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2012年5月17日 (木)

ユリノキ

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 ユリノキは北アメリカ中部原産のモクレン科の落葉高木です。 きれいな樹形や、黄葉も美しいので、街路樹や公園樹として、よく利用されています。 ただ、大ぶりな木ですので、庭木としては、よほど大きな庭でないと・・・。
 チューリップのような形の花も大きくて美しいのですが、上向に咲き、大きくなる木ですから多くは高い所で咲くので、花を覗き込む機会は少なくなってしまいます。
 ユリノキの学名は Liriodendron tulipifera、属名の Liriodendron は、古いギリシア語の leirion(百合)と dendron(樹)を合わせたもので、和名の「ユリノキ」はここから来ています。 また種小名の tulipifera は「チューリップ(のような花)をつける」という意味で、ユリノキは「チューリップツリー」という別名も持っています。 また、上の写真のように、葉も葉先の無い珍しい形をしていて、この葉形を半纏(はんてん)に見立てて、「ハンテンボク」という別名で呼ばれたりもします。
 いろいろ特徴の目立つ木ですが、今回は特に花に注目していくことにします。

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 上はユリノキのツボミです。 褐色みを帯びているのは苞です。 苞の先端が少し凹んでいます。 これは、この苞が2枚の托葉がくっついたものに由来するからです。 モクレン科の植物は、一般に托葉が発達してその内部を保護します(例えばホオノキ)。

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 上は花が開いたところです。 緑色の基部に橙色の部分があるのが花弁で、6枚あります。 その外側の橙色の部分の無いのがガク片で、3枚あります。
 上の写真では、さっそくミツバチが来ています。 ちなみに、ユリノキは重要な蜜源植物で、良質の蜂蜜が得られます。 モクレン科の多くはほとんど蜜を出さず、花粉で虫を呼ぶのですが、そのモクレン科にあって、ユリノキは例外的な存在です。
 開花して時間が経過すると、ガク片は垂れ下がり、花弁の緑色も薄れてきます。 それが最初の写真の状態です。
 さらに時間が経過したのが下の写真です。 花弁の開く角度が大きくなり、黄色っぽくなってきています。 中心にある太いものがメシベが集まったもので、小さな紅色の点がそれぞれのメシベの先端です。 その周囲にたくさんあるのがオシベです。

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 モクレン科の植物は原始的な形態を多く残しています。 ユリノキの花を見ても、たくさんのメシベやオシベがあるのは、花のつくりとして、まだ“整理”されていないからだとされています。
 また、これだけたくさんのメシベやオシベが付くのですから、これらは1本の軸の周囲にらせん状につきます。 軸にらせん状につくのは、葉が枝につく付き方と同じです。 メシベもオシベも葉が変化して作られたと考えられていますが、メシベやオシベがらせん状に付くことは葉の性質が残ったものだと考えられます。 また1本のオシベに注目しても、花糸と葯の分化がはっきりしていません。

 この後、花弁やオシベは散ってしまい、たくさんのメシベが集まったものが、ほぼそのままの形で大きくなり、果実(さく果)になります。 秋、完成した果実はバラバラになり、風に乗って飛んで行きます。 ただ、いちばん外側の果実(=いちばん下側の果実)は、その他の果実を入れておくお椀のような働きをしていて、離れることはありません。 冬にユリノキを見ると、この“お椀”と、たくさんの果実が付いていた軸だけが残っています(下の写真)。

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コメント

ユリノキが咲き始めましたね。
当方でも良く見かける樹ですが、何せ、高根の花なので撮影に苦心しています。皇居の周りにも街路樹になっているところがあり、走りながら眺めています。
花の構造のご説明は本当に勉強になります。有り難うございました。

投稿: こんにちは | 2012年5月18日 (金) 08時47分

多摩NTの住人さん、コメントありがとうございます。
ほんとうに上を向いて咲いているユリノキの花は、もったいない気がしますね。
もっともユリノキは人に見てもらうために咲いているのではなく、蜜をこぼさないためには上を向いて咲く必要があるのでしょうが・・・。
ビル街の街路樹には、ビルから花を見下ろすことのできるユリノキがいいのかもしれませんね。

投稿: そよかぜ | 2012年5月19日 (土) 07時07分

はじめまして。

ユリノキの花をこんなに間近で見ることが
できてとてもしあわせです。

投稿: aopen_z | 2012年5月19日 (土) 17時03分

下枝を残したユリノキ、もっと増えればいいのにね。

投稿: そよかぜ | 2012年5月19日 (土) 21時05分

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