ヤブニンジン
写真はヤブニンジン、名前は藪に生え、葉がニンジンの葉に似ている( そんなに似ているとも思えませんが・・・)ところからでしょう。
(以下の写真はクリックで拡大します。)
上は5月13日に撮ったものですが、この写真を撮った時、一瞬ドキッとしました。 というのは、①を花被、②をオシベ、そして長く伸びている5本の③を、花が終わって果実になろうと伸びだしたメシベではないかと思いました。 つまりメシベが1本にまとまっていない花ではないかと思ったわけです。 みなさんはどう理解しますか?
メシベが1本にまとまっていない花はたくさんあります。 進化的にはメシベも葉の変形したもので、メシベを作っている元は葉であったものを「心皮」と言いますが、「離生心皮」という言葉もあります。
離生心皮の花のいくつかを下に載せておきます。
上はミツバアケビの雌花です。 ミツバアケビは雌雄異花ですから、雌花にはオシベが見当たりませんが、3枚の花被と、写真では6本の分離したメシベがあります。 このメシベそれぞれが果実になっていきます。
上はヤマシャクヤクです。 たくさんの黄色いオシベに囲まれて、3本のメシベがあります。
キンポウゲ科では離生心皮の花がたくさん見られます。 例えばこのブログのセリバオウレンの2枚目の写真では、たくさんの緑色のメシベが見られます。 またトウゴクサバノオの中央の写真では、花が終わって果実になろうとしはじめた2本のメシベが、上のヤブニンジンと似た状態で写っています。
離生心皮の花はたくさんあってキリが無いのでこのあたりにして、ヤブニンジンに話を戻します。
2枚目の番号付の写真のところでドキッとしたと書きました。 私の知識ではヤブニンジンはセリ科で、セリ科では小さな花が集まって咲き、花は子房下位でメシベは2本の柱頭からなるはずです。 どうしても2枚目の写真とは一致しません。 それに、①②③の関係をよく見ると、メシベと思った③は花の中心部から出ているのではなく、むしろオシベと考えた②の外側から出ているようです(下の写真)。 私の考えのどこがどう間違っているのでしょうか。
「現在を理解するには過去を見る」という方法があります。 2枚目の写真より若い日付の写真を探します。
上の写真には2枚目の写真と同じ番号をつけました。 ②も③も、オシベやメシベではなく、独立した1つの花でした。 ②は子房の膨らみが無く雄花で、③は両性花です。 ですから①は花被ではなく、たくさんの花の集団のすぐ下にある苞だということになります。
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