カンガレイ
「寒ブリ・寒ボラ・寒ガレイ」という言葉があります。 ブリ、ボラやカレイは、寒の季節が旬でおいしいのですが、タイトルのカンガレイは魚ではなく植物です。 下がそのカンガレイですが、どんな漢字でしょう。
(こんな書き方をすると検索の上位には上がってこないと思いますが・・・。)
カンガレイは池や沼などの水辺に生える多年草です。 茎は断面が三角形で、なかなかしっかりと立っています。 葉は退化して葉鞘だけが見られます。
カンガレイを漢字で書くと「寒枯藺」となります。 「藺」は畳表などに使われるイ(=イグサ)のことですから、「寒枯藺」は「冬に枯れた枝が残存するイに似た植物」という意味になります。
ところがイ(藺)はイグサ科ですが、カンガレイはカヤツリグサ科です。 たしかに茎の途中に小穂(=花の集まり)がつく(これも間違い:後述)ように見える姿は両者共通ですが・・・。
両者の本質的な違いは花のつくりにあるのですが、カンガレイの花のつくりを調べようとすれば、ピンセットで鱗片をはずして、という細かい作業になります。 しかしカンガレイがイグサ科で無いことは簡単に言えます。 カンガレイのような茎の断面が三角形の植物は、イグサ科にはありません。
上で小穂が茎の途中についているように見えますが、そうではないと書きました。 じつは小穂は茎の頂端につきます。 小穂より先にあるのは苞です。 ただ、苞の断面も三角形ですので、茎と連続して見えます。
カンガレイによく似た植物にサンカクイがあります。 これこそ茎が三角形のイという名前ですが、やはりカヤツリグサ科です。 両者の違いは、カンガレイの小穂には柄が無く、メシベの柱頭は3裂しています(下の写真)が、サンカクイの小穂には短い柄があり、柱頭は2裂です。
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