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2012年11月 5日 (月)

コウノトリ

 足環(あしわ)をつけたコウノトリが大阪府の和泉市に来ています。 私の家から直線距離にして7kmほどですので、会いに行ってきました。
 このコウノトリは、足環の情報から、2010年3月に兵庫県豊岡市の人工巣塔で生まれた雌のようで、今年9月以降、和泉市や若狭などあちこちで目撃されていますが、今回は10月30日日に確認(朝日新聞大阪版10月31日付朝刊)されて以来、11月4日現在、ほとんど同じ場所にいてくれています。

Kounotori121103_1    高圧鉄塔の上で カラスがちょっかいを出しても平気

Kounotori121103_2    アオサギ(手前)と 大きさ比べ

Kounotori121103_3    魚get!

Kounotori121103_4   やっと見せてくれた嘴の下の赤い色

Kounotori121103_5    おすましポーズ

Kounotori121103_6

Kounotori121103_7    黒いのは風切羽で、胴体の後も尾羽も白色です

 コウノトリはコウノトリ目コウノトリ科に分類される大型の鳥で、翼開長160~200cmになります。 嘴は黒っぽく、脚は赤色、目の周囲には赤いアイリングがあります。 風切羽は黒く、翼をたたむと、胴体の後ろが黒いかのように見えます。
 鶴に似ていますが、大きな声で鳴く鶴に対し、成鳥のコウノトリは鳴くことはせず、嘴を打ち付けて音を出します(クラッタリング)。

 コウノトリは、かつては日本全国に普通に見られる留鳥でした。 花札などでもよく知られている「松に鶴」も、鶴が松に営巣することは無く、この鶴はコウノトリの誤認だと考えられています。 また最近のニュースでは、大阪府の東大阪と八尾市にまたがる池島・福万寺遺跡で、弥生前期の水田跡では、コウノトリと人の足跡が入り交じっていました(MSN産経ニュースwest 2012.7.12.)。
 しかし明治以降、コウノトリは田を荒らす害鳥として乱獲され、それに農薬の使用や、農耕地での巣を作る高木の減少など、様々な要因も重なって数が減少し、1956年に国の特別天然記念物に指定されましたが、時既に遅く、兵庫県や福井県で保護活動が展開されたものの、1986年に日本の野生個体群は絶滅しました。
 しかしコウノトリは日本に不定期に渡来しており、中国やロシアから譲り受けたコウノトリで、1988年以降は人工繁殖にも成功し、豊岡では昭和40年代から、コウノトリを野に帰すことを目的とするのではなく、コウノトリも住める環境に戻すことを目的として、コウノトリの保護増殖を試み、ついに平成17年には放鳥するに至っています。
※ 現在野外にいるコウノトリの数は、兵庫県立コウノトリの郷公園が発表しています。 →  こちら

 昨年から今年にかけて、大阪府の南部地域は、どうもコウノトリに気に入ってもらえているようです。 2011年1月には岸和田市に飛来していますが、このコウノトリには足環が無く、中国大陸などから飛来してきた個体である可能性もあるようです。
(追記:この記事の後、足環の無いコウノトリが飛来しました(こちら)。)
 また今年の10月1日には、4羽(いずれも足環あり)が岸和田市に飛来していますし( YOMIURI ONLINE )、10月3~6日には和泉市の大野池で7羽のコウノトリが確認されています(11月13日日本野鳥の会大阪支部報道発表:11月14日追記)。 なお、この7羽のうちの6羽は、10月11日には福井県若狭町で確認されています。

 コウノトリは、上にも書いたように、時には中国大陸などからも飛来します。 あの大きな体と飛翔力からすれば、県境など関係ありません。 コウノトリが住める環境は人にとってもいい環境であるはずです。 多くの人がコウノトリに関心を持ち、コウノトリの住める環境を意識し、日本全国でコウノトリが身近な鳥に戻ってくれる日を願いたいものです。

※ コウノトリが赤ちゃんを運んでくるという話がありますが、これはヨーロッパのコウノトリのようです(こちら)。

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