カテゴリー「観察地」の12件の記事

2014年3月16日 (日)

柴島干潟

 多様な生物が住む環境は安定しています。 例えば、単一の作物を育てる畑は農薬を使わないと維持が難しいですが、多様な生物の暮らす天然林の維持には農薬は必要ありません。 そして、多様な生物が暮らすには、多様な環境が必要です。
 近年は人の都合だけ考えて変えてきた環境に対しても、やっと見直しが行われはじめました。 そのうちの一つが、淀川汽水域で行われている干潟再生事業です。
 干潟とは潮の干満で陸地になったり海面下になったりする、ある程度の面積を持った場所です。 環境省の定義では「干出幅100m以上、干出面積が1ha 以上、移動しやすい基底(砂,礫,砂泥,泥)」を満たしたもの」ということになっています。
 淀川の干潟再生事業で作られた干潟は、海老江(えびえ)干潟と柴島(くにじま)干潟の2ヶ所あります。 前者は土を入れて川の一部を浅くして作られたもので、後者は土を削って陸地を低くして作られたものです。
 海老江干潟は以前ほんの少し書きましたが(こちら)、今回は柴島干潟の様子を見てきました。(ほんとうは目的の鳥を見つけられなかったので、立ち寄ってみただけなのですが・・・。)
 柴島干潟の場所は、JR東海道本線が大阪駅と新大阪駅間で淀川を渡るすぐ東側になります。


ヨシで隠されていますが、「干潟再生実験中」の看板

 旅鳥の渡りの時期には少し早い時期ですので、いたのはケリとムクドリだけでしたが、熱心に食事しているところを見ると、餌となる生物は豊富なようでした。

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2013年11月29日 (金)

2013年11月下旬の狭山池

Sayamaike131128_1               ヒドリガモの飛翔

 

 今年はカンムリカイツブリがたくさん飛来しています。 きっちりカウントしていませんが、10羽以上はいました。 ハジロカイツブリも数羽います。
 オオバンは、あいかわらず、たくさんいます。 ヒドリガモ、ハシビロガモ、マガモなどのカモ類も数が増えてきました。

 以下の写真はクリックで拡大します。


ハジロカイツブリ

 


ハジロカイツブリとカンムリカイツブリ

 


カンムリカイツブリ

 

(2013.11.28.撮影)

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2013年6月25日 (火)

友ヶ島港横の海岸生物

 地球上にはたくさんの生物が存在しますので、似た生物を集めて、整理します。 これを分類と言いますが、分類は次のような階層構造をとっています。
  種(しゅ)-属(ぞく)-科(か)-目(もく)-綱(こう)-門(もん)-界(かい)-ドメイン
 生物の基本は種(しゅ)ですが、似た種を集めて属、似た属を集めて科、・・・というぐあいです。
 生物の世界を大きく眺めるには、門レベルが便利です。 例えば私たちヒトは脊索動物門に属します。 イヌもスズメもメダカも、全部私たちと同じ脊索動物門の動物たちです。
 生物は海で生まれ、進化し、そのうちのほんの一部が、乾燥や紫外線などに耐え、陸に上がることができました。 上に書いた門レベルでも、陸に上がることのできた門はほんのわずかで、多くの門の生物は水中に留まったままです。

 前置きが長くなりましたが、友ヶ島の桟橋の横は礫浜で、その角にほんのわずか岩石海岸があります。 港のすぐ近くで海岸で遊ぶ人も多いのですが、そんな所でも、10分ほどの時間に、たくさんの海岸生物を見ることができました。
 カメラを海中に入れられない理由から、以下に載せているのは潮間帯の生物で、陸と海の狭間で生きている生物ですが、活動的なのは海中にいる時か乾燥の心配の無い時です。 珍しい生物はいませんでしたが、海の生物の多様さを感じ取ってください。

 このブログでは原則1種ずつ記事にしていますが、海の生物を1種ずつ記事にしているとキリがありません。 今回は一挙大公開とします。 全部友ヶ島の港の横で撮ったものです。(写真はクリックで大きくなります。最大にするには、大きくしてから、「オリジナルの表示」を選択してください。)

 上の写真で、生物名の下の( )内は門の名称です。 1枚の写真の中に4種の門の生物がいます。 こんな写真が陸上で撮れるでしょうか。


カメノテ(左上)とイボニシ(中央)


イシダタミ(左と右上)とヒザラガイ(中央)
(周囲はダイダイイソカイメンと無節石灰藻)


カメノテ(左)とマツバガイ(右)


クロフジツボ

※ 海から離れられないけれど海中は嫌いというフナムシとアラレタマキビガイは別の記事にします。

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2012年3月17日 (土)

新旭水鳥観察センター周辺の鳥たち

 ザゼンソウを見に行った時、その近くの新旭水鳥観察センターにも立ち寄りました。 冬鳥たちも北に戻りはじめていて、特に珍しい鳥もいなかったのですが、3月中旬に観察センター周辺でみかけた鳥として記録しておきます。

オオバン いちばんたくさんいました。
 帰りに白ひげ浜にも立ち寄りましたが、ここでも大盤振る舞いのオオバンでした。
ヒドリガモ オオバンに次いでたくさんいました。
カンムリカイツブリ 10数羽の群を作っていました。
 いろんな段階の夏羽になりかけたものが混じっていました(下の写真)。

Kanmurikaituburi120314_1

Kanmurikaituburi120314_2

その他、数羽~1羽いた水鳥
 ホオジロガモ(メス)、キンクロハジロ、マガモ、コガモ、カイツブリ、
 アオサギ、ダイサギ、セグロセキレイ
小鳥類
 イカル、ツグミ、ホオジロ(下の写真)、カシラダカ、カワラヒワ、スズメ

Hoojiro120314_1

Hoojiro120314_2

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2010年11月27日 (土)

後楽園の鳥たち

 岡山市にある後楽園は、周囲が旭川に囲まれているため、水辺の鳥も山野の鳥も同時に楽しむことができます。
 日本野鳥の会岡山県支部では、毎月第1日曜日と第3火曜日には、定例探鳥会を開催されているようです。

Kawasemi101121_1    カワセミ
   庭園の中心にある「沢の池」で、オスが1羽、メス2羽が飛び交っていました

Uguisu101121_1    ウグイス 通路のすぐ側の茂みにいて、人には慣れているようです

Hidori101121_1    ヒドリガモとアメリカヒドリの雑種

※ 写真はクリックで拡大します。

 「後楽園」の名は、明治になって、それまでの「御後園」つまり「城の後ろにある園」から改められたものです。
 後楽園の「後楽」は、北宋の范仲淹が書いた『岳陽楼記』の中の「先天下之憂而憂、後天下之楽而楽」、つまり民に先だって憂え、民が幸せになったのちに楽しむ、という上に立つ者の心がけを説いた言葉から取られています。
 これを人と人との関係から鳥と人との関係に置き換え、鳥たちの楽園ができて、その様子を庭園の景色と共に人が楽しむ、ということになればすばらしいことだと思います。
 現在の後楽園は少しその状態に近づきつつあるような気がするのですが、それは残念ながら、ほとんどの観光客が、池にカワセミがいることも、近くにウグイスがいることも気付かずにいるためです。
 多くの人が意図しながらそのような状態を推進する時、「自然と人間の共生」が一歩前進するのでしょうね。

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2010年8月 2日 (月)

伊吹山

 7月31日に滋賀県と岐阜県の境に位置する伊吹山に行ってきました。 これからしばらくは、その時に咲いていた花や、そこに集まる虫たちなどを記事にしていきますが、今日はまず伊吹山全体について書いておきます。

Ibukiyama100731_1    山頂付近
   イブキジャコウソウ、シシウド、シモツケソウメタカラコウなど

 伊吹山は約1,300種が見られる植物の宝庫となっていて、特別保護地区となっている山頂部は国指定天然記念物にも指定されていますが、その成立は自然環境と人の営みの結果です。
 伊吹山の山頂付近は、衝上断層(押しかぶせ断層)が起こった結果、石灰岩層で覆われている山です。 石灰岩の主成分は炭酸カルシウムですが、これは風化されにくく、風化されても雨水に溶けて流れてしまいます。 つまり土壌構成鉱物の微粒子が生成しにくく、深く根を張る樹木が育ちにくい環境です。 石灰岩の地では樹木が育ちにくい様子は、藤原岳の所でも少し載せました。
 また、伊吹山は若狭湾と濃尾平野を結ぶ直線上に立ちはだかるように位置します。 このため、日本海から吹き込む季節風が直接当たり、標高1,377mの山としては冬季には大量の積雪がある一方で、太平洋気候にも接する位置にあります。 この立地の関係で、伊吹山は、日本海気候の寒地・積雪型植物も、太平洋気候による暖地系植物も、そして好石灰岩植物も見ることのできる山となりました。

Ibukiyama100731_3    シモツケソウクガイソウイブキトラノオメタカラコウなど

 このように森林の発達が悪く草本の種類が多い伊吹山では、薬草となる植物も多くありました。
 伊吹山の神を征伐するために出向いたヤマトタケルは、山の神の毒気にあてられ、このことが原因で体が弱り、亡くなってしまうのですが、「山の神の毒気」というのも伊吹山の植物と関係があるのでしょうか。

Ibukiyama100731_2    日本武尊像  ※ 写真は拡大できません。

 とにかく、織田信長がこの地に薬草園を設置したのをはじめとして、古くから伊吹山では、薬草の他にも、肥料、飼料としての採草が行われており、適度な人の関わりで、特に山頂付近では昭和40年代までは長期にわたりお花畑などが安定して維持されてきました。
 しかし近年になって、採草が行われなくなって植生の遷移が進むと共に、登山者の増加と共に踏み付け等による裸地化や外来植物の進入がありました。 現代では「伊吹山を守る会」などによる保全活動と植生の復元が行われています。

Kawarahiwa100731_1    お花畑のカワラヒワ 下はコイブキアザミ

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2009年5月11日 (月)

岩湧山090510

 いろんな鳥を撮ろうと9日に出かけた大阪城では思うように鳥に出会えず、少し欲求不満。 10日は写真の整理をするつもりだったのですが、天気はいいし、じっとしておれなくなって、9時頃に家を出て、岩湧山に登ってきました。
 駐車場の側のトチノキの花は満開。 岩湧寺のシャクナゲも美しく咲いていました。

Shakunage090510_1

Iwawakidera090510_1
   杉木立に囲まれた岩湧寺

 いろんな花に来ている虫たちの写真を撮りながら新緑の中を歩めば、姿は見えないものの、ミソサザイ、キビタキ、クロツグミなどのさえずりがすぐ近くで聞こえます。 キツツキ(アカゲラかな?)のドラミングや、遠くにはアオバトやツツドリの声も聞こえます。

Rengetutuji090510_1
   岩湧山頂のレンゲツツジ

 岩湧山頂にはレンゲツツジの花。 イワツバメの自在に飛び回る姿を見て、山を降りました。

 この日に見た花や虫や鳥たちのいくつかは、独立した記事としてこのブログに載せていく予定です。

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2009年5月10日 (日)

大阪城090509

 昨日(5月9日)、そろそろサンコウチョウを見ることができるかな、と、鳥を撮りに大阪城に行って来ました。
 渡り鳥のピークは既に済み、あれだけたくさんいたオオルリの姿も無く、キビタキもちらほら。 それに木の葉が茂りはじめて、見通しが悪くなっていて、鳥を探すのはたいへんです。
 でも、個体数は少ないものの、今期の4月18日4月30日にはいなかった鳥たちが来ていました。 また、いろんな鳥がさえずりを始めていました。
 下はマミジロです。 マミジロは本州中部以北と北海道で繁殖するツグミ科の鳥です。 地上で餌を探していました。(暗い場所で近づくこともできずブレブレの写真でご容赦を) この日は樹上でのさえずりも聞くことができました。

Mamijiro090509_1

 ムギマキは一瞬姿を見ることができましたが、写真を撮ることはできませんでした。
 ノゴマもいたようで、その日に撮った写真を見せていただきました。
 コルリはよく囀っていました。
 アカハラは5羽ほどの群で地面で餌を探していました。
 お堀には、まだキンクロハジロやホシハジロがいました。 北に帰らなくて大丈夫なのでしょうか?
 下はムシクイの仲間です。 この仲間は大阪城公園でも、メボソムシクイ、センダイムシクイ、エゾムシクイなどがよく見られるのですが、互いによく似ています。 姿のよく似ている仲間は、仲間同士の認識のため、さえずりは全く違うのですが、この写真の場合は高~い木の頂付近にいて、さえずりも聞けなかったので、「ムシクイの仲間」としておきます。

Musikui090509_1

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2009年5月 3日 (日)

金剛山メモ090502

 5月2日、金剛山に行ってきました。 記録を見ると、ほとんど毎年のように5月の連休中に金剛山に登っています。
 今回のコースは登山口からカトラ谷を通り、山頂からちはや園地を回遊し、タカハタ谷を下りました。
 カトラ谷に入ると、あちこちでミソサザイの囀り。 すぐ近くでも姿を見ることができました。 谷の上部のニリンソウの群落は例年通りの見事な姿(下の写真)。 ヒトリシズカもまだ花が残っていました。 ヤマシャクヤクは殆どの株がツボミですが、咲いているものもありました。

Nirinsou090502_1

 葉を広げ始めた落葉樹の中を歩けば、オオアカゲラのドラミングや、ツツドリ、キビタキ、クロツグミ、センダイムシクイ、ヤブサメなどの鳥たちの声が聞こえてきます。
 山頂では緑色の花を咲かせる金剛桜など、いろんな桜が咲いていました。 例年5月3日は「さくらまつり」が行われ、金剛山登山者の集まりである金剛錬成会会員の表彰のほか、いろいろなイベントが行われますが、その準備も整っていました(下の写真)。

Kongouzan090502_1

 ちはや園地の見晴らしのいい所に立てば、「山笑う」の季語のように、黄色みを帯びた緑、赤みを帯びた緑、濃い緑、淡い緑と、“表情”豊かな林の姿があります。
 山頂付近では、ゴジュウカラ、ヤマガラ、シジュウカラ、カケス、オオアカゲラなどの姿を見て、ヒガラやメボソムシクイなどの声に送られて山を降りました。

Yamagara090502_1
   葉を広げ始めたブナの枝にとまるヤマガラ

 虫たちの姿は、時期的に多くなるときには早かったのですが、ビロードツリアブのホバリングやクロマルハナバチの飛び回る姿、成虫越冬したのであろうイタドリハムシなどを見ることができました。

 上記以外で、今回のコースで咲いていた主な植物を、下に書いておきます。(ほぼコース順に並べてあります。)
 クサノオウ、ツルカノコソウ、カキドオシ、ムラサキケマン、ミヤマキケマン、ウワミズザクラ、マルバアオダモ、ヤマブキ、ヤマエンゴサク、フデリンドウ、タニギキョウエンレイソウツクバネソウ、ヤマルリソウ、コガネネコノメソウヨゴレネコノメツルキンバイ、ミヤマカタバミ、ヤマトグサ、ハルトラノオ、ヤマハコベ、ウリハダカエデ、コバノミツバツツジ、クリンソウ(植栽)、ツクシシャクナゲ(植栽)、ヤマブキソウ、シラネアオイ(植栽)、イチリンソウ、ミヤマシキミ、ムロウテンナンショウ

Mamusigusa090502_1
    ムロウテンナンショウ

※ 記事に載せたもののいくつかは、今後、独立した記事として取り上げていく予定です。

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2008年11月 7日 (金)

岩湧山頂の茅場

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(上の写真はクリックして画面を広げていただくと、1024×680でご覧いただけます)

 なんだか風に揺れる銀波を見たくなって、岩湧山に登ってきました。 岩湧山は大阪府の南部、和泉山脈が大阪府側に枝が出たように突き出しているところにあります。
 自宅から麓の岩湧寺まで車で半時間、そこから山頂まで1時間半かけてキョロキョロしながらのゆっくりした登山です。
 岩湧山の山頂付近約8haは一面のススキで、茅(カヤ)場になっています。 ススキの間には、ハバヤマボクチセンブリ、リンドウ、アキノキリンソウ、マルバハギ、シラヤマギクなどの植物の姿も見えます。
 茅葺の民家が急速に減り、茅の需要が減って茅場が放置され、次々と無くなっているなかで、岩湧山の茅場は山麓の滝畑地区の人々の努力で守り続けられており、地元の名刹・光滝寺の屋根葺き替えなどに使われているようです。
 山頂付近で育つカヤは、茎の中の空洞が少なく、葺き替え作業で変形せずに強いということです。

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 「茅(カヤ)」という言葉は、ススキの別名としても使われますし、チガヤなどいろんなイネ科植物の総称としても使われます。
 茅葺屋根も、用いる材料によって、藁葺(わらぶき)屋根、草葺屋根などと区別して言う場合もあります。

※ ススキの小穂の様子はこちらでどうぞ。

※ 岩湧山の茅場に関して、このブログには次のような内容も載せています。
 9月初旬のススキの穂の出る頃の様子
 山焼きで元気になったオオナンバンギセル

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