イヌビワの雄株の果のうにいた虫たち
昨日の記事の後半に載せた、イヌビワの雄株の、まもなく口を開こうとする果のうを割ってしばらくすると、イヌビワコバチなどが羽化してきました。 果のうを割ることによって羽化が促進される理由は、新鮮な空気に触れるからなのか、果のうの内部が次第に乾燥してくるからなのか、いろいろ考えられるでしょうが、分かりません。 とにかく、無理に羽化したようで、少し“未熟児”ぎみなところが感じられます。
上はイヌビワコバチのメスが、雌花(虫えい花)の子房壁を破って出てきたところです。
顔を拡大してみました。
上は、光の当て方で、頭部が変な色になってしまいましたが、後脚で翅を掃除しているところです。 イヌビワコバチの腹部の第7腹板には花粉を収める溝(花粉ポケット)があり、新しい果のうに潜り込む時に、花粉が全て落ちてしまわずに、果のう内に花粉が持ち込まれるようになっているのですが、このような掃除などの過程で花粉が花粉ポケットに集められるのでしょう。
歩きだしたイヌビワコバチのメスです。
イヌビワコバチのオスも羽化してきました(下の写真)。
イヌビワコバチのオスの体色は明るい褐色で、翅もありません。 生まれた果のうの中でメスと交尾し、果のうの外に出ることも無く、一生を終えます。
イヌビワコバチに寄生して育つイヌビワオナガコバチもいました(下の写真)。
下はイヌビワオナガコバチのオスだと思われます。
上の写真は、当初イヌビワコバチのオスとしていたのですが、おちゃたてむしさんからコメントをいただき、訂正したものです。 イヌビワコバチのオスと比較すると、たしかに頭部が大きく、立派な牙を持っています。 この発達した口でイヌビワコバチを食べるのでしょうか。
体つきも、イヌビワコバチのオスよりも全体的にしっかりしていたように思います。
果のうの中には下のような幼虫もいました。
イヌビワの果のうには外から穴を開けて潜り込んだ跡はありませんから、この幼虫も、果のうの中に生みつけられた卵から育ったものでしょう。 もしかしたらイヌビワシギゾウムシの幼虫かもしれません。
| 固定リンク
« イヌビワの雌株と雄株 | トップページ | ミョウガ »
「昆虫07 ハチ」カテゴリの記事
- ルリジガバチ、ヒメハキリバチ、ジガバチモドキの一種(2014.06.25)
- コマルハナバチ(2014.06.03)
- ヒメコバチ科 Entedon nomizonis のオス(2014.06.01)
- スミゾメハキリバチ(2014.05.27)
- いもむしを狙うアシブトコバチ(2014.05.25)
コメント
おはようございます。
2枚の写真のオスは多分それぞれ別種でしょう。私が見たときもこの2種類のオスが出てきて、どちらがどちらなのかはっきり分からないのですが、頭の大きい方がイヌビワオナガコバチではないかと思っています。
投稿: おちゃたてむし | 2012年8月18日 (土) 07時57分
たしかに2枚の写真を比較すると、違いますね。
写真の配列と、文も書き換えることにします。
ありがとうございました。
投稿: そよかぜ | 2012年8月18日 (土) 23時05分