イグサ
畳表の材料などに使用されるイグサの和名は「イ」ですが、「イ」だけでは、かえって文章に誤解が生じそうなので、ここではあえて「イグサ」と書くことにします。
イグサは湿地に自生する多年草で、休耕田などでもよく見かけます。 葉は茎の根元に褐色の鱗片葉があるだけです。
畳表の材料にするために栽培されているイグサは草丈が1m以上にもなりますが、これは品種改良されてきた結果で、野生のイグサはそんなに大きくなりません。 それに栽培されているものは、ほとんど花をつけませんが、野生のものでは5~6月頃に花を咲かせます。 下の写真では、既に花は終わっています。
花は茎の頂につき、その上に茎とよく似た苞葉が上に伸びているのは、一昨日書いたカンガレイなどと同じです。
下は花を拡大したものです。 小さな花ですが、花被片が6枚確認でき、オシベもメシベもある“普通の”花で、イネ科やカヤツリグサ科のような特殊化した花ではありません。 これがイグサ科の花の特徴です。
上の写真(クリックで拡大します)で見ると、メシベの柱頭は3本あり、細かい枝を羽状に分けています。 オシベは上の写真で見ると、3本のように見えます。 しかし、保育社の『原色日本植物図鑑』などにはイグサのオシベは6本とあり、ネットで調べても6本と書かれています。
3本と6本では大違い、私が今までイグサと思って見てきたのはイグサではない? たしかに、例えばスズメノヤリのような、もう少し大きな花を咲かせるイグサ科の植物のオシベは6本ですので、イグサ科の花のオシベは6本という思い込みがあったのではないでしょうか。 そして、イグサの花はとても小さいですので、ほとんどの場合は確かめずに他に書かれてある内容をそのまま引用しているのではないでしょうか。 ネットで探しても、イグサの花を拡大した写真を見つけることはできませんでした。
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コメント
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(木俣 修)
投稿: S.ひでき | 2012年6月16日 (土) 07時57分
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(そよかぜ)
投稿: そよかぜ | 2012年6月16日 (土) 08時28分