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2013年6月 1日 (土)

オオバウマノスズクサ

 ここに載せた写真は京都府立植物園で撮ったもので、タイトルもその時の植物園の名札の「アリマウマノスズクサ」としていました。 当初からオオバウマノスズクサではないかとのコメントをいただいていたのですが、私が他の所で見たオオバウマノスズクサとはあまりにも葉の大きさが異なっていたことや、この仲間の分類についてはまだ研究中のようなので、タイトルの変更は行いませんでした。 しかし花かんざしさんから、京都府立植物園では「オオバウマノスズクサ」に変更されているとのコメントをいただきましたので、本文の一部に取り消し線を入れ、タイトルも変更しました。(2015.5.9.)

 虫媒花の花は、虫たちによって効率よく花粉を運んでもらうために、さまざまな工夫をしています。 このブログでは前に、ウマノスズクサの花のつくりと、受粉のために虫たちをうまく利用するしくみについて、書いています。 またこの仲間のオオバウマノスズクサについても書いています。
 アリマウマノスズクサもこの仲間(ウマノスズクサ属)で、同じような形の花をつけます。 花の形は食虫植物を連想させますが、食虫植物で特殊な形態をしているのは葉で、ウマノスズクサの仲間の花は、花粉を運んでもらうために特殊化しているのであって、虫を捕えて殺すわけではありません。

Arimaumanosuzukusa130524_1

 アリマウマノスズクサの花は5~6月に見られます。 アリマウマノスズクサの「アリマ」は六甲山の北の有馬に由来し、牧野富太郎博士により最初この地で発見されたことによります。 しかし分布の中心は沖縄で、本州や九州で見られるのは一部の地域に限られています。

(2014.2.10. 追記) アリマウマノスズクサとオオバウマノスズクサの関係について
 上の写真は京都府立植物園の植物生態園で撮ったものです。 この区画で見られる植物の多くは園芸種ではありませんが、あちこちのブログなどに載せられている自生地で撮られたアリマウマノスズクサに比較すると、舷部の色の濃い部分と薄い部分が逆になっていて、オオバウマノスズクサに似た色になっています。
 アリマウマノスズクサは分類学的にはオオバウマノスズクサの変種と見られています。 変種ということは同種の中の違いということですから簡単に交雑するはずです。 また、オオバウマノスズクサは、その名のとおり葉が大きいのですが、元来葉は変異幅の大きなものですし、実際私の見たオオバウマノスズクサでは同じ株の葉でも大変大きさが違いました。
 上のようなことを考えると、ここに載せたアリマウマノスズクサは、なかなかなおもしろい問題を提示してくれているのかもしれません。

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草2 離弁花」カテゴリの記事

コメント

そよかぜさん、初めまして。
京都府立植物園のアリマウマノスズクサはオオバウマノスズクサの間違いだと思います。神戸市立森林植物園でアリマウマノスズクサを見てきたので、京都の植物園に間違いだと伝える予定です。「邑田研ウマノスズクサ」で検索してみて下さい。

投稿: 花かんざし | 2014年6月20日 (金) 20時19分

花かんざしさん、はじめまして
邑田研はこの記事を書く時に既に見ています。
花の色からすると、花かんざしさんのおっしゃることもよく分かります。
しかし、京都府に自生のオオバウマノスズクサを見ると、葉の大きさは全く違います。
両者の関係は、まだ研究途上にあるようですね。
いずれにしても、邑田研でもオオバウマノスズクサとアリマウマノスズクサは変種の関係として扱われていますので、アリマウマノスズクサを広義のオオバウマノスズクサと言っても何も問題は無いのですが・・・。
最近の研究では、これらは変種としての違いよりも、地理的変異の方が大きいとされています。
京都府立植物園のアリマウマノスズクサは、たぶん南西諸島のアリマウマノスズクサだと思います。

京都府立植物園に問い合わせをされて回答を得られたら、また教えてくださいね。

投稿: そよかぜ | 2014年6月20日 (金) 23時08分

オオバウマノスズクサとアリマウマノスズクサは、別種ですが....。

投稿: | 2014年6月25日 (水) 17時04分

私の理解では、オオバウマノスズクサとアリマウマノスズクサとの関係は、上のコメントにも書いたように、まだ研究途上にあり、研究者により意見の分かれているところだと思っています。
しかし私は植物分類関係の学会に所属しているわけでもなく、最新の知識は持ち合わせていません。
両者の関係についても、各地のものを集め、遺伝子解析をすれば何らかの結論は出せると思いますし、もう結論が出されているのかもしれません。
できれば、別種だとする根拠となる論文をお教えください。(もし根拠となる論文をお持ちでしたら、PDFファイル等にしてお送りいただけたら、とても助かります。)

投稿: そよかぜ | 2014年6月25日 (水) 22時53分

「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList):http://bean.bio.chiba-u.jp/bgplants/ylist_main.htmlでは,別種になっていますよ。

投稿: | 2014年6月26日 (木) 18時04分

BG Plants 和名−学名インデックス(YList)では、
オオバウマノスズクサは
 Aristolochia kaempferi
となっていますが、
アリマウマノスズクサは
 Aristolochia shimadae
のシノニムとして
 A. heterophylla
 A. kaempferi
 A. mollis
 A. onoei
が記載されています。
このシノニムの多さを、前のコメントでは「研究者により意見の分かれているところ」と表現しました。
また、シノニムの2番目に記載されているのはオオバウマノスズクサと同じものです。
私としては、このシノニム間の関係を知りたいのですが、YListは現在データベースシステムの変更中で、詳細検索がうまく使えず、どうしようもありません。

投稿: そよかぜ | 2014年6月27日 (金) 09時42分

Ylistトップには専門家が最新の研究をもとにしているとあるので、オオバウマノスズクサとアリマウマノスズクサは別種ということなのではないですか?
それとYlistのアリマウマノスズクサのシノニムとしている最初の3つには、auct. nonとありますが、ネットで調べたら(http://forests.world.coocan.jp/fnote/?p=240)、標準名とは違うよという意味のようですよ。とすると、オオバウマノスズクサとは違うよということではないですか?
唯一、A. onoeiだけがauct. nonがないですが、最近はA. onoeiはA. shimadaeと同じ種であったということを示していると思われますが。

投稿: | 2014年6月28日 (土) 19時08分

Ylistの「標準」とは米倉浩司氏が妥当だと判断した学名です。
Ylist に書かれているアリマウマノスズクサの学名
 Aristolochia kaempferi auct. non Willd. synonym
の意味は、Willd が命名した植物とは異なっているが、A. kaempferi をアリマウマノスズクサの学名とすべきだと考えている研究者がいる、ということです。

投稿: そよかぜ | 2014年6月28日 (土) 23時46分

Willd.命名のkaempferiがオオバウマノスズクサであり、willd.の命名ではないkaempferiはオオバウマノスズクサではない別の種ということですよね。つまり、オオバウマノスズクサとアリマウマノスズクサは別の種。

投稿: | 2014年6月29日 (日) 13時42分

シノニムの存在している理由はいろいろです。
私としては、これまで何度か書いているように、まだ研究者の意見が分かれている状態が続いていると思っていますし、このブログの性格上、同種か別種かにそんなにこだわる必要も無いのですが、コメントをいただいた以上は、経緯と現状をもう少し詳しく調べてみたいと思います。
少し調べかけてはいるのですが、そう簡単には分かりそうもなく、もう少し時間をいただきたいと思います。

投稿: そよかぜ | 2014年7月 1日 (火) 07時31分

そよかぜさん、1年ぶりです。
昨年、京都府立植物園に生態園のアリマウマノスズクサはオオバウマノスズクサの間違いだと神戸で撮ったアリマウマノスズクサの写真を同封し指摘しました。でもお返事はありませんでした。それでそよかぜさんにはご連絡が遅れましたが、私以外にも間違いを指摘される方が何人かいて、今年の「週刊植物園 No.107 最新!平成27年5月8日ではオオバウマノスズクサに変更されています。

http://www.pref.kyoto.jp/plant/2013kbgweekly.html

オオバウマノスズクサの変種はタンザワウマノスズクサで、上の名無しさんが仰るようにアリマウマノスズクサは別種です。

投稿: 花かんざし | 2015年5月 9日 (土) 15時10分

写真の出処の京都府立植物園が変更しているのなら、こちらもタイトルを変更しなくちゃなりませんね。
花かんざしさん、お知らせいただき、ありがとうございました。

投稿: そよかぜ | 2015年5月 9日 (土) 21時15分

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