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2012年11月30日 (金)

キボシアシナガバチ

 擬木の上に寒さでほとんど動けないキボシアシナガバチがいました。 かわいそうな気もしますが、写真撮影にはもってこいです。

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※ 写真は3枚とも、クリックで拡大します。

 キボシアシナガバチは山地に住む小型のアシナガバチです。 名前の「キボシ」は、胸や前伸腹節の黄色の紋からつけられたようですが、個体によっては、はっきりしません。
 外形の特徴として印象的なのは、第2腹節の丸みが強いことでしょう。 そのことも含め、上から見た場合のキボシアシナガバチの特徴を下にまとめておきました。

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2012年11月29日 (木)

ハナノキの紅葉

 花が美しいハナノキ。 大阪付近では3月下旬~4月上旬に咲くハナノキの花は、このブログでも前に載せました(こちら)が、紅葉もなかなかのものです。 赤~黄と色彩豊かですし、葉の裏の白いことも落ち葉のアクセントになっています。

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 ハナノキは日本の固有種で、自生地は限られていて、環境省のレッドブックでは絶滅危惧II類に指定されていますが、苗木を育てて街路樹や公園などに植栽されることも多くなってきました。
 写真は大阪市立長居植物園で11月25日に撮ったものです。

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2012年11月28日 (水)

ハイタカとカラスの空中戦

 ふと空を見上げると、ハイタカとカラスの空中戦の最中。 1羽のワシタカ類対多数のカラスという図式は何度か見ましたが、1対1の空中戦は初めて見ました。
 カラスの半分ほどの大きさのハイタカですが、さすがにタカの仲間、勝負は互角のようでした。

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 飛んでいるワシタカ類を見上げて区別するのは難しいのですが、この時はカラスという“ものさし”が一緒に飛んでくれているのですから、大きさを大きく見誤ることはありません。
 ハイタカ属には、大きいものから順に、オオタカ、ハイタカ、ツミの3種がいて、ハイタカとツミは、ツミの方が少し小さいだけで、よく似た大きさですが、オオタカやハイタカの翼先(風切)が6枚なのに対し、ツミは5枚です。
 この記事は、写真の翼先が5枚に見えたので、他の特徴からは疑問を感じながらも、はじめはツミとしていました。 しかし、Shin'sさんから、最上部の翼先が数えもれで、6枚あると教えていただきました(詳しくは下のコメント参照)。 たしかに最上部の短い翼先が2番目のものとくっついていて、この写真の大きさでは分かりにくくなっているようです。

 空中戦は5分ほど続いていましたが、次第に高度を上げ、肉眼では点としか見えなくなったところで左右に分かれていきました。

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2012年11月27日 (火)

オオトビモンシャチホコ

 シャチホコガの仲間は春に出現するものが多いのですが、 オオトビモンシャチホコは秋(10月~11月)にのみ出現する蛾です。 トビモンは漢字で書くと「飛び紋」ではなく「鳶紋」です。
 私の蛾の写真は、灯火採集や糖蜜採集は行わず、昼間にとまっている蛾を撮っているのですが、11月に入って、いちばん何度も見た蛾が、このオオトビモンシャチホコでした。 幼虫の食餌植物はクヌギ、コナラ、クリなどのブナ科植物です。

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 なかなか顔を見せてくれないので、手乗りにして斜め下から撮りました。

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2012年11月26日 (月)

ゼニゴケの有性生殖

 昨日はゼニゴケの無性生殖について書きましたので、その関連で、ゼニゴケの有性生殖についてまとめておくことにします。 ゼニゴケも卵と精子を作り、有性生殖も行います。
 じつは昨日の最後の写真の小さなキノコのようなものは、精子ができる雄器床の若い状態でした。 ゼニゴケは雌雄異株ですから、雄株だったということになります。 雄器床で精子が作られますが、この雄器床に柄を含めて「雄器托」と言います。 雄器托がきれいに伸びると、下のようになります。

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 これに対し、下が雌株の雌器托です。 この部分で卵が作られます。

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 これらの雄器托や雌器托は、3~5月頃に作られるのですが、時には秋に作られます。 上の写真は11月の撮影です。
 ゼニゴケの有性生殖では、精子が卵にまでたどりつかなくてはなりませんから、雌株と雄株の距離が数mも離れると不可能です。 都市部ではゼニゴケの生育可能な環境が狭くなり、雌株のみまたは雄株のみの群落が多くなりました。 このような場所では、有性生殖は不可能になり、ゼニゴケは無性生殖のみに頼らなくてはなりません。

◎ ゼニゴケの雄器托・雌器托の詳しいつくりや胞子体についてはこちらに載せています。

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2012年11月25日 (日)

ゼニゴケの無性芽

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 ゼニゴケは葉や茎の区別の無い平らな体を土の上に広げていきます。 この体を「葉状体」と呼んでいます。 上の写真のゼニゴケの葉状体には、「杯状体」と呼ばれているコップ状のものがついています。 杯状体の底には「無性芽」と呼ばれる緑色の濃い粒が見えています。 この無性芽は有性生殖の結果作られたものではなく、遺伝的には自己の組織と同じ遺伝子を持っていますから、この無性芽を散らばらせることで、ゼニゴケはたくさんのクローンを作ります。 ちなみに「ゼニゴケ」の名の由来は、この無性芽を銭にみたてたところからのようです。
 なお、上の写真で、中央に小さな孔( 写真をクリックして拡大しないと分からないと思います )のあいた白い粒々がたくさんあります。これは「気室孔」と呼ばれています。

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 上は杯状体を斜めから撮ったものです。 底にある無性芽は見えていませんが、杯状体そのものが、拡大すると美しかったので・・・。

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 上は3月に撮ったものですが、杯状体は無性芽でいっぱいになっています。 よく見ると、こぼれた無性芽があちこちにあります。

こちらには杯状体の断面や無性芽の顕微鏡写真を載せています。

 写真の右下には小さな緑のキノコのようなものが、ゼニゴケの体から出てきています。 これはゼニゴケの有性生殖に関したものなのですが、これについては、ココログの写真容量の関係などから、明日の記事にすることにします。

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2012年11月24日 (土)

コカゲロウの一種

 脱皮したばかりのコカゲロウがいました(11月10日撮影)。 下の写真で右が成虫、左が脱皮殻です。

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 まだ飛べないようなので、撮影はおちついてできるのですが、体に半透明の部分が多く、白っぽい背地ではうまく撮れません。 飛べないことをいいことに、いろいろな場所に移ってもらって撮ってみました。

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 写真のコカゲロウの種名は、調べてみたのですが、種類が多く、下の文献を見ても、写真だけからでは種名どころか属名も分かりません・・・。
  日本産コカゲロウ科(カゲロウ目)の7属への検索及び所属する種の
  分類と分布・ハビタットに関する情報
  陸水学雑誌(Japanese Journal of Limnology)67:185-207(2006)

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 カゲロウの仲間(カゲロウ目)には、1対の複眼のそれぞれが上下に分かれている種が多くあります。 上下に分かれている複眼のそれぞれは「上眼」「下眼」と呼ばれていますが、特にコカゲロウの仲間のオスでは上眼が発達していて、ターバンを巻いた頭のように見えることから、「ターバン眼」と呼ばれています。 写真で、通常の複眼のようにみえる下眼の上にある橙色のものがターバン眼です。

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 ターバン眼はオスにのみ見られるということは、性的アピールのためなのか、メスを見つけ出すためなのでしょうか。
 触角の付け根と複眼の間と、左右の触角の間に、計3個の単眼がありますが、この単眼も大きなものです。 カゲロウの仲間の成虫は、口が退化して摂食は行わず、寿命が短いことで知られていますが、コカゲロウのオスの頭部は眼ばかりが目立ちます。

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2012年11月23日 (金)

エリマキシギ

 11月3日に久米田池で撮ったエリマキシギです。

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Erimakisigi121103_3    魚get!

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 エリマキシギは日本では旅鳥として春と秋に少数が干潟や休耕田などで観察されます。 また、西日本では時には越冬する個体もいるようです。
 繁殖期には、オスは首に長い羽毛が生えて、みごとな襟巻きをした姿になるのですが、日本で観察されるのは、残念ながらほとんどが冬羽です。

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2012年11月22日 (木)

ヒラアシキバチのオス

 9月29日にヒラアシキバチについて書きました(こちら)が、11月10日、もうヒラアシキバチもいないだろうがいちおう確認を、と思い、前にたくさん産卵していた場所に立ち寄ってみました。 すると、まだ1頭が産卵中で、そのそばに、ひとまわり小さいが、ヒラアシキバチによく似た蜂(下の写真)がいました。 産卵管は見当たりません。 気温が低いためか、飛び立つ気配はありませんでした。
 9月29日の記事には、ヒラアシキバチのオスはみつかっておらず、ヒラアシキバチは産雌性単為生殖を行っているのだろうと書きました。 しかし、もしかしたら、と思い、この蜂を持って帰ることにしました。

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 後日、大阪市立自然史博物館の松本学芸員にこの蜂をお見せしたところ、ヒラアシキバチと同じ属に数種いるが、この時期なのでヒラアシキバチだろうということでした。 ヒラアシキバチの発生する木全体をネットで包むなど、徹底した調査をすると、ごくたまにオスが見つかることがあるが、ごく少数なので、生殖活動には関係していないのではないか、ということでした。
 下の写真は腹側を上にして撮ったものです。 起き上がろうと翅を広げてもがいていますが、気温が低いせいか、なかなか起き上がれないでいました。 産卵管はありません。

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 なお、大阪市立自然史博物館のHPには、ヒラアシキバチの雌雄モザイクの写真が載せられています(こちら)。

※ 採集したヒラアシキバチのオスは、松本学芸員にお渡ししました。

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2012年11月21日 (水)

ヤブニッケイ(種子散布戦略を中心に)

 ヤブニッケイにたくさんの実がついていました。 しかし、ヤブニッケイの実は、熟しても黒っぽいためにあまり目立ちませんし、垂れ下がって葉の陰に隠れてしまいがちで、上から来る鳥たちにも見えにくい位置になりがちです。

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 上は11月上旬に撮ったものです。 ヤブニッケイの果実は 緑色 → 褐色 → 黒紫色 と変化していきますが、11月に入っても、まだ緑色の果実が残っています。 ヤブニッケイの果実は少しずつ順に熟していくようです。
 たくさんの果実が一度に熟すと、目立ちますから、“ここに熟した果実がありますよ~”と、鳥たちに存在をアピールするには効果的でしょう。 しかしたくさんの果実をつける木が一度に熟すと、鳥たちは、食べても食べてもまだある、とばかりに、そこに長居をしてしまい、糞と一緒に種子は親の木の下に落とされる確率が高くなります。 鳥に遠くまで種子を運んでもらって分布を広げようとする植物のもくろみにとっては、効率の悪いものになってしまうでしょう。
 ヤブニッケイのように少しずつ果実を熟させると、“今日はこれだけ。 また来てね~”と鳥に種子の運搬を促すことになるでしょうし、次の日は別の果実が熟すでしょうから、鳥たちにとっては、“あそこに行けばおいしいものがある”ということになります。 つまりヤブニッケイは、いつも種子を運んでくれる“常連客”を作る作戦を実施していると考えられます。 あまり目立たない黒紫色の実も葉の陰に隠れてしまいがちなのも、そのことと関係するのでしょう。 常連客を大切にする店には派手な看板は必要無いのです。 いろんな客にたくさん来てもらうと、お馴染みさんの居心地が悪くなるかもしれません。

 ヤブニッケイは関東・北陸以西に分布するクスノキ科の常緑高木です。 クスノキやシロダモ同様、葉は三行脈が目立ちます。 葉は亜対生、つまり対生ぎみの互生です。
 花は6月に咲きます(下の写真)。 これもクスノキなどと同様、小さな花で、オシベは弁を開いて花粉を出します(詳しくはイヌガシタブノキなど、他のクスノキ科の項を見てください)。

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 クスノキ科には特有の香りを持ったものが多くあります。 ヤブニッケイにも葉や根皮などに香気がありますし、種子からは香油を取ることもできます。 しかし同じ属のニッケイ(シナモン)ほどではありません。 ちなみに、ヤブニッケイの英名は  Japanese Cinnamon です。

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2012年11月20日 (火)

クロハラアジサシ(冬羽)

 クロハラアジサシの繁殖地は世界中に点在しています。 日本には旅鳥として飛来しますが、南西諸島ではよく見られるものの、その他の地域では、そう多くはありません。
 写真は11月15日に大阪府南部の池で撮ったものです。 今年は大阪付近では6月に続いて10月にあちこちで見られたのですが、それと同じ群なのか、別の群なのか・・・。

Kuroharaajisasi121115_1    7羽いました (写真はクリックで拡大します)

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Kuroharaajisasi121115_5    コサギとニアミス
   飛行能力の高いクロハラアジサシにとっては何ともないのでしょうが・・・

 この時期はもちろん冬羽で、後頭部と目の後方に黒い部分があります。 嘴と足は黒い色をしています。
 「クロハラ」は夏羽の様子からで、夏羽は胸から腹にかけて灰黒色になります。 なお、夏羽では頭部は黒、嘴と足は暗い赤色です。

 採餌は、上空から狙いを定め、舞い降りて水面を嘴ですくうようなことをしていましたが、これはカメラから遠い所で行っていて、芥子粒のような写真しか無く、載せていません。

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2012年11月19日 (月)

アシブトコバチ科の一種

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 11月10日朝、寒さで飛べない蜂がいました。 後脚の腿節が大きく膨らんでいて、アシブトコバチの仲間でしょう。 ただし、アシブトコバチ科にもたくさんの種がいて(日本産のアシブトコバチ科のリストはこちら)、種名までは分かりません。
 体長を測定すると6mmでした。 これまでアシブトコバチの仲間は何度か見ていますが、それらに比較すると、とても大きなアシブトコバチです。 これくらいの大きさで飛ばないのですから、撮影は楽です。(写真は全てクリックで拡大します。)

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 アシブトコバチの仲間は、主にチョウ・ガやハエの仲間のサナギや幼虫の体内に卵を産みつける寄生蜂です。 この太い脚は、いったいどのような意味を持っているのでしょうか。

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2012年11月18日 (日)

シロダモ

 野山を歩いて花を見ることも少なくなった時期ですが、花が全く無いわけではありません。 シロダモも大阪付近では11月に咲く花です。

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 シロダモはクスノキ科の常緑高木で、日本では山形県と宮城県を結んだ線以西に分布します。 雌雄異株で、上のようにたくさんの花をつけているのは雄株でしょう。
 葉は常緑で、3行脈の目立つクスノキ科の中でも、クスノキ、イヌガシ、ヤブニッケイなどよりも大きな葉です。 常緑ですから、これからの季節に葉の裏を見れば、トゲキジラミなどの小さな虫たちの冬の生活の場所ともなっています。

 種子は植物にとって生育に適さない時期を乗り切る工夫の1つです。 乾季の無い、つまり水分の十分ある日本では、植物にとって生育に適さない時期とは、温度が十分に保障されない冬です。 ですから、多くの植物の胚は、冬という時期を、硬い殻に守られた休眠状態、つまり種子という形態で乗り越えようとします。
 花の少ない11月に花を咲かせるシロダモは、訪花昆虫には来てもらいやすいでしょうが、冬までに種子を形成するには時間が足りません。 受粉したシロダモの花は、1年かけ、翌年の秋に種子を完成させます。 つまりシロダモの雌株では、花と前年の花からできた果実を同時に見ることができます。

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 上と下は11月上旬の雌株のシロダモですが、花は咲きはじめで多くはツボミ、そしてその下には赤く熟した果実がついています。

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2012年11月17日 (土)

コウノトリ②

 11月5日の記事で、豊岡市生まれの足環をつけたコウノトリが大阪府の南部に来ていることを書きましたが、その場所から6kmほど離れた場所に、足環の無いコウノトリが15日に飛来したとのこと。 16日に撮りに行ってきました。

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 コウノトリについては、5日にいろいろ書きましたし、写真もたくさん載せました(こちら)ので、今回は写真1枚だけにしておきます。

 私が帰った後、5日に記事にした足環つきのコウノトリも上の写真の場所に来て(まだいてくれていたんですね)、2羽並んで採餌していたようです。

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2012年11月16日 (金)

ハネオレバエ科 Psila sp.

 大阪市立長居植物園のサキシマフヨウの葉に、あちこち分散して、写真のようなハエがたくさんいました。 体長は3.5mm、翅端までは4.5mmでした。
 歩いている個体もいましたが、動かない個体も多く、カメラを近づけただけで敏感に飛んで逃げるようなことはありませんでした。 午後4時過ぎの撮影で、空も曇っていて、薄暗いことも影響しているのかもしれませんが・・・。

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※ 写真はクリックで拡大します。

 このハエは、おちゃたてむしさんが載せておられるもの(メスオス)と同種だと思われます。 おちゃたてむしさんが標本を帯広畜産大学の岩佐教授にお送りしたところ、Psila属の未記載種らしいとの回答を得られていますので、タイトルをそのようにしました。
 ハネオレバエ科Psila属の幼虫は食植性で、特に植物の根部を加害することで知られており、岩佐教授は日本で17種を確認されています。(日本応用動物昆虫学会大会講演要旨(35),59,1991より)

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2012年11月15日 (木)

サキシマフヨウ

 11月14日の大阪市立長居植物園で咲いていたサキシマフヨウです。

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 サキシマフヨウは鹿児島県西部の島から琉球にかけて分布するアオイ科の小高木で、先島(さきしま)は宮古・八重山諸島の総称です。 本来は常緑ですが、大阪あたりの地植えでは冬季は落葉します。
 花は自生地では9月から1月に咲きます。 長居植物園でもまだ、寒さに負けずにたくさん咲いていました。 なお、石垣島で2008年12月7日に撮ったサキシマフヨウはこちらに載せています。
 花の色は、ほぼ白に近いものから濃い紅色まで、いろいろありますが、上の写真のような色が最も多く見られるようです。
 花は夜には閉じます。 上の写真は午後4時の厚い雲の下の薄暗い条件化で撮りましたので、閉じかけています。 ただ、そのために、白い花弁の縁の紅色がよく見えています。
 上の写真では、メシベやオシベは写っていませんが、ハイビスカス(同じ属です)のように、メシベの周囲にたくさんのオシベがくっついています(上の石垣島で撮ったサキシマフヨウを参照してください)。

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 上は花を後から撮ったものですが、5枚のガク片の後に、ガク片より細いものがあります。 これは副ガクと呼ばれていて、ガクの托葉起源だと考えられています。
 葉は5角形で、両面に星状毛が生えています、特に裏面にはたくさん見られます。 下はサキシマフヨウの葉の裏面を拡大したものです。

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2012年11月14日 (水)

クロツラヘラサギ

 写真は岸和田市の久米田池に来たクロツラヘラサギです。

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 名前は面(つら:顔のこと)が黒くて嘴(くちばし)がヘラのような形をしたサギということです。 「サギ」とついていますが、サギ科ではなく、トキ科です。
 顔は光が当たっているとそんなに黒くもないようですが、ヘラサギと比較すると、ヘラサギでは目の周囲は全部白色です。
 前から見ると、嘴がヘラのような形をしているのがよくわかります(上の写真)が・・・

 横から見ると、平たい嘴ですね。 嘴の先端は少し曲がっています。

 採餌は嘴を水中に突っこんで振り回し、嘴に当たった魚を捕まえているようでした。 水中は見えているのでしょうか。

 クロツラヘラサギは世界的にも個体数の少ない鳥で、2011年の世界一斉個体数調査で確認されたのは、たった1,848羽のみでした。 日本には冬鳥として少数が飛来しますが、環境省のレッドリストでは、絶滅危惧IB類(EN)に指定されています。
 岸和田市の久米田池には、以前(といってもかなり昔ですが・・)に何度か滞在記録があり、久米田池のシンボル的存在として、久米田池のフェンスにはクロツラヘラサギの絵も書かれています。
 今回クロツラヘラサギが久米田池に来たのは17年ぶりになります。

 羽を広げると端に黒い色が見えます。 成鳥ではこの黒い色は見られませんので、まだ若い個体のようです。

 クロツラヘラサギは以前にもいちど載せています(こちら)が、この時は距離が遠く、いい写真ではありませんでした。 今回は近くまで来てくれて心行くまで撮ることができました。

参考にしたHP等
岸和田市公式ウェブサイト(きしわだの話題)
ウィキペディア
Yachoo! オンライン野鳥図鑑

◎ 西表島で撮ったクロツラヘラサギの飛翔の様子などをこちらに載せています。

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2012年11月13日 (火)

ナカオビキリガ

 これからの寒い時期に活動する蛾がいます。 代表的なものは、冬尺の仲間と、キリガの仲間です。
 この時期は、恐ろしいカマキリなどの捕食性昆虫が少なくなりますし、特に夜は鳥に狙われる危険性も少なく、寒さにさえ耐えることができれば、安全性が高くなります。
 冬尺の仲間は、このブログでも、この前の冬季にいろいろ書きました(例えばこちら)。 今回はキリガです。
 キリガはヤガ科に分類されている一群で、一般的には、胴体は太く、翅の幅は狭く、毛深いのが特徴です。 といっても、こんな蛾は他にもたくさんいますが・・・。
 冬尺も晩秋に現れるものから早春に現れるものまで、多くの種が出現時期をずらしながら交代していきますが、キリガの仲間は、フユシャクよりも種類数が多く、出現時期は種によって異なり、「秋キリガ」や「春キリガ」といった言い方もします。 「越冬キリガ」もいますが、今回のナカオビキリガは秋キリガで、10月~11月に出現し、越冬は卵で行います。
 キリガは昼の間は落ち葉の下などに隠れていて、日没後に活動し、樹液や花の蜜でエネルギーを補給しています。 灯火に特によく集まるわけではなく、キリガを集めたい場合は糖蜜採集がよく行われます。 私はそんな努力もせず、昼間に壁などに残っている数少ないキリガを撮っていますが・・・。

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 上の写真のナカオビキリガ(クリックで拡大します)も、そんな壁に残っていたキリガで、昼間は活動しないと決めているかのように、触っても遠くへ飛び立とうとはしません。 翅を震わせるなどの準備運動をして体温を上昇させてからでないと、急には飛び立てないのかもしれません。 それをいいことに、手乗り蛾になってもらいました(下の写真)。

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 ナカオビキリガは、いろんな色が混じり合った複雑な色合いをしていて、緑っぽいものや褐色っぽいものなど、色彩の個体差もあるのですが、前翅中ほどの赤っぽい紋が特徴です。

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2012年11月12日 (月)

ヤブミョウガ

 秋に山道を歩くと、ヤブミョウガの青い実があちこちに見られます。

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 この青い実も、環境や時期によって、微妙に色あいが変わってきます

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 名前は藪(やぶ)に生えるミョウガということですが、似ているのは葉だけで、ヤブミョウガはツユクサ科ですし、ミョウガはショウガ科ですから、全く別の植物です。 似ているといわれる葉も、その出方は、ヤブミョウガはいろんな方向に出ますし、ミョウガは2列互生です。
 ヤブミョウガは、種子以外にも地下茎でも増えますから、よく大きな群落を作っています。

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 ヤブミョウガの花は7~8月頃に咲きます。 花弁とガク片が3枚ずつですが、どちらも白い色をしていますので、注意しないと見分けがつきません。 オシベは6本、メシベ1本です。
 下は両性花ですが、これとよく似て子房が退化ぎみの雄花が混じります。

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※ 同じツユクサ科でヤブミョウガによく似た南米原産のブルージンジャーを「そよ風に乗って」に載せています。

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2012年11月11日 (日)

ヒガラ

 ヒガラは、夏の間は、主に針葉樹の林に住み、樹上で採食しています。 金剛山あたりのヒノキなどの植林地でも、よく木の高い所での声は聞けても、なかなか下からは姿が見えません。 しかしこのヒガラも、冬になると標高の低い所に移動してきて、見ることのできる機会も多くなります。
 しかし見ることと写真に撮ることは別で、バードバスなどで待ち構えるなどの方法もありますが、樹間にいるヒガラはけっこうよく動き、なかなかたいへんです。

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 小さいものほど、よく動くようです。 シジュウカラの仲間( Parus属 )の全長は次のようになります。
  シジュウカラ:145mm ヤマガラ:140mm コガラ:125mm ヒガラ:110mm
 好奇心が強くてむこうから来てくれるヤマガラは別格としても、ほぼこの順で動きは速くなり、撮り難くなります。

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 上に書いた大阪付近で見られるシジュウカラの仲間( Parus属 )の体の色は、褐色の多いヤマガラを除くと、互いに似ています。 体の色は光の具合で違った色に見えることがありますが、顔のあたりに注目するのが、いちばん簡単に見分ける方法でしょう。
 シジュウカラの顔は頬の白い部分を除いて黒く、喉から続く黒帯が腹部に長く伸びています。 コガラの顔の黒い部分は、喉に少しと頭だけです。 ヒガラの黒い部分は、シジュウカラのように腹部に伸びることはありません。 シジュウカラはネクタイ、ヒガラは蝶ネクタイ、コガラは黒いベレー帽、というのはどうでしょうか。
 また、ヒガラの頭の後ろには、シジュウカラよりも長く頭頂にまで延びた白い部分があります(下の写真)。

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2012年11月10日 (土)

クロフハネナガウンカ

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 コナラの樹皮の割れ目に潜む白っぽい小さな虫、体長は翅端まで9mm、最初は蛾だと思いました。 写真を撮っていると、幸い適度に逃げ回り、いろんな方向を向いてくれたので、いろんな角度からの撮影はできたのですが、どうも顔の付近が複雑で暗く、よく分かりません。 フラッシュの光の方向をいろいろ工夫しながら撮っているうちに、どこかで見たような眼であることに気づきました。 ハネナガウンカの眼です。 ハネナガウンカの仲間は、その名のとおり、体に比べて翅が長いのが特徴ですが、写真のものも、腹部の端よりずっと長い翅を持っています。

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 ハネナガウンカは、このブログではこれまでにアカハネナガウンカマダラハネナガウンカを載せていますが、これらは翅を横に広げています。 今回は最初にハネナガウンカだと思わなかった理由の1つは、翅をくっつけていたからです。

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 調べてみると、クロフハネナガウンカのようです。 他のブログを見ても、クロフハネナガウンカは、翅をくっつけてとまるようです。
 マダラハネナガウンカでも、偽瞳孔のある複眼の斜め下後方にオレンジ色をした円柱状の突起がありましたが、これがクロフハネナガウンカではいびつな球形をしていて、カメラのファインダーを通して見ていると複眼のようにも見えて、顔のつくりの理解を妨げます。 たぶんこれが「触角下突起」と呼ばれるものでしょう。

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2012年11月 9日 (金)

ツメレンゲ

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 ツメレンゲは、ベンケイソウ科イワレンゲ属に分類される多年生の多肉植物で、関東以西の本州、四国、九州に分布します。
 多肉植物は多くの水分を組織内に貯えていて、乾燥に耐えることができますが、雨の多い日本でも、雨がしみ込まない岩上など、乾燥し易い所はあります。 ツメレンゲも、他の植物がなかなか生きられない乾燥した岩場が本来の自生地です。 エフさんのブログには海岸の岩場の咲き始めの状態のツメレンゲが載せられていますが、最初に載せたツメレンゲは年月を経た石垣で育っていたものです。
 下の写真のように年代を経た瓦屋根に生えているのも見かけることがありますが、このなかには、水分を多く含んだツメレンゲにより火災の延焼を防ごうと、意図的に移植されたものもあるようです。

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 ツメレンゲは、他の植物がなかなか生きられない厳しい環境に生きている植物ですから、その成長はゆっくりです。 風に乗って運ばれてきた種子が発芽しても、開花までは3年ほどかかります。 この間は下のようなロゼットで過ごし、周囲に子株を形成していきます。

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 ツメレンゲの名前は、このロゼットの様子を蓮華(れんげ)座(=仏様の台座)に見立て、また、葉の先端が尖っているのを獣の爪に見立てたものでしょう。

 花が咲くのは10月~11月です。 それまでロゼットで生活していたものの中央が伸び上がり、最初の写真のような塔状の花穂を形成します。 花は花穂の下から上へ順に咲いていきますが、花を咲かせることとその後の種子形成に貯えていた栄養分を使い果たし、開花した株は枯れてしまいます。 1枚目の写真のツメレンゲは、花がほとんど終わりの状態ですが、周囲にあるロゼットに比べて、葉にも元気がありません。
 1つの花は、花弁は5枚で白色、オシベは10本、メシベは5心皮からなります(下の写真)。

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 ツメレンゲは、上に書いたように、乾燥という厳しい条件下でも生きられる逞しい植物ですが、ロゼットの時期に上を他の植物に覆われてしまうと光合成できなくなり、植物間の生存競争には弱い植物です。 限られた環境でしか生存できず、生長には時間がかかり、そこに人の営みによる悪影響が加わり、個体数は減少してきています。

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2012年11月 8日 (木)

セイタカシギ

 鳥の分布も常に変化しています。 セイタカシギも、かつては稀に記録されるだけの迷鳥でしたが、現在では各地で生息が確認されていて、千葉県習志野市の谷津干潟などでは周年観察されるということです。
 といっても、まだまだ個体数は少なく、少なくとも関西ではバードウオッチャーに人気のある鳥です。
 背の高いのは長い脚のせいで、他のシギが入れないような水深の所でも採餌できます。

※ 写真はクリックで拡大できます。

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◎ セイタカシギはこちらにも載せています。

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2012年11月 7日 (水)

ツヤコバチ科の一種の産卵?

 キクイモの葉の裏にたくさんのアブラムシ(種名はまだ調べていません)。 写真を撮ろうとすると、体長1mmほどの小さなハチ(下の写真)が歩き回っているのを発見しました。

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 無翅のアブラムシには逃げられる心配が無いので、少々手荒く葉を裏向けたのですが、この蜂は逃げませんでした。 これはアブラムシを狙っているに違いないと観察を続けることにしました。 見ていると、

① 触角でアブラムシに触れて物色しながら歩き回り・・・

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② 気に入ったアブラムシを見つけると、後ろ向きになって後ずさりして目的のアブラムシに近づき・・・

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③ ペコンと翅を上に折り曲げ、産卵管をプスッと刺し込み、
(擬音表記を使いましたが、まさしくそんな感じでした。)

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④ 2秒ほどそのままでじっとした後、産卵管を抜いて翅を元に戻しながら歩き去ります。 下の写真では、翅がまだ完全に元に戻っておらず、折り目がわかります。

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 ②~④は同じ所での連続写真です。 この間、産卵管を刺されたアブラムシには何の反応もありませんでした。

 上の③では、白っぽい産卵管がほとんど写っていませんので、別のアブラムシに産卵管を差し込んでいる写真を下に載せておきます。

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 上は、産卵管を差し込んでいる様子を横から見たところで、翅のたたまれている様子が分かります。 なお、産卵管を差し込まれているのは、③のアブラムシの隣のアブラムシです。 この間、蜂は葉のあちこちを歩き回っています。

 帰ってから調べると、この蜂は BABAさんのブログに載っていたツヤコバチ科の一種  Aphelinus sp. と同種か、これに近い種だと思います。 ツヤコバチ科の多くの種は、コナジラミやアブラムシなどの小型のカメムシ目に寄生することが知られています。
 BABAさんのブログでは、この行動は Host-feeding (寄主体液摂取)かもしれないと書かれています。 BABAさんのブログに寄せられた ezo-aphidさんのコメントでは、ある種では、寄主は老熟幼虫には産卵し、中齢幼虫に対しては産卵管を刺して傷つけ、そこから出る体液を摂取し、その栄養分を(卵巣の発達に)利用すると書かれてある論文があるとのことです。 そして BABAさんは、それらしい行動も観察されています。
 私の観察では、産卵管を刺したアブラムシに再度近づき、体液を舐める行動は観察できませんでした。 ただ、大きなアブラムシもたくさんいるのに、あまり大きなアブラムシに産卵管を刺し込もうとしないのは気になりました。 また、産卵しているとばかり思い込んで観察していましたので、 Host-feeding には気づかなかったのかもしれませんので、タイトルにも「産卵」に疑問符を付けておきました。
※ BABAさんからコメントをいただき、④で書いた2秒は短すぎるので、撮影が影響して途中で行動を止めた可能性も指摘していただきました。
(下は2011.11.11.に追記)
 ツヤコバチについて書かれている高木一夫氏の「産卵にじゃまな翅は畳んで行う」には、「毒液による麻酔後、寄主吸汁(Host feeding)や時間をかけた本当の産卵が行われるのです。」と書かれています。 短時間の“注射”は麻酔をしてまわっていたのかもしれません。 またここでは、翅の折りたたむしくみについても、「産卵管鞘の変形した部分を使って」折りたたむのだと書かれています。

 ところで、下の写真は、このツヤコバチを横から撮ったものです。 歩き回っている蜂が陰に入った所を撮っているのでピンボケですが、腹部の横に白いものがついています。 当初は葉の毛だと思っていたのですが、よく見るとウジのようなものに寄生されているようにも見えます。 もしそうだとすると、植物に寄生しているアブラムシに卵を産みつけ寄生する1mmほどの蜂に寄生するものがいる・・・ 自然界は複雑です。 → 後脚の腿節でした・・・ 先入観はいけません。

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2012年11月 6日 (火)

シロノセンダングサ

 シロノセンダングサ(=シロバナセンダングサ)は、キク科の1年生草本で、1840年代に渡来の記録のある帰化植物ですが、第二次大戦後に急に広がりだしたようです。

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 花期は秋で、白い舌状花は1つの頭花に4~7個あります。 この舌状花はオシベもメシベも退化していて、結実しません。

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 果実にはトゲがあり、ひっつき虫として動物などに運ばれます。 このトゲは2~4本ですが、ほとんど2本ばかりのものから、ほとんど3~4本のものまで、株によって異なります。

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 シロノセンダングサはコセンダングサの変種として扱われています。 コセンダングサは変異の幅の大きな種で、和名も学名もまだ落ち着いていないようです。 コセンダングサの所に書いた、小さな白い舌状花をつけるコシロノセンダングサも、コセンダングサの変種ですし、シロノセンダングサよりも大きな頭花をつけるオオバナノセンダングサもコセンダングサの変種とされている場合もあるようです。

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2012年11月 5日 (月)

コウノトリ

 足環(あしわ)をつけたコウノトリが大阪府の和泉市に来ています。 私の家から直線距離にして7kmほどですので、会いに行ってきました。
 このコウノトリは、足環の情報から、2010年3月に兵庫県豊岡市の人工巣塔で生まれた雌のようで、今年9月以降、和泉市や若狭などあちこちで目撃されていますが、今回は10月30日日に確認(朝日新聞大阪版10月31日付朝刊)されて以来、11月4日現在、ほとんど同じ場所にいてくれています。

Kounotori121103_1    高圧鉄塔の上で カラスがちょっかいを出しても平気

Kounotori121103_2    アオサギ(手前)と 大きさ比べ

Kounotori121103_3    魚get!

Kounotori121103_4   やっと見せてくれた嘴の下の赤い色

Kounotori121103_5    おすましポーズ

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Kounotori121103_7    黒いのは風切羽で、胴体の後も尾羽も白色です

 コウノトリはコウノトリ目コウノトリ科に分類される大型の鳥で、翼開長160~200cmになります。 嘴は黒っぽく、脚は赤色、目の周囲には赤いアイリングがあります。 風切羽は黒く、翼をたたむと、胴体の後ろが黒いかのように見えます。
 鶴に似ていますが、大きな声で鳴く鶴に対し、成鳥のコウノトリは鳴くことはせず、嘴を打ち付けて音を出します(クラッタリング)。

 コウノトリは、かつては日本全国に普通に見られる留鳥でした。 花札などでもよく知られている「松に鶴」も、鶴が松に営巣することは無く、この鶴はコウノトリの誤認だと考えられています。 また最近のニュースでは、大阪府の東大阪と八尾市にまたがる池島・福万寺遺跡で、弥生前期の水田跡では、コウノトリと人の足跡が入り交じっていました(MSN産経ニュースwest 2012.7.12.)。
 しかし明治以降、コウノトリは田を荒らす害鳥として乱獲され、それに農薬の使用や、農耕地での巣を作る高木の減少など、様々な要因も重なって数が減少し、1956年に国の特別天然記念物に指定されましたが、時既に遅く、兵庫県や福井県で保護活動が展開されたものの、1986年に日本の野生個体群は絶滅しました。
 しかしコウノトリは日本に不定期に渡来しており、中国やロシアから譲り受けたコウノトリで、1988年以降は人工繁殖にも成功し、豊岡では昭和40年代から、コウノトリを野に帰すことを目的とするのではなく、コウノトリも住める環境に戻すことを目的として、コウノトリの保護増殖を試み、ついに平成17年には放鳥するに至っています。
※ 現在野外にいるコウノトリの数は、兵庫県立コウノトリの郷公園が発表しています。 →  こちら

 昨年から今年にかけて、大阪府の南部地域は、どうもコウノトリに気に入ってもらえているようです。 2011年1月には岸和田市に飛来していますが、このコウノトリには足環が無く、中国大陸などから飛来してきた個体である可能性もあるようです。
(追記:この記事の後、足環の無いコウノトリが飛来しました(こちら)。)
 また今年の10月1日には、4羽(いずれも足環あり)が岸和田市に飛来していますし( YOMIURI ONLINE )、10月3~6日には和泉市の大野池で7羽のコウノトリが確認されています(11月13日日本野鳥の会大阪支部報道発表:11月14日追記)。 なお、この7羽のうちの6羽は、10月11日には福井県若狭町で確認されています。

 コウノトリは、上にも書いたように、時には中国大陸などからも飛来します。 あの大きな体と飛翔力からすれば、県境など関係ありません。 コウノトリが住める環境は人にとってもいい環境であるはずです。 多くの人がコウノトリに関心を持ち、コウノトリの住める環境を意識し、日本全国でコウノトリが身近な鳥に戻ってくれる日を願いたいものです。

※ コウノトリが赤ちゃんを運んでくるという話がありますが、これはヨーロッパのコウノトリのようです(こちら)。

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2012年11月 4日 (日)

ナニワクビグロクチバ

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 壁にとまっていた蛾(上の写真)を撮った時、違和感を感じました。 私は虫の写真を撮る時は眼にピントを合わせるようにしていますが、上の蛾をファインダーで見ると、頭部が奥に引っ込んだようで、ほとんど眼が隠れてしまっています。
 横から撮って(下の写真)、やっとその理由がわかりました。 頭部の後ろが高くなっていて、しかもまっ黒ですから、ファインダーで見たレベルでは影のように見えたんですね。
 名前を調べて、当初はクビグロクチバとしていたのですが、itotonbosanさんに教えていただき、ナニワクビグロクチバとしました。 ナニワクビグロクチバの和名が与えられたのは1986年のことで(こちら)、私の持っている図鑑にもナニワクビグロクチバは載せられていません。 クビグロクチバやヒメクビグロクチバの違いとしては、クビグロクチバは前翅の中央付近にある腎状紋の頭部に近い側に黒い点があり、ナニワクビグロクチバではこの点が白色、ヒメクビグロクチバでは点が無いとのことのようです。
 ところで、黒い部分が首なら、この蛾の首は頭の上??

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 ナニワクビグロクチバはヤガ科シタバ亜科に分類されています。 翅の色は枯葉に似た保護色になっているようです。 白い壁にいたのでよく分かりましたが、枯葉の上にいたのでは分かりにくいのでしょうね。

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2012年11月 3日 (土)

ショウキズイセン

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ヒガンバナの季節から1ヶ月が過ぎ、寒くなってきました。 今年はたまたまだと思いますが、ショウキズイセンを「黄色のヒガンバナ」と紹介したニュースやタウン誌をよく目にしました。 しかし、ヒガンバナの学名は Lycoris radiata ですし、ショウキズイセンの学名は L. traubii で、別種です。 同じ属ですから、似ているのは当然ですが・・・。
 ショウキズイセンは四国・九州以南に自生します。 ですから、大阪付近で見るショウキズイセンは栽培されたものです。
 ショウキズイセンの花は、ヒガンバナよりも少し遅れて咲きます。 ヒガンバナと同様に花の時期には葉はありませんが、花の後に出る葉は、ヒガンバナの葉よりも幅広い葉です。

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 ショウキズイセンを漢字で書くと、「ショウキ」は、「照黄」でもなく「正黄」でもなく、「鍾馗」です。 スイセンもヒガンバナ科ですから、後半はいいとして、鍾馗は?
 見かけは怖い顔をして、しかし赤ちゃんを病魔から守り、受験の神様で疫病除けの神である子供の味方の鍾馗さんとは、どのように結びつくのでしょうか。

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2012年11月 2日 (金)

ムギマキ

 ムギマキはヒタキ科ヒタキ亜科に分類される旅鳥です。 名前は麦蒔きの時期を知らせてくれる鳥ということらしいのですが、そんなに身近によく見られる鳥ではありません。 昔はもっとたくさんいたのでしょうか。
 オスの成鳥は上面が黒く、目の後方の眉斑、雨覆の一部と中央尾羽を除く尾羽の基部に白斑があります。 ノドから腹がオレンジ色で、下腹から下尾筒にかけては白色です。
 メスの上面はオリーブ褐色で、眉斑は不明瞭で、雨覆や尾羽の基部の白斑もありません。 喉から腹にかけてのオレンジ色もオスに比べると淡い色をしています。
 オスの幼鳥はメスにたいへんよく似ているのですが、尾羽基部の白斑はあります。 また第1回冬羽では大雨覆の先端に小さな白斑が見られます。
 ということは、下のムギマキ(3枚の写真は同一個体)は・・・

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オスの第1回冬羽、つまり今年生まれたオスだろうと思います。

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2012年11月 1日 (木)

ハラキンミズアブ(オス)

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 ハラキンミズアブのオスは、体長5mmほどの小さなミズアブですが、頭でっかちで赤茶色の複眼、胸部は金属光沢があり、腹部は金色で先端は黒、なかなか魅力的なミズアブです。 なお、メスは複眼の間隔が広く、腹部は藍青色をしています(こちら)。

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 胸部の金属光沢は、構造色が関係しているのでしょう、光の当たり方で色が変わります。 直射日光の当たらない自然光下では緑っぽいのですが、1枚目の写真のようにフラッシュの光をまっすぐに当てると褐色が強くなります。 斜めからフラッシュの光を当てることで、やっと緑色が出ました(上の写真)。

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 複眼は上下で色が異なり、下半分は黒っぽい色をしています。 複眼を構成している個眼の大きさも異なり、黒っぽい部分の個眼の方が小さいようです。

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