマノイモについてはまだ載せていませんでした。 ヤマノイモも今が花の時期です。

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 ヤマノイモの葉は対生です。 ヤマノイモも雌雄異株で、上は雄株です。 雄花序は上方に伸びます。

 上はヤマノイモの雄花です。3枚の白いガク片の内側に、少し小さい3枚の白い花弁が見えます。 雄花はもうこれ以上は開きません。 甘いにおいで虫を誘い、花弁の細い隙間から出入りできるアザミウマ(注1)などの小さな虫によって花粉媒介が行われているようです。
 (注1) アザミウマの例として、サカキの花に来ているアザミウマはこちらに載せています。

 雄花の内部を確認するために、手前のガク片2枚を除去し、花弁1枚を押し下げたのが上の写真です。 緑色のオシベからは、ちゃんと花粉が出ています。 花弁はかなりの厚さで、内部をしっかりガードしているようです。

 写真を撮り始めてすぐに、ヨツボシオオアリが蜜を求めてやってきました(上の写真)。 ヤマノイモの花の蜜は、虫たちにとっては、なかなか魅力的な蜜のようですが、ヤマノイモはほんの一部の虫にしかその蜜を飲むことを許していないようです。 だから虫たちは花を外からかじるのでしょう。 ヤマノイモの雄花序を見ると、1枚目の写真の茶色く見えている部分のように、かじられた花がたくさんあります。

 上はヤマノイモの雌株です。 ヤマノイモの雌花序も、他のヤマノイモ属の植物同様、下垂します。

 上はヤマノイモの雌花です。 ヤマノイモでは雌花もそんなに開きません。

 上はヤマノイモの雌花を正面から撮ったものです。 雄花同様、3枚の白いガク片の内側に3枚の白い花弁があります。 雄花よりはよく開いていますが、いちばん開いた状態でこの程度です。 内側には枝分かれしたメシベの柱頭が見えます。 またピントは合っていませんが、退化したオシベも写っています。

 上は9月中旬に撮ったヤマノイモの雌株です。 ヤマノイモはむかごを作ります。 ヤマノイモのむかごは芽が栄養分を貯め込んで肥大化したもので、これが落ちると、そこから新たなヤマノイモが生じます。 上のむかごは少し根を出しはじめています。
 上の写真でもうひとつ注目したいのは、果実の向きです。 これまで書いてきたように、多くのヤマノイモ属では、雌花は最初ほぼ横向きに咲き、子房が発達しはじめると上を向きます。 ところがヤマノイモでは、果実になっても下を向いたままです。

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2013年8月19日 (月)

オニドコロ

 少し前にこのブログでヒメドコロを載せましたが、今日はヒメドコロに似たオニドコロです。
 オニドコロは全国に分布します。 なぜ「オニ」なのかは、よく分かりませんが、ヒメドコロやヤマノイモなどに比べると葉が大きくなるからでしょうか。
 オニドコロは古くから知られている植物です。 古事記に書かれている「野老蔓(ところづら)」や、万葉集の「冬薯蕷葛(ところつら)」は、オニドコロであるとされています。
 「ところ」の語源についてはよく分かりませんが、オニドコロの根茎にはひげ根が多く、いつの頃からかは分かりませんが、これを腰が曲がり髭を蓄えた老人に喩え、海の腰の曲がった老人=海老(エビ)に対比させて、野の老人というとで、「ところ」(=オニドコロ)に「野老」の漢字を充てるようになったようです。 PCで「ところ」で漢字変換すれば「野老」が出てきますし、広辞苑などでも、トコロ(野老)は通常はオニドコロをさす旨の記載があります。
 オニドコロつまり野老の根茎は、長寿の象徴として、正月に飾る風習が少し前まで見られたようです。 ただし、オニドコロの根茎は有毒成分を含んでいて、そのままでは食用にはなりません。
 このように古くから親しまれてきたオニドコロですが、ヤマノイモ科には、ヒメドコロをはじめ、オニドコロと似たものが何種類かあります。 これまでに何度か書きましたが、葉の形は環境によって変化しやすいものですが、自生している植物の花の形質は、生殖に関するものですから、そう簡単には変わりません。 以下、オニドコロの花について書きますが、ヒメドコロと比較すると分かりやすいでしょう。 比較しやすいように、ヒメドコロと同じ順序で書くことにします。

 オニドコロも雌雄異株であるのはヒメドコロと同じで、雌花序の垂れ下がっている様子などもよく似ていますが、ヒメドコロと異なり、雄花序は上方に伸びます(上の写真)。
 雌花はほぼ横向きに咲き、子房が生長を始めるにしたがって上を向くようになるのはヒメドコロと同じです。 ただ、1つの花を拡大して見ると・・・

 上はオニドコロの雌花です。 退化したオシベはヒメドコロの雌花のオシベに比べると長く、6本の存在が分かります。
 オニドコロではヒメドコロのように果実の外側から種子の様子が分かる写真は撮れなかったのですが、オニドコロの種子のひれは一方向にのみ付きます。

 上はオニドコロの雄花です。 雄花の柄はヒメドコロより短く、オシベはヒメドコロと異なり、寄り集まってはいません。

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2013年8月15日 (木)

ヒメドコロ

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 暑い日が続いています。 上は8月6日に撮ったヒメドコロの雌花序です。 この日から今日まで、堺市では一滴の雨も降っていません・・・。
 少しでも涼しそうな話題をと思うのですが、なかなかありませんね。 ヤマノイモ科のなかでは、このヒメドコロあたりは、かろやかで風情があるような気がしますが・・・。

 ヒメドコロは関東南部以南に分布する多年生のつる植物です。 多くの葉はオニドコロより幅が狭いのですが、葉だけからオニドコロと区別するのは危険なようです。
 ヒメドコロは、雌雄異株であるのはオニドコロなどと同じですが、雌花序も雄花序も垂れ下がります。 上の写真では、左に雌株、右に雄株が写っています。

 上は雌花です。 花被片は細く6枚(ガク片3+花弁3)、柱頭は3、退化したオシベは6本あるのですが、ほとんど分かりません。

 雌花は最初ほぼ横を向いていますが、受粉し、子房が生長しはじめると、上を向きます(上の写真)。

 上の写真では、果実が生長してきています。 果実の中に、全周にひれがある種子が透けて見えています。 花はかなり傷んでいますが、この写真の方が退化したオシベの存在がよく分かりますね。(写真はクリックで拡大します)

 上は雄花序です。 雄花序の方が花が集まってついていますが、雄花にも長い柄があり、1つの花だけを見ると、一見雌花によく似ています。 雄花の花被片の幅は雌花のそれよりも少し広く、オシベ6本の葯は寄り集まっています。

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2013年6月26日 (水)

シタキソウ

 写真はシタキソウだと思います。 友ヶ島で咲いていました。

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 シタキソウはキョウチクトウ科の常緑ツル性多年草で、千葉県以西から四国・九州の海岸に近い山林内に分布します。 なお、従来はガガイモ科に分類されていましたが、ガガイモ科はAPG分類体系ではキョウチクトウ科に統合されています。

 葉は大きく柔らかく、対生につき、花はその葉腋に2~3個つきます。 花は6月に咲き、ガクは5裂します。

 花を上から見ると、花弁の裂片は分岐部で交互に重なっています。 メシベやオシベは筒部に隠されていて、表面からは見ることができませんので、花の断面を作ってみました(下の写真)。

 オシベとメシベは合着し、蕊柱(ずいちゅう)となっています。 虫たちが口吻を筒部に差し込むことで、花粉媒介が行われるのでしょう。 子房は上位です。
 断面を作った時、黒い液が流れ出ました。 上の写真でも、花の筒部の中に残っています。 これらの仲間は茎などを切ると白い乳液が出ます。 しかし、黒い液に関しては、最初から花の中にあったのか、断面を作る時に生じたのか、複数の花を切れば分かることですが、集団での行動でしたので、その時間が無く、不明のままです。 最初の写真の下の花からも、この黒い液が流れ出てきています。

※ 園芸店の店先に並ぶマダガスカルジャスミンは、このシタキソウと同じ属の植物です。

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2012年12月25日 (火)

ツルウメモドキ

 家の近くのツルウメモドキ、日当たりがあまり良くないせいもあるのか、12月中旬になって、やっと黄色の果皮が割れ、赤い仮種皮が見えだしました。 上の写真の左上には、まだ果皮が割れていないものがたくさん残っています。
 果皮は3つに裂開し、黄色と赤との対比は色彩的になかなかのものです。

 ツルウメモドキはニシキギ科の落葉つる性木本で、雌雄異株です。 もちろん上は雌株ということになります。

 花は5月頃に咲きますが、小さな淡緑色の花で、あまり目立ちません。 ですから、花材などに使われるのは果実の方になります。
 上と下の写真は雌株の花(雌花)です。 雌花はガク片と花弁が5枚で、メシベは柱頭が3裂し、退化した5本のオシベがあります。

 雄株の花(雄花)は、写真は載せていませんが、5本のオシベが目立ち、中央に退化したメシベがあります。

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2012年10月14日 (日)

ネナシカズラ

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 ネナシカズラは、自ら光合成をせず、寄生根を他のいろんな植物に刺し込み、養分を吸収するツル植物です。 種子から発芽したネナシカズラは、最初は地中に伸ばす根がありますが、寄主植物のにおいを感じ、寄主植物に取り付くと、その名のとおり、地面に伸びていた根は枯れて無くなってしまいます。
 以前は独立したネナシカズラ科の植物とされていましたが、APG植物分類体系ではヒルガオ科とされています。

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 以前このブログにアメリカネナシカズラを載せましたが、アメリカネナシカズラに比較して、ネナシカズラはオシベもメシベも短く、花全体としてはスマートな感じがします。

 このネナシカズラの写真は岩湧山で撮ったものです。 金剛山などでも時々見るのですが、1年性の植物ですので、翌年同じ場所で見られるとは限らず、神出鬼没です。

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