コブハサミムシ
このブログでも前にハサミムシの一種を載せ(こちら)、そこにも書きましたが、この仲間は日本には数十種類いるとされていますが、外部形態がよく似た種が多く、何種いるのかも研究者によって異なっています。 ちなみに河野勝行氏の日本のハサミムシリストには24種が、西川勝氏のリストには35種が記載されています。
写真のハサミムシは、翅の先端部が黄褐色であることや、10月下旬に金剛山系の渓流沿いにいたことなどから、コブハサミムシだろうと思います。 なお、お尻のハサミ(鋏子、尾鋏)の形態には個体差があります。
コブハサミムシは山地性のハサミムシで、10月半ば頃に渓流沿いの地で交尾し、冬が近づくと雌雄で渓流沿いの石の下などに巣を作り、年が明けた頃から産卵をはじめ、春に生まれた仔虫は分散し、夏にはどこでどのように過ごしているのかはよく分かっていませんが、秋に渓流沿いの場所に戻ってきます。
ハサミムシの仲間は、メスが自分の卵や仔虫を保護するという、昆虫の仲間としては珍しい習性があるのですが、それに加えて、コブハサミムシのみに見られる習性として、孵化した仔虫は母親を食べてしまいます。
コブハサミムシは山地の渓流沿いに繁殖のニッチを獲得しましたが、そこで繁殖するためには増水の危機を回避しなければなりません。 つまり、台風による増水の危険性が無くなった後に繁殖活動を開始し、梅雨の増水の前に渓流沿いを離れなくてはなりません。 ですから、冬の餌の少ない時期にも関わらず、仔虫は速く成長しなくてはなりません。 メスの犠牲はそのような理由から生じたものだと考えられています。
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