シロダモ
野山を歩いて花を見ることも少なくなった時期ですが、花が全く無いわけではありません。 シロダモも大阪付近では11月に咲く花です。
シロダモはクスノキ科の常緑高木で、日本では山形県と宮城県を結んだ線以西に分布します。 雌雄異株で、上のようにたくさんの花をつけているのは雄株でしょう。
葉は常緑で、3行脈の目立つクスノキ科の中でも、クスノキ、イヌガシ、ヤブニッケイなどよりも大きな葉です。 常緑ですから、これからの季節に葉の裏を見れば、トゲキジラミなどの小さな虫たちの冬の生活の場所ともなっています。
種子は植物にとって生育に適さない時期を乗り切る工夫の1つです。 乾季の無い、つまり水分の十分ある日本では、植物にとって生育に適さない時期とは、温度が十分に保障されない冬です。 ですから、多くの植物の胚は、冬という時期を、硬い殻に守られた休眠状態、つまり種子という形態で乗り越えようとします。
花の少ない11月に花を咲かせるシロダモは、訪花昆虫には来てもらいやすいでしょうが、冬までに種子を形成するには時間が足りません。 受粉したシロダモの花は、1年かけ、翌年の秋に種子を完成させます。 つまりシロダモの雌株では、花と前年の花からできた果実を同時に見ることができます。
上と下は11月上旬の雌株のシロダモですが、花は咲きはじめで多くはツボミ、そしてその下には赤く熟した果実がついています。
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