アジサイの芽
いろんな植物の芽が膨らんだり、伸びたしたりしています。 アジサイの芽もそのうちの1つです。 変化する時期は、いろんな状態を見ることができて、理解しやすくなります。
芽の芽鱗に関して、前にアラカシの芽鱗は托葉起源であり(こちら)、サンゴジュの芽鱗は葉柄起源である(こちら)ことを書きました。 どちらも内部を守っている芽の外側は、葉に関係するものの、葉そのものではありませんでした。 ところが、アジサイの芽では、芽のいちばん外側も、葉そのものです。 つまりアジサイでは、芽がほどけて、そのまま葉として生長していきます。
葉そのものを芽鱗とは言いませんから、アジサイの芽は芽鱗を持たないということになります。 このような芽を「裸芽」と呼んでいます。
葉が広がっていくにしたがって、芽の赤っぽい色は葉の緑色に次第に変化していきます。 冬季のアジサイの芽が赤いのは、糖の濃度が高くなっているからでしょう。
細胞の中に氷ができると、氷は水より体積が大きくなるので、細胞が破壊され死んでしまいます。 細胞内の糖濃度が高いと凍結しにくくなるので、芽を構成している葉では糖分を蓄積しているのでしょうが、蓄積された糖分は赤い色素のアントシアンにも変化します。
糖分濃度が高くなると赤い色素が作られるのは、秋の落葉樹の紅葉と同様のしくみでしょうが、紅葉の場合は葉のつけ根に離層が作られ、光合成で作られた糖が出ていけなくなる結果として糖分濃度が高くなるのに対し、アジサイの芽や冬の間も葉を落とさない草が赤くなっているのは、葉の細胞の凍結を防ぐために積極的に糖分濃度を高めた結果でしょう。
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コメント
ウチの庭のアジサイたちの芽、確かに赤いです。
そういうワケがあったんですね。
【わんちゃんの独り言】のコメント欄にリンクさせていただきました
ヨロシクです。
投稿: わんちゃん | 2013年3月 7日 (木) 21時43分
これからの季節、アジサイに限らず、いろんな植物の芽の変化が楽しめます。
楽しく忙しい季節です。
投稿: そよかぜ | 2013年3月 7日 (木) 22時02分