キキョウソウ
キキョウソウは、北アメリカ原産のキキョウ科の帰化植物で、1931年に横浜市で報告されたのが最初です。 徐々に広がり、今ではあちこちでよく見ます。
和名はキキョウに似た草ということですが、もちろんキキョウも木ではなく草です。 小さくて、キキョウよりも、より“草的”な植物ということなのでしょう。
キキョウソウは虫を呼ぶ(=目立つ)花の前に閉鎖花をつけるのですが、ここでは5月中旬くらいから咲きはじめる虫を呼ぶ花に注目することにします。
花(虫媒花)は、大きさこそ小さいですが、花粉を受け渡しする仕組みは、本物のキキョウとそっくりです。 つまり、最初、オシベはメシベにくっついていて、オシベから出された花粉をメシベの周囲にくっつけてから、オシベはメシベから離れます(上の写真)。 この時、メシベの柱頭はまだ開いておらず、受粉することはできません。 この花粉を花に来た虫に運んでもらいます。 そしてその後、メシベの柱頭が開き(下の写真)、他の花の花粉を受け取ることができるようになります。 このようにしてキキョウソウは自家受粉を防いでいます。
キキョウソウの特徴的なのはここからです。 下は花が終わったところですが、花筒に何やら楕円形の模様が見えます。
種子が完成すると、この楕円形の部分が、窓のカーテンを巻き上げるように開き、中から種子がこぼれ出ます(下の写真)。
キキョウソウの葉は無柄で、茎を抱いています。 こぼれ出た種子は、この葉の上に溜まります。
この葉の上に溜まっていた種子や、まだ“窓”から外に出ていなかった種子は、キキョウソウが風に揺られたりすることによって飛ばされます。 種子をだれかに運んでもらうのではなく、小さい草が自力でできるだけあちこちに種子をばら撒こうとする巧妙なしかけです。
下は種子がばら撒かれてほとんどなくなってしまった状態です。
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