ハキダメギク
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オオバコは維管束が丈夫で踏みつけに強く、人が歩くやや湿りがちの道などに見られます。 葉は根生葉のみで、地面に接して葉を広げています。 「オオバコ」は「大葉子」で、「子」は親しみを込めて付けられたものでしょう。 踏みつけが弱くいろんな植物が育つことのできる場所では、他の草に覆われて光合成が十分できずに負けてしまいます。
私の幼少のみぎりには、舗装された道などはほとんど無く、通学路にはたくさんのオオバコが生えていて、その丈夫な花茎を根元から取り、二つ折りにして互いに引っかけあって引き合い、切れた方が負けという遊びをよくやっていました。
そのオオバコは、今、種子散布の時期を迎えています。 種子散布の仕組みも、果実の様子も、なかなかおもしろいものです。 ただし、ルーペを用意しなければなりませんが・・・。
上は果実がたくさんついている花茎の一部を拡大したもので、種子はほぼ完成していて、いちばん上の果実では、もう種子が出てしまっています。 オオバコの果実では、そんな時期でも、ユニークな花の様子が理解できる程度に残っていることがよくあります。 上の写真でも、さすがにオシベは枯れてありませんが、花がほぼ原形を保ったまま、果実の薄い果皮にピッタリとくっついたようになっています。
オオバコの花の下には1枚の包葉があります。 ガク片は4枚で、それぞれのガク片の主脈は丈夫になっていますが、そこから左右に広がる部分は膜質で、互いに重なり合い、くっつきあっています。 花弁は合弁で、花冠は先に向かうほど細くなり、先端のみ小さく4裂しています。
熟した果実は、外側にガクの残っている場所のすぐ上で、横に割れ(蓋果:がいか)、中には4~6個の種子が入っています。 下の写真は、ほとんどの果実が種子を放出してしまい、残った1つの果実の蓋(ふた)がまさに取れようとしている所で、4個の種子が見えています。
下は種子と果実の蓋です。
この種子を掌に受け、下を向けても、種子は落ちません。 種子はくっつきやすい性質を持っています。 と言っても、写真のようにトゲなどがあって物理的に物に引っかかるようなしくみではありません。
オオバコは別名「車前草(しゃぜんそう)」と呼ばれています。 車といっても昔につけられた名前のこと、牛車や馬車のことですが、これらが通ろうとする前にある草、という意味です。 最初の所で人が歩く道に多いと書きましたが、これらの理由は、種子が靴や車輪にくっついて散布されるからです。
下はオオバコの種子に水をたらしてしばらく置いたものです。 光の当て方がまずくて変な影が入ってしまいましたが、種子の周囲に透明な層ができています。 この部分には粘性があり、この粘着物質によって、オオバコの種子はいろんなものにくっつくことができるのです。 水の中に入れなくても、種子の表面が粘性を持つだけなら、ほんの少しの水分でよいようです。
オオバコの成熟種子、花期の全草を乾燥したものは、それぞれ車前子(しゃぜんし)、車前草(しゃぜんそう)という名の生薬で、日本薬局方に収録されていて、消炎、利尿、止瀉作用などがあります。
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下は11月1日にセンブリの花に来ていた虫たちです。
ニクバエの仲間(?)
ツマグロキンバエのメス(上)とオス(下)(注1)
上の写真では、蜜腺の蜜が光っているのですが、このツマグロキンバエは蜜腺には興味を示さず、ひたすら花粉を舐めていました。
ツマグロキンバエは上の2種よりはかなり小さなハエの仲間ですが、この大きさでも、花の上を動き回れば花粉媒介は十分可能でしょう。
センブリの蜜腺の周囲に生えている毛は、花粉媒介に何か役に立っているのでしようか。
この毛は適度に蜜腺を覆って、昆虫が花の上を長く動き回るように、“じらし戦法”を取っているのではないかと考えたこともありましたが、見ている限りでは、この毛は花の上を動き回る昆虫から蜜腺を保護することに役立っているようにも思えました。
センブリ(イヌセンブリも同じです)の花冠の裂片は水平に開き、メシベもオシベも上に向かって伸びています。 この花のつくりは、昆虫が花に覆いかぶさるように訪花する場合にうまく花粉媒介されそうです。 短時間の観察のみで結論を出すのは危険で、時期と場所を変えてもっと観察を続ける必要はありますが、今回の観察に限って言えば、上の写真のように、ハエやアブの仲間がセンブリの花に覆いかぶさるように動き回り、体の下部でしっかりと花粉媒介しているように見えました。
10月14日の記事で、アケボノソウの花粉媒介をする昆虫は、アケボノソウの花に覆いかぶさるような大きな昆虫ではないかと書きました。 しかし、そんな昆虫がアケボノソウの花に来ている所は、あまりたくさん観察されていません。
アケボノソウとセンブリは分類上は同じ属で、花の大きさは違いますが、花のつくりはよく似ています。 今回の観察は、アケボノソウの花も、花に覆いかぶさるような大きな昆虫によって受粉される仮説を、少しは補強できるものだと思います。
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(注1) ツマグロキンバエのオスとメスについて
ハエの仲間の多くは、オスでは複眼がくっつき、メスでは離れています。
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センブリほど苦くないイヌセンブリ、外観はセンブリとたいへんよく似ていますが、花弁の蜜腺にはセンブリより長い毛が生えています。 また、センブリが乾燥ぎみの土地に生育するのに対し、イヌセンブリは湿り気味の土地に生えています。
葉の幅はセンブリの方が細いと言われているのですが、地域によって変異の幅があるようで、私の見たところでは、葉の幅でセンブリとイヌセンブリを区別することは難しいように思います。
朝、イヌセンブリの花には露がいっぱいついていました。 蜜腺に生える毛にも小さな水滴がいっぱい。 下はこの水滴を強調してみたものです。
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スイランは秋の湿地に咲く多年草です。 「ラン」とついていますが、もちろんキク科で、頭花は舌状花のみからなっています。 花のかわいい草本に「○○ラン」という名前がつけられていることはよくありますが、スイランの場合はそれだけではなく、葉の細さにも原因があるようです。 特に根生葉はシュンランなどの葉に似てたいへん細長く、キク科の葉とは思えません。 茎もすらりとしたイメージです。 上の写真にはたくさんの花の終った後が写っていますが、ツボミもこれに似て細長く、スマートです。
下は果実で、冠毛の生え方は荒いようです。 これでは種子が遠くに飛ぶことは無理でしょう。 安定した湿地はそんなにあちこちにあるものでは無いでしょうから、種子を遠くに飛ばすよりは、近くで仲間を増やす戦略のようです。
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オケラは雌雄異株と言われています。 雌花では柱頭が開き、雄花では柱頭が閉じていると書かれてあるブログの記事が多いのですが、柱頭が最初はくっついていて、後に2裂するのは多くのキク科で見られることで、このブログでも何度か記事にしました。
ほんとうに雌雄異株なのか、頭花を割って種子形成の様子を確認したいと、ずっと思っていました。
オケラの生育地は刈り取り草原や明るいアカマツ林などです。 昨日書いたように、歌に山菜にと、よく目立って親しまれてきたオケラですが、このような生育地の減少とともに、目にすることが少なくなってきました。
オケラの花期は9月から10月です。 11月1日に久しぶりにオケラに会うことができました。 しかしそんなに株数も無く、個性的な花の様子を撮るだけにして、頭花を割って雌雄異株を確認することは断念しました。
オケラの頭花は筒状花のみからなります。 花弁は細く長く伸びているのですが、花弁も白、メシベも白で、何がなんだか分りにくくなっています。 しかし、上の写真の左側の花はほぼ終わりで、花弁が褐色になってしまっていますので、花のつくりが分りやすくなっています。
オケラの花が特徴的に見えるのは、頭花に総苞があるのは他のキク科の花と同じなのですが、その外側に総苞片とは別に、魚の骨のような苞をもっているためでしょう。
苞とは花の近くの葉が変化したものです。 オケラの葉は変化が多く、単葉のものも複葉のものもあるのですが、いずれにしても鋭いきょ歯を持っています。 苞は、葉が細く小さくなるとともに、このきょ歯がさらに大きくなったものと考えればいいでしょう。
ところで、オケラや中国原産のオオバナオケラの根茎は白朮(ビャクジュツ)と称する生薬です(日本薬局方)。 白朮は芳香性の精油を含み、健胃用などに用いられています。
オオバナオケラは管状花が淡紫色なのですが、下はこのオオバナオケラを園芸的に品種改良したものです。 花のつくりの理解には、色分けされたこちらの方が分りやすそうです。
【 キク科の受粉に関して 】
上の写真で、花粉があちこちについていますが、夕菅さんからメシベ・オシベについての質問をいただきました。 上の写真のオオバナオケラの園芸種はメシベ・オシベが色分けされていて分りやすく、ちょうどいい機会ですので、キク科の花のメシベ・オベについて整理しておきます。
上の写真はたくさんの花(小花)の集まりで、1つの花は5枚の赤い花弁を持っています。 その花弁の中央から細長い棒状のものが突き出していますが、赤褐色の棒にピンクの棒を継ぎ足したようになっていて、花粉はその境目とピンクの頂についています。 じつは赤褐色の部分がオシベの葯で、5本のオシベの葯が互いにくっつき、筒状になっています。 この筒状の中央の穴を通って、ピンクのメシベが上へと伸びてきます。
花粉は筒状になった内側に出されます。 そしてこの花粉は、下から伸びてくるメシベによって、徐々に筒の外に押し出されます。
写真を注意して見ると、中央に2本だけ、赤褐色の葯のみで、その上にピンク色のメシベが見えていないものがあります。 そしてこの赤褐色の棒状の先端には、あふれんばかりの花粉が付いています。 この2本については、メシベが花粉を押し出しながら葯の筒の中を伸びつつある状態で、まだ外からは見えていないのです。 多くのキク科の筒状花は頭状花序の周辺部から咲き出して、中央部の小花が咲くのは遅れます。 ですから、他の小花はメシベが長く伸びてしまっているのに、中央部の2つの小花は、まだメシベが葯の筒の中を伸びている最中なのです。 このような状態が続くことで、キク科の花は比較的長時間、花粉を補給し続けることができます。
押し出された花粉は、葯の筒の上部にもあることになりますが、メシベが筒の長さを超えてもっと長く伸びると、当然メシベの先端にも花粉がついていることになります。 でも、メシベはこの花粉では受粉しません。 昆虫の体に花粉が付いて、花粉を運んでもらいやすくするために、花粉を高く持ち上げているだけです。 上の写真のメシベの柱頭は閉じたままで、受粉できる柱頭の面は、ピンクのメシベの先端が2裂して左右に開いて、はじめて現れます。 なお、もしもオオバナオケラも雌雄異株で、写真のものが雄株であるなら、メシベの役割は花粉を押し出すだけで、ずっとこのままで柱頭が開かずに終わるのかもしれません。
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オケラはキク科の多年草です。 古来より山菜として、また生薬として用いられるなど、親しまれてきました。
オケラの古名はウケラで、万葉集にも3首に登場します。 ここではそのうちの2首を載せておきます。
恋しけば袖も振らむを 武蔵野の うけらが花の色に出(づ)な ゆめ
(原文)古非思家波 素弖毛布良武乎 牟射志野乃 宇家良我波奈乃 伊呂尓豆奈由米
(第14巻 3376)
恋しくなったのなら、袖を振って呼んでね。
決して武蔵野のうけらの花のように目立つことはしないでね。
我が背子(せこ)を あどかも言はむ 武蔵野の うけらが花の 時なきものを
(原文)和我世故乎 安杼可母伊波武 牟射志野乃 宇家良我波奈乃 登吉奈伎母能乎
(第14巻 3379)
私のあの人のことを何といったらいいの・・・
武蔵野のうけらの花の様にいつだって恋しいのに・・・
信州あたりの俗謡では、「山でうまいはオケラにトトキ、嫁にゃやれない味の良さ」や「山でうまいはオケラにトトキ、里でうまいはウリ・ナスビ」などと歌われているようです。 なお、トトキとはツリガネニンジンのことです。
花のつくりなどは「オケラ ②」で・・・
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ヤクシソウの花は9月~11月、黄色い花(頭花)をたくさんつけます。 この花を見ると、秋の深まりを感じます。
頭花をつくっているキク科の花(小花)には舌状花と筒状花があって、例えばヨメナ、ノコンギク、ツワブキなどは舌状花と筒状花からなる頭花ですし、ヒヨドリバナやテイショウソウなどの頭花は筒状花のみでつくられています。 ヤクシソウの頭花は舌状花のみでつくられていて、このような仲間はタンポポ亜科と呼ばれています。
ヤクシソウの花(頭花)にはおもしろい性質があって、花が終わると他の咲いている花の邪魔にならないようにしているのか、種子ができるまでうつむいてしまいます。
頭花の新旧は、これまでこのブログで何度か書いてきたように、オシベとメシベの関係で分ります。 つまり、筒状になったオシベの真ん中から柱頭の閉じたメシベが伸びてきて、メシベの柱頭が2裂して開いていく、という順序です。
下の写真では3つの頭花が写っていますが、新しい頭花から古い頭花へと並べると、「中央 → 上 → 下」という順になり、下の頭花はうつむきかけています。
ヤクシソウの名前の由来は、根生葉が薬師如来の光背に似ているからであるとか、薬師如来は医薬を司る仏ですが、この植物が薬用にされたからであるとか言われていますが、よく分りません。 薬効があることに関して言えば、乾燥させた頭花を、ゴマ油にひたひたになるようにして漬け込んだものを腫れ物に塗り、消腫薬として利用できるようです。
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昨日の記事で、ヒヨドリバナのメシベが長いことを書きましたが、このステビアの花も、やはりキク科で、長いメシベを持っています。
ステビア( Stevia rebaudiana )は、南アメリカ原産のキク科の多年草です。 草丈は50cmから1m前後で、夏から秋にかけて、小さな白い花をつけます。
写真は大阪市内にある長居植物園で撮ったものですが、最近はあちこちのハーブ園などでも見ることができます。
ステビアは甘味成分を持った植物として、よく知られています。 生の葉を咬むと、口の中に甘さが広がります。
ステビアは一時、発ガン性があるのではないかと言われていました。 しかし、日本が中心となって、JECFA(ジェクファ:国連食糧農業機関と世界保健機関の合同食品添加物専門家会議)へ申請し、平成19年6月には国際的にステビアの安全性が認められました。 今後は「カロリーゼロの天然甘味料」として、ステビアがどんどん使われていくことでしょう。
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