ネジバナ
ここにあった記事は、こちらに引っ越しています。
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ハナビゼキショウは湿地に生えるイグサ科の多年草です。
ハナビゼキショウは茎も葉もとても扁平です。 上の写真では扁平な茎に扁平な葉が寄り添っています。
上は葉(左)と茎(右)の断面です。 繊維が縦に走っていますので、なかなかきれいに切れませんが・・・。
葉にも茎にも、あちこちに横すじがみえます。 葉にも茎にも気体の溜まっている(=細胞の無い)所があり、気室と呼ばれていますが、この横すじはその気室の隔壁です。 茎では気室は維管束の左右に分かれますが、葉においても、完全に葉を横切っている隔壁はありません。 これはいくつかの気室が並行して存在しているからで、多管室と呼ばれています。 単管室か多管室かは、この仲間を見分ける時の1つのポイントになります。
花は枝分かれした茎の先に4個~8個ずつ集まってつきます。
イグサ科、カヤツリグサ科、イネ科などは、同じ単子葉植物のユリ科などの虫媒花から風媒花へと変化していったグループと考えられます。 このなかでイグサ科の花はまだ風媒花に適した花としての特殊化が少なく、花被片は6枚あり、特にハナビゼキショウの仲間は、オシベが6本そろっています。
ピンク色をした美しい花柱は3本、細かい枝を羽状に分けているのは、風に乗って飛んできた花粉を効率よく捕らえるための工夫でしょう。
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写真はフトイ(太藺)、つまり「太い藺草」です。 イ(イグサ)の花序が茎の途中につくように見えるのに対し、フトイは茎の頂に短い苞葉と花序をつけます。
ただし、ほんとうはイグサも茎の頂に花序をつけ、そこから先に伸びているのは、茎にとてもよく似た苞葉だということは、イグサのところで書きました。
つまりフトイもイ(イグサ)も、花序の付き方は、見かけは違っても、植物学的にはそんなに違いは無いのですが、花のつくりがかなり違っていて(今回はこのことについては略します。過去の記事を見てください)、イ(イグサ)はイグサ科ですが、フトイはカヤツリグサ科です。
フトイは日本では観賞用程度にしか利用されていませんが、南米ペルーとボリビアの境にあるチチカカ湖のトトラも、フトイと同じ属の植物です。 チチカカ湖では刈り取ったトトラを湖面に大量に積み重ねて浮島を作り、その上で生活する他、トトラを編んで船を作ったり、腐ったトトラを肥料にするなど、様々にトトラを利用しています。
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ゴウソは湿地に生えるカヤツリグサ科スゲ属の多年草です。 名前の「ゴウ」は「郷」だと思われますが、「ソ」は「麻」で、6月中~下旬頃に穂茎を抜き取り、乾燥させ、編み紐として使用されたようです。
上の写真は花序の部分を撮ったもので、頂小穂(先端に出る小穂)は雄性で、その下につく数個の小穂は雌性です。 この雌小穂がぶら下がる様子から、タイツリスゲ(鯛釣菅)の別名があります。
上は雌小穂の一部を拡大したものです。 スゲ属の特徴として、メシベは果胞という袋状のものに包まれて保護されていることが挙げられます。 上の写真では、果胞と鱗片のセットが規則正しく並んでいて、果胞の先からは、受粉が終わって枯れかけているメシベの先端が出ています。
この果胞の中で果実ができるのですが、果胞の形から想像できるように、中にできる果実はレンズ形です。(「レンズ状果実」と呼ばれています。)
上は果胞の表面を拡大したものです。 ゴウソの果胞の表面は、全面が小さな粒点で覆われています。
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タガネソウはカヤツリグサ科スゲ属の植物です。 根茎は地中を這い、春にあちこちから葉を出すのとほぼ同時期に、昨年葉のあった所から花茎を立ち上げます。
花茎のあちこちに小穂がつきますが、1つの小穂は先端部に雄花を、下部に雌花をつけます。
上は小穂の先の方を撮ったもので、先端部からは細長い葯を持ったオシベがたくさん出ています。 右下の少しピンクがかっているのは雌花の柱頭です。
上の写真では、雌花の柱頭が3裂していることが分かります。
タガネソウは、スゲ属にしては長さのわりに幅の広い葉を持っています。 「タガネソウ」の名は、この葉を、岩石を割ったり金属板を加工したりする鏨(たがね)に見立てたものとされています。
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ヒメナベワリの分布は中国地方以西ですから、大阪府下には自生地は無く、写真は京都府立植物園で撮ったものです。 ほんとうは大阪府下にもあるナベワリを載せたかったので、10年ほど前にはたくさんあった所に撮りに行ったのですが、消えてしまっていました。
しかし、そこまでしてナベワリ属をブログに載せておきたかったのは、ナベワリ属が次の2点でおもしろい植物だからです。 ひとつはナベワリ属の分布ですし、もう一つはナベワリ属はビャクブ科という、あまり聞き慣れない科に分類されていることです。
分布に関しては、ナベワリ属が分布しているのは他には北アメリカ東部のみで、これは東アジアと北アメリカ東岸の隔離分布の一例とされています。
東アジアと北アメリカ東岸の隔離分布は、温暖な新生代第三紀に北極周辺に生息していた植物が、第四紀の寒冷化に伴って東アジアと北アメリカ東部に南下したものと考えられています。 このような分布地の南北の移動は、ヒマラヤ山脈やアルプス山脈などの東西に延びる山脈がある所では不可能です。
次にビャクブ科に関してですが、聞き慣れない科の植物は見慣れない植物です。 ビャクブ科は、一見双子葉植物のようですが、単子葉植物で、葉は並行脈です。
ヒメナベワリの花は、葉の付け根から出て、細い柄があって垂れ下がります。 花被片は4、オシベは4本です。 メシベはオシベに隠されています。
なお、ナベワリの花は、花被片が幅広く、そのうちの1つは大きくなっています。
ナベワリの名前の由来は、一説には「舐め割り」からと言われています。 葉に毒があり、舐めると舌が割れるというのですが・・・。
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自生のランに出会えると、それだけで嬉しくなりますし、それが珍しいランであれば、嬉しさは一層大きくなります。 しかし少なくとも大阪府下では、数種類を除くと、自生のランに出会う機会はたいへん減ってしまったように思います。
写真のランは、対生する2枚の葉を茎の途中につけ、花は複数つけていますので、フタバラン属です。 フタバラン属にも多くの種類がありますが、それぞれ唇弁の形が少しずつ異なっていて、写真のランはヒメフタバランということになります。
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ホテイアオイは、水と高い気温があれば驚異的な増殖力を示し、増えすぎて水路を妨げたり水力発電に弊害をもたらしたり、日本などでは冬に枯れますのでその腐敗臭が問題になったりと、「青い悪魔」などと呼ばれて嫌われています(こちら)。 しかし花は美しいのですから、きちんとコントロールできれば、いい観賞植物となります。
奈良県の橿原市は、水田の持つ多面的な機能を利用する農業施策の一環として、本薬師寺周辺の米の生産調整地約1.4haを利用し、もう10年以上も前から、ホテイアオイを景観形成作物として栽培しています(こちら)。 その様子を見てきました。
後ろの木のある場所は本薬師寺東塔跡、その右は香久山
ホテイアオイは、水に浮いているよりは、根が地中に伸びている方がたくさんの花が咲くことを既に書きました(こちら)。 本薬師寺周辺の休耕田では、毎年ホテイアオイが植え付けられています。
いちめんに同じ植物が育てられていれば、それを餌とするものが増えるのは道理です。 ホテイアオイには害虫は少ないのですが、あちこちにスクミリンゴガイにかじられた跡や、その卵塊が見られました。
上の写真の、左下のホテイアオイの葉の上の赤っぽい色をしたものが、スクミリンゴガイの卵塊です。 卵は水中では孵化できないので、濡れない場所に産み付けられます。
スクミリンゴガイはジャンボタニシとも呼ばれている南アメリカ原産の外来種です。 東アジアや東南アジア各地ではイネの害虫となっていて、世界の侵略的外来種ワースト100リスト選定種の1種となっています。
日本へは1980年代に食用として持ち込まれましたが、採算が取れないために廃棄され、養殖場から逸出したものが野生化し、分布を広げています。 下は本薬師寺のホテイアオイ栽培場所の一角にいたスクミリンゴガイです。
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コゴメガヤツリはカヤツリグサ科カヤツリグサ属( Cyperus )の1年草です。
上は7月下旬に撮ったコゴメガヤツリです。 花序は最初写真のように上を向いているのですが・・・
上は8月23日の撮影です。 果期に入ると、花序は写真のように横に傾き、先が垂れてきます。 カヤツリグサ属のなかでこのような姿になるのは、コゴメガヤツリだけです。
上の写真のように、花序は複雑に枝分かれしています。
上の写真、もうほとんどの小花は果実になりかけていますが、まだメシベを出している小花がありました。 カヤツリグサ属には2花柱(柱頭が2つに分かれている)のものと3花柱(柱頭が3裂)のものとがありますが、写真のように、コゴメガヤツリは3花柱です。 2花柱のものは平たい果実を、3花柱のものは3稜形の果実を作ります。
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