景観形成作物としてのホテイアオイとスクミリンゴガイ
ホテイアオイは、水と高い気温があれば驚異的な増殖力を示し、増えすぎて水路を妨げたり水力発電に弊害をもたらしたり、日本などでは冬に枯れますのでその腐敗臭が問題になったりと、「青い悪魔」などと呼ばれて嫌われています(こちら)。 しかし花は美しいのですから、きちんとコントロールできれば、いい観賞植物となります。
奈良県の橿原市は、水田の持つ多面的な機能を利用する農業施策の一環として、本薬師寺周辺の米の生産調整地約1.4haを利用し、もう10年以上も前から、ホテイアオイを景観形成作物として栽培しています(こちら)。 その様子を見てきました。
後ろの木のある場所は本薬師寺東塔跡、その右は香久山
ホテイアオイは、水に浮いているよりは、根が地中に伸びている方がたくさんの花が咲くことを既に書きました(こちら)。 本薬師寺周辺の休耕田では、毎年ホテイアオイが植え付けられています。
いちめんに同じ植物が育てられていれば、それを餌とするものが増えるのは道理です。 ホテイアオイには害虫は少ないのですが、あちこちにスクミリンゴガイにかじられた跡や、その卵塊が見られました。
上の写真の、左下のホテイアオイの葉の上の赤っぽい色をしたものが、スクミリンゴガイの卵塊です。 卵は水中では孵化できないので、濡れない場所に産み付けられます。
スクミリンゴガイはジャンボタニシとも呼ばれている南アメリカ原産の外来種です。 東アジアや東南アジア各地ではイネの害虫となっていて、世界の侵略的外来種ワースト100リスト選定種の1種となっています。
日本へは1980年代に食用として持ち込まれましたが、採算が取れないために廃棄され、養殖場から逸出したものが野生化し、分布を広げています。 下は本薬師寺のホテイアオイ栽培場所の一角にいたスクミリンゴガイです。
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コメント
ホテイアオイを撮りに行ったのは暑い夏のことでした、ピンクの卵を見つけて、何の卵かな?って・・・
タニシかな?ジャンボタニシかな?
「スクミリンゴガイの卵」っと教えていただいて解決・・・
アリガトウございました。
投稿: わんちゃん | 2013年10月 9日 (水) 22時32分
あらためてわんちゃんの記事と比較してみると、スクミリンゴガイは、本薬師寺周辺では、天敵がいるのか、人為的な努力がなされているのか、この5年間でそんなに増えていないようですね。
投稿: そよかぜ | 2013年10月 9日 (水) 23時35分