ヒマワリの花の観察
夏も終わりに近づき、夏の花の代表ヒマワリも夏バテぎみです、と言いたいところですが、花が下を向いているのは種子が充実してきて重くなってきたからでしょう。 ヒマワリは観賞用だけではなく、種子を食用や油を取る目的で育てる作物でもあります。
ヒマワリの茎の先についているのは、1つの花ではなく、たくさんの花(小花)が集まった花序(頭状花序)であり、頭花と呼ばれていることは、はキク科の特徴として、このブログでも何度も書きました。
花は、ある葉は花弁に、ある葉はオシベに、ある葉はメシベに、といったぐあいに、複数の葉が変化したもの、つまり、複数の葉をつける枝がまるごと変化したものと考えることができます。
枝のスタートは芽です。 腋芽を花に変化させながらその上に新しい腋芽を次々と作っていったものを上からギュッと押しつぶして平らにしたものがヒマワリの頭花だとすれば、ヒマワリの花(の集団)では、外側が古い花で、頭花の中心部ほど新しい花ということになります。 逆に言えば、中心部から周辺部への変化を見れば、花が時間と共にどのように変化していくかが分かる、ということになります。 ヒマワリのような大きな頭花ともなると、中心部と周辺部との花の“年齢差”は大きく、このような観察にはとても適した花ということができます。
頭花(=花の集団)のいちばん外側には、花弁のような舌状花が並んでいますが、これは虫を呼ぶための飾りのようなものと考え、その内側にたくさんある筒状花の変化を見ていくことにします。
上は若い頭花で、中心部の筒状花はまだツボミです。 中心部から周辺部に向かうにつれ、花粉を出している小花があり、周辺部に近い筒状花ではメシベを開いて花粉を受けているのですが、オシベから出ている花粉もメシベについた花粉も同じ黄色ですから、この違いはこの倍率では分かり難いですね。
下はもう少し古くなった頭花です。 頭花の中心部では花粉が出されていて、周辺部に向かうにつれてメシベの柱頭が開き、周辺部の筒状花ではメシベもオシベも役割を終えて枯れてしまい、5裂している花冠が星型に目立っています。 つまりヒマワリの小花(ほんとうの1つの花)は、花粉を出してからメシベを開く雄性先熟の花ということになります。
下は小花(筒状花)の集団をもう少し拡大したものです。
上の写真では、右上が頭花の中心部側になります。 右上の若い花では、メシベを取り囲んでいるオシベから、花粉がメシベ側に出され、メシベが花粉を押し出しながら伸びだしてきています。 これらの花粉は訪花する虫たちによって運ばれることが期待されている花粉です。 そして左下では、メシベの柱頭が左右に開き、虫たちによって運ばれてきた花粉を受け取るようになっています。 ただ、メシベの柱頭の開く方向は、頭花の中心部側と周辺部側に、つまり上の写真では右上と左下方向に分かれていますので、柱頭が2裂しているのがとても分かりにくくなっています。
下に、撮影の角度を変えて、メシベが2裂しているのがよく分かる写真を載せておきます。
下の頭花は、花の時期は終わり、舌状花もしおれています。 筒状花の黄色~黄緑部分は、花冠と、その花冠の基部をふっくらと取り囲むガクですが、これらも散ってしまい、黒褐色の子房の部分だけが残されているところもあります。 この子房内で種子が作られていきます。
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