ニッポンオナガコバチの群
ニッポンオナガコバチは体長4.5mmほどの、クロガネモチなどの実に寄生する蜂です。 前にこのブログで越冬中のメスを載せました(こちら)が、羽化してくる瞬間や交尾などの姿を撮りたいものと、クロガネモチの実に注意をはらっててきました。
11月28日の昼に、クロガネモチにたくさんのニッポンオナガコバチがいて、クロガネモチの葉や実の上をウロウロしたり飛んだりしていました。
これまでオスの拡大写真を載せたことはなかったので、下に載せておきます。 写真はクリックで拡大します。
上の写真のオスも、背中が少し褐色を帯びていますが、真っ黒なオスから薄い褐色のものまで、オスの体色には濃さの違いがみられます。
このクロガネモチではオスもメスもいたのですが、オスの方がかなり多いようでした。これらのオスは早くに羽化しており、交尾しようとメスの羽化を待ち構えているオスだと考えられます。 しかし、メスが羽化してクロガネモチの実から出てくるところなどは、見つけることはできませんでした。 メスが出てくる所ではオスが慌しく動き回っているはずですが、そのような場所もありませんでした。 単独にいるメスは既に交尾を済ませたメスで、羽化を見るには少し遅かったのかもしれません。 私が見たクロガネモチは1本だけ植えられていたもので、もっとたくさんクロガネモチの植えられている所で探せば、羽化の瞬間を観察できる確率は上がるはずですが・・・。
その後も羽化が続くかもしれないと思い、28日の午後4時20分頃に再度見に行くと、ニッポンオナガコバチはたくさんいましたが、みんな動いていませんでした(下の写真)。 薄暗くなってくるとニッポンオナガコバチは活動を停止するようです。
もし次の日も羽化が続くようなら室内で羽化の瞬間を撮ろうと、ニッポンオナガコバチが数頭いた枝を持ち帰り、透明な密閉容器に入れ、身近に置いて観察していましたが、その後の羽化はありませんでした。 少なくとも今回観察した1本のクロガネモチでの羽化に関しては、そのピークは1~2日に限定されるようです。
しかしおちゃたてむしさんの2010年の記録では、同じ木で11月19日と12月2日に交尾や羽化が観察されています(こちらとこちら)から、同じ木で年に何回かこのようなことが起こる可能性はあります。 この原因は時期をずらして産卵が複数回行われているからだとは思いますが、よく分かりません。
おちゃたてむしさんは、上記のようにこれまでも交尾や羽化を観察されていますが、今年も11月29日にメスの羽化とそれに続く交尾を記録されています(こちら)。 私が群を見たのが11月28日ですから、ほぼ同時です。 明石と堺、直線距離にして50kmあまり離れているのですが、メスの羽化の時期を決めている何らかの要因があるのかもしれませんし、もし既に羽化しているオスがそのことを知って集まってくるとすれば、たいへんおもしろいことです。
ところで、ニッポンオナガコバチの体長にはかなりのばらつきがあるのですが、おちゃたてむしさんのブログでは、それが遺伝子によるものか幼虫時の食糧事情によるものかという議論がなされていたことがあります(こちらのコメント)。 そこで、ニッポンオナガコバチの脱出した後のクロガネモチの実を調べてみたのですが、その結果は明日の記事にすることにします。
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