ヒメナベワリ
ヒメナベワリの分布は中国地方以西ですから、大阪府下には自生地は無く、写真は京都府立植物園で撮ったものです。 ほんとうは大阪府下にもあるナベワリを載せたかったので、10年ほど前にはたくさんあった所に撮りに行ったのですが、消えてしまっていました。
しかし、そこまでしてナベワリ属をブログに載せておきたかったのは、ナベワリ属が次の2点でおもしろい植物だからです。 ひとつはナベワリ属の分布ですし、もう一つはナベワリ属はビャクブ科という、あまり聞き慣れない科に分類されていることです。
分布に関しては、ナベワリ属が分布しているのは他には北アメリカ東部のみで、これは東アジアと北アメリカ東岸の隔離分布の一例とされています。
東アジアと北アメリカ東岸の隔離分布は、温暖な新生代第三紀に北極周辺に生息していた植物が、第四紀の寒冷化に伴って東アジアと北アメリカ東部に南下したものと考えられています。 このような分布地の南北の移動は、ヒマラヤ山脈やアルプス山脈などの東西に延びる山脈がある所では不可能です。
次にビャクブ科に関してですが、聞き慣れない科の植物は見慣れない植物です。 ビャクブ科は、一見双子葉植物のようですが、単子葉植物で、葉は並行脈です。
ヒメナベワリの花は、葉の付け根から出て、細い柄があって垂れ下がります。 花被片は4、オシベは4本です。 メシベはオシベに隠されています。
なお、ナベワリの花は、花被片が幅広く、そのうちの1つは大きくなっています。
ナベワリの名前の由来は、一説には「舐め割り」からと言われています。 葉に毒があり、舐めると舌が割れるというのですが・・・。
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