シャチホコガの幼虫
まずは下の写真2枚、これ何だと思いますか。
タイトルが「シャチホコガの幼虫」ですから、そうなんですが、じつは幼虫の腹部の端を撮ったものです。 触角を生やした何かの頭部に見えませんか? これだけでも捕食者を脅かす効果はあるのでしょうね。
体全体を撮ると下のような姿です。
シャチホコガの幼虫は、脅かすと、反り返って鯱鉾(しゃちほこ:下の(注)を参照してください)に似たポーズをとります。 名前はこのことに由来するのですが、この姿はよく知られていて、あちこちに載せられているので、ここでは省略。 今回は歩いている姿にしました。
この姿だけでも、ガの幼虫とは思えない姿で、十分驚かされます。 姿が奇異に感じられる原因は、上に書いた腹部の末端の様子もそうですが、もうひとつ、胸脚の長さも大きな要因でしょう。
ガの幼虫の脚は、胸部に3対の胸脚と、第3~6腹節に各一対の腹脚(一部のガでは少なくなっています)、そして第10腹節に尾脚があります。 幼虫が別の枝に移ろうとする時などには、尾脚だけで今いる枝につかまり、体を伸ばしている姿をよく見ます。 このように、一般的には尾脚がいちばんしがみつく力が強いのですが、シャチホコガの幼虫の場合は、これが触角のように伸び、歩行に役立っているとは思えません。 また、胸脚の中脚と後脚もたいへん長くなっています。 これも捕食者を驚かせるためだとしか考えられません。 本来の脚の機能を低下させてまでのこのような形態、何かに擬態しているのでしょうか。
(注) 鯱鉾(しゃちほこ)について
ここで言う鯱(しゃち)とは、水族館にいるシャチではなく、インドの想像上の動物で、姿は魚で頭は虎、背中には鋭いとげが並んでいます。
この鯱が、鴟尾(しび)と一体化し、シャチホコ(「鯱」または「鯱鉾」)となりました。 鴟尾は、魚が水面から飛び上がった姿を具象化したもので、火除けのまじないとして屋根の最上部に設置されていたものです。
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