オオカワヂシャ
写真はオオカワヂシャ(=オオカワジサ)だと思います。
オオカワヂシャは帰化植物です。 在来のカワヂシャは生育環境のよく似たオオカワヂシャの影響で減少し、環境省のレッドブック(RDB)で準絶滅危惧種(NT)に指定されました。 また、オオカワヂシャとカワヂシャが同所的に生育している場所では、両者が交雑して雑種のホナガカワヂシャを形成することがあり、このホナガカワヂシャは発芽能力のある種子を生産することもあると言われています。 このようにオオカワヂシャは、在来種カワヂシャの遺伝的攪乱を生じさせるとして、特定外来生物に指定されています。
オオカワヂシャとカワヂシャには次のような形態的な違いがあります。 オオカワヂシャの花は鮮やかな青紫色である場合が多いのに対し、カワヂシャの花は白っぽい場合が多いようです。 果実の柄はオオカワヂシャでは少し上を向くように湾曲しますが、カワヂシャでは直線的に斜上します。 またオオカワヂシャの葉は鋸歯が不明瞭でほとんど全縁に見えるのに対し、カワヂシャの鋸歯ははっきりしています。 ただし花の色や葉の形は変異の幅があるものです。
このようにオオカワヂシャとカワヂシャとの違いはそんなに大きくないのですが、染色体数はオオカワヂシャが 2n=36、カワヂシャが 2n=54 で、別種です。
ホナガカワヂシャはオオカワヂシャとカワヂシャとの中間的な形態を示しますが、植物の世界では雑種の方が立派に見えることがよくあり、ホナガカワヂシャもその名のとおり穂が長く、葉も幅は変わらずに長く、つまり細長くなる傾向が強いようです。
以下は最初に載せた写真と同じ場所の植物の花、果実の様子、葉の様子を撮ったものです。(写真はクリックで拡大します。)
ところで、オオカワヂシャやカワヂシャは、植物の大きさは全く異なるのですが、花を見ても分かるように、オオイヌノフグリなどと同じ属( Veronica )です。 花後の果実(下の写真)もよく似ています。
オオカワヂシャの果実
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