イヌコリヤナギ
イヌコリヤナギは雌雄異株です。 雌株では、果実が破れ、中からたくさんの種子が出てきていました(4月24日撮影)。
下の写真の黒い小さな点が種子ですが、たいへん小さな種子で、周囲にはたくさんの白い綿毛を持っています。
イヌコリヤナギに限らず、ヤナギの種子は、種によって多少はあるものの、このような種子散布のための綿毛を持っています。 このようなヤナギの種子は柳絮(りゅうじょ:絮は綿の意)と呼ばれ、その風に乗って飛散する姿は美しく、中国では古くから漢詩等によく詠み込まれています。
ちなみに、中国では「柳」はヤナギ属を、「楊」(爪楊枝の「楊」です)は同じヤナギ科のヤマナラシ属(ポプラなど)を意味します。 ポプラなども同様の種子を飛ばします(こちら)が、こちらは「楊絮」だそうです。
もっとも、現代の中国で柳や楊がたくさん植えられている町では、春には柳絮や楊絮が息もできないくらいに飛びすぎて、美しいと感じるどころではないとか・・・。
イヌコリヤナギは北海道~九州に自生する落葉低木で、川沿いに限らず、乾燥した山野にも生えています。 長さ5cmほどの葉は主に対生で、両面とも無毛です。
名前は行李(こうり)をつくるコリヤナギに似て、行李作りには向かない木ですので、「イヌ」がついています。
ところで、行李も消えていく言葉なんでしょうね。 行李とは竹や柳で編んだ箱形の物入れで、転じて旅行に持っていく荷物や旅そのものも意味したようです。 念のため、柳行李の写真を下に載せておきます。
写真のイヌコリヤナギには、コムラサキの幼虫もいました。 コムラサキの食草はヤナギ類の葉です。
※ コムラサキの成虫はこちらに載せています。
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コメント
こんにちわ
そよ風さんのブログを訪問して
昨日里山公園に行って見たのと同じようなのを見つけました
イヌコリヤナギ と アジアイトトンボ
種類は違うかも知れませんが・・・・
こうして、よくわからなかったもの、知らなかったものが、どこかからか、一つ一つ教えられる経験を楽しんでいます
投稿: waka | 2012年5月 4日 (金) 08時05分
wakaさん、こんにちは
ヤナギの仲間もイトトンボの仲間も似たものがとても多くて、名前を決めるのはなかなかたいへんです。
ヤナギの仲間も日本に30種類以上もあって、多くの種類が綿のような糸を出します。
投稿: そよかぜ | 2012年5月 4日 (金) 20時51分