ハマナツメ
明石付近の地層に残る化石から、今から250万年~80万年前、明石象やアケボノゾウが生息していた時代に、サイカチやナワシログミなどトゲを持つ植物が多かった時代があったことがわかっています。 これらの地層に見られる植物を、明石植物群と呼んでいます。 この明石植物群は第三紀周北要素や中国大陸要素の植物との関係で注目される植物群なのですが、ハマナツメもこの明石植物群の1メンバーです。
ハマナツメの現在の分布は、本州東海以西、四国、九州、沖縄の、海岸近くの湿地や海跡湖周辺に生えています。 種子が海流に乗って運ばれる海流散布植物なのですが、種子が流れ着いて育つことができるような場所が少なくなってしまい、環境省のレッドリスト(2007)では、「絶滅の危険が増大している種」であるとして、絶滅危惧II類(VU)に登録されています。 ここに載せた写真も、自生地のものではなく、長居植物園で撮ったものです。
ハマナツメはクロウメモドキ科の落葉低木です。 葉は互生で卵形、長さは5cmほどで、つけ根から伸びる3本の葉脈が目立ちます。
枝にはたくさんの鋭い棘があり、トリトマラズという別名を持っています。
花は7月から9月のはじめ頃までで、径5mmほどの小さな花を咲かせます。 ガク片は三角形で比較的大きいのですが、5枚の花弁は小さく、早落性のようです。 オシベは5本で、花の中央には大きな蜜腺があり、下の写真ではクロヤマアリが蜜を舐めにきています。
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コメント
おはようございます。
ハマナツメ、サイカチ・・以前足しげくお邪魔していた薬草園に植えたとも思われないような感じでありました。
独特のUFOのようなハマナツメの実、棘だらけのサイカチの木。
神戸の西の端、明石と言ってもいいような場所なので、明石植物群の名残なのかとふと思ってしまいました。
そんな筈はないのでしょうが・・。
投稿: ひとえ | 2012年8月19日 (日) 08時32分
昔からの木が残っているのかもしれませんが、ハマナツメも中国では「馬甲子」という名で根を薬用とするらしいので、薬草園に植えられていたのかもしれませんね。
実の形、たしかにおもしろいですね。
この秋には、この実を水に浮かべてみたいと思います(と言って、すぐ忘れてしまうのですが・・・)。
投稿: そよかぜ | 2012年8月19日 (日) 21時46分