カテゴリー「木1 常緑樹」の77件の記事

2014年5月 9日 (金)

コジイの花

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 上の写真で、上に伸びているのがコジイの雌花序、そして下がコジイの雄花序です。

 私の住んでいる地域の林は、放置しておくと、時と共に生えている木の種類は変化し、最終的には( 極相林といいます )コジイの林になるはずの場所です。 そんな場所は、神聖な所としてあまり人手が入らなかった寺や神社の林に小規模に残されています。

 なぜコジイの林になるのかというと、コジイは他の植物に比べて、林の中の薄暗い所でも生長していけるし、時間はかかりますが高くなれる木だからです。 つまりコジイの葉は薄暗い所でも光合成で“儲ける”ことができます。 ですからコジイの林では、コジイの葉の下に位置するコジイの葉も光を吸収して光合成を行います。 つまりコジイの林では葉が幾重にも重なり、林の中は薄暗くなります。
 コジイは虫媒花です。 つまり虫に花粉を運んでもらわなければ、子孫は増やせません。 しかし1日中薄暗い林の中で花を咲かせても、虫たちに花をみつけてもらう効率は悪くなるでしょう。 ですからコジイは林のいちばん上( 林冠といいます )に花を咲かせます。


堺市南区鉢ヶ峯寺にある法道寺のコジイ

 コジイはブナ科です。 ブナ科は小さな花を穂状にたくさんつけます。 花の時期のコジイの林を外から見ると、1つひとつの花は目立たなくても、たくさんの花で林全体が白っぽくなり、遠くからでもよく目立ちます。 そして近づくと、甘い強い香りがします。 この色とにおいで、たくさんの虫を引き付けます。

 上の写真で、コジイの花の近くを飛び回っているのはベニカミキリでしょうし、赤い丸印の所にもいろんな甲虫がいます。 しかしそれらの虫たちを観察しようとしても、林の高い所です。 たとえコジイの単木があって低い所に花が咲いていても、花の中心は木の上部で、虫たちはなかなか下に降りて来てくれません。
 最近あちこちで、林の上部に観察用の橋を作っている所ができはじめました。 コジイの林の林冠部に橋を作ってくれる所はないものでしょうか。

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2014年4月21日 (月)

ヒカゲツツジ

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 ヒカゲツツジは、関東地方以西から四国・九州に分布するツツジ科の常緑低木です。

 名前は、やや日当たりの悪い所でよく見られるからでしょうが、岩の多い急斜面でよく咲いているように思います。
 ヒカゲツツジの花の色は、ツツジ属のなかでは少数派の黄色です。 あまり目立たない花の色で、静かな森の中によく似あいます。 光が当たればくっきりはしますが、落ち着いた雰囲気は変わりません。

 以上は自生地の、急斜面でなかなか近寄れない所に咲いていたものを望遠で撮ったものですが、下は京都府立植物園で咲いていたものです。 花のつくりなどをじっくり見ることができるのは、やはり植物園ですね。

 オシベは10本です。 自生のものの写真より葯の色が濃い理由は分かりません。 時期的な違いなのか、環境の違いによるものなのか、それとも植物園のものは色の濃いものが選択されているのでしょうか。

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2013年12月25日 (水)

カミヤツデ

 この記事はこちらに引っ越しています。

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2013年12月 3日 (火)

ハマヒサカキ

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 ハマヒサカキは、その名のとおり、本州中部以南の海岸斜面等に自生する常緑低木で、ヒサカキとは同じ属( Eurya )です。
 潮風にさらされた場所で生育している木ですから、乾燥にも強いだろうと、一時は道路の分離植栽や緑地帯にたくさん植えられましたが、耐乾性はそれほどでもなかったようです。 それに花にはガス臭に似たにおいがあり、ガス漏れ騒動を起こしたこともありました。
 雌雄異株で、上の写真は雌株の枝と雄株の枝が交差している所を撮ったもので、上に雄花が、下に雌花が写っています。
 葉はまるく厚く、光沢があり、低い鋸歯があります。 鋸歯の窪みには黒紫色の腺点状構造物があります(上の写真)。

 上はもう少し引いて撮ってみたものです。 左が雄株、右が雌株です。 葉は2列互生です。 自生地では風衝樹形が見られたりしますが、温暖な都市公園では素直に伸びています。
 写真の背景の赤っぽいのはメタセコイアで、花は10月~12月頃に咲きます。

 上は雌花です。 雌花には柱頭が3裂したメシベのみで、オシベは見られません。

 上は雄花です。 雄花は雌花より幅が大きく、枝につく花の数も多いようです。 雄花にはメシベは見当たりません。

 葉の印象はヒサカキと異なりますが、花はヒサカキによく似ています。 ヒサカキには両性花もあるようです(私は未確認です)が、ハマヒサカキはどうなんでしょうね。
 花の少ない季節とあって、花にはたくさんの種類のハエ目やハチ目が来ていました。

(以上、2013.12.11. 堺市南区の大蓮公園にて撮影)

 ハマヒサカキは植えられている場所に寄って花の時期にかなりの幅があり、したがって実が熟す時期にも違いが見られますが、果実は熟すまでにほぼ1年かかり、完熟すると黒くなります。 上は大阪府南部の泉南で1月下旬に撮ったハマヒサカキのまだ若い果実です。 こちらには、ハマヒサカキの果実を食べに来ているメジロを載せています。

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2013年11月 9日 (土)

ナナミノキとニッポンオナガコバチ ①

こちらに引っ越しました。

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2013年8月23日 (金)

クスノキの葉のダニ

 上はクスノキの葉です。 クスノキの葉の特徴としては、全体的な葉形に加えて、多くのクスノキ科の葉同様、葉身の基部付近の主脈から左右に太い側脈が出ている(これを「三行脈」と呼んでいます)ことと、特有のにおいがあることでしょう。
 クスノキからは、防虫剤などに使われる樟脳(しょうのう)が得られます。 ですからクスノキの葉には虫がつかないかというと、そうでもなく、いろんな虫が葉に害を与えます。 上の写真の中央から右に出ている葉でも、黒い点や白い小さな点がたくさん見られますし、アオスジアゲハの幼虫をはじめ、クスノキの葉を食害する比較的大きな昆虫もいろいろいます。
 少しミクロの話になりますが、クスノキの葉を他のクスノキ科の葉と見分けるポイントとして、クスノキの葉の三行脈の分岐点には、小さな膨らみが見られます。

 上がその膨らみです。 大きさは季節によって少し異なり、春の若葉では小さく秋から冬には大きいように思います。 この膨らみを切ると、膨らみの中にはダニがいます。 ただしこのダニは、ルーペで確認できても、私の今のカメラシステムでは満足に撮れないので、写真はありません。
 以後、この膨らみは「ダニ室」と呼ぶことにします。 下はこのダニ室を葉の裏から撮ったもので、毛の生えた出入り口が開いています。

 このダニ室はクスノキ自ら作るようで、芽生えて間もないクスノキの若い葉では、ダニのいない小さなダニ室を見ることもあります。
 たくさんの葉のダニ室を調べると、たくさんの種類のダニが見られるのですが、最もよく見られるのは、フシダニの仲間です。
 フシダニの仲間の多くはフシ(=虫えい=虫こぶ)を作り、全てのフシダニは植物寄生性です。 クスノキはなぜ自らに害を与えるダニのためにダニ室を準備してやるのでしょうか。
 次のような内容の論文(笠井敦 2006)があります。 ダニ室で見られるフシダニは比較的おとなしいフシダニで、クスノキに大きな害を与えませんが、クスノキの葉に大きな害を与えるフシダニもいます。 クスノキの葉にはコウズケカブリダニなどの肉食性のカブリダニもいます。 クスノキの葉の敵(フシダニ)の敵(カブリダニ)は味方ですから、クスノキはカブリダニにパトロールし続けてほしいわけです。 ダニ室で比較的おとなしいフシダニが増えると、ダニ室からフシダニが溢れ出て、カブリダニの餌となり、カブリダニを引き留めておくことができます。(論文の内容は平たく書いています。)
 先日、この説が納得できるようなできごとを観察することができました。

 上の写真で、ダニ室の傍に写っているのは、カブリダニです。 コウズケカブリダニかもしれません。 見ていると、かなりのスピードで葉のあちこちを歩き回り、餌は無いかとでもいうふうに、ダニ室を確かめに来たところのように見えました。 このダニの大きさでは、大きすぎてダニ室に入ることはできません。 以前ビノキュラーで観察したことを思い出すと、フシダニはもっと小さく、細長く、短い脚で、進む速度はゆっくりでした。

 大きなクスノキの葉では、三行脈の分岐点に加えて、他の側脈の分岐点にもダニ室が作られていることもあります(上の写真)。 ここでも、速足で歩いてきたカブリダニが、ダニ室の前で立ち止まっていました。

 クスノキの葉のダニ室の役割については、他の説もあります。 名古屋大学の西田佐知子氏は、ダニ室の出入り口は秋には小さくなることから、ダニ室はダニを誘いこみ、閉じ込め、春の落葉とともにダニを排除するしくみだと考えられています(詳しくはこちら)。
 はたしてクスノキの葉のダニ室は、クスノキにどんなメリットをもたらしているのでしょうか。

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2013年8月17日 (土)

フユイチゴ

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 堺ふれあい自然の森で、はやくもフユイチゴの花が咲き始めていました。 フユイチゴの名前は、冬に赤く熟すからで、花の盛りは9月から10月です。

 フユイチゴは常緑の匍匐性小低木で、関東以西に分布します。 浅く3裂する丸い葉の裏面には細かい毛があります。 茎にはトゲが散生していることが多いので、注意が必要です。
 花は、オシベもメシベも多数で、ガク片よりも短い5枚の白い花弁があります。 最初は1枚目の写真のように斜め下向きに咲くのですが・・・

 花はそのうちに次第に上を向いてきます(上の写真)。 花は雌性先熟で、この頃にはメシベは縮れてもう見えません。

 果実は11月頃から熟しはじめます。 上は11月上旬に撮ったものです。 嫌みのない、なかなかおいしい果実です。

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2013年6月24日 (月)

ホウロクイチゴ

 写真は友ヶ島で撮ったホウロクイチゴです。

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 ホウロクイチゴは、暖地の海岸近くに生える大きく広がる常緑低木で、伊豆と紀伊半島以西に分布します。

 茎はどんどん横に伸び、地面に接した所で根を出します。 上は茎の先端付近です。 写真ではフユイチゴに似ているように見えるかもしれませんが、葉はフユイチゴよりずっと大きく、いかにも潮風に対しても水分を奪われにくい丈夫な印象を受けます。

 上は茎の先端付近を拡大したものですが、茎にも葉柄にも褐色綿毛が密生し、棘がたくさん生えています。 友ヶ島にはタイワンジカが野生化しているのですが、これだけ棘があれば、シカも食べるのをためらうでしょうね。

 花は主に4~5月で、6月中旬ではほとんど花は残っていませんでした。 上は果実とわずかに残っていた花です。 上の写真では、果実と花の後に花の終ったガク筒も写っています。 果実が熟すのをガク筒が保護しているのでしょう。

 果実を横から見ると、丈夫そうな大きなガク筒がほぼ水平に開いて残り、果床を形成しています。 ガク筒に接して後に苞があり、これも補強に役立っているように見えます。
 ホウロクイチゴの名前にある「焙烙(ほうろく)」とは、食材を炒ったり蒸したりするのに用いる素焼きの土鍋の一種ですが、ホウロクイチゴの名前は、果実を果床から外した様子が焙烙に似ているところからだと言われています。
 果実を食べてみると、少しねっとり感があり、甘い味がしました。

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2013年6月13日 (木)

サカキ

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 前にヒサカキのところで、サカキとヒサカキを対比して書きましたが、そのサカキの花が咲いていました。

 サカキはモッコク科の常緑の中高木です。 葉は全縁で、2列互生につきます。
 花は6月に葉腋から1~4個が出て下向きに咲きます。 サカキの花は、ヒサカキのように雌花と雄花には分かれていません。 どの花も1本のメシベと多数のオシベを持っています。

 花を拡大してみると、オシベの葯に毛が生えています(上の写真)。 虫がこの毛に触れると花粉がこぼれ出るなど、何か生態的な意味を持つ毛なのでしょうか。

 花の中を覗くと、アザミウマの仲間がたくさん来ていました。 上の写真では4頭います。 写真の花の高さは地上1.5~2mほどです。 それより上は手が届かず調べられませんでしたが、どのあたりの高さまでアザミウマはいるのでしょうか。 とにかく、アザミウマがこの高さまで飛んで来る(登ってくるとは考えにくいと思います)のには少し驚きました。 彼らは花粉媒介者として役立っているのでしょうか。

 サカキの特徴のひとつは頂芽がカーブして尖っていることでしょう(上の写真)。

 サカキの漢字は「榊」(木へんに神)で、まさに「神の木」です。 Wikipediaによれば、『サカキの語源は、神と人との境であることから「境木(さかき)」の意であるとされる。』とあります。 たしかに2列互生の葉をつける枝はかさばらず、玉串として使うのには適しているのでしょうが、いい香りもなく特に薬効もない(シャーマンが使ったとは思えない)サカキは、どのような理由で神の木になったのでしょうね。

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2013年5月30日 (木)

マオウ

 下の3枚の写真の植物、区別できるでしょうか。

正解は
 1枚目は、逆光で撮っていますが、シダ植物小葉類のスギナ、
 2枚目は、裸子植物グネツム目のフタマタマオウ、
 3枚目は、被子植物モクマオウ目のモクマオウです。
 進化的に大きく異なるシダ植物、裸子植物、被子植物で、こんなによく似たものが存在するのですが、“他人の空似”です。

 スギナモクマオウは別の所で取り上げていますので、今日の“主役”は、フタマタマオウなどのマオウです。
 マオウ科マオウ属( Ephedra )の植物には、フタマタマオウ、シナマオウ、キダチマオウなどが知られています。 いずれも常緑低木で、節に鱗片状の葉がつきます。
 マオウ属の植物は日本に自生はありませんが、古くから生薬の「麻黄」として知られていて、葛根湯などにも入れられています。 また、麻黄から抽出された化学成分のエフェドリンは気管支喘息に、プソイドエフェドリンは鼻詰まりに効果のあることで知られています。

 マオウ属の植物は雌雄異株です。 上はキダチマオウの雄株で、たくさんの雄花をつけています。

 キダチマオウの雄花は穂状花序につき、オシベが飛び出しています。 オシベは複数の葯が共通の短柄についています(上の写真)。
 雌花は節にむきだしの胚珠がつきます。

※ フタマタマオウおよびキダチマオウは京都府立植物園で撮影しました。 マオウの仲間は互いによく似ていて同定は難しいのですが、植物園ではラベルがあったので、間違いないでしょう。

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