カテゴリー「草2 離弁花」の234件の記事

2014年6月29日 (日)

ドクダミの花

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 昔から十薬(じゅうやく)という名の生薬としても親しまれてきたドクダミ、あの嫌なにおいも乾燥させると消えますし、加熱しても消えるので天ぷらにして食べたりもします。 今回はこのドクダミの花のつくりを見ていくことにします。
 種子植物の花は生殖器官としてとても大切なもので、その植物を理解するためのポイントとなります。 花の中央にメシベがあり、その周囲にオシベがあり、それらを取り囲むように花弁があり、花弁の外側にガクがある、これが花のつくりの基本で、場合によってはそのいずれかが欠ける場合もありますが、これらの位置関係は変わりません。 このことを頭において、ドクダミの花を見ましょう。

 ドクダミの花の白い4枚を花弁と思っている人もいるようです。 しかしもしこれが花弁なら、その内側にあるはずのオシベと、さらにその中心部にあるはずのメシベはどれでしょうか。
 オシベが退化した雌花やメシベが退化した雄花の可能性も考える必要がありますが、メシベがあれば花粉をどこでどのように受け取るのかを考える必要がありますし、オシベがあれば花粉が出ているはずです。

 じつはドクダミの花は小さく、たくさんの花が寄り集まっています。 上の写真の「たくさんの花のあつまり」と書いてある部分がそうです。
 一見1つの花とは思えない小さなほんとうの1つの花を「小花」と呼ぶことにします。 また「花序」とは花の付き方を言うのですが、ここでは「花の集団」の意味で使うことにします。 すると、「ドクダミは棒状の花序に小花を密生させる」と表現することができます。
 ここまで見てくると、4枚の白い花弁のようなものは、花弁では無いことが分かります。 花弁はそれぞれの花の構成要素ですが、この4枚の白い花弁のようなものはたくさんの花からなる花序の下に位置します。 この白い4枚は、“たくさんの花を包み込む”という意味で「総苞」と呼ばれています。 この総苞は、花の集団の存在場所を虫たちに教える“広告塔”としての働きをしているのでしょう。

 上は花序の一部を拡大したもので、たくさんの小花(=ほんとうの花)が集まっています。 1つの小花は、白い色をした柱頭が3つに分かれた1本のメシベと3本のオシベからなり、花弁もガクも退化しています。
 たくさんの小花がぎっしりと並んでいるので、上の写真では1つの小花が分かりにくいかもしれません。 そこで花序を横に切断し、切断面を上から見たのが下の写真です。 赤い四角で囲ったのが1つの小花です。 3本のオシベのうちの2本がメシベの左右に出ています。 メシベ基部の緑色に膨らんでいる部分は子房です。

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2014年5月29日 (木)

ヤブニンジン

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 写真はヤブニンジン、名前は藪に生え、葉がニンジンの葉に似ている( そんなに似ているとも思えませんが・・・)ところからでしょう。
(以下の写真はクリックで拡大します。)

 上は5月13日に撮ったものですが、この写真を撮った時、一瞬ドキッとしました。 というのは、①を花被、②をオシベ、そして長く伸びている5本の③を、花が終わって果実になろうと伸びだしたメシベではないかと思いました。 つまりメシベが1本にまとまっていない花ではないかと思ったわけです。 みなさんはどう理解しますか?

 メシベが1本にまとまっていない花はたくさんあります。 進化的にはメシベも葉の変形したもので、メシベを作っている元は葉であったものを「心皮」と言いますが、「離生心皮」という言葉もあります。
 離生心皮の花のいくつかを下に載せておきます。

 上はミツバアケビの雌花です。 ミツバアケビは雌雄異花ですから、雌花にはオシベが見当たりませんが、3枚の花被と、写真では6本の分離したメシベがあります。 このメシベそれぞれが果実になっていきます。

 上はヤマシャクヤクです。 たくさんの黄色いオシベに囲まれて、3本のメシベがあります。

 キンポウゲ科では離生心皮の花がたくさん見られます。 例えばこのブログのセリバオウレンの2枚目の写真では、たくさんの緑色のメシベが見られます。 またトウゴクサバノオの中央の写真では、花が終わって果実になろうとしはじめた2本のメシベが、上のヤブニンジンと似た状態で写っています。

 離生心皮の花はたくさんあってキリが無いのでこのあたりにして、ヤブニンジンに話を戻します。
 2枚目の番号付の写真のところでドキッとしたと書きました。 私の知識ではヤブニンジンはセリ科で、セリ科では小さな花が集まって咲き、花は子房下位でメシベは2本の柱頭からなるはずです。 どうしても2枚目の写真とは一致しません。 それに、①②③の関係をよく見ると、メシベと思った③は花の中心部から出ているのではなく、むしろオシベと考えた②の外側から出ているようです(下の写真)。 私の考えのどこがどう間違っているのでしょうか。

 「現在を理解するには過去を見る」という方法があります。 2枚目の写真より若い日付の写真を探します。

 上の写真には2枚目の写真と同じ番号をつけました。 ②も③も、オシベやメシベではなく、独立した1つの花でした。 ②は子房の膨らみが無く雄花で、③は両性花です。 ですから①は花被ではなく、たくさんの花の集団のすぐ下にある苞だということになります。

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2014年5月26日 (月)

シロバナマンテマ-ホザキマンテマとの関係について-

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 あちこちのブログを見ていると、ヨーロッパ原産の帰化植物であるマンテマの仲間の名前が混乱しているようです。 特に混乱しているようなのが、シロバナマンテマとホザキマンテマです。 メールで質問もいただいていたので、整理してみました。
 江戸時代に、暗赤色で縁の白い5弁の花をつけるマンテマが観賞用に持ちこまれ、後に逸出し野生化しました。 なぜ「マンテマ」という名前になったのかは、よく分かりません。
 シロバナマンテマは、先に「マンテマ」の名前があったので、その白花ということでしょうが、学名からすれば、このシロバナマンテマが基本種で、マンテマはその変種ということになります。 平たく言うと、学名からすれば、マンテマは「シロバナマンテマのちょっと変わったもの」です。
  シロバナマンテマ:Silene gallica L. var. gallica
  マンテマ:Silene gallica L. var. quinquevulnera
 ちなみに、属名の Silene はギリシャ神話のシレネス(Silenes)に因んだもので、種小名の gallica は「ゴール地方の」という意味です。

Sirobanamantema100504_4                毛と腺毛

 シロバナマンテマの花の色は白とは限らず、多くの場合は、多少はありますが、紅色が混じっています。 マンテマ( 花は下に載せています )と比較すると、シロバナマンテマの花弁がやや細長い傾向はありますが、荒い毛が多く、上部には短い腺毛が混じることや、花が一方向を向く傾向があることなどは変わりません。 両者は変種の関係、つまり同じ種ですから、本質的な違いは見当たりません。 花の色が違うと印象が違ってきますが、同じバラにもいろんな色があるように、花の色が違うだけでは別種とは言えません。

 これに対してホザキマンテマは上の2種とは別種です。 ホザキマンテマが最初に採集されているのは1950年に北海道においてです。 今ではホザキマンテマも全国に帰化し、市街地の中央分離帯から山地まで広く分布しているようですが、比較的新しい帰化植物です。 新しい植物は古い図鑑等には載っていないため、白っぽい花のマンテマの仲間ということで、シロバナマンテマと間違われ、一方でホザキマンテマという植物があることが知られるにつれ、両者がどう違うのか、それぞれの観察体験に基づく判断がなされ、混乱が広がったのではないでしょうか。 帰化植物には、いつもこのような危険性が伴うように思います。
 ホザキマンテマの学名は Silene dichotoma Ehrh. ですが、この種小名の dichotoma は「2つから成る」という意味です。
 ホザキマンテマはフタマタマンテマとも言われます。 この植物の花序は2出集散花序で、花序の枝が二叉状に長く伸びるのが特徴で、さらにそこから花序の枝が出ることもあります。 英語でも、マンテマは、腺毛があってベタベタするからでしょうが、Catchfly と言われていますが、ホザキマンテマは Forked Catchfly です。
 花の色は白色または淡紅紫色でシロバナマンテマに似ていますが、ホザキマンテマの1枚の花弁は深く切れ込んでいます。
 ホザキマンテマのこれらの様子のよく分かる写真は手元に無いのでこちらを見てください。
 ホザキマンテマの写真を載せられない理由の言い訳を・・・。 最初に書いたように、今回は質問をいただいての記事で、これを書くための“撮影取材”はしていません。 シロバナマンテマの写真も2010年に撮ったものを使っています。


マンテマの花

(撮影:2014.5.28. 泉南市 樫井川河口)

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2014年5月16日 (金)

ハマダイコン

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 ハマダイコンは、北海道~九州の海岸の砂地に生えるアブラナ科の越年草です。 写真は大阪府の泉南の海で撮ったものです。
 ハマダイコンと栽培ダイコンとの関係については、従来、ハマダイコンは栽培ダイコンの野生化したものと言われていましたが、古事記にも記述があるなどの文献からの検討や、両者の形質の比較などから、次第に疑問が持たれるようになりました。 山岸博らは分子生物学的にハマダイコンが栽培ダイコンから逸出したものではないことを明らかにしています(園芸学会雑誌67.1998.)。 野生ダイコンと栽培ダイコンは古い時代に中国大陸から別々に伝搬したものと考えられます。

 花は上の写真のように色の濃いものからほとんど白色に近いものまであります。

 果実は数珠状にくびれ、上部は細くなっています。 種子はくびれごとに1つずつ入っています。 果実は熟しても裂開せず、くびれのところでちぎれて、波に浮いて種子散布されます。

 茎には刺状の毛があります(上の写真)。

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2014年5月13日 (火)

レンリソウ

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 レンリソウは草地に生えるマメ科の多年草です。 近畿地方では広い草地は開発で消失し、レンリソウなども絶滅に近い状態になりました。 近畿地方のレンリソウは、2012年に和歌山県南部で発見されましたが、それまでは京都府で確認されているだけでした。 京都府でも、1964年に亀岡市で確認されて以降、しばらく情報の無い状態が続きましたが、2007年に京都府南部で確認され、地域の人たちによって見守られています。
 その京都府南部のレンリソウを見てきました。

 「理」という文字は「すじ目」を意味します。 連理(れんり)とは、2本の枝が癒着し木目(理)が通じた状態で、夫婦和合や縁を結ぶことの象徴として、吉兆とされてきました。
 レンリソウの葉は偶数複葉で、小葉が対生しています。 この様子を「連理」の状態に喩えたのでしょう。 なお、複葉の先端は巻きひげになっていますが、レンリソウの巻きひげは分枝しません。
 レンリソウの学名は Lathyrus quinquenervius です。 この属名は、la(加える)+ thyros(刺激する)で、種子に催淫性があると信じられた事からですが、種小名の quinquenervius は「5脈」の意味です。 上の写真のように、レンリソウの小葉には5本の葉脈が走っています。
 上の写真で、中央少し右寄りに茎が写っています。茎は3稜形で、細い翼があります。

 複葉の基部にはたく葉があります。 たく葉は小さく披針形で、両端が尖っています(上の写真)。

 上はレンリソウの花です。 最初に書いたように、レンリソウは絶滅が危惧されている植物です。 しかし同じ属には身近な植物もあります。 例えばハマエンドウや、園芸植物ではスイトピーも同じ属の植物です。 花もよく似ています。

 明日はレンリソウの保護について考えてみます。

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2014年4月17日 (木)

マルバコンロンソウ

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 このブログではこれまでにタネツケバナオオバタネツケバナミチタネツケバナと、タネツケバナ属( Cardamine )の植物を載せています。 「○○タネツケバナ」というタネツケバナ属の植物はまだあるのですが、タネツケバナ属には「○○コンロンソウ」という名の植物も何種類かあります。
 コンロンソウはこのブログで前に載せています(こちら)が、今回はマルバコンロンソウです。 コンロンソウは大きな植物ですが、マルバコンロンソウはそんなに大きな植物ではありません。 他のタネツケバナ属に比較してのマルバコンロンソウのいちばんの特徴は、最も毛が目立つということではないでしょうか。

 マルバコンロンソウには茎にも葉にもガクにも毛が目立ちます(上の写真)。 また、花の子房にも毛が生えていて(下の写真)、子房から変化する果実にも毛があります。

 マルバコンロンソウの葉では、下の写真のように、葉の付け根が茎の左右に張り出すことがよくあります。

 マルバコンロンソウは、山地のやや湿り気のある林下などでよく見られます。 写真は生駒山の山裾にある枚岡公園で撮ったものです。

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2014年4月10日 (木)

オオバタネツケバナ

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 オオバタネツケバナは、タネツケバナに似て、もう少し山地の谷川のほとりや湿地でよく見られます。
 外見上はタネツケバナと識別の難しい場合もありますが、タネツケバナが越年草であるのに対し、オオバタネツケバナは多年草で、別種です。

 オオバタネツケバナは、生育条件などで見かけは違ってきますが、その名のとおり、タネツケバナよりは葉が目立ちます。 オオバタネツケバナの複葉は、頂小葉が大きく、側小葉は全縁です。

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2014年3月31日 (月)

ミチタネツケバナ

 ここ数日の暖かさで、私の家の近くのソメイヨシノは5分咲き~7分咲きといったところでしょうか。 道端の植物も花をつけているものが多くなりました。
 下はそのうちのひとつ、ミチタネツケバナです。 あちこちでよく見かけるようになりました。

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 タネツケバナは漢字で書くと「種漬花」で、この花が咲くと、稲の種籾を水に漬けて発芽を促し、苗代づくりの準備に入らなければならない、というところからきているようです。
 タネツケバナの仲間( Cardamine:タネツケバナ属 )も、タネツケバナオオバタネツケバナなど多種の在来種があり、あちこちでよく見かけるのですが、写真のミチタネツケバナはヨーロッパ原産の帰化植物です。 名前は道端など、タネツケバナよりもやや乾燥した場所によく見られるところからのようです。

 花は在来種のタネツケバナより早く、2月頃にはもう咲きだしていて( この花を見て籾を漬けたのでは早すぎます )、今の時期には、花と共にたくさんの果実をつけています。 果実は直立して、花より上に突き出しています。

 茎につく葉は小さく少なく、目立ちません。 上は茎につく葉を拡大して撮ったもので、茎にはピントが合っていませんが、タネツケバナと異なり、茎には毛はありません。
 茎の葉は少ないのですが、それに代わって根出葉は多く、花や果実の時期にも残っています。 下の写真は、根出葉の様子がよく分かるように、株を引き抜いて持ち上げて撮ったものです。 ちなみに、在来種のタネツケバナの根生葉は、果時には枯れています。

 タネツケバナ属はアブラナ科です。 中学校(?)の教科書などには、アブラナ(の仲間)の花の特徴として、花弁やガクは4枚で、オシベは6本であることが載せられています。 しかし、ミチタネツケバナの花は小さく、オシベが4本しかない花が多く見られます(下の写真)。

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2013年9月29日 (日)

アイ(タデアイ)

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 アイ(藍)は、合成インディゴが発明されるまで、紀元前より世界各地で青色染料の材料として重用されてきました。 原産地はインドだと言われています。
 写真のアイは「堺自然ふれあいの森」で育てられていたものです。 よく利用される植物は品種改良が進むもので、アイにもさまざまな品種が見られるようです。 現在よく育てられているアイは丸みを帯びた葉のものが多いようですが、写真のものは野生種に近い葉の形をしているようです。

 アイは別名タデアイとも呼ばれているように、タデ科の1年生草本です。 上の写真のように、花も葉の付け根の托葉鞘も、他の多くのタデ科植物と、特に変わった所は見られません。 青い色素を持っているとも思えません。

 アイを他のタデ科植物と見分けるいちばん簡単な方法は、葉を少し傷つけてみることです。 上は葉の表面を引っ掻いて数分経過した状態ですが、傷つけられた部分(左右2ヶ所)が青く変色しています。 直射日光下で撮ったので、右はギラギラしていますが・・・。

 藍染(あいぞめ)に使う材料としては、アイ(タデアイ)の他に、特別な場合はヤマアイを使用することもあります。 ヤマアイに関してはこちらに載せています。

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2013年9月15日 (日)

イタドリ

 今までイタドリにいる虫は、イタドリハムシカツオゾウムシイタドリマダラキジラミをはじめ、いろいろと載せてきましたが、イタドリそのものについては書いていませんでした。

 イタドリは雌雄異株の多年草です。 上は雄株で、育っている条件にもよりますが、一般的には雄株の方が花が多くつくようです。

 上は雄花です。 オシベは8本あります。

 上は雌株の雌花です。 メシベは緑の子房の上に3裂した白い柱頭がついていて、その周囲に退化したオシベが並んでいます。 右の花では、子房が生長しはじめていて、柱頭は枯れて茶色くなっています。

 イタドリは花の時期にも実の時期にも色彩の変異が見られます。 上も雌花ですが、この株の雌花では子房は赤っぽい色をしています。

 この後、雄花は散ってしまい、雌花は果実になります。 果実は3枚の発達した花被片で保護されていますが・・・

 上の花被片は白い色をしていますが、下はピンクです。 このようなピンクのイタドリは、メイゲツソウとも呼ばれています。

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