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2013年2月15日 (金)

ミドリシャミセンガイ

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 上がミドリシャミセンガイです。 上の写真では三味線の棹の部分がグニャグニャしていますが、本来はまっすぐです。 全体の長さは10cmあまりです。
 ミドリシャミセンガイは海の砂泥地に住み、日本では九州の有明海や岡山県の児島湾などでは、たくさん見られます。 左上の黒くなっている部分で体を固定し、体全体を泥の中に隠し、触手を海中に伸ばして(詳しくは下に書いています)、海中に浮かぶ有機物(デトリタス)を食べています。
 ミドリシャミセンガイは食用になり、福岡県や佐賀県では「メカジャ(女冠者)」という名前で、5~9月には店に並びます。 ここに載せたミドリシャミセンガイも、福岡県の知人から送ってもらったものです。 ちなみに、「男冠者」というものがあるのかと思い、調べて見ましたが、分かりませんでした。
 なお、食べるのは貝殻の中です。 足の部分がおいしそうに見えますが、この部分は弾力がありすぎてダメです。 つまり、味はいいのですが、可食部分がわずかで、このあたりが広く全国的に食べられない理由のひとつではないでしょうか。

 上は食べた後の貝殻を並べてみたものです( 後に書いているように「貝殻」という言葉を使っていいものか、疑問ですが・・・ )。 内側(内臓に接する側)と外側を交互に並べています。 個体差はありますが、内側の方が美しい色をしています。

 じつはミドリシャミセンガイは、二枚貝や巻貝などの、いわゆる貝の仲間(軟体動物)ではありません。 シャミセンガイの仲間は腕足動物に分類されています。 この仲間は古生代に繁栄しましたが、現存している仲間はわずかです。

 軟体動物と腕足動物を比較すると、まず、内臓の様子が違います。 上は貝殻の内側の様子を書いた模式図ですが、触手冠が目につきます。 図では殻の中に巻き込んでいますが、採餌のときはこれを海中に伸ばします。 この触手冠には短い触手が多数並んでいて、その触手に生える繊毛で水中のデトリタスなどを集めるしくみです。 このようなしくみを持った軟体動物はありません。 また、 二枚貝は体の左右に貝殻がありますが、シャミセンガイの仲間では、体の背と腹を貝殻で覆っています。
 貝殻を構成している成分も異なります。 二枚貝や巻貝などの軟体動物の貝殻の主成分は炭酸カルシウムですが、シャミセンガイの仲間の貝殻の主成分はリン酸カルシウムです。

 貝殻の成分の違いを確かめるために実験してみました。 上は酢を入れたガラスコップに、ミドリシャミセンガイの殻(左側)と二枚貝の貝殻(中央~右)を入れて、様子を見たものです。 炭酸カルシウムでできた貝殻は、酢(酢酸)のような弱酸にでも、さかんに二酸化炭素の泡を発生して溶けますが、リン酸カルシウムが主成分のミドリシャミセンガイの殻は泡を発生しません。 写真では、ミドリシャミセンガイの殻にも少し泡がついているようですが、これは酢の中の二酸化炭素が飽和状態であるためでしょう。

(関連メモ)
 明治10年の大森貝塚の発見は、考古学の始まりとしての意義や、有史以前の石器時代人の生活の痕跡が東京の郊外に残されていたという、当時誰も考えなかった事実を内外に明らかにしたという点で、大きな意義をもっています。 この大森貝塚を発見したエドワード・モースは、じつはシャミセンガイの研究のために来日していました。

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コメント

面白い貝ですね

貝殻は付け爪みたいに見えますね( ´艸`)プププ

投稿: yuuko | 2013年2月24日 (日) 18時32分

かなり大きな付け爪ですよ。
ああそうか、周囲を切り落とせばいいんだ・・・

投稿: そよかぜ | 2013年2月24日 (日) 22時00分

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