ナラメリンゴタマバチ?のメス
このところ何度か、蛾でオスには翅があるがメスの翅が退化したフユシャクの仲間を取り上げていますが、ハチにも似たものがいます。
タマバチ科のオスには翅がありますが、メスは種によって有翅のものと無翅のものがあり、その中間の翅が短いものもいます。
下の写真は2013.1.7.に堺市南区鉢ヶ峯寺にいた無翅のメスで、 体長は4.5mmでした。
タマバチ科の仲間の多くは虫えい(虫こぶ)を作ります。名前の「タマ」は、この虫こぶを指すのでしょう。 タマバチの触角は、オスは14~24節で、15節のものが多く、メスは12~19節で、13~15節のものが多いということです。 写真のメスの触角は14節あります。
ハンマーさんは、これとよく似たナラメリンゴタマバチがコナラの芽に産卵し、ナラメリンゴフシという虫えいをつくるところを確認されています。 しかし日本にいるタマバチ科は確認されているものが60種あまりで、まだ多くの未記載種があり、写真のものがナラメリンゴタマバチかどうかは自信がありません。
タマバチ科の仲間の多くは、春~夏には両性生殖を行い、冬には単為生殖をするようです。
(以下、1月11日追記 : アリとの違いについて)
これはハチというよりアリのようだというコメントをいただきました。 たしかにアリ科はハチ目の一員で、アリは交尾期以外は翅を持たなくなったハチと言えます。 しかしアリの仲間には他のハチのグループには無い特徴があります。(だからアリ科としてまとめられています。)
いくつかあるうちのいちばん分かりやすい区別点は、アリの仲間のいわゆる腰のくびれ部分には、前後をつなぐ独立した節(腹柄節)が1節または2節あります。
下にテラニシシリアゲアリを載せておきますので、上のタマバチ科のメスと比較してみてください。
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コメント
何だか「ハチ」と称するよりは「アリ」と呼んでしまった方がしっくり来そうな姿ですね。群れを作らないと姿がアリでもハチと呼ばれる、という感じで呼び名が使い分けられているんですかね。
投稿: kanageohis1964 | 2013年1月11日 (金) 08時17分
アリもハチの仲間です。(ハチ目スズメバチ上科アリ科)
アリが他のハチと違う形態的な特徴を、上の記事に追加しておきました。
投稿: そよかぜ | 2013年1月11日 (金) 22時26分
追記ありがとうございました。なるほど、形態の特徴ではっきり区別できるんですね。
投稿: kanageohis1964 | 2013年1月12日 (土) 22時01分
翅を退化させたハチはいろいろいるようです。イヌビワコバチなどのイチジクコバチ科のハチは、オスが翅を失っています。
投稿: そよかぜ | 2013年1月13日 (日) 00時13分