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2012年6月 8日 (金)

スイショウ

 前にメタセコイアラクウショウが似ているということで、その違いを両方の記事の中で少し書きましたが、今回はその話をいっそうややこしくする話です。 もちろん書こうとしたねらいは、読まれた方を混乱させることにあるのではなく、違いを認識してスッキリしてもらおうということですが・・・。

Suishou120526_1

 上の写真はスイショウの5月下旬の様子ですが、スイショウ(水松)はラクウショウ(落羽松)=ヌマスギ(沼杉)とよく混同されているようです。 漢字で書いても「松」という漢字が使われていたり、スイショウも秋に黄葉し落葉(ほんとうは落枝)します(つまり羽のような葉を落とす“松”です)し、葉の様子も遠目にはよく似ています。 また、どちらも水辺に生育するので「水」や「沼」という漢字が入っていたりします。 なお、上で「松」という漢字が入っていると書きましたが、スイショウもラクウショウもマツ科ではなく、スギなどと同じくヒノキ科です。
 しかしスイショウとラクウショウは、もちろん属も違いますし、よく見れば全く違った木です。
 スイショウの葉は長枝につく葉と短枝につく葉で様子が違います(長枝と短枝については「メタセコイアの1枚の葉は」をご覧ください)。 長枝の葉は鱗片状で基部は茎に長く沿下しますが、短枝の葉は針状です。
 球果の様子もラクウショウとはかなり違っています。 上のスイショウの写真では、種子を飛ばした後の球果がたくさん残っています。 スイショウの球果はラクウショウのように落ちてバラバラにはなりません。
 幹の様子も異なります。 下の写真で、左手前がラクウショウの幹で、中央と右奥がスイショウです。 スイショウの方が幹は細いのに荒れています。 スイショウは現在の日本では、あまり大木には育たないようです。

Suishou120526_2

 現在のスイショウの自生地は中国南部に限られていて、日本のスイショウは全て植えられたものです。 しかし過去には日本にも自生していたようで、鮮新世の地層からはたくさんのスイショウの植物遺体がみつかっています。

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