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2012年11月21日 (水)

ヤブニッケイ(種子散布戦略を中心に)

 ヤブニッケイにたくさんの実がついていました。 しかし、ヤブニッケイの実は、熟しても黒っぽいためにあまり目立ちませんし、垂れ下がって葉の陰に隠れてしまいがちで、上から来る鳥たちにも見えにくい位置になりがちです。

Yabunikkei121108_1

 上は11月上旬に撮ったものです。 ヤブニッケイの果実は 緑色 → 褐色 → 黒紫色 と変化していきますが、11月に入っても、まだ緑色の果実が残っています。 ヤブニッケイの果実は少しずつ順に熟していくようです。
 たくさんの果実が一度に熟すと、目立ちますから、“ここに熟した果実がありますよ~”と、鳥たちに存在をアピールするには効果的でしょう。 しかしたくさんの果実をつける木が一度に熟すと、鳥たちは、食べても食べてもまだある、とばかりに、そこに長居をしてしまい、糞と一緒に種子は親の木の下に落とされる確率が高くなります。 鳥に遠くまで種子を運んでもらって分布を広げようとする植物のもくろみにとっては、効率の悪いものになってしまうでしょう。
 ヤブニッケイのように少しずつ果実を熟させると、“今日はこれだけ。 また来てね~”と鳥に種子の運搬を促すことになるでしょうし、次の日は別の果実が熟すでしょうから、鳥たちにとっては、“あそこに行けばおいしいものがある”ということになります。 つまりヤブニッケイは、いつも種子を運んでくれる“常連客”を作る作戦を実施していると考えられます。 あまり目立たない黒紫色の実も葉の陰に隠れてしまいがちなのも、そのことと関係するのでしょう。 常連客を大切にする店には派手な看板は必要無いのです。 いろんな客にたくさん来てもらうと、お馴染みさんの居心地が悪くなるかもしれません。

 ヤブニッケイは関東・北陸以西に分布するクスノキ科の常緑高木です。 クスノキやシロダモ同様、葉は三行脈が目立ちます。 葉は亜対生、つまり対生ぎみの互生です。
 花は6月に咲きます(下の写真)。 これもクスノキなどと同様、小さな花で、オシベは弁を開いて花粉を出します(詳しくはイヌガシタブノキなど、他のクスノキ科の項を見てください)。

Yabunikkei060603_1

 クスノキ科には特有の香りを持ったものが多くあります。 ヤブニッケイにも葉や根皮などに香気がありますし、種子からは香油を取ることもできます。 しかし同じ属のニッケイ(シナモン)ほどではありません。 ちなみに、ヤブニッケイの英名は  Japanese Cinnamon です。

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コメント

そよかぜさん、こんにちは
みんなから笑われてしまいました・・・ (^_^;)ゞ

きのう、ちょうどヤブニッケイの果実を見てきたところでした。「常連客を大切にする店には派手な看板は必要無い・・・」のところは、人間の世界にも言えるみたいですね。なるほどと納得しました。そういえば、シャシャンボも美味しいけれど、果実は順々に熟していくみたいです。ヤブニッケイと同じかな?

投稿: panda | 2012年11月22日 (木) 14時03分

鳥も 赤い実=熟した実 と認識しているようで、赤い実に惹かれるようです。
黒い実は、程度の差はあっても、どれもヤブニッケイと同様のねらいがあるように思います。

pandaさんが間違えたことを、どうして皆さん知っているんですか?

投稿: そよかぜ | 2012年11月22日 (木) 22時26分

こんばんは、お気に入りにこの記事を私がツイートしたから、ツイッター友達にはばれちゃったみたいです・・・ (^_^;)ゞ

投稿: panda | 2012年11月23日 (金) 00時06分

pandaさんは Twitter もされてるんですね。

投稿: そよかぜ | 2012年11月23日 (金) 20時59分

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