ウド(晩秋の姿)
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ミドリハコベやコハコベ(以下、この2種を一緒にして「ハコベ」と書きます)にそっくりですが、少し大きなウシハコベ、「ウシ」は「大きな」という意味なのでしょう。
5枚の花弁が深く2裂していて10枚の花弁があるように見えることや、茎の片方に毛の列があることなどはハコベと共通です。 ウシハコベがハコベと違うのは、ハコベのメシベが3本に分かれているのに対し、ウシハコベのメシベは5本に分かれていることです。 ルーペで見なければはっきり見えないような小さな違いですし、下の写真のように白いオシベが白いメシベに寄ってくるとますます分りにくくなるような違いですが、子孫を作る大切な場所に関係した違いですので、重視しなければならない違いです。
花は春に多いものの、暖地では年中花を見ることができ、麦の栽培とともに伝来した史前帰化植物の1つとされています。
節部のあたりは、下の写真のように暗紫色にそまる場合が多いようです。
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イノコズチは昔からよく知られている「ひっつき虫」ですが、緑色のガクが発達していて、ツボミの時はこのガクが目立ち、花弁が無いので花が咲いてもこのガクが開くだけのような印象で、注意して観察しないと咲いているのも分らず、花が終わってもガクが残って果実を保護する・・・ つまり花が咲いても気付く人は少なく、咲く前も咲いた後もほとんど変わらない姿です。
さらに、この昔から知られていたイノコズチは、ヒナタイノコズチとヒカゲイノコズチに区別されることになり、狭い意味でのイノコズチはヒカゲイノコズチを指すこととなりました。 なお、この違いについても、別種なのか変種なのかと、いろんな変遷を経ています。
上はヒナタイノコズチの花の咲いている周辺を拡大したものです。 花のつくりをもう少し詳しく見ていくと、上に書いたように花被片(ガク片)は5、花弁は無く、オシベは5本、オシベの基部は薄い膜でつながっており、その膜の上に伸びた部分は仮オシベとされています。
花被の外側には3個の小包葉があり、そのうちの2個は他の1個より長く、その基部には薄い膜状の付属体があります。 この長い小包葉は果実ができると共にとげ状となり、動物の体などに付着するのに役立ちます。
ヒナタイノコズチとヒカゲイノコズチは、次のような点で区別されます。(ほとんどが比較しての違いですが・・・)
ヒナタイノコズチはヒカゲイノコズチに対し、
などの特徴があります。
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きれいな花は虫を引き寄せ、花粉媒介をしてもらうため。 風媒花がきれいな花を咲かせるのは、花を作るエネルギーのロスです。
ウメバチソウの花は、どう見ても虫媒花です。 虫媒花は視覚的に虫をひきつけると同時に、虫に花粉や蜜を提供します。 昨日は、いつ虫に来てもらってもいいようにと1つの花が長期間花粉を出し続けるためのしくみについて書きましたが、今日は花蜜についてです。 平凡社の「日本の野生植物 草本Ⅱ」には、ウメバチソウの花は蜜を分泌しない旨の記載がありますが、ほんとうに蜜を出していないのでしょうか。
ウメバチソウの仮オシベは細かく枝分かれし、その先には黄色い球形のものがついています。 この球形の部分は、その色や光沢からして、いかにも蜜を出していそうなのですが、指で触れても、どうも蜜は出ていないようです。
しかし、仮オシベの枝分かれする直前の緑の濃い部分に光るものを見つけました(下の写真)。 もしこれが蜜で、この緑の部分から蜜を出しているとしたら、飛んでくる虫を飛行機に例えると、黄色い球は飛行場の誘導灯の役割をしているのかもしれません。 そのように見ると、球形のものの色が、緑の部分に近くなるにつれて次第に黄色が濃くなっていくのも納得できます。
あるウメバチソウの花にアリが来ていました。 たまたま通りがかった様子ではなく、しきりに花の蜜を探すように動き回り、時々緑の部分で立ち止まっていました(下の写真)。
アリでは花粉を媒介してもらうことは期待薄ですが、アリの行動を見ていると、どうも緑の部分から、わずかですが蜜が出ているような気がします。
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このブログの'08年10月10日に、六甲高山植物園で撮ったウメバチソウのことを記事にしました。 その中で、いろんな状態の花の写真を撮ることができず、オシベのおもしろい変化を紹介できずに残念だと書きました。
手許に、神戸新聞総合出版センター発行の「六甲山の植物」という本があります。 著者のお一人からいただいたのですが、この本の巻末にいくつかのトレッキングコースが紹介されていて、それによれば、ウメバチソウは六甲山系では減少しているものの、あちこちで見られるようです。
今回は六甲山系のウメバチソウの自生地で、オシベの変化を確認することができましたので、記事にしてみました。
ウメバチソウの花には5本のオシベと、枝分かれした5本の仮オシベがあるのですが、今回は花粉を出すことのできるオシベに注目して見ていくことにします。
開花したばかりの花では、5本のオシベは全て子房にくっついています。 下の写真では、そのうちの1本が伸びてメシベの真上に来て葯が裂開し、花粉が出はじめています。 この伸び始めたオシベを①とします。
ウメバチソウの花は放射相称ですから、花をどちらから撮るかで、上の①の位置は変化します。 下の写真では、①のオシベは伸びてメシベを離れ、①の隣のオシベがメシベの真上で花粉を出し始めています。 このオシベを②とします。 このように、伸びていく順に、オシベに番号をつけていくことにします。
上の写真では、②は花を上から見たときの①の左隣ですが、②が①の左隣になるのか右隣になるのかは、たくさんの花を見ると、両方のケースがありました。
下の花では②は①の右隣になっていますが、①の葯は花粉を出し終えて既に取れてしまっています。 ②のオシベも伸びてメシベを離れ、①から見て②の反対側にあるオシベが伸びだしてきています。 このオシベを③とします。
下の写真では、②の葯も取れてしまい、③のオシベも伸びきり、仮に①を「真上」とすると、②の下にあったオシベも花粉を出しながら伸びてしまっています。 これを④とします。 オシベは5本ですから、最後に伸びるオシベ⑤は、自動的に決まります。
下は花弁もかなり古くなっていて、5本のオシベの葯は全て落ちてしまっています。 そしてメシベの柱頭は大きく開いています。
ウメバチソウの1つの花は、10日以上も咲き続けますが、その間、上で見たように、オシベは順々に立ち上がり、花粉を出し、そして5本のオシベが花粉を出し終えて雄性期が終わった後にメシベの柱頭が開き、雌性期に入ります。
下は上の写真よりもさらに時間が経過した花で、花弁も落ちてしまっています。 美しかった仮オシベも色彩を失いつつあります。
下の写真を載せた理由は他にもあって、この花が奇形だからです。 この花のオシベは6本あり、メシベの柱頭は5裂しています。
ウメバチソウは、新しいAPG植物分類体系では、新設されたウメバチソウ科に分類されています。 ウメバチソウ科に近いユキノシタ科では、ユキノシタ、ダイモンジソウ、ジンジソウなど、左右相称の花がたくさんあります。 ウメバチソウは放射相称の花ではありますが、オシベの変化を見ると、4枚目の写真の説明で「真上」という語句を使いましたが、左右相称的要素を持っている花と言えるのではないでしょうか。
明日はウメバチソウの花の蜜について考察したいと思います。
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タヌキマメは本州以南から朝鮮・中国~インドまで広く分布しているマメ科の1年草で、各地の湿り気のある原野に生えています。
花は午後に開きます。 花を見ればたしかにマメ科なのですが、マメ科にしては珍しい形質をいろいろ持っています。 まず、マメ科植物の葉には複葉が多いのですが、タヌキマメの葉は単葉です。 そしてガクが発達していて表面に褐色の長毛を密生しています。 このガクは花の後も残り、果実が育つまで包み込んで保護し続けます。
タヌキマメの「タヌキ」は、このガクの毛がタヌキの毛に似ているからとも言われていますが、ガク全体がタヌキの尻尾のようでもあり、いわゆる“八畳敷”のようでもあり、また花がタヌキの顔に似ているからとも言われています。
下はガクの中の若い果実を撮ったものです。
太い果実(=莢)の中にはさぞかし大きな豆が育つのかと思いきや、タヌキマメの仲間では、莢の中には小さな種子(豆)が並んでいて、莢の中のかなりの部分は空洞のようです。 タヌキに化かされたみたい・・・
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ヒナノカンザシは湿地に生える小さな一年草です。 お雛様の小さなお顔に似合う小さな小さなかんざしです。 夏の終わりに見られる花も実も見落としてしまうほど小さいのですが、拡大すると、花も実もたいへん特徴的で美しいものです。
花はツボミのうちは赤紫色、花が咲くと白っぽくなり先に赤紫色が残ります。 花の長さは1~2mm、披針形のガク片は5個で、そのうちの2個はやや大きくなっています。 花弁は3枚で、下方の1個は側方の2個よりも長く、この花弁に包まれるように雄蕊筒があります(外からは見えません)。 雄蕊筒は4本のオシベの花糸が合着したものです。
このように花は複雑なつくりになっているのですが、この花のつくりは、花弁の先の“房”は無いものの、基本的にはヒメハギと同じで、ヒナノカンザシはヒメハギ科に分類されています。
果実もおもしろい形をしています。 果実の径は2mmほどで、扁平な腎形をしていて、縁には小歯が並んでいます。 1つの果実には2個の種子が入っています。
下の写真、左側に写っているのは、ヒナノカンザシと小ささを競うようなアリノトウグサです。
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大阪府の和歌山県に接するあたりに岩湧山があり、その麓に岩湧寺があります。
岩湧寺は役小角の開基とされ、現在は融通念仏宗の寺院で、多宝塔(下の写真)および多宝塔本尊の大日如来像は国の重要文化財になっています。
8月下旬から9月上旬にかけて、この寺の周囲はシュウカイドウで埋め尽くされます。 湿気の多い半日陰の場所を好むというシュウカイドウの性質がよくこの場の環境に合っているようです。
シュウカイドウ(Begonia grandis)はベゴニアの仲間で、シュウカイドウ科に分類されています。 山東省以南の中国からマレー半島にかけて分布し、日本には江戸時代初期に園芸用に持ち込まれています。
シュウカイドウ科の植物は、園芸植物としては身近な植物ですが、アメリカ熱帯を中心に亜熱帯から熱帯に広く分布している植物で、日本での自生は八重山諸島で見られるのみです。
シュウカイドウは雌雄異花です。 雄花は、大きな花弁のように見えるガクが2枚と、小さな花弁が2枚、その中央からオシベの花糸がくっつきあった部分が伸び、その先端に球状になった葯の集団が存在します。 雌花では三角形の大きな子房が目立ち、その上にはガクが2枚、花弁は無く、枝分かれしてクネクネと曲がった黄色いメシベの先端が目立ちます。
※ シュウカイドウの記事はこちらにも書いています。
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写真は信太山で撮ったオトギリソウです。
オトギリソウの仲間には、葉や花などに腺体を持つものが多く、これがこの仲間の重要な区別点となっています。 この腺体に色素が含まれている場合には黒点といい、これが連なると黒線となります。 また、色素を含まない腺体もあり、この場合は透かすと明るく見えるので、明点と呼んでいます。
オトギリソウは日本全国の草地に生育する多年草です。 茎の断面は丸く、葉は先端は丸く、基部が最も幅広く、対生して茎を抱いています。 葉面には黒点が目立ち、特に縁には多く見られます。
夏に直径2cmほどの黄色い花を咲かせます。 花弁やガクにも黒点と黒線がはいります。 多数のオシベは3群に分かれ、それぞれの群では花糸の基部で合生しています。 メシベは1個で3花柱を持ちます。 写真ではこの花柱が水平に開いていますが、いつもそうなのか、調べてみたいと思います。
江戸時代の“絵入り百科事典”である寺島良安の『和漢三才図会』(1712年)には、このオトギリソウについて、「金瘡折瘡及一切無名腫物有神効」(切り傷、打身(?)や様々な腫れ物にすばらしい効きめがある:そよかぜ訳)として、次のような内容の話が書かれています。
平安時代、花山天皇の頃、晴来という有名な鷹匠がいて、鷹が負傷しても簡単に治癒させる薬を用いて他にない功績を挙げていた。 その妙薬が何であるかは極秘であったのだが、気のいい弟が迂闊にもその薬草のことを他に明かしてしまった。 怒った鷹匠は弟に斬りつけ殺害したが、その時飛び散った血が側にあった薬草に染み付き、以来その薬草には黒い点が見られるようになった。人々は憐れみ、この薬草を「弟切草」と呼ぶようになった・・・。
オトギリソウは止血・傷薬などに薬効があるとされ、今でも民間薬として使われます。
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