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2012年11月 7日 (水)

ツヤコバチ科の一種の産卵?

 キクイモの葉の裏にたくさんのアブラムシ(種名はまだ調べていません)。 写真を撮ろうとすると、体長1mmほどの小さなハチ(下の写真)が歩き回っているのを発見しました。

Tsuyakobachi121104_1

 無翅のアブラムシには逃げられる心配が無いので、少々手荒く葉を裏向けたのですが、この蜂は逃げませんでした。 これはアブラムシを狙っているに違いないと観察を続けることにしました。 見ていると、

① 触角でアブラムシに触れて物色しながら歩き回り・・・

Tsuyakobachi121104_2

② 気に入ったアブラムシを見つけると、後ろ向きになって後ずさりして目的のアブラムシに近づき・・・

Tsuyakobachi121104_3

③ ペコンと翅を上に折り曲げ、産卵管をプスッと刺し込み、
(擬音表記を使いましたが、まさしくそんな感じでした。)

Tsuyakobachi121104_4

④ 2秒ほどそのままでじっとした後、産卵管を抜いて翅を元に戻しながら歩き去ります。 下の写真では、翅がまだ完全に元に戻っておらず、折り目がわかります。

Tsuyakobachi121104_5

 ②~④は同じ所での連続写真です。 この間、産卵管を刺されたアブラムシには何の反応もありませんでした。

 上の③では、白っぽい産卵管がほとんど写っていませんので、別のアブラムシに産卵管を差し込んでいる写真を下に載せておきます。

Tsuyakobachi121104_6

Tsuyakobachi121104_7

 上は、産卵管を差し込んでいる様子を横から見たところで、翅のたたまれている様子が分かります。 なお、産卵管を差し込まれているのは、③のアブラムシの隣のアブラムシです。 この間、蜂は葉のあちこちを歩き回っています。

 帰ってから調べると、この蜂は BABAさんのブログに載っていたツヤコバチ科の一種  Aphelinus sp. と同種か、これに近い種だと思います。 ツヤコバチ科の多くの種は、コナジラミやアブラムシなどの小型のカメムシ目に寄生することが知られています。
 BABAさんのブログでは、この行動は Host-feeding (寄主体液摂取)かもしれないと書かれています。 BABAさんのブログに寄せられた ezo-aphidさんのコメントでは、ある種では、寄主は老熟幼虫には産卵し、中齢幼虫に対しては産卵管を刺して傷つけ、そこから出る体液を摂取し、その栄養分を(卵巣の発達に)利用すると書かれてある論文があるとのことです。 そして BABAさんは、それらしい行動も観察されています。
 私の観察では、産卵管を刺したアブラムシに再度近づき、体液を舐める行動は観察できませんでした。 ただ、大きなアブラムシもたくさんいるのに、あまり大きなアブラムシに産卵管を刺し込もうとしないのは気になりました。 また、産卵しているとばかり思い込んで観察していましたので、 Host-feeding には気づかなかったのかもしれませんので、タイトルにも「産卵」に疑問符を付けておきました。
※ BABAさんからコメントをいただき、④で書いた2秒は短すぎるので、撮影が影響して途中で行動を止めた可能性も指摘していただきました。
(下は2011.11.11.に追記)
 ツヤコバチについて書かれている高木一夫氏の「産卵にじゃまな翅は畳んで行う」には、「毒液による麻酔後、寄主吸汁(Host feeding)や時間をかけた本当の産卵が行われるのです。」と書かれています。 短時間の“注射”は麻酔をしてまわっていたのかもしれません。 またここでは、翅の折りたたむしくみについても、「産卵管鞘の変形した部分を使って」折りたたむのだと書かれています。

 ところで、下の写真は、このツヤコバチを横から撮ったものです。 歩き回っている蜂が陰に入った所を撮っているのでピンボケですが、腹部の横に白いものがついています。 当初は葉の毛だと思っていたのですが、よく見るとウジのようなものに寄生されているようにも見えます。 もしそうだとすると、植物に寄生しているアブラムシに卵を産みつけ寄生する1mmほどの蜂に寄生するものがいる・・・ 自然界は複雑です。 → 後脚の腿節でした・・・ 先入観はいけません。

Tsuyakobachi121104_8

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昆虫07 ハチ」カテゴリの記事

コメント

こんにちは。
いろいろと面白い虫がいますね。
最後の写真の白い部分は、後脚の腿節じゃないでしょうか? お腹を細く、狩蜂っぽく見せているんでしょうかね。

投稿: Hepota | 2012年11月 8日 (木) 17時25分

そよかぜさん、 Hepota さん、こんばんは〜。
脚の色付き加減から私のブログの今年の2月25日に登場のツヤコバチに近い感じがします。

2秒という短さは撮影が気になって中断した可能性もあると思います。

投稿: BABA | 2012年11月 8日 (木) 18時26分

Hepotaさん、いつも適切なご指摘、ありがとうございます。
先入観を持って見ちゃいけませんね・・・。

BABAさん、コメントありがとうございます。
あちこちのアブラムシに産卵管を刺していたのですが、なるほど、中断の可能性も考えに入れておくべきですね。

投稿: そよかぜ | 2012年11月 8日 (木) 20時55分

 こんばんは。
 羽根を自ら折りたたむところに驚きました。筋肉はない(先入観かも)と思うので、どうやっているのか不思議です。

投稿: kuwachan | 2012年11月11日 (日) 21時16分

翅を折りたたむ瞬間は、見ていてほんとうにおもしろかったですよ。
翅を折りたたむしくみについては、記事にも少し追記しておきましたが、翅自らが折りたたむのではなく、産卵管鞘の変形した部分で折りたたまれるようです。写真の翅の折りたたまれているところに見える細長い短い棒状のものがそれでしょう。

投稿: そよかぜ | 2012年11月12日 (月) 00時13分

 こんばんは。
 よく見ると、言われるようなものが見えます。さらなる疑問がわいてきました。外力によって曲がってしまう羽根で飛ぶのは大変じゃないのかな?しかも、打ち下ろす方向に曲がりやすいようだし。オジギソウのような仕組みを考えたので、意外でした。ただの感想です。

投稿: kuwachan | 2012年11月17日 (土) 22時17分

これくらいの大きさになると、空気の粘性抵抗は我々の常識的な感覚とは全く違ってくるようです。
私もよくわかりませんが、こちらを参考にしてみてください。

投稿: そよかぜ | 2012年11月17日 (土) 22時36分

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