この記事は、当初「エゾオナガバチの産卵」として書きましたが、記事を書いている途中で2種が混じっているのではないかと思い、大阪市立自然史博物館のハチを専門とされている学芸員の方にお聞きした結果、やはりエゾオナガバチ( Megarhyssa jezoensis )とオオホシオナガバチ( M. praecellens )が混じっていることが分かりました。 2種が混じっているということを意識してよく観察すれば、どこか行動に違いがあるのかもしれませんが、そんなに大きな違いはないと思いますので、とりあえずは元の文の変更は最小限に留め、2種をまとめて「オナガバチ」として書き、写真の下にそれぞれの種名をいれることにしました。
なお、この変更に伴い、タイトルも変更しています(6月5日)。
エゾオナガバチ
※ この写真と次の写真はクリックで拡大できます。
立ち枯れたエノキの幹に、オナガバチが産卵に来ていました(6月2日撮影)。 オナガバチの仲間(ヒメバチ科オナガバチ亜科)は長い産卵管を持ち、幹の中にいて材を食べて育っているキバチの幼虫に卵を産みつける寄生蜂です。 この枯れたエノキではヒラアシキバチが育っているようですので、このオナガバチのターゲットはヒラアシキバチの幼虫かもしれません。
上の写真、何がどうなっているのか、分かりにくいので、順を追って説明することにします。 下の写真は産卵管を幹に差し込む前の状態です。 触角で幹をトントンと叩くような行動をとっています。 この行動で幹に潜むキバチの幼虫の位置を探っているのだと言われています。 硬い木の幹を触角でたたいてキバチの幼虫の位置が分かるとは驚きですが、ちゃんとキバチの幼虫に寄生できているのですから、位置が分かっているのでしょうね。
オオホシオナガバチ
産卵管を差し込む位置が決まったら、腹部の端を高く持ち上げ、産卵管の先端を目的の位置にセットします(下の写真の下にいる個体)。
下:オオホシオナガバチ 上:エゾオナガバチ?
このまま腹部の端をゆっくりと押し下げ、産卵管を幹に挿入していくのですが、幹に挿入される前の産卵管は、その左右を産卵管鞘とよばれるもので保護されています。 産卵管鞘は幹に入っていきませんから、産卵管が幹に挿入されるにつれて、産卵管鞘は産卵管から離れ、左右に分かれてループ状に取り残されることになります。
産卵管を挿入する速度は、硬い材に挿入していくのですから、本当にゆっくりですが、こんな細い産卵管が挿入できるというのは驚きです。
エゾオナガバチ
上の写真で、産卵管はaからd・eを経て幹の中に挿入されています。 もう大部分の産卵管は幹の中にあります。 そして、この産卵管を保護していた産卵管鞘は、aからb・cを経てdで産卵管といっしょになり、eで終っています。 つまり、幹の中にある産卵管の長さは、
(a-b-c-d-e の長さ)-(a-d-e の長さ)
ということになります。
※ オオホシオナガバチのオスはこちらに載せています。
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