クサイ
最近記事にした植物は減少しているものが多かったので、今日はきわめてありふれた植物にします。 ただし、花の小さな植物は、足元にあっても見向きもされないものが多いのですが・・・。
クサイは湿り気味のよく踏まれた所に多い植物です。 踏圧に強い植物の“三役”は、オオバコ、カゼクサと、このクサイだそうです。
クサイといっても、においをかいで臭いわけでもありません。 漢字で書けば「草藺」で、草のイ(=イグサ)です。 ではイ(以下イグサと書きます)は草ではなく木か、ということになってしまいますが、茎の根元にある褐色の鱗片葉以外の葉を持たないイグサに対し、クサイはちゃんとした葉を持っていて、普通の草らしい草だ、ということでしょう。
細長い葉は茎の下の方につきます。 そして茎の先端で枝を分け、その先に小さな花をつけます。 下の写真では、もうほとんどの花は終わり、果実の完成へと向かっています。
枝を分ける所からも、また細い葉のようなものが出ていますが、これは苞です。
これまでに何度か書きましたが、イグサ科の花は、イネ科の花のように特殊化していません。 下はクサイの花の拡大ですが、花被片が6枚(ガク片にあたる外花被片が3枚と花弁に相当する内花被片が3枚)で、オシベはそれぞれの花被片の内側に位置していて、計6本あります。 メシベは1本で柱頭は3裂しています。 柱頭は淡いピンクで、風媒花ですので、風に乗って運ばれてきた花粉を受け止めるために、ふさふさとした毛がたくさん生えています。 下の写真をクリックして拡大して見ていただくと、この毛にひっかかったたくさんの花粉も分かると思います。
| 固定リンク
コメント
『 さみだれの 晴間の水の なみなみと
藺ぐさの丈も うづむばかりに 』
(太田水穂)
投稿: S.ひでき | 2012年6月22日 (金) 22時53分
「なみなみと」ですから、歌われているのはイグサ田でしょうか。
イグサの植え付けは冬で、6月末から7月に刈り取られます。刈り取りが間近に迫って人の背丈ほどにも育ったイグサをうづむばかりのいちめんの水の風景、と思いたいのですが、これはたいへんな水量で、「晴間の水の」の、どこか平和な空気とは合わないようにも思います。
投稿: そよかぜ | 2012年6月23日 (土) 00時31分