キクガラクサ
キクガラクサは、近畿、中国、四国地方に分布する多年草です。 キクの葉に似た葉がいちめんに地表に広がる様子が唐草模様に似ているところからの名前でしょう。
湿地を好む植物で、写真の場所も、手入れされたスギの植林地内にある溝の縁でした。 茎は細く地上を這い、まばらに葉をつけます。 小さな地表に接して育つ植物ですから、上を他の植物などに覆われてしまうと、光合成ができなくなって生きていけなくなるでしょう。 限られた場所でしか生きていけない植物のようです。
花の径は1cmほどで、特に美しい色があるでもなく、目立つ大きな花でもなく、植物に詳しい人でないと見過ごしてしまうような植物です。 そして、そんな目立たない植物で生育環境が限定されている植物が、気づかれないままに生育環境を変えられたり除草されてしまったりと、絶滅に向かうことがよくあります。 キクガラクサもあちこちの府県で絶滅危惧植物に指定されています。
拡大してみると、茎にも葉にも花径にもガクにも花冠の内側にもたくさんの毛が生えています。
花期は5~6月とされていますが、5月26日にはまだ花は咲いていませんでした。 写真は6月17日に撮ったものです。 もっとも今年はいろんな植物で花の時期が例年とずれていますが・・・。
花冠は5深裂していますが、合弁花です。 花弁が5深裂していて放射相称の花のようですが、オシベは4本しかありません。 つまり、放射相称と左右相称の中間的な花と言ってよいでしょう。
キクガラクサは、従来はゴマノハグサ科に分類されていました。 しかし、例えばオシベに注目すると、ゴマノハグサ科の花のオシベは2本か、4本のうちの2本が短くなっています。 しかしキクガラクサのオシベは4本ともほぼ同長です。 これらのことから、キクガラクサ科を独立させる考えもありました。 しかし、最近の遺伝情報の解析によるAPG植物分類体系では、ツタバウンランの所にも書いたように、従来ゴマノハグサ科に分類されていたいくつかの属がオオバコ科に移されており、キクガラクサ属もオオバコ科に移されました。
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