キイロスズメバチに対するニホンミツバチの威嚇行動
道の法面の排水口にニホンミツバチが巣を作っていました。 その出入り口にキイロスズメバチ2~3頭がウロウロ。
キイロスズメバチの幼虫の餌は、他の昆虫を捕まえて作った肉団子。 春に1頭の女王蜂から始まったキイロスズメバチの巣は、次第に働き蜂も増え、巣の大きさが最大になる時期を迎えています。 巣にはたくさんの幼虫がいて、たくさんの餌が必要になります。 そこで、この時期のキイロスズメバチは、よくミツバチの巣の前で待ち構えることをします。 ここなら、花粉と蜜で重くなったミツバチが必ず戻ってきます。
ニホンミツバチも簡単には犠牲になりません。 普段は数頭しかいない門番役がキイロスズメバチを発見すると仲間を呼び、出入り口の警護役は数十頭に増えます。 写真では40頭ほどが出入り口をガードしています。 そしてキイロスズメバチが近づくと、下の動画のように、一斉に腹部を振り、威嚇します。
もしキイロスズメバチが近づきすぎて門番のミツバチに捕まると、あっという間に他のミツバチもキイロスズメバチに覆いかぶさって「蜂球」を作り、たくさんのミツバチの発する熱でキイロスズメバチを殺してしまいます。
玉川大学の研究によると、蜂球を形成した働き蜂の脳の高次中枢(キノコ体)で高温情報が処理され、蜂球内部の温度は45~47℃となり、これでキイロスズメバチは死ぬとのことです(詳しくはこちら)。
ニホンミツバチもキイロスズメバチも日本の蜂ですから、上記のような両者の関係は進化の歴史をとおして形成されてきたものでしょう。 しかしセイヨウミツバチにはこのような防衛戦略は無く、人が工夫して網でスズメバチを入りにくくした巣箱が必要となります。 もし自然環境下で営巣するセイヨウミツバチがスズメバチに狙われると、とても大きな犠牲をはらわねばなりません。
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