セイバンモロコシ
大型の単子葉類を続けます。 今日はイネ科のセイバンモロコシです。
セイバンモロコシは、ユーラシア大陸の熱帯から亜熱帯に分布する多年草で、日本では1940年代に帰化していることが確認されています。 南方原産の植物らしく、暑くなると急激に成長し、高さは2m近くにもなります。
一時は収量の多い牧草として喜ばれたこともあったようですが、若葉が青酸化合物を含むことがあり、現在は使われていません。
イネ科の葉は一般的に茎を抱く葉鞘と茎から離れて広がる葉身とからなります。 セイバンモロコシの葉は、大型のイネ科ということもあって、長い葉鞘を持ちます。 上の写真のaの葉の始まりは1の節からで、1~2が葉鞘、2から先が葉身です。
また、これもイネ科の一般的な話として、葉鞘と葉身との境(2の位置)には葉舌と呼ばれる出っ張りがあり、この葉舌の様子が分類のひとつの着目点になります。 セイバンモロコシの葉舌は低く、長毛が生えています(下の写真)。
花序は枝が横に広がり、その先の方にたくさんの小穂をつけます(下の写真)。
下は小穂の集まりを拡大して撮ったものです。
1つの小穂から左右に出ているブラシのようなものは、2裂した柱頭です。 1つの花のオシベは3本あります。
上の写真をよく見ると、ノギのある小穂とノギの無い小穂があります。 が、小穂が互いにくっつきあって、どうなっているのかよく分かりません。 そこで、各小穂間を少し広げてみたのが下の写真です。 下の写真の小穂が上の写真に比べて色が濃いのは、光によく当たっていた側を撮ったからです。
上の写真を見ると、1つの無柄の小穂と1~2の有柄の小穂がセットになっています。 無柄の小穂は両性で、ノギがあります。 有柄の小穂は、無柄の小穂よりほっそりとしていてノギは無く、オスの機能しかありません。
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