ハルジオンとヒメジョオン
この場所にあった記事は、こちらに引っ越しています。
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コナラの樹液が出はじめていて、さまざまな樹液生活者たちが集まってきていました(下の写真)。 1枚目の写真は、下の写真の右3頭と同じものですが、「一寸のハエにも五分の大和魂・改」に載せられている、トゲアシモグリバエ科の Traginops orientalis でしょう。 晩春から盛夏にかけて出現し、特徴としては、翅に霜降り模様があることと、頭頂部が盛りあがっていることが挙げられるようです。
ちなみに、上の写真に写っている他の虫たちは、左上がヨツボシケシキスイ、左下のピントがずれているのがホシアシナガヤセバエですが、上中央と下に頭が少し写っている双翅目が、どうしても分かりません。 どなたかに教えていただけることを期待して、横から撮った写真を下に載せておきます。
さっそくおちゃたてむしさんから連絡いただきました。 ショウジョウバエ科カブトショウジョウバエ亜科のマダラメマトイの仲間のようです。
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写真はヤブニンジン、名前は藪に生え、葉がニンジンの葉に似ている( そんなに似ているとも思えませんが・・・)ところからでしょう。
(以下の写真はクリックで拡大します。)
上は5月13日に撮ったものですが、この写真を撮った時、一瞬ドキッとしました。 というのは、①を花被、②をオシベ、そして長く伸びている5本の③を、花が終わって果実になろうと伸びだしたメシベではないかと思いました。 つまりメシベが1本にまとまっていない花ではないかと思ったわけです。 みなさんはどう理解しますか?
メシベが1本にまとまっていない花はたくさんあります。 進化的にはメシベも葉の変形したもので、メシベを作っている元は葉であったものを「心皮」と言いますが、「離生心皮」という言葉もあります。
離生心皮の花のいくつかを下に載せておきます。
上はミツバアケビの雌花です。 ミツバアケビは雌雄異花ですから、雌花にはオシベが見当たりませんが、3枚の花被と、写真では6本の分離したメシベがあります。 このメシベそれぞれが果実になっていきます。
上はヤマシャクヤクです。 たくさんの黄色いオシベに囲まれて、3本のメシベがあります。
キンポウゲ科では離生心皮の花がたくさん見られます。 例えばこのブログのセリバオウレンの2枚目の写真では、たくさんの緑色のメシベが見られます。 またトウゴクサバノオの中央の写真では、花が終わって果実になろうとしはじめた2本のメシベが、上のヤブニンジンと似た状態で写っています。
離生心皮の花はたくさんあってキリが無いのでこのあたりにして、ヤブニンジンに話を戻します。
2枚目の番号付の写真のところでドキッとしたと書きました。 私の知識ではヤブニンジンはセリ科で、セリ科では小さな花が集まって咲き、花は子房下位でメシベは2本の柱頭からなるはずです。 どうしても2枚目の写真とは一致しません。 それに、①②③の関係をよく見ると、メシベと思った③は花の中心部から出ているのではなく、むしろオシベと考えた②の外側から出ているようです(下の写真)。 私の考えのどこがどう間違っているのでしょうか。
「現在を理解するには過去を見る」という方法があります。 2枚目の写真より若い日付の写真を探します。
上の写真には2枚目の写真と同じ番号をつけました。 ②も③も、オシベやメシベではなく、独立した1つの花でした。 ②は子房の膨らみが無く雄花で、③は両性花です。 ですから①は花被ではなく、たくさんの花の集団のすぐ下にある苞だということになります。
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ハキリバチがマルバノキの葉を切っていました。 たぶんヤマトハキリバチだと思います。ムナカタハキリバチの亜種スミゾメハキリバチ( Megachile willughbiella sumizome )でした(コメント欄参照)。
ちょうど陽光がスポットライトのように当たっている場所で葉を切り始めたので、その過程を追いかけてみました(下の写真)。
葉を丸めながらスーッと切っていきます。 上の写真の場合は、切りはじめてから切り終わるまで、1分かかっていません。
切り取った葉の側につかまっているのですから、最後の写真のように切り終える時には下に落ちるはずなのですが、切り終えた瞬間に飛行します。 この葉を抱えて飛ぶ姿を撮りたかったのですが、非常にすばやくて、うまく撮れませんでした。
飛び立った後、数分待つと、また飛来して葉を切りはじめます。 ハキリバチは幼虫の成長に必要な量の葉を巣に運び入れ、筒状に丁寧に重ねて卵を産みつけます。
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あちこちのブログを見ていると、ヨーロッパ原産の帰化植物であるマンテマの仲間の名前が混乱しているようです。 特に混乱しているようなのが、シロバナマンテマとホザキマンテマです。 メールで質問もいただいていたので、整理してみました。
江戸時代に、暗赤色で縁の白い5弁の花をつけるマンテマが観賞用に持ちこまれ、後に逸出し野生化しました。 なぜ「マンテマ」という名前になったのかは、よく分かりません。
シロバナマンテマは、先に「マンテマ」の名前があったので、その白花ということでしょうが、学名からすれば、このシロバナマンテマが基本種で、マンテマはその変種ということになります。 平たく言うと、学名からすれば、マンテマは「シロバナマンテマのちょっと変わったもの」です。
シロバナマンテマ:Silene gallica L. var. gallica
マンテマ:Silene gallica L. var. quinquevulnera
ちなみに、属名の Silene はギリシャ神話のシレネス(Silenes)に因んだもので、種小名の gallica は「ゴール地方の」という意味です。
毛と腺毛
シロバナマンテマの花の色は白とは限らず、多くの場合は、多少はありますが、紅色が混じっています。 マンテマ( 花は下に載せています )と比較すると、シロバナマンテマの花弁がやや細長い傾向はありますが、荒い毛が多く、上部には短い腺毛が混じることや、花が一方向を向く傾向があることなどは変わりません。 両者は変種の関係、つまり同じ種ですから、本質的な違いは見当たりません。 花の色が違うと印象が違ってきますが、同じバラにもいろんな色があるように、花の色が違うだけでは別種とは言えません。
これに対してホザキマンテマは上の2種とは別種です。 ホザキマンテマが最初に採集されているのは1950年に北海道においてです。 今ではホザキマンテマも全国に帰化し、市街地の中央分離帯から山地まで広く分布しているようですが、比較的新しい帰化植物です。 新しい植物は古い図鑑等には載っていないため、白っぽい花のマンテマの仲間ということで、シロバナマンテマと間違われ、一方でホザキマンテマという植物があることが知られるにつれ、両者がどう違うのか、それぞれの観察体験に基づく判断がなされ、混乱が広がったのではないでしょうか。 帰化植物には、いつもこのような危険性が伴うように思います。
ホザキマンテマの学名は Silene dichotoma Ehrh. ですが、この種小名の dichotoma は「2つから成る」という意味です。
ホザキマンテマはフタマタマンテマとも言われます。 この植物の花序は2出集散花序で、花序の枝が二叉状に長く伸びるのが特徴で、さらにそこから花序の枝が出ることもあります。 英語でも、マンテマは、腺毛があってベタベタするからでしょうが、Catchfly と言われていますが、ホザキマンテマは Forked Catchfly です。
花の色は白色または淡紅紫色でシロバナマンテマに似ていますが、ホザキマンテマの1枚の花弁は深く切れ込んでいます。
ホザキマンテマのこれらの様子のよく分かる写真は手元に無いのでこちらを見てください。
ホザキマンテマの写真を載せられない理由の言い訳を・・・。 最初に書いたように、今回は質問をいただいての記事で、これを書くための“撮影取材”はしていません。 シロバナマンテマの写真も2010年に撮ったものを使っています。
マンテマの花
(撮影:2014.5.28. 泉南市 樫井川河口)
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モチツツジの花にアシブトコバチが来ていました。 動きまわるのでシャッター速度を上げるために、f値を小さくしていますので、被写界深度は浅くなっています。
このアシブトコバチはこちらに載せたのと同種ではないかと思いますが、いずれにしても種名は分かりません。
しばらくすると、 同じモチツツジにいたいもむしを狙いはじめました。 このいもむしに卵を産みつけようとしているのでしょう。
見ていると、ホバリングして狙いを定め、突進して触角でいもむしの体に触れ、すぐに離れるというタッチ・アンド・ゴーを何度も繰り返していました。 触角で触れるたびにいもむしが体を揺らすからでしょうが、そのうち立ち去ってしまいました。 産卵に至らなかったのは、いもむしの大きさまたは齢が適当でなかったのか、他の何者かに既に寄生されているのが判ったのか、カメラがじゃまだったのか、いろいろ考えられますが、なぜなんでしょうね。
アシブトコバチの動きに注目しすぎて、いもむしをきちんと見ることをしなかったので、いもむしの種類も分かりません・・・。
結局今回も太い後脚にどのような意味があるのかは、不明のままでした・・・。
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このブログにはもう既に載せたと思っていたシロチドリ、たしかにいろんな鳥と一緒にはあちこちで写っているのですが、主役としては未だ記事にしていなかったようです。
時々上を見上げてワシタカ類を警戒
大きなゴカイをゲット!
シロチドリは夏には北に、冬には南に移動しますが、少なくとも大阪付近では1年中見ることができます。
上の写真(1~3枚目も)はオスの夏羽です。 頭頂は黒で、後頭はオレンジ色です。 額や眉斑は白く、嘴や眼過線は黒、胸部側面にも黒っぽい斑紋があります。
上で、キョウジョシギの手前にいるのはメスでしょう。 オスはすぐ近くにいましたから、オスの冬羽ということはないでしょう。 メスやオスの冬羽は、頭頂や胸部側面の黒い部分がはっきりしません。
メスやオスの冬羽はメダイチドリの冬羽と比較的よく似ているのですが、メダイチドリの冬羽と異なり、シロチドリでは、夏羽冬羽に係わらず、首の白い部分がとぎれずに首輪状になります(下の写真)。
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4月、ヤママユの繭をみつけました。 繭は破れてなく、重さもあり、中にまだいるようなので、持ち帰ることにしました。
ヤママユガは卵の状態で越冬し、春に孵化、幼虫はクヌギやコナラなどを食べて5齢まで育つと繭を作り、8月に羽化します。 4月にヤママユの蛹がいるわけはありません。 きっと何かに寄生され、繭の中では寄生者が育っているのでしょう。 繭はPET製の透明ケースにぶら下がるように木工用接着剤でくっつけ、何が出て来るのか、楽しみに待つことにしました。
5月11日の日曜日午前8時20分、繭を入れていたケースからカリカリと音がします。 ケースで反響して音が大きく聞こえるようです。 いよいよ繭から出て来るようです。 撮影の準備をしました(上の写真)。
上は午前9時6分に撮った写真ですが、繭の上部の糸がほぐれ、牙のようなものが少し見えます。 ヤママユガはこんな牙を持っていませんから、繭の中にいるのは、やはり寄生者です。
しかしその後、しばらく見ていましたが、牙が少し見えたり引っ込んだりしているだけで、状況は遅々として変化しません。 数分間少し別のことをしていて、ふと見ると、ヒメバチが壁を歩いていました。 それが1枚目の写真です。 せっかくの繭を出る瞬間を撮り損ねましたが、体を出しかけると、非常に短い時間で出てしまうようです。
1枚目の写真のように、翅は蝶や蝉の羽化の時のようにゆっくり広がってくるのではなく、繭から出た段階で広がっていました。 体は濡れていて(だから繭からスムースに抜け出ることができたのでしょう)、この後、後脚で体のあちこちをしごいて、水分を拭い去ろうとするような行動を繰り返しました。
繭を出てからの約20分間は、歩くことはできても、飛べないようでした。 下はこの間に撮った写真です。 コンボウアメバチ亜科かとも思うのですが、よく分かりません。
下は抜け出た後の繭を切って中を見たものです。 蛹にもヒメバチが抜け出た穴が開いていました。
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フナバラソウはキョウチクトウ科( 旧分類ではガガイモ科 )カモメヅル属( Vincetoxicum )の多年草です。 写真はたくさんの花には少し早い時期に撮ったもので、多くはまだ蕾で、もちろん果実は見当たりませんが、大きな紡錘形の果実(袋果)ができます。
ガガイモの仲間の果実は、みんな似た形をしていますが、フナバラソウの果実は特に前後が対称的ですので、この果実の形を船を底から見た形に喩えて「舟腹草」としたものでしょう。
カモメヅル属の植物は、これまでにもスズサイコ、タチカモメヅル、クサタチバナなどを載せていますが、花のつくりは基本的には同じで、スズサイコのところに少し書きましたが、とにかく複雑です。 しかしその複雑さがうまく受粉に活かされているかといえば、花に対する果実の数からすると、かなり疑問が残ります。 もっとも、あんな大きな果実がたくさんできると、栄養分が種子生産に取られて、自身の生存が危うくなるでしょうが・・・。
上の花の写真にも虫が写っていますが、いろんな虫が来ていました。 しかしそのほとんどの虫は、花粉媒介に役立つ虫ではなく、葉を食べたり植物の汁を吸ったりする、フナバラソウに害を及ぼす虫たちでした。
ガガイモの仲間を食草としているチャバネツヤハムシ
マルカメムシ
オジロアシナガゾウムシ
体長2mmほどの小さなゾウムシ
手の上に落ちて来たのでそのまま撮影したゾウムシの一種
少しですが、フナバラソウに味方する虫もいました。
上のウスイロクビボソジョウカイは肉食性の昆虫です。 害を及ぼす虫を捕食し、フナバラソウを守っているというよりは、フナバラソウにいると餌となる虫がたくさん来るからでしょうが・・・。
これだけの種類の虫が、最初の写真の2本のフナバラソウにいました。 もちろんフナバラソウも自身を虫たちから守るしくみを持っています。 フナバラソウを傷つけると白い液体が出てきます。 この液体は細い口吻で汁を吸おうとする虫たちの口吻の中で固まり、口吻を詰まらせることを狙ったものかもしれません。 また茎や葉を覆っている毛も、虫によっては防衛に役立つでしょう。 しかし私の印象としては、これだけいろんな虫たちがいるのはフナバラソウの防衛力不足によるものだと思いました。
フナバラソウも絶滅が心配されている植物です。 その理由の第一としては、フナバラソウは安定した丈の低い草地にのみ生えます。 これはレンリソウの生育場所とも似ていますが、そのような場所がたいへん減ってしまったことが挙げられるでしょう。 しかし私の勝手な思いつきかもしれませんが、上記のように虫たちにうまく花粉媒介をしてもらえていないようですし、虫たちから自身を守るしくみが不十分のようだということも、フナバラソウが少ない原因の1つになっているのかもしれません。
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写真はハナバエ科ハナバエ属(Anthomyia)の一種のメスでしょう。 ちなみに属名の Anthomyia は、ギリシア語の anthos(花)+myia(ハエ)に由来するようです。
ハナバエ科の幼虫は、多くは植物の根や茎の内部を食害しますが、腐敗した植物体を食べるものや葉潜性のもの、他の生物と生物するものや寄生するものもいるようです。
成虫の多くは早春~初夏に出現しますが、花を訪れるものばかりとは限らないようです。
下の横からの写真は前ピンで、脚にしかピントが合っていませんが、最初の写真との2枚を撮ったところで逃げられ、写真はこの2枚しかありません (-_-;
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海岸に打ち上げられた海藻、ゴミムシでもいないかと探したのですが、見つからず。 かわりにたくさんいたのがワレカラでした。
このブログでは前にヨコエビを載せていますが、ワレカラもヨコエビと同じ端脚目です。
写真はたぶん丸い鰓を持つマルエラワレカラだと思います。 他の多くのワレカラよりも体は太めで分かり易いのですが・・・。 上の写真は下が頭で、腹側から見ています。
ワレカラの体をできるだけ分かり易く撮ろうとするのですが、ワレカラも褐藻と一体になって分かりにくい姿勢を取ろうとしているようです。
上の写真では、ワレカラを掌に載せようとしたのですが、ワレカラは、褐藻が唯一保護色の機能する場所だと、褐藻から離れようとしませんでした。 頭部付近はこの写真が比較的分かり易いでしょう。
頭部には2対の触角があります。 複眼は小さなものです。 胸部には2対の顎脚があります。 また、第3胸節と第4胸節には、葉状の鰓があります。(写真はクリックで拡大します。)
体の後方には3対の歩脚があります。 この歩脚でしっかりと海藻をつかんでいます。
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ハマダイコンは、北海道~九州の海岸の砂地に生えるアブラナ科の越年草です。 写真は大阪府の泉南の海で撮ったものです。
ハマダイコンと栽培ダイコンとの関係については、従来、ハマダイコンは栽培ダイコンの野生化したものと言われていましたが、古事記にも記述があるなどの文献からの検討や、両者の形質の比較などから、次第に疑問が持たれるようになりました。 山岸博らは分子生物学的にハマダイコンが栽培ダイコンから逸出したものではないことを明らかにしています(園芸学会雑誌67.1998.)。 野生ダイコンと栽培ダイコンは古い時代に中国大陸から別々に伝搬したものと考えられます。
花は上の写真のように色の濃いものからほとんど白色に近いものまであります。
果実は数珠状にくびれ、上部は細くなっています。 種子はくびれごとに1つずつ入っています。 果実は熟しても裂開せず、くびれのところでちぎれて、波に浮いて種子散布されます。
茎には刺状の毛があります(上の写真)。
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写真は壁にとまっていたナガカメムシ科のスコットヒョウタンナガカメムシでしょう。 体長は6mmほどでした。
平らな壁にいる虫は、写真としては美しいのですが、生態的にはおもしろくないですね。
サビヒョウタンナガカメムシに似ていますが、スコットヒョウタンナガカメムシは
・翅の会合部にある縦長の白紋の斜め下にも小さな白紋がある
・前胸背にぼんやりとした2本の縦条線がある
・前脚が明るい色をしている
などの違いがあります。
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昨日はレンリソウについて書きましたが、このような絶滅が危惧されている植物について、どのように保護していけるのかを、門外漢の無責任な発言にはなりますが、少し考えてみたいと思います。
生物がその場に存続していくためには、現在生きている環境が維持されることが必要です。 この場合の環境とは、土質や日射量などの無機的な環境も、関係する他の生物などの有機的な環境も含みます。
よく自然保護というと、人によって荒らされないようにその場に人の手が入ることを禁じ、そこにいる生物を守ろうとする手段がよく講じられます。 極相林を保全する場合など、そのようにすることが必要になる場合もあるでしょうが、レンリソウの場合はどうでしょうか。
レンリソウは草地に生える植物だと書きました。 この草地は安定した草地でなければなりません。 急にできた草地に他の植物に負けずに侵入できるような“逞しさ”はレンリソウにはありません。
昨日の記事で、近畿地方で現在レンリソウの見られるのは和歌山県南部と京都府南部の2ヶ所だと書きました。 じつはいずれも河川の堤防の法面です。 堤防は、大きな木が育ち根が張ると、そのために堤防に弱い部分ができると言われ、定期的に草刈りが行われ、樹木が育たないようにしてきた場所です。 つまり定期的に人の手が入ることで同じ環境が保たれてきた場所です。
レンリソウを守るためには、草刈りが必要です。 しかしその草刈りの時期が大切です。 草刈りによってレンリソウがダメージを受けずにレンリソウに光が十分当たる環境が維持できるようにするためには、どの時期が最適なのか、検討する必要があるでしょう。
レンリソウの育っている環境をよく理解することも必要でしょう。 レンリソウと共存し助け合ってレンリソウの育つ環境を形成している植物や花粉媒介をしている昆虫などはどのようなものなのか、またその環境を維持し、さらに向上させていくにはどのような配慮が必要なのか、レンリソウという特定の植物の保護活動をとおして、自然を広く知る楽しみをますます深めていくことも可能なのではないでしょうか。
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レンリソウは草地に生えるマメ科の多年草です。 近畿地方では広い草地は開発で消失し、レンリソウなども絶滅に近い状態になりました。 近畿地方のレンリソウは、2012年に和歌山県南部で発見されましたが、それまでは京都府で確認されているだけでした。 京都府でも、1964年に亀岡市で確認されて以降、しばらく情報の無い状態が続きましたが、2007年に京都府南部で確認され、地域の人たちによって見守られています。
その京都府南部のレンリソウを見てきました。
「理」という文字は「すじ目」を意味します。 連理(れんり)とは、2本の枝が癒着し木目(理)が通じた状態で、夫婦和合や縁を結ぶことの象徴として、吉兆とされてきました。
レンリソウの葉は偶数複葉で、小葉が対生しています。 この様子を「連理」の状態に喩えたのでしょう。 なお、複葉の先端は巻きひげになっていますが、レンリソウの巻きひげは分枝しません。
レンリソウの学名は Lathyrus quinquenervius です。 この属名は、la(加える)+ thyros(刺激する)で、種子に催淫性があると信じられた事からですが、種小名の quinquenervius は「5脈」の意味です。 上の写真のように、レンリソウの小葉には5本の葉脈が走っています。
上の写真で、中央少し右寄りに茎が写っています。茎は3稜形で、細い翼があります。
複葉の基部にはたく葉があります。 たく葉は小さく披針形で、両端が尖っています(上の写真)。
上はレンリソウの花です。 最初に書いたように、レンリソウは絶滅が危惧されている植物です。 しかし同じ属には身近な植物もあります。 例えばハマエンドウや、園芸植物ではスイトピーも同じ属の植物です。 花もよく似ています。
明日はレンリソウの保護について考えてみます。
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このブログではこれまでにセグロカモメ、オオセグロカモメ、ユリカモメ、ズグロカモメなど、いろいろなカモメ類を載せています。 「○○カモメ」という名でなくとも、ウミネコなどもカモメ類です。
ところで、シラサギ(白鷺)という種の鳥はいません。 いるのはコサギ、チュウサギ、ダイサギなどで、これらの白い似た鳥を、区別せずに(まとめて)「シラサギ」と呼んでいます。
カモメ類も、シラサギよりも区別が難しく、よく総称として「カモメ」という言葉が使われます。 ところがカモメ類にはカモメという和名の種がいます。
写真はカモメ(成鳥)の夏羽でしょう。 カモメ類の多くの嘴には赤や黒の斑があるのですが、カモメの成鳥には、このような斑はみあたりません。 写真の鳥の虹彩は赤っぽい色をしていますが、虹彩の色は、このような濃い色から黄色まで、個体差が大きいようです。
上の写真は、頭部の様子がよく分かるように、下の水浴び中の写真の一部を取り出したものです。
陸上で羽を広げた下の写真では、羽の様子や脚の色、それに尾羽に黒帯が無いことなどが分かります。
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上の写真は壁にとまっていたヤガ科のナミテンアツバです。 下唇鬚が突き出しています。 名前は、亜外縁線の位置に黒い点が波状に並ぶところから「波点厚翅」ではないかと、私は思っています。
春にも夏~秋にも見られますので、成虫で越冬し、春に産卵し、夏~秋に新成虫が羽化するのではないかと思います。 幼虫の食草はヌスビトハギとのことです。
ところで、上の写真はメスでしょう。 昆虫の中には雌雄で色彩などの異なるものがいろいろいますが、このナミテンアツバもそのようです。
ナミテンアツバは色の濃淡にけっこう変異があるようですが、メスは色の濃い横線が走っています。(この位置の横線を「外横線」と呼んでいます。) よく見るとナミテンアツバのメスの外横線は2条です。 上の写真では、この外横線に接するように前翅後縁近くに少し大きな黒斑がありますが、メスではこの黒斑は色が薄いか、消失していることの方が多いようです。
下の写真がオスです。 オスは外横線の色が薄く、1条です。 また外横線と前翅後縁に接する黒斑は明瞭な場合が多いようです。
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ダイコンの花に、ミツバチ科のニッポンヒゲナガハナバチが来ていました。 ミツバチ科といっても、ミツバチのように集団で社会を形成するのではなく、単独で生活し、土中に巣を造り、花粉と蜜を集めて子を育てる蜂です。
名前のとおり、ヒゲつまり触角の大変長いハナバチです。 上の写真では、翅は震わせていますので、はっきりとは写っていません。
同じミツバチ科で、シロスジヒゲナガハナバチという、やはり触角の長いハナバチがいるのですが、ニッポンヒゲナガハナバチの学名は Tetraloniella nipponensis、シロスジヒゲナガハナバチの学名は Eucera spurcatipes と、属が異なります。 両者は互いによく似ているのですが、いちばんはっきりと見分けることができるのは、上の写真の赤の楕円で囲った部分で、ニッポンヒゲナガハナバチの前翅には、写真のように3個の亜前縁室があるのに対し、シロスジヒゲナガハナバチの亜前縁室は2個です。
口器の上唇は、縦の長さより横幅が長くなっています。
(2014.4.30. 堺自然ふれあいの森)
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写真はヒラタカメムシ科のイボヒラタカメムシではないかと思います。 体長は6mmでした。 触角基部の外側と複眼の後方に棘状の突起が見られます。
下は一昨年の6月中旬に撮ったものですが、葉に乗っている写真として、1枚追加しておきます。
ヒラタカメムシ科は日本では20種あまりが知られています。 いずれも食菌性だろうということです。 朽木の中に広がる木材腐朽菌の菌糸を食べているらしく、薄い体は朽木の隙間に潜り込むのに適しているようです。
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ゴミグモ属に腹部がピカピカに光るクモがいます。 ギンメッキゴミグモ、クマダギンナガゴミグモ、ギンナガゴミグモの3種がいて、腹部の長さはこの順に長くなります。
写真のクモは腹部の長さからすると、クマダギンナガゴミグモのように思うのですが、クマダギンナガゴミグモの分布は本州中部以北に多く、写真は大阪の平野部で撮っていますので、少し心配です。 まだ幼体で、成長するともっと細長くなったりして・・・。
ところで、ほとんどのクモは頭を下にするか体を水平近くにしています。 同じ属のゴミグモでも頭を下にしています。 ところがこの腹部の光る3種が静止している時は、いつも頭を上にしています。 光ることと頭を上にすることは、何か生態的な関連があるのでしょうか?
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写真は5月3日に大阪市の海老江人工干潟で撮ったメダイチドリです。 下の写真でも4羽しか写っていませんが、干潮になりかけた頃に7羽の集団で来て、30分ほど滞在してくれました。
メダイチドリは、関東地方以西では少数が越冬しますが、主に旅鳥として春と秋の渡りの時期に全国的に渡来し、主に干潟に生息します。
冬羽はシロチドリに似た色をしていますが、夏羽は前胸が美しいオレンジ色になります。
上は夏羽のオス3羽です。 メダイチドリは、その名のとおり、眼が大きいのですが、黒い過眼線に隠されて、なかなか分かりません。
上は夏羽のメスで、オスよりも淡色です。 これなら眼が分かります。 上の個体は右脚に標識調査のための足環をしています。
時々カラスに悪戯されて飛び立ちます。 おかげで翼の下面(上の写真)も上面(下の写真)も撮ることができました。
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写真はオオカワヂシャ(=オオカワジサ)だと思います。
オオカワヂシャは帰化植物です。 在来のカワヂシャは生育環境のよく似たオオカワヂシャの影響で減少し、環境省のレッドブック(RDB)で準絶滅危惧種(NT)に指定されました。 また、オオカワヂシャとカワヂシャが同所的に生育している場所では、両者が交雑して雑種のホナガカワヂシャを形成することがあり、このホナガカワヂシャは発芽能力のある種子を生産することもあると言われています。 このようにオオカワヂシャは、在来種カワヂシャの遺伝的攪乱を生じさせるとして、特定外来生物に指定されています。
オオカワヂシャとカワヂシャには次のような形態的な違いがあります。 オオカワヂシャの花は鮮やかな青紫色である場合が多いのに対し、カワヂシャの花は白っぽい場合が多いようです。 果実の柄はオオカワヂシャでは少し上を向くように湾曲しますが、カワヂシャでは直線的に斜上します。 またオオカワヂシャの葉は鋸歯が不明瞭でほとんど全縁に見えるのに対し、カワヂシャの鋸歯ははっきりしています。 ただし花の色や葉の形は変異の幅があるものです。
このようにオオカワヂシャとカワヂシャとの違いはそんなに大きくないのですが、染色体数はオオカワヂシャが 2n=36、カワヂシャが 2n=54 で、別種です。
ホナガカワヂシャはオオカワヂシャとカワヂシャとの中間的な形態を示しますが、植物の世界では雑種の方が立派に見えることがよくあり、ホナガカワヂシャもその名のとおり穂が長く、葉も幅は変わらずに長く、つまり細長くなる傾向が強いようです。
以下は最初に載せた写真と同じ場所の植物の花、果実の様子、葉の様子を撮ったものです。(写真はクリックで拡大します。)
ところで、オオカワヂシャやカワヂシャは、植物の大きさは全く異なるのですが、花を見ても分かるように、オオイヌノフグリなどと同じ属( Veronica )です。 花後の果実(下の写真)もよく似ています。
オオカワヂシャの果実
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写真はクヌギトビカスミカメだと思います。 この上にコナラが茂っていて、そこから落下したものと考えられます。
触角は第1節と第2節基部が黒色で、他は淡色です。 脚の縞模様も印象的です。 体長は4mmほどでした。
コナラの枝を探すと、あちこちにいました。 上の写真2枚も別個体です。 多くの個体が、写真のように、葉腋に頭を突っ込んだ姿勢でいました。
クヌギトビカスミカメは、幼虫も成虫も、クヌギやコナラの汁を吸って暮らしているようです。
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果樹のナシに寄生するアブラムシとしては、ナシミドリオオアブラムシがよく知られていますが、ナシに寄生するアブラムシ類は20種以上いるとされています。
写真は、そのうちの1種のワタアブラムシではないかと思います。 無翅虫は大きくなるにしたがって少し色が濃くなっているようです。
このアブラムシに寄生されたナシの葉は、上の写真のように裏が内側になるように丸くなっていて、下の写真のように、アブラムシはその内側にいました。
ワタアブラムシは多食性のアブラムシで、梨には限りません。 体色は、黄色、緑、濃色など様々で、寄主や季節によっても異なるようです。 角状管は黒色、触角は基部が白色で先端付近は暗色です。
名前は有翅型の幼虫がロウ状白粉で覆われるからでしょうか。
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写真はジョウカイボン科のヒメジョウカイだと思うのですが、同じジョウカイボン科には、ヒメジョウカイに似たニセヒメジョウカイやセスジジョウカイなどがいて、違いがよく分かりません。
上になっている方がオスで、メスの腹は卵で大きく膨らんでいます。
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ラベンダーはハーブとしてよく知られ、よく育てられています。 ラベンダーにもたくさんの種類があるのですが、フレンチ・ラベンダー(=ストエカス・ラベンダー: Lavandula stoechas )は、育てやすく、うさぎ耳のような“花”がかわいいと、人気があります。
上の文で“花”と“”でくくったのは、これが花ではないからです。 これは苞で、ほんとうの花は小さく黒っぽくて目立たず、苞の下に連なっています(下の写真)。
たくさんの花の存在を、遠くからでも分かるように、目立つ苞で虫たちに知らせているのでしょうね。
花を訪れているミツバチは、ちゃんと本当の花を認識しているようです。 見ていると、苞にではなく、迷わず本当の花に向かって飛んできます。
このブログでは、前にイングリッシュ・ラベンダーのデンタータ・ラベンダーを載せています。 デンタータ・ラベンダーでは、1つずつの花の苞が目立ちますが、本当の花が連なっているのは同じです。
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