クロスジフユエダシャクのメス
冬尺(フユシャク)は冬季に出現する蛾で、メスの翅は退化しています(詳しくはこちら)。
冬尺には多くの種類がいますが、その中で、少なくとも私の場合は、いちばん多く目にする活動している冬尺は、昼間活動するクロスジフユエダシャクです。
クロスジフユエダシャクのメス探しは、これまで何度かチャレンジしてきましたが、オスはたくさんいるのに、メスはなかなか見つけられませんでした(こちら)。
1年前の冬には、シロオビフユシャクのメス(こちら)を見てからは、目が慣れたのでしょうか、何度か冬尺のメスを見ています。 が、翅が退化して全く無い冬尺のメスは、互いによく似たものが多く、外見からだけでは、なかなか種名まではわかりません。
今回は、クロスジフユエダシャクのメスを、3時間ほどで3頭見つけることができました。 クロスジフユエダシャクのメスは短い翅があって、他の冬尺のメスと区別し易いですし、交尾しているところも見ることができましたので、間違いないでしょう。
今まで見つけることができなかった理由を考えてみますと、たぶん次のようなことかと思います。
クロスジフユエダシャクのオスは、土の中の蛹から羽化したメスを探して、落ち葉で被われた地表近くを飛び回ります。 しかし、もしメスを見つけたオスがいたとしても、オスは落ち葉の下に潜り込み、外からは見えないでしょう。
そして、オスに見つけてもらえなかったメスがオスを呼ぶフェロモンを風に乗せるためなのか、受精したメスが産卵のためになのか、たぶん両方のケースがあると思いますが(たぶん主に後者でしょう:2014.12.追記)、メスは木の高い所に登ります。 クロスジフユエダシャクでは、この高さが、私の思っていた高さよりずっと高い所まで登り、それにその登る速さが案外速いのです。 目の高さより下ばかりを探していたのでは、なかなか見つからないはずです。
下はクヌギの幹を登っている途中のメスです(写真はクリックで拡大します)。
下の交尾は擬木の上端でした。 杭などを登ったメスは杭の上端より上には登れませんから、そこで立ち止まってしまうことになります。
クロスジフユエダシャクは、昼行性ですが、交尾は夕方から日没後に行われると言われています。 しかしどこの世界でも少数派はいるものです。 ちなみにこの写真は昼の12時20分に撮りました。
オスの翅が強い風に煽られて、しっかり結合しているのが確認できました(下の写真)。
明日は「クロスジフユエダシャク写真集」の予定です。
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コメント
今日もズバリ!タイムリーな内容で感動さえ。。。
そよ風さんのブログは、私には近頃、
『今、それが知りたかった!そうそう!』ということばかり。
BBSのほうにコメントさせていただきました。
投稿: くま | 2012年12月 9日 (日) 00時03分
BBSに載せてもらった写真、たしかにクロスジフユエダシャクの交尾中の写真ですね。
くまさんのお住まいは関東地方ですか?
投稿: そよかぜ | 2012年12月 9日 (日) 08時20分
愛知県名古屋市名東区です。
昨日は猪高緑地定例観察会(第二土曜9:30~12:00まで)でした。
初心者からベテランまで小さな森を歩いて楽しんでます。
投稿: くま | 2012年12月 9日 (日) 20時55分
猪高緑地を調べてみました。里山の雑木林を中心としたいい緑地ですね。
東山動植物園は2度ほど行ったことがありますが、その近くにこんな緑地があるとは知りませんでした。
投稿: そよかぜ | 2012年12月 9日 (日) 23時08分