昨日はニッポンオナガコバチの羽化に関して書きましたが、今日はそのニッポンオナガコバチが寄生していたクロガネモチの果実についてです。
上は脱出孔が2つあるクロガネモチの果実です。 このような重複産卵も行われるのですね。
クロガネモチの果実は、径が5mmほどで、中には5~6個の分核があります。 上は脱出孔が1つあった果実の断面です。 写真の上の種子がニッポンオナガコバチに食い荒らされた種子で、脱出孔が上に続いています。 その右と下に健全な種子が見えます。右下と左下には、受粉できなかったのか、育たなかった種子があります。 なお、果実中央の隙間は切断時にできたもので、その周囲が黒ずんでいるのは撮影にモタモタしたためです。
上の写真のように、ニッポンオナガコバチは1つの種子の中だけで成長しているようです。 幼虫が種皮を食い破り、隣の種子に侵入するのは無理なようです。 羽化後の成虫の口器でないと種皮を食い破れないのではないでしょうか。
それともう1つ、この時期に羽化したニッポンオナガコバチの卵が産み付けられた時期はいつかということです。 受粉できないなどの理由で育っていない種子もあるのですから、ニッポンオナガコバチは種子がある程度成長した段階で産卵するのでしょう。 産卵の様子も撮ってみたいものです。
上はクロガネモチの果実をつぶして、中の種子を取り出したものです。 やはり1つの種子に開いている穴は1つです。
1頭のニッポンオナガコバチが小さな1つの種子の中で育つとすれば、育つための食料は限られた量であるはずで、ニッポンオナガコバチの体の大きさに個体差があるのは、どのような種子の中で育ったのかによると思われます。
脱出孔の無いクロガネモチの果実についても、いくつか断面を作ってみました。 その中に、下のような果実もありました。
上の写真では、種子の1つの中身が黒くなり、種皮との間に隙間ができています。 この種子はどのような状況なのでしょうか。 種子の中で寄生していたものが死んだのでしょうか。
以上、クロガネモチの果実について書いてきましたが、ニッポンオナガコバチが寄生する植物はクロガネモチに限らず、同じモチノキ科のソヨゴ、ウメモドキやナナミノキなどの果実にも寄生します。 こちらではクロガネモチより大きな実のなるナナミノキでのニッポンオナガコバチについて書いています。
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