カテゴリー「木2 落葉樹」の179件の記事

2014年7月 6日 (日)

コジキイチゴ

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 写真はいわゆるキイチゴの一種で、本州中部以南に分布するコジキイチゴです。 果実(偽果)も木の高さも、キイチゴ類のうちでは大きい方です。

 上にも書いたように、キイチゴ類の果実は偽果で、「キイチゴ状果」と呼ばれています。 キイチゴ状果を構成している粒の1つずつがほんとうの果実で、この中に種子が1つ入っています。 上の写真でも、ほんとうの果実1つずつにメシベの花柱の跡がヒゲのように残っているのが分かります。
 つまりキイチゴ状果は、ほんとうの果実が隣同士互いにくっつきあっています。 多くのキイチゴ類のキイチゴ状果が球形に近いのに対し、コジキイチゴのキイチゴ状果は大きく、楕円体です。 たくさんのほんとうの果実が層状にくっつきあって大きくなれば、その内部は空洞化します。

 上はコジキイチゴのキイチゴ状果の内側を見たもので、背景は私の手のひらです。 内部が空洞になっているのが分かるでしょう。
 コジキイチゴの名前の由来にはいろいろな説がありますが、有力な説の1つでは、この内部が空洞の偽果の様子が蒸し器として使われた甑( こしき )に似ていることから、「こしきいちご」が訛ったものとされています。
 このキイチゴ状果は、甘さは控えめですが、あっさりしていて、おいしく食べることができます。

 コジキイチゴの葉は3~11枚ほどの小葉からなる複葉で、茎には棘があります。 またコジキイチゴの特徴の1つに、葉の裏面脈上や茎などの腺毛の多さが挙げられます。 特に茎の赤く長い腺毛は、上の写真のように、逆光で見るとなかなか美しいものです。
 下は茎の腺毛を拡大したものです。

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2014年7月 1日 (火)

ジャカランダ

 近頃は日本でも関東地方以南のあちこちでジャカランダが植えられて、美しい花を咲かせています。

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 ジャカランダは南米の熱帯・亜熱帯地方の原産で約50種が知られています。 写真は長居植物園で撮ったもので、Jacaranda mimosifolia です。
 ジャカランダは、 ホウオウボク(鳳凰木)、カエンボク(火焔木)と共に世界3大花木とされていて、世界の熱帯、亜熱帯の乾燥地帯を中心に栽培されています。 これらの地域では、日本のソメイヨシノ同様、葉が開く前に花が咲き、木全体が青紫色になるのですが、日本では気候の関係で、残念ながら葉が展開してから花が咲きます。

 ジャカランダはノウゼンカズラ科に分類されています。 上は望遠で撮ったので少し手ぶれしていてくっきり写っていませんが、これくらい拡大すると、ノウゼンカズラ科の花であることは理解していただけるでしょう。

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2014年6月24日 (火)

アジサイの花

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 「アジサイ」はアジサイの仲間の総称としても使われますが、以下に書く「アジサイ」は、たくさんの花が集まって盛り上がり、上の写真のように手まり状になった狭義のアジサイ(学名は Hydrangea macrophylla f. macrophylla )のことです。 このアジサイは、日本に自生するガクアジサイ(学名は Hydrangea macrophylla f. normalis )から観賞目的で作られたものです。
 ガクアジサイのところ(こちら)で書きましたが、ガクアジサイの花は周辺部に虫に花の存在をアピールする装飾花を配置し、中心部には種子生産を目的とした小さな両性花をたくさん配置しています。 アジサイ(狭義のアジサイ:以下同じ)は、このガクアジサイの装飾花の多いものを選択することを繰り返し、ほとんど装飾花ばかりになった品種です。 なお、上に書いた学名の「 f. 」はラテン語の forma の略で、「品種」を意味します。 つまり、アジサイとガクアジサイは品種の違いであり、同種です。
 上で、アジサイの花は、ほとんど装飾花ばかりの集団だと書きました。 装飾花は、ガクが大きくなった花で、目立ちますが、受粉し種子を作るという生殖器官としての機能は低下しています。

 写真のアジサイの花は、ガクと花弁の色が異なっていて、花のつくりについて理解しやすくなっています。 このアジサイでは、ガクはピンク系で、花弁はブルー系です。 上の写真では、どの花も4枚のガク片は大きくほぼ水平に開いていますが、多くの花の花弁は閉じたままで、花弁が開いてオシベやメシベが現れているのは写真の下に写っている2つの花のみです。(写真はクリックで拡大します。)

 上は花弁の開いている花の中央部を拡大したものです。 花弁は4枚、オシベは8本、1本のメシベの柱頭は3つに分かれています。

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2014年6月11日 (水)

ゴンズイの花

 ゴンズイはミツバウツギ科というマイナーな科に分類されています。 このミツバウツギ科は、従来のクロンキスト体系ではムクロジ目ミツバウツギ科とされていましたが、APG植物分類体系では、この小さな科がさらに2つの科に分割され、フエルテア目タピスキア科とクロッソソマ目ミツバウツギ科になりました。 目(もく)まで変更されたということは、ほんとうによく分かっていなかったのでしょうね。
 日本に自生するミツバウツギ科の植物は、ミツバウツギ、ゴンズイ、ショウベンノキの3種のみです。 このことからしても、ミツバウツギ科の植物は、個体数は少なくないのですが、かわった植物だと言えるでしょう。
 ゴンズイは秋になると赤い果実と黒い光沢のある種子とが目立ちますが、これもたしかに特徴的な果実と種子です。 このことはこちらに載せました。
 前振りが長くなりましたが、ではそのゴンズイの花はどんな花でしょうか。

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 ゴンズイの果実と種子は知っているが、花は知らないという人も多いのではないでしょうか。 じつは花はとても小さく、淡黄緑色で目立たず、咲いていても気づかない人が多いのでしょうね。
 上がゴンズイの花序、下はその花を拡大したものです。

 花は上の状態で完全に咲いていて、平開しません。 咲いている花の直径は3~3.5mmほどです。 花弁とガク片は5枚ずつありますが、ほぼ同形で、色もよく似ています。 オシベも5本です。

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2014年6月 2日 (月)

キリの葉の皿状器官など

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 上がタイトルに書いた、キリの葉の表面に見られる「皿状器官」で、、斜め上から見ています。 深皿状の皿状器官に液体が盛られているものも、空の皿状器官も見られます。 大きさは大きいもので皿の直径が 0.4mm ほどです。
 下は真上から見た皿状器官です。(写真はクリックで拡大します。)

 キリの葉の表面にこんなものがあることを教えてくれたのは、以下に書くように、アリさんです。
 キリの葉にはカメムシなどがよくいます。 何かいないかと探していると、あちこちの葉でクロヤマアリが何か去り難そうにうろうろしています。 アブラムシがいるわけでもないのに、と、しばらくみていると、葉身の葉柄に続く所に特にこだわりがあるようです。 その部分をよく見ると何か白い粒がたくさんついています(下の写真)。

 今まで気づかなかったのですが、この白い粒は、キリのどの葉にもあるようで、葉身の基部に多いのですが、少数は葉面全体に散在しているようです。 下の写真でも、クロヤマアリの口は葉の表面に接していますし、よ~く見れば、大顎の下に少しだけですが白いものが見えています。

 この白い粒は何だろうかと帰宅後に検索してみると、東京工業大学・辛島研究室のHP(こちら)に載せられている皿状器官だと分かりました。
 葉を食害されたり吸汁されたりすることを防ぐためにアリをボディガードとする植物はいろいろあります。 アリを葉に留まらせるために花外蜜腺を持つ植物も少なくありません。 キリの皿状器官も、アリを葉に留まらせるための餌のようで、上記辛島研究室のHPによれば、糖を含む液体が皿状器官から分泌されるようです。

 このHPによれば、キリは皿状器官以外にも、腺毛や樹枝状毛でも防衛に努めているようです。 腺毛は粘性の高い液体で、樹枝状毛は絡まることで、植物に害を与える虫たちの活動を妨害しているのでしょう。

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 上は葉の縁で見られた腺毛、下は手前が葉脈上で見られた樹枝状毛、奥が皿状器官です。

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 下は若い小さな、これから大きく広がっていくであろう葉の一部を拡大したものです。 腺毛や樹枝状毛は密生していますが、皿状器官は数も少なく、液もまだ分泌されていないようです。

 下は皿状器官の多い所に来ていたスズキクサカゲロウです。

 クサカゲロウの仲間の成虫は花粉やアブラムシの甘露を主食としていますので、皿状器官に飛来することは理解できますが、キリの防衛には役立っているのでしょうか。

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2014年4月27日 (日)

オオツクバネウツギ・ツクバネウツギ・コツクバネウツギ

 ツクバネウツギ属( Abelia )はAPG分類体系ではリンネソウ科または広義のスイカズラ科に分類されています。 名前の「ツクバネ」はガクの様子が羽根つきのはねに似ているところからです。
 大阪府下でも見られるタイトルの3種は、花の大きさも異なりますが、このガクの様子も異なり、花が落ちてしまった後も見分けることができます。

● オオツクバネウツギ

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 オオツクバネウツギの花は5枚のガク片からなりますが、そのうちの1枚が小さく( 上の写真 )、欠けて4枚のガク片になることもあります。

● ツクバネウツギ

 ツクバネウツギの花のガク片は5枚がほぼ同じ大きさです。 上の写真は6月はじめに撮ったもので、花が終わりかけていて、ガクがよく目立ちます。

● コツクバネウツギ

 コツクバネウツギの花は黄色で、これだけでも区別できますが、花は小さく、ガク片の数も2~3枚に減少しています。

● 備考
 日本に自生している植物ではありませんが、公園などあちこちによく植えられているツクバネウツギ属( Abelia )があります。 春から秋まで花が咲き、特に花が少なくなる真夏にも花を咲かせてくれるので便利です。  これは中国原産のタイワンツクバネウツギを基に交雑により作られた園芸植物で、ハナツクバネウツギ、ハナゾノツクバネウツギ、または属名のアベリアなどの名前で呼ばれています。 花の色は白以外にも、ピンクのものも作られています。
 この花のガク片は5枚が多いのですが、交雑種だけあって一定していません。

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2014年3月24日 (月)

オカメザクラ

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 桜の開花予想が発表され、大阪でも間もなくの開花です。 ただし、この開花予想で扱われている桜はソメイヨシノであり、桜にもさまざまな品種があって、早咲きも遅咲きもあります。
 オカメザクラは比較的新しい品種で、早咲きの品種です。 3月20日に撮影したものですが、そろそろ終わりでした。 小さめの花がたくさんつき、下向きに咲きます。
 じつはこの桜、日本生まれではありません。 イギリスの桜研究家であるイングラム(Ingram)が、カンヒザクラとマメザクラを交配して作出したものです。 桜も国際的になってきました。

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2013年11月 6日 (水)

マユミ

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 マユミの果実が色づき、葉も紅葉しはじめています(上の写真:10月21日撮影)。 薄紅色の果実は、まもなく果皮が4つに割れ、中から真っ赤な種子が4つ現れます(下の写真:11月下旬撮影)。 ただしこの種子は、ちゃんと種子散布してくれる鳥には大丈夫でも、人にとっては有毒ですから、注意が必要です。

 マユミは果実や種子も紅葉も美しいので、庭に植えられたり、盆栽にも仕立てられています。 また、マユミは材質が強くよくしなるので、弓の材料とされてきました。 「真弓」の名前も、このことに由来しています。

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2013年7月27日 (土)

エビガライチゴ

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 エビガライチゴの実が熟しはじめていました。 熟したものを食べてみると、野生ですので硬い種子はありますが、味は嫌味が無く、おいしかったです。

 未熟な果実はガクに包まれて保護されていますが、ガクの表面には腺毛がビッシリ生えています。 エビガライチゴの名前は、このガクの様子がエビの殻のようにみえるところからと言われています。

 エビガライチゴはつる状に成長する落葉低木で、葉は3~5の小葉からなる複葉です。 上の写真の右下に白っぽい小葉の裏が見えていますが、エビガライチゴにはウラジロイチゴという別名があります。 茎や葉柄などにも赤紫色の腺毛が密生していて、それに混じって鋭い刺が生えています。 下は茎と葉柄の一部を拡大したものです。

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2013年7月14日 (日)

アクシバ

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 アクシバはツツジ科の落葉低木です。 上は斜面に生えている所を撮ったので、平らな所のものとは少し印象が違いますが、樹高はせいぜい数十cmで横に広がります。 上はほとんどツボミですが、花は大阪付近では7月が中心です。
 アクシバの名前は、たぶんアク(灰汁)を取る柴(=雑木)ということでしょう。 昔はアクシバの灰汁を何かに利用していたのでしょうか。

 上の写真のメジャーは右がインチ、左がセンチメートルです。 花は1cmほどで、1cmほどの花柄があります。

 花はガクが4裂、花弁も4裂し、花弁の先は巻き込みます。 オシベはくっついていて、上の写真では本数は分かりにくいですが、8本あります。 オシベの先は長く伸びています。
 保育社の『原色日本植物図鑑 木本編[I]』(初版)のアクシバのところには、「花柱は無毛、雄ずいより少し短い。」と記載されています。 しかし上の写真では、明らかにオシベより長いメシベが見られます。 これはまだ確認したわけではありませんが、花の初期には花粉を出しているオシベの方が長く、メシベはオシベに隠されていて自家受粉を防ぎ、その後にメシベが伸び出してくるのではないかと思っています。
 上の話を理解していただくには、花粉がどこからどのように出るのかを理解してもらわなければなりません。 花粉は長いオシベの先端にある小さな孔から出てきます。

 上はいちばん手前のオシベを除去して撮ったものですが、オシベの先端に小さな孔があることと、オシベが裂けて花粉が出ている形跡は無いことが確認できます。

 ところで、下の写真のツポミには、穴が複数開けられています。

 これは何者かが蜜を盗もうとしたものでしょう。 植物は花粉媒介をしてもらうために虫に来てもらおうと蜜を作りますが、ツボミの段階で蜜を盗まれたのでは被害大です。
 同様の穴は上から2枚目の写真にも見られます。 犯人はだれなんでしょうね。

 上はアクシバに来ていたトラマルハナバチです。 トラマルハナバチにとっては、アクシバの花は小さすぎて窮屈そうですが、それでもちゃんと植物の想定どおりの場所に口吻を差し込み、腹にオシベとメシベの先端が触れています。 トラマルハナバチはちゃんと送粉者としての役割を果たしているようです。
 このトラマルハナバチは次から次へとアクシバの花を訪れていました。 アクシバの花は小さいのですが、蜜は比較的たくさんあるように思えました。 だからこそ盗蜜もされるのでしょうが・・・。

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