ノミノフスマ
ノミノフスマはナデシコ科ハコベ属の、少し湿り気味の所を好む1年草です。 ナデシコ科の特徴として葉は対生です。 また、ハコベ属の特徴として、5枚の花弁の中央が深く切れ込み、10弁のように見えることと、花柱が3本であることが挙げられます。
身近な所でよく見られるコハコベやミドリハコベをはじめ、ハコベ属の植物にはたくさんの種類があります。 このブログでもアオハコベやミヤマハコベなどを記事にしています。 また、ウシハコベなど、ハコベ属ではない植物にも「○○ハコベ」という名前がつけられています。 ではなぜ、ハコベ属のノミノフスマが「○○ハコベ」という名前ではないのでしょうか。
ノミノフスマは、あまり地面を横に這って広がることはせずに立ち上がり、葉にも茎にもガクにも毛は無く、全体に明るい緑色で、どこかスッキリした印象で、このあたりの全体的な印象が、どこか“ハコベ”とは少し違っていて、“ハコベ”よりさらに小さい、ということなのでしょうか。
では、ノミ(蚤)は小ささを表しているとして、「フスマ」とは?
フスマ(衾)とは、長方形の一枚の布地で現在の掛け布団のように就寝時に体にかけて用いる、平安時代などに用いられた古典的な寝具の一種、ということです。 ちなみに、空を飛ぶムササビなどは、長方形の布が飛んでいるような姿から、「野衾(のぶすま)」という異称を持っています。
しかし、マンガ的想像で蚤がノミノフスマの花弁を掛け布団にして寝ている姿を思い描くと、花弁の真ん中の大きく裂けている所が気になります。 「ノミノフスマ」という名を付けた人は、花弁が10枚だと思っていたのでしょうか。
ノミノフスマによく対比される植物に、ナデシコ科ですがハコベ属ではないノミノツヅリがあります。 小さい植物で葉は対生し白い小さな花が咲くなど、両者はよく似ています。
「ツヅリ(綴り)」は破れをつぎはぎした粗末な衣服ということですが、こちらも葉なのか花なのか、どちらを「綴り」に例えたのか、私にはよく分かりません。 花弁の深い切れ込みを破れと見るなら、ノミノフスマの方がノミノツヅリの名に相応しいように思うのですが・・・。
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