マスダアラカシタマバチのアラカシ新梢への産卵
葉を広げ始めたばかりのアラカシの新梢に体長3mmほどのタマバチがいました。 上の写真では2頭ですが、周囲に少なくとも5~6頭はいました。
じっとしているように見えたタマバチをよく見ると、産卵中でした。 新梢に産卵管が挿入されています(上の写真)。
4月7日の記事で、コナラの雄花序に産卵しているタマバチを載せましたが、今回は新梢への産卵です。 タマバチは芽や葉に産卵してゴール(虫こぶ)を形成すると思っていましたので、意外でした。 なお、この2例のタマバチは、体色も体の点刻の様子も異なり、明らかに別種でしょう。
上は、頭部はボケますが、もう少し産卵管にピントを持ってきたものです。
上は若葉の上のタマバチです。 動きませんし、腹部を葉に密着させていますので、産卵管を刺しているのかもしれませんが、同種のタマバチが茎にも葉にも産卵するのか、疑問は残ります。
なお、この写真で、アラカシの若葉の表面にたくさんの小粒が見られます。 これはアラカシ以外の植物でも観察され、私は若葉のボディガードとしてアリを呼ぶためのものではないかと思っているのですが、このことについては、近いうちに別の記事として書くつもりでいます。
このタマバチを上から見たものも載せておきます(上の写真)。
(2014.4.27.追記)
おちゃたてむしさんからのコメントで、これはマスダアラカシタマバチ( Plagiotrochus masudai )の両性世代メスだろうと教えていただきましたので、タイトルを変更します。 同種と思われるタマバチが、おちゃたてむしさんやハンマーさんのブログに載せられています。
気になったのは、ハンマーさんのブログではアラカシの芽に産卵していますし、おちゃたてむしさんのブログでは、この記事と同じくアラカシの茎に産卵し虫こぶの形成は見られなかったということです。 私も産卵していた枝を数日後に慎重に見たのですが、枝には何の変化も認められませんでした。
マスダアラカシタマバチは、九州大学の安部らにより2010年にコナラ属アカガシ亜属を寄主にするタマバチで世界で初めて記載・命名されたタマバチですが、九大からのプレスリリースに載せられている写真は単性世代のもので、体色はかなり異なります。 同種のタマバチが両性世代と単性世代で異なる形質を持ち、異なるゴール(虫こぶ)を作ることにも注意して見ていく必要がありそうです。
| 固定リンク
「昆虫07 ハチ」カテゴリの記事
- ルリジガバチ、ヒメハキリバチ、ジガバチモドキの一種(2014.06.25)
- コマルハナバチ(2014.06.03)
- ヒメコバチ科 Entedon nomizonis のオス(2014.06.01)
- スミゾメハキリバチ(2014.05.27)
- いもむしを狙うアシブトコバチ(2014.05.25)
コメント
こんばんは。
明石でもちょうど連休の前後に同種と思われるタマバチの産卵が見られるのですが、以前ブログに掲載した際にハンマーさんからマスダアラカシタマバチ Plagiotrochus masudai Ide, Wachi and Abe であろうと教えていただきました。詳しくはハンマーさんの2011.03.21、私の2011.05.10の記事をご覧いただければと思います。
投稿: おちゃたてむし | 2014年4月27日 (日) 20時46分
ありがとうございます!
しかし、ハンマーさんのブログで芽に産卵しているのが気になります。この場合は虫こぶができるのでしょうかね。
投稿: そよかぜ | 2014年4月28日 (月) 00時43分