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2012年5月31日 (木)

ヒメユズリハの花

 前に冬のヒメユズリハの様子を、お正月にちなんで記事にしました(こちら)が、今回は花の様子です。
 ヒメユズリハは雌雄異株です。 まず雌株の雌花についてですが、ほとんどメシベ1本だけで1つの花を形成していると言って良いような、単純な花です。 ただし1本の花柄にはたくさんの花が総状につきます。

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 上は5月中旬の様子です。 上に書いたようにほとんどメシベだけのような花ですので、咲いているのかいないのか、はっきりしませんが、下の写真の状態と比較すると、柱頭がまだ開いていないようです。

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 上が雌花の咲いている状態です。 柱頭は2深裂しています。 よく見ると、メシベの基部には退化した小さなガク片があります。 なお、ヒメユズリハによく似たユズリハの雌花では、ガク片は存在せず、小さな仮オシベが見られます。

 雄株の雄花も単純で、1つの花は、7~9本のオシベが輪状に並んだだけのような花です(下の写真)。 よく見ると小さなガク片が数片あるのですが、下の写真では上から撮っているので見えていません。 葯は花粉を出す前は赤褐色ですが、黒くなって白っぽい花粉をたくさん出します。 下の写真では、葉にも白っぽい花粉がたくさんついています。

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写真等の追加

 過去の記事に最近追加した写真等です。

・「ニセジュズネノキ」に花の断面の写真を追加しました。
・「ルリミノキ」に花の写真等を追加しました。
・「キマダラハナバチの一種」にギンランキマダラハナバチかもしれないものの写真を追加しました。
・「ムシクソハムシ」に、本物のムシクソの写真などを追加しました。

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2012年5月30日 (水)

ダイミョウキマダラハナバチ

 ダイミョウキマダラハナバチはコシブトハナバチ科キマダラハナバチ亜科に分類されています。 キマダラハナバチの仲間にもたくさんの種類があって、互いによく似ていて見分けるのが難しい(こちら)のですが、ダイミョウキマダラハナバチはその中で最も大きく、体長は13mmほどあります。 春(4月~5月)にのみ現れて、よく花に来ています。

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※ 写真は3枚ともクリックで拡大します。

 このダイミョウキマダラハナバチは、オスが知られておらず、メスだけで単為生殖をすると言われています。 また、自分で巣を作らず、ヒゲナガハナバチの巣に労働寄生する(卵を産んで育ててもらう)とのことです。

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2012年5月29日 (火)

アマ

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 アマはアマ科の一年草です。 花が美しいだけではなく、茎からは繊維が(下記)、種子からは油(亜麻仁油)が採れます。 亜麻仁油は、油絵具の顔料を溶かす媒材(バインダー)として使われる他、食用としても使われています。

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(アマの繊維について)
 クールビズで麻(あさ)の衣類などが注目されています。 この「麻」は元来はアサ科アサ属の大麻から作られた繊維のことでしたが、現在では「麻」の名称で流通させて良い繊維はアマ科の亜麻とイラクサ科の苧麻のみで、大麻はマリファナの原料ともなり、指定外繊維となっています。 そして、現在日本で麻の名称で流通している繊維の大半は、写真のアマ(亜麻)から作られています。
 アマ(亜麻)から作られる繊維を原料とした織物は、リネンまたはリンネル( linen:英語、liniere:フランス語)と呼ばれています。 ちなみに、現代ではシーツ類はリンネル製品に限られているわけではありませんが、宿泊施設等では、慣例的にシーツなどを保管する部屋を「リネン室」と呼んでいる場合が多くあります。
 アマの利用は古く、古代エジプトのミイラにも利用されていたようです。

※ クロード・ドビュッシーの作曲したピアノのための前奏曲や、島谷ひとみなどが歌う「亜麻色の髪の乙女」という曲がありますが、この「亜麻色」は、アマの花の色ではなく、漂白する前のアマの繊維の、黄みを帯びた淡い褐色です。

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2012年5月28日 (月)

オドリバエ科 Hybos属

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 オドリバエの仲間(オドリバエ科)は、他の昆虫などを捕えて餌としており、世界では3,000種以上が記録されています。 大きさにも幅がありますし、何を餌とするかで形態は多様化しています。
 オドリバエの名前は、飛び方が踊りをおどるようなところからと言われていますが、種によって飛び方も異なり、一概には言えないようです。
 日本産のオドリバエ科については、三枝豊平先生作成の検索表があります。 これによれば、写真のオドリバエは、セダカバエ亜科(Hybotinae)のHybos属のものということになりました。 体長は翅を含めずに6mmでした。 なお、セダカバエ亜科は、セダカバエ科としてオドリバエ科から独立させる扱いもあります。

※ 写真は全てクリックで拡大します。細かい所は拡大してご覧ください。

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 複眼は上下に分かれています(上の写真)。 どういう意味があるのでしょうね。 また、中脚の膝節には長い毛が認められます(下の写真)。

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 下の写真では翅脈の様子がよく分かります。

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 餌は後脚でしっかりはさみつけています。

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 上で捕らえられているのは、チャタテムシの一種、下は同じ双翅目の昆虫のようです。 長い口吻を突き刺しています。

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 写真のオドリバエは、5月12日に、直線距離で2kmほど離れた2ヶ所でたくさん発生しているのに出会い、そのうちの1ヶ所で撮ったものですので、同種でしょう。 その後、次第に個体数は減っているようですが、餌を捉えている所に何度も出会い、昨日も出会いました。 上に書いたように、オドリバエの仲間はたくさんいて、同定には翅脈の様子や毛の生え方を見る必要があり、別の日に見たものも全て同種だとは言い切れないのですが、雰囲気的にはたぶん同種だったと思います。

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2012年5月27日 (日)

コメガヤ

 山道を歩いていると、米粒のようなものが1列につながって、ゆらりゆらり。 コメガヤです。 下の写真では、緑の“米粒”と白い“米粒”が混じっていますが、そのうち全部紫色を帯びた白い“米粒”になります。

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 下はその穂の一部を拡大したものです。 上で“1列につながって”と書きましたが、下のように拡大して撮ると、じつは枝分かれしていることが分かります。

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 1つの“米粒”も、じつはこの“1粒”が小穂で、複数の花が集まったものです。 上の写真ではあちこちでメシベの柱頭やオシベの葯が見えていますが、下はこの小穂が広がった状態を撮ったものです。

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 コメガヤの小穂は、2枚の苞穎で保護され、受粉して結実することのできる小花(=ほんとうの花)が2つと、その先には1~2個の退化して結実することのできない小花をつけています。

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2012年5月26日 (土)

ヒメジュウジナガカメムシ

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 ヒメジュウジナガカメムシは様々な植物の汁を吸うカメムシです。
 ヒメジュウジカメムシによく似た種に、ジュウジナガカメムシがいます。 背側から比較すると、ヒメジュウジナガカメムシよりもやや大きく、前胸背の黒色の紋が細長いなどの違いが言われていますが、相対的なもので、はっきりしません。
 両者の違いは腹部下部を見るとはっきりするようです。 ヒメジュウジナガカメムシでは腹部下部の黒斑が左右につながって帯状になっている(下の写真)のに対し、ジュウジナガカメムシでは腹部下部の黒斑がとぎれて円形になっています。

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2012年5月25日 (金)

ササノハスゲ

 今までいくつかのスゲについて書いてきましたが、こんなスゲもあります。

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 ササノハスゲは本州の近畿以西と四国の山地の樹林内に分布します。 写真は大阪府と奈良県の境にある金剛山で撮ったものです。
 広く分布するタガネソウに似ていますが、ササノハスゲは小穂が球状で長く伸びないことや、冬にも地上部が枯れずに残ることで区別できます。
 小穂は雄雌性ですが、下の写真の小穂では花は既に終わり、雄花は確認できません。 柱頭が3裂しているのは下の写真でも確認できます。

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2012年5月24日 (木)

ムカシヤンマ

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 ムカシヤンマはムカシヤンマ科に属する日本固有種のとんぼです。 名前のとおり、原始的な形質を持っています。 同様に原始的な形質を持っているとんぼにムカシトンボがいますが、ヤンマの名前で分かるように、ムカシヤンマはムカシトンボよりずっと大きく、体調は約8cmあります。
 具体的に原始的な形質とは、ひとつには、生殖弁ではなく、産卵管を持っています。 また他のヤンマとは異なり、複眼が離れています。

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 とんぼの幼虫(ヤゴ)は水中で生活するものと思い込んでいましたが、このムカシヤンマの幼虫は、湿ったコケや土にトンネルを掘って住み、水に入ることはほとんどないようです。 また、成虫になるのには約3年かかるといわれています。

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2012年5月23日 (水)

ユウゲショウ(アカバナユウゲショウ)

 ここで書くユウゲショウは、アカバナ科マツヨイグサ属の多年草です。 オシロイバナもユウゲショウと呼ばれることがあり、これと区別するためにアカバナユウゲショウとも呼ばれています。 ただし花の色素は1つの遺伝子の変異で作られなくなりますので、どんな植物でも白い花になる可能性があり、実際に白花のアカバナユウゲショウがあちこちで観察されています。
 以下、ユウゲショウと呼ぶことにします。

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 ユウゲショウは北米南部から南米にかけての原産で、日本へは明治時代に鑑賞用に移入され、栽培されていましたが、現在では広く野生化しています。
 薄紅色の花は直径が1~1.5cmほどで、マツヨイグサ属ですので、花弁が4枚、オシベが8本で、メシベの先端は4裂しています。

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 上の写真は5月18日の15時に撮ったものです。 昼間咲いているのに「夕化粧」とは? と思い、本やHPで少し調べてみたところ、おもしろいことになりました。
 全国農村教育協会『日本帰化植物写真図鑑』(2008年6月28日改訂版)は、なかなかいい図鑑で、現在は第2巻も発行され、私もよく使っているのですが、この中では、「花は夜咲き」と書かれています。
 ウィキペディアでは「和名の由来は、午後遅くに開花して、艶っぽい花色を持つことからとされるが、実際には昼間でも開花した花を見られる。」とあります。
 岡山理科大学植物生態研究室(波田研)のHP「植物雑学事典」では、「昼咲きであって夕方には花を閉じてしまう。」とあります。
 私の観察では「植物雑学事典」のようになるのですが、こんなに開花時間に関する記述が違っているのはなぜでしょうか。
 また花期についても、保育社の『検索入門野草図鑑⑦』では、花期は7~9月となっていますが、私が以前花を見たのも5月でした。
 性質の異なる複数の系統のユウゲショウが日本に入ってきているのでしょうか。 季節で開花時間などが変化するのでしょうか。 それとも発芽時期などで異なるのでしょうか。 ユウゲショウがどんな季節の何時頃に咲いているのか、チェックする必要がありそうです。

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2012年5月22日 (火)

マダラトベラキジラミ

 近所の道路脇に植えられているトベラの新葉に何やら白いモジャモジャがついていました(下の写真)。

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 これはキジラミなどが分泌するロウ物質だろうと、葉の裏を見ると、たくさんのマダラトベラキジラミ(注)がいました。(5月13日撮影)

(注) 当初はトベラキジラミとしていましたが、「山陰地方のキジラミ図鑑」によると、トベラにつくキジラミとして、トベラキジラミ( Cacopsylia tobirae )とマダラトベラキジラミ(仮称)( C.sp. )が載せられていて、写真のものはマダラトベラキジラミのようです。 タイトルも変更しました。
 なおトベラキジラミは、新成虫は全身が黄色で、その後に緑色に変化して目立つ模様は無く、前翅は透明で黄色を帯び、前翅後縁の斑紋もありません。

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 青い個体は羽化して間もないものでしょう。 下は羽化したばかりで、左には脱皮殻があります。

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2012年5月21日 (月)

ニセジュズネノキ

 植林の林床で、ニセジュズネノキが、昨年の実をつけたまま、花を咲かせていました。 ニセジュズネノキは、関東以西のこのような林内の日陰に生える常緑小低木です。

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 ニセジュズネノキはアカネ科アリドオシ属に分類されており、トゲが目立ちます。 名前の「ニセ」は、同属のナガバジュズネノキやオオバジュズネノキなど(これらの木にはトゲはほとんどありません)の根がしばしば数珠状に膨らむのに対し、ニセジュズネノキの根は数珠状に膨らまないことからです。
 ニセジュズネノキのトゲの長さは、ほぼ1cmに達します。 葉の長さが2.5~3cmほどですので、トゲの長さは、ほぼ葉の長さの1/3ほどになります。
 トゲの目立つよく似た木にアリドオシがありますが、アリドオシの葉はトゲとほぼ同じ長さの1~2cmほどです。

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 花は通常2つずつつきます。上の写真の左上の1つの花は、既に花冠が落ちてメシベだけになっています。
 花冠の内面には白い毛が生えています。 オシベは4本で、メシベの柱頭も4裂しています。 上の写真では白っぽい花の白い毛に囲まれて、色の似た葯と柱頭が並んでいますので、分かりやすくするために花の断面を作ってみました(下の写真)。

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2012年5月20日 (日)

ハマダラヒロクチバエ

 ハマダラヒロクチバエはミバエ上科ヒロクチバエ科に分類されています。 翅が斑模様で頭部が橙色です。 体長は1cmほど、メスには産卵管が認められるということなので、写真はオスでしょう。
 近縁のものにオオマダラヒロクチバエやコマダラヒロクチバエなどがいますが、頭部全体が黄橙色なのはハマダラヒロクチバエだけのようですので、たぶん間違い無いでしょう。

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 このハマダラヒロクチバエは、樹液や獣糞によく来るようですが、この日は毛虫(種類は分かりません)の死骸に来ていました。
 最初の写真のように餌の無い所では、他の多くのハエの仲間のように、カメラを近づけると、パッと飛んで逃げるのですが、この時はおもしろい行動を見せてくれました。 場所は柵の手すりの上ですが、カメラを近づけると、餌から離れ、ゆっくりと、ほんとうにゆっくりと、ハエらしからぬ動きで後ずさりし、手すりの裏に隠れます。 こちらが少し離れていると、そ~っと出てきて、ゆっくりと餌に近づきます。 横からの写真を撮ろうと、こちらがカメラを構えて近づくと、カメラに正対し、ゆっくり後ずさりです。 こんなことを何度も、こちらがあきらめるまで繰り返しました。

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 下は口吻を伸ばしているところです。 たしかに「広口」でした。

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2012年5月19日 (土)

マツバスゲ

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 マツバスゲは湿地に生える小さなスゲです。 湿地といっても、小さなものほど“小回り”がきくわけで、写真のマツバスゲも、山道の脇の窪みと言って良いような溝の脇に生えていたものです。
 上は4月7日に撮ったマツバスゲで、ちょうど花の時期でした。 細い葉は短く、目立つのはほとんどが花茎です。
 花茎の先には小穂が1つ。 この小穂は雄雌性で、先端部に雄花部があり、基部側に雌花部があります。 下はこの小穂を拡大したものですが、先端部から伸びだしているのはオシベで、基部に見られる白いものはメシベの柱頭です。

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 下は5月12日に同じ撮った同じ株の小穂です。 基部側の雌花部には果胞ができています。 果実はこの果胞の中で育ちます。

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 スゲもいろいろです。 雌花と雄花の位置関係を見ても、ヒメカンスゲのように1つの花茎に雄小穂と雌小穂をつけるものや、コウボウムギのように雌株と雄株が独立しているもの、そして今回のマツバスゲのように1つの小穂に雄花部と雌花部があるものなど、様々なパターンがあります。

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2012年5月18日 (金)

アオバセセリ

 アオバセセリがミツバウツギの花に来ていました。

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 アオバセセリは暖地系のセセリチョウで、光の当たり方により、翅の色が少し変ります。 この項の写真はフラッシュを使用せず、全て自然光での撮影ですが、上は太陽の光が当たっている場合で、下は木の陰に入って太陽の光が当たっていない場合です。

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 翅の表も美しいので、なんとか撮ろうとしたのですが、花から花へと飛び回っているアオバセセリは、なかなか翅を開いてくれません。 下の写真も、せめてもう少し翅の間に光が入ると良かったのですが・・・。

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 アオバセセリは年2~3回発生し、成虫は5~9月頃に見られるのですが、そんなにたくさんいる蝶ではありません。 理由の1つとして、幼虫の食草のことが考えられます。 幼虫の食草はは、アワブキ、ヤマビワ、ミヤマハハソなどのアワブキ科の植物なのですが、これらの木がたくさん生えているところは、ほとんどありません。

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2012年5月17日 (木)

ユリノキ

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 ユリノキは北アメリカ中部原産のモクレン科の落葉高木です。 きれいな樹形や、黄葉も美しいので、街路樹や公園樹として、よく利用されています。 ただ、大ぶりな木ですので、庭木としては、よほど大きな庭でないと・・・。
 チューリップのような形の花も大きくて美しいのですが、上向に咲き、大きくなる木ですから多くは高い所で咲くので、花を覗き込む機会は少なくなってしまいます。
 ユリノキの学名は Liriodendron tulipifera、属名の Liriodendron は、古いギリシア語の leirion(百合)と dendron(樹)を合わせたもので、和名の「ユリノキ」はここから来ています。 また種小名の tulipifera は「チューリップ(のような花)をつける」という意味で、ユリノキは「チューリップツリー」という別名も持っています。 また、上の写真のように、葉も葉先の無い珍しい形をしていて、この葉形を半纏(はんてん)に見立てて、「ハンテンボク」という別名で呼ばれたりもします。
 いろいろ特徴の目立つ木ですが、今回は特に花に注目していくことにします。

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 上はユリノキのツボミです。 褐色みを帯びているのは苞です。 苞の先端が少し凹んでいます。 これは、この苞が2枚の托葉がくっついたものに由来するからです。 モクレン科の植物は、一般に托葉が発達してその内部を保護します(例えばホオノキ)。

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 上は花が開いたところです。 緑色の基部に橙色の部分があるのが花弁で、6枚あります。 その外側の橙色の部分の無いのがガク片で、3枚あります。
 上の写真では、さっそくミツバチが来ています。 ちなみに、ユリノキは重要な蜜源植物で、良質の蜂蜜が得られます。 モクレン科の多くはほとんど蜜を出さず、花粉で虫を呼ぶのですが、そのモクレン科にあって、ユリノキは例外的な存在です。
 開花して時間が経過すると、ガク片は垂れ下がり、花弁の緑色も薄れてきます。 それが最初の写真の状態です。
 さらに時間が経過したのが下の写真です。 花弁の開く角度が大きくなり、黄色っぽくなってきています。 中心にある太いものがメシベが集まったもので、小さな紅色の点がそれぞれのメシベの先端です。 その周囲にたくさんあるのがオシベです。

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 モクレン科の植物は原始的な形態を多く残しています。 ユリノキの花を見ても、たくさんのメシベやオシベがあるのは、花のつくりとして、まだ“整理”されていないからだとされています。
 また、これだけたくさんのメシベやオシベが付くのですから、これらは1本の軸の周囲にらせん状につきます。 軸にらせん状につくのは、葉が枝につく付き方と同じです。 メシベもオシベも葉が変化して作られたと考えられていますが、メシベやオシベがらせん状に付くことは葉の性質が残ったものだと考えられます。 また1本のオシベに注目しても、花糸と葯の分化がはっきりしていません。

 この後、花弁やオシベは散ってしまい、たくさんのメシベが集まったものが、ほぼそのままの形で大きくなり、果実(さく果)になります。 秋、完成した果実はバラバラになり、風に乗って飛んで行きます。 ただ、いちばん外側の果実(=いちばん下側の果実)は、その他の果実を入れておくお椀のような働きをしていて、離れることはありません。 冬にユリノキを見ると、この“お椀”と、たくさんの果実が付いていた軸だけが残っています(下の写真)。

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2012年5月16日 (水)

アカハラゴマダラヒトリ・キハラゴマダラヒトリ

 ヒトリガの仲間に、アカハラゴマダラヒトリとキハラゴマダラヒトリという蛾がいます。 両者は、出現時期が4月と6~9月という点でも同じですし、幼虫の食餌植物がクワやサクラなどの葉である点も同じです。 似た種は、食べ物が違ったり、生活の仕方が違ったり、何か違って住み分けているのが普通です。 アカハラゴマダラヒトリとキハラゴマダラヒトリは、どのようにして種分化が起こったのでしょうね。
 両者の外見もよく似ています。 白地に黒い斑紋があるのですが、この斑紋の様子で両者を区別することは、少なくとも私にはできません。 2種間の違いよりも、同種内での個体差の方が大きいようです。 両種に共通の大きな傾向としては、春よりも夏の方が黒い斑紋が多く見られ、春型では、場合によっては斑紋が見られない場合もあります。(下の写真は全て5月の撮影です。)
 両者の違いは、脚の付け根の色の違いが外から見える場合もありますが、はっきり確認しようとすれば、翅を持ち上げるしかありません。 アカハラゴマダラヒトリの腹は赤く、キハラゴマダラヒトリの腹は黄色です(名前のとおりです)。

アカハラゴマダラヒトリ ①

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アカハラゴマダラヒトリ ②

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キハラゴマダラヒトリ

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 昨日ヒメカギバアオシャクのことを書き、その中で、この蛾はなかなか飛んで逃げようとしないと書きましたが、このアカハラゴマダラヒトリやキハラゴマダラヒトリはヒメカギバアオシャク以上です。 上の写真のように翅を持ち上げられても平然としています。 昨日も書きましたが、なかなか近寄らせてもくれない蛾との違いは、何を意味するのでしょうね。

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2012年5月15日 (火)

ヒメカギバアオシャク

 ヨモギの葉の上に、ヒメカギバアオシャクがいました。 派手さはありませんが、落ち着いた色合いの、とても美しい蛾です。 よく目立つ葉の上にいたのですが、鳥たちの眼にはどのように見えているのでしょうか。
 幼虫は、アラカシ、コナラ、クリなどのブナ科の葉や、ツノハシバミなどの皮も食べるそうです。

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 カメラを近づけても逃げる気配は全くありませんので、翅の裏も撮ろうと思い、大胆にも葉を引き下げると、少なくとも顔は緑の葉の上にあるようにチョコチョコと横に移動しました。 何度繰り返しても同じことで、下の写真が限度です。
 とにかく、翅の裏は、黄色と橙色の中間のような、わりあい派手な色でした。 江戸時代、老中松平定信の寛政の改革で出された倹約令(奢侈禁止令)に対し、元禄の贅沢に慣れた庶民は、目立たない裏地に絹を使った着物を着たそうですが、そんな話を思い出しました。

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 蛾は種類によって、すぐ逃げてなかなか近づけないものも、簡単に近づけるものもいます。 これらの行動の違いは、それぞれの蛾の生態的な位置づけとどのように関係するのか、以前から気になっています。
 ヒメカギバアオシャクのなかなか飛んで逃げようとしない上記の様子について、最初は、緑の葉の上が保護色になることを本能的に知っていて、緑の葉の上に“執着している”のだと思いました。 しかしネットでヒメカギバアオシャクの写真を見ると、白い壁や褐色の板にとまっているものもいます。 また、おとなしい蛾である旨が書かれているブログもあり、私の見たヒメカギバアオシャクが、たまたま弱っていたということでも無さそうです。
 ヒメカギバアオシャクは単に顔を隠して眼を守っているだけなのか、他のHPなどに載せられている緑以外の所にとまっているのが“仕方なく”なのか、また派手な翅の裏の色は別の目的に使い、普段はその翅の裏を隠すのに熱心なのでしょうか。 手始めに、昼間に葉以外の所にとまっているヒメカギバアオシャクを触って、すぐ逃げるのかどうか、反応を見たいものです。

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2012年5月14日 (月)

ノミノフスマ

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 ノミノフスマはナデシコ科ハコベ属の、少し湿り気味の所を好む1年草です。 ナデシコ科の特徴として葉は対生です。 また、ハコベ属の特徴として、5枚の花弁の中央が深く切れ込み、10弁のように見えることと、花柱が3本であることが挙げられます。

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 身近な所でよく見られるコハコベやミドリハコベをはじめ、ハコベ属の植物にはたくさんの種類があります。 このブログでもアオハコベやミヤマハコベなどを記事にしています。 また、ウシハコベなど、ハコベ属ではない植物にも「○○ハコベ」という名前がつけられています。 ではなぜ、ハコベ属のノミノフスマが「○○ハコベ」という名前ではないのでしょうか。
 ノミノフスマは、あまり地面を横に這って広がることはせずに立ち上がり、葉にも茎にもガクにも毛は無く、全体に明るい緑色で、どこかスッキリした印象で、このあたりの全体的な印象が、どこか“ハコベ”とは少し違っていて、“ハコベ”よりさらに小さい、ということなのでしょうか。

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 では、ノミ(蚤)は小ささを表しているとして、「フスマ」とは?
 フスマ(衾)とは、長方形の一枚の布地で現在の掛け布団のように就寝時に体にかけて用いる、平安時代などに用いられた古典的な寝具の一種、ということです。 ちなみに、空を飛ぶムササビなどは、長方形の布が飛んでいるような姿から、「野衾(のぶすま)」という異称を持っています。
 しかし、マンガ的想像で蚤がノミノフスマの花弁を掛け布団にして寝ている姿を思い描くと、花弁の真ん中の大きく裂けている所が気になります。 「ノミノフスマ」という名を付けた人は、花弁が10枚だと思っていたのでしょうか。

 ノミノフスマによく対比される植物に、ナデシコ科ですがハコベ属ではないノミノツヅリがあります。 小さい植物で葉は対生し白い小さな花が咲くなど、両者はよく似ています。
 「ツヅリ(綴り)」は破れをつぎはぎした粗末な衣服ということですが、こちらも葉なのか花なのか、どちらを「綴り」に例えたのか、私にはよく分かりません。 花弁の深い切れ込みを破れと見るなら、ノミノフスマの方がノミノツヅリの名に相応しいように思うのですが・・・。

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2012年5月13日 (日)

ムラサキツマキリヨトウ

 今年もムラサキツマキリヨトウの見られる季節になりました。 この蛾については、2年前にいちど記事にしています(こちら)ので、今回は鑑賞中心に。
 写真はクリックで拡大します。

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 ところで、今年は春が遅いと思ったら急に暖かくなったり、また寒さが戻ったりしています。 また集中豪雨や大きな竜巻なども起こっています。 これも地球温暖化の影響で大気の流れが従来とは変化している結果ではないかと思っています。
 そんななかで、これは私の印象にすぎませんが、今年は開花時期などの植物のリズムは例年より遅れ、昆虫はほぼ例年通りの時期に例年通りの種類が出現しているような気がします。
 もし植物と昆虫の四季のリズムが従来と違ってくると、特定の昆虫と強い結びつきを持った植物はうまく受粉できないかもしれませんし、うまく餌にありつけない昆虫もいるかもしれません。 気候変動の生態系全体に及ぼす影響が心配です。

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2012年5月12日 (土)

ハルユキノシタ

 ハルユキノシタはユキノシタに近縁の植物で、「春に咲くユキノシタ」の意。 では、ユキノシタの花期は・・・やはり春です。 生育地にもよりますが、ほぼ1ヶ月ハルユキノシタの方が早く開花しますが・・・。 ハルユキノシタの自生地は本州中央部の深山ですので、この写真は京都府立植物園で4月25日に撮ったものです。 そして間もなくユキノシタも咲き出すでしょう。

Haruyukinosita120425_1

 自生地では湿った崖などに生える点はユキノシタに似ています。 葉は淡緑色で、ユキノシタのように下面が赤紫色を帯びることはありません。 それに、ユキノシタのように走出枝を出すことはありません。
 花のつくりは、メシベの花柱が2本であることや、花弁5枚のうち、上方の3枚が小さくて下方の2枚が大きいなど、基本的にはユキノシタと同じです。 しかしユキノシタの上方3枚の花弁には濃い紅色の模様があるのに対し、ハルユキノシタの上方3枚の花弁の斑紋は黄色です。

Haruyukinosita120425_2

 ユキノシタやハルユキノシタに似た植物として、ジンジソウやダイモンジソウなどがありますが、ジンジソウの花期は秋で、ダイモンジソウの花期は夏ですし、それぞれ葉の形も花の様子も少しずつ異なります。

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2012年5月11日 (金)

チュウシャクシギのお食事

 チュウシャクシギはカニが大好物ですが、そのままだと脚が喉に引っかかります。 そこで、くちばしでカニの脚をはさんで、

Chuushaku120504_1

振って、脚を切り離し、
※ 生きているカニは脚を自ら切り離す能力があり(これを「自切」と言います)、この場合もカニは自切によって逃げようとしていると理解することもできます。 とにかく、私たちがカニを食べる時よりは、ずっと簡単に脚がはずれるようです。

Chuushaku120504_2

脚の減ったカニを拾って、

Chuushaku120504_3

またカニの脚をくちばしではさんで・・・を繰り返し、

Chuushaku120504_4

脚を減らして、

Chuushaku120504_5

それから食べるように思えたのですが・・・
肝心の所がうまく撮れていません (-_-;

 シャッターを切る瞬間は、ファインダーから像が消えてしまいますので、連写をしていると、今チュウシャクシギがどうしているのか、確認できなくなってしまいます。

Chuushaku120504_6    さて、次の餌は、と・・・

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2012年5月10日 (木)

ハマナスの花に集まるカタモンコガネ

 二色浜には点々とハマナスが育っています。

Hamanasu120504_1

 その花の中を覗くと、特に古い花にはカタモンコガネがたくさん集まっていました。

Katamonkogane120504_1

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 カタモンコガネは、写真のように、体全体が毛に覆われていますが、特に腹部の両側にある長い毛が目立ちます。 クヌギやコナラなどにも来ますが、バラ科の植物でよく見られるコガネムシの仲間です。 海岸部や河川敷など開けた環境を好むようです。

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2012年5月 9日 (水)

オオスナゴミムシダマシ

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 二色浜にはたくさんのオオスナゴミムシダマシがいました。 上のオオスナゴミムシダマシはハマヒルガオの葉を食べているように見えます。
 オオスナゴミムシダマシはゴミムシダマシ科に分類されています。 ゴミムシダマシ科の昆虫は種類が多く、世界に16000種いると言われていますが、その中のスナゴミムシダマシの仲間( Gonocephalum属 )だけでも似たものが多く、私には違いがよく分からないのですが、二色浜にある貝塚市立自然遊学館の調査ではオオスナゴミムシダマシとありましたので、それに従いました。

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 オオスナゴミムシダマシは危険を感じると砂に潜ろうとするようです。

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2012年5月 8日 (火)

コウボウシバ

 昨日記事にしたコウボウムギに似た植物にコウボウシバがあります。 海岸の砂地に自生し、長く根茎を伸ばしてあちこちに地上茎を出すのもコウボウムギ同様です。

Koubousiba120504_1

 名前は、コウボウムギに似て、それより小さいからでしょう。 上は左がコウボウシバ、右がコウボウムギの雌株です。(左端や手前の葉はハマヒルガオです) ただしコウボウムギもコウボウシバもカヤツリグサ科のスゲ属ですから、イネ科のムギやシバとは体のつくりはかなり違います。 特に、コウボウムギはスゲ属には珍しい雌雄異株でしたが、コウボウスゲは他の多くのスゲ属の植物同様、同じ茎に雄小穂と雌小穂をつけますので、これだけでイネ科とはかなり違ってきます。

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 雄小穂は茎頂に1つ、雌小穂は茎の途中に数個付きます。 上は花が咲いている状態で、雌花の白い柱頭が目立ちます。 下は果実がかなり大きくなっています。

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2012年5月 7日 (月)

コウボウムギ

 下はコウボウムギ、左が雌株、中央から右が雄株です(5月4日、大阪府二色浜で撮影)。

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 コウボウムギは砂浜に育つ海浜植物のひとつで、カヤツリグサ科スゲ属の多年草です。 スゲ属の多くは、例えばヒメカンスゲの所で書いたように、1本の花柄に雌小穂と雄小穂をつけます。 コウボウムギに似たコウボウシバも1本の花柄に雌小穂と雄小穂をつけます。 しかしコウボウムギはスゲ属には珍しく、雌雄異株です。
 砂浜の砂はよく動きます。 また潮風もあり、乾燥しがちです。 そんな環境で生きる工夫として、コウボウムギは地下に長く伸びる匍匐茎を発達させています。
 コウボウムギの生えているところを見ると、オスの花茎ばかりが目立つ所と、メスの花茎ばかりが目立つ所があります。 最初の写真は、雌株と雄株が1枚の写真に納まるところをやっと探して撮ったものですが、それでも中央から右側はオスの花茎ばかりです。 これは地下で長い匍匐茎が這い回り、その所々で雄株・雌株それぞれの地上茎を出しているのだと考えると、理解できます。 乾燥しやすい環境にあって、花茎は硬く直立しています。
 葉も、乾燥に耐えるために、厚みがあって硬く、古い葉も比較的長く残っている様子が、1枚目の写真でも分かります。 また、分解されずに残った古い葉鞘の繊維は、昔は筆の穂に使っていたようで、コウボウムギは「筆草(ふでくさ)」とも呼ばれていたようです。 コウボウムギの「コウボウ」も、筆とくれば三筆のひとりでよく名の知られた弘法大師(=空海)だ、ということからのようです。 なお「ムギ」は雌株の果実が稔った様子が麦の穂に似ているところからでしょう。

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 花穂の様子を、もう少し詳しく見ていくことにします。 まず、上は若い雌株の花穂(=まだ花が咲いている)の一部を拡大したものです。 白いものはメシベらしいことが分かりますが、どれが1つの花なのか、分かりません。 そこで1つの花を取り出したのが下の写真です。 1本のメシベは3本に分かれた柱頭からなることが分かります。
 上と下の写真を、特に柱頭の数に注目して比較すると、複数の雌花が集まった小穂が先の尖った大きな鱗片に保護され、さらにそれらがたくさん集まったのが上の写真だということになります。

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 下は雄株の花穂の一部です。 花粉を出し終えたたくさんの葯が垂れ下がっています。 複数の花からなる小穂がたくさん集まって花穂を形成している点では、上の雌株の場合と同じです。

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 コウボウムギは比較的よく発達した砂浜でしか見かけません。 大阪湾でもコウボウムギの見られる砂浜はたいへん少なくなってしまいました。
 二色浜(名前は「白砂と青松の二色の浜」から)でも、海水浴場としての養浜や、阪神高速湾岸線の工事(平成3年)のために、一時はたいへん減少したのですが、どうにか生き残り、その後次第に群落が回復して現在に至っています。

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2012年5月 6日 (日)

キョウジョシギ

 5月4日に甲子園浜で撮ったキョウジョシギです。 近づいてくれませんが、少なくともここ数日は連日見られるようです。 下の写真は左がメス、右がオスでしょう。

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 このシーズンの海辺は人でいっぱいです。 ところが、西宮市は、市の条例で甲子園浜の一角を生物保護地区に指定し、渡り鳥の餌場確保のために4月5月に堤防から下へ降りることを禁止していますので、いつもどおりの鳥の観察が可能です。

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 キョウジョシギの名前は、シギ類には稀な明るい赤っぽい色が目立ち、派手な模様で美しく、これを京都の女性の着物に例えたといわれています。 顔の黒い模様は、私には歌舞伎の隈取(くまどり)のように見えます。 もちろんこの色は夏羽の色で、旅鳥ですので秋にも見られるのですが、冬羽は頭も背中も褐色になり、“隈取模様”はほとんど分からなくなります。

 シギのイメージといえば、長い嘴と長い脚ですが、キョウジョシギは嘴も脚も短く、チドリのような体型です。 下はハマシギと共に採餌しているところですが、ハマシギより体は大きいのに、嘴が短いのが分かります。(残念ながら脚は比較できませんね・・・)

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 キョウジョシギの英名は Ruddy Turnstone、つまり「血色のよい、石をひっくりかえすもの」で、石をひっくり返して餌を探す習性にちなんでいます。 その時に、この短めで丈夫な嘴が役立つのですね。
 ところが上の写真のような場所では、ひっくり返せるような石はありません。 見ていると、盛んに岩をつついていました。 動物食ですので、岩に生えている藻の間に潜む小さな虫を探しているのでしょう。
 いっしょにいるのに、ハマシギは泥の中の虫を探し、キョウジョシギは岩をつつく・・・ その対比がおもしろく、鳥たちが満腹して休憩モードに入るまで眺めていました。

※ もう少し近づいて撮ることのできたキョウジョシギの様子はこちらに載せています。

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2012年5月 5日 (土)

クレソンに集まるニホンカブラハバチ

 家の近くの公園の溝にクレソンがたくさん育っています。 「クレソン」はフランス語で(Cresson)、和名はオランダガラシ、香味野菜としてサラダや若い茎と葉を肉料理の付け合せになどに用いています。

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 クレソンはヨーロッパ~中央アジア原産のアブラナ科の多年草です。 日本には明治の初めに在留外国人用の野菜として導入されましたが、繁殖力が旺盛で、茎の切れ端からでも発根するので、各地で野生化し、外来生物法によって要注意外来生物に指定されています。

 そのクレソンに、たくさんのニホンカブラハバチが来ていました。 カブラ(=カブ)もアブラナ科(アブラナ属)ですが、ニホンカブラハバチの幼虫の食餌植物はアブラナ科です。
 クレソンで育った幼虫が羽化したのか、産卵のために集まっているのでしょうか。 とにかく、すぐ飛んでしまうハチですが、集まってくれていると、どうにか写真に撮ることができます。

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 なお、ニホンカブラハバチによく似たハチで、カブラハバチがいます。 個体数はニホンカブラハバチより少なく、胸部背面の橙色部がニホンカブラハバチより少なめです。 また、写真では翅を閉じていて分かりませんが、腹部第1節背面が、ニホンカブラハバチでは黒色、カブラハバチでは橙色ということです。

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2012年5月 4日 (金)

イヌコリヤナギ

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 イヌコリヤナギは雌雄異株です。 雌株では、果実が破れ、中からたくさんの種子が出てきていました(4月24日撮影)。
 下の写真の黒い小さな点が種子ですが、たいへん小さな種子で、周囲にはたくさんの白い綿毛を持っています。
 イヌコリヤナギに限らず、ヤナギの種子は、種によって多少はあるものの、このような種子散布のための綿毛を持っています。 このようなヤナギの種子は柳絮(りゅうじょ:絮は綿の意)と呼ばれ、その風に乗って飛散する姿は美しく、中国では古くから漢詩等によく詠み込まれています。

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 ちなみに、中国では「柳」はヤナギ属を、「楊」(爪楊枝の「楊」です)は同じヤナギ科のヤマナラシ属(ポプラなど)を意味します。 ポプラなども同様の種子を飛ばします(こちら)が、こちらは「楊絮」だそうです。
 もっとも、現代の中国で柳や楊がたくさん植えられている町では、春には柳絮や楊絮が息もできないくらいに飛びすぎて、美しいと感じるどころではないとか・・・。

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 イヌコリヤナギは北海道~九州に自生する落葉低木で、川沿いに限らず、乾燥した山野にも生えています。 長さ5cmほどの葉は主に対生で、両面とも無毛です。
 名前は行李(こうり)をつくるコリヤナギに似て、行李作りには向かない木ですので、「イヌ」がついています。
 ところで、行李も消えていく言葉なんでしょうね。 行李とは竹や柳で編んだ箱形の物入れで、転じて旅行に持っていく荷物や旅そのものも意味したようです。 念のため、柳行李の写真を下に載せておきます。

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 写真のイヌコリヤナギには、コムラサキの幼虫もいました。 コムラサキの食草はヤナギ類の葉です。

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※ コムラサキの成虫はこちらに載せています。

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2012年5月 3日 (木)

続・アシナガオトシブミの揺籃作り

 この記事は昨日の続きです。 最初にここを訪問していただいた方は、こちらからお読みください。

【12:22】 メスの揺籃づくりの再開です。 オスを背負ったまま、まずは二つ折りの確認です。

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【12:23】 いよいよ葉を下から巻き上げていきます。 葉の主脈に細かく傷をつけながらの丁寧な作業です。 メスはオスを完全に無視しているような振る舞い方です。

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【12:26】 オスをどかせて、ここで産卵です。 少し巻いた葉に切れ込みを入れ、そこに産卵管を差し込んでいます。 オトシブミの仲間は、1つの揺籃に1つの卵しか産みません。 ていねいな子育てです。
 オスはこの写真のすぐ上にいます。

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【12:30】 産卵後、メスはオスにかまわず、葉を丁寧に巻き上げていきます。 オスはまた交尾姿勢に入ってしまいました。

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【12:35】 揺籃は完成しました。 アシナガオトシブミの場合、完成した揺籃を切り落とす場合と、ぶら下がったままにしておく場合の両方のケースがあるようですが、今回は切り落とす作業を始めました。
 オスはメスから離れようとしません。

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 揺籃は切り落とされました。 オスは揺籃と共に落下しました(かわいそう・・・)。
 地上に落下したオスは、しばらくモゾモゾしていましたが、やっとあきらめたのか、飛び去って行きました。

【12:40】 メスはすぐに次の揺籃作りに取りかかりました。 下の写真で、左側が揺籃を切り離した葉、中央の葉は、その裏で交尾した場所です。

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【12:42】 メスは二つ折り作業をはじめています。 近くにはオス同士の争いで遠ざけられたオスがいます。

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 ここで観察は打ち切りました。 しかしこのように書いてみると、このメスとオスとの関係が気になります。 1つの揺籃を作るたびに交尾するのではなく、メスは1回の交尾でたくさんの受精卵を産むことができると思うのですが・・・。

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2012年5月 2日 (水)

アシナガオトシブミの揺籃作り

 揺籃づくりの様子は、これまでヒメクロオトシブミなどで観察していて、揺籃づくりの“予習”ができており、今回もそれが役立ったのだと思いますが、揺籃づくりの最初から最後まで見ることができたのは、今回がはじめてです。 揺籃づくりを途中で放棄されないよう、撮影は少なめに、カメラを近づけすぎないよう、注意をしました。 【 】内は、載せた写真を撮った時間です。

【11:36】 コナラの葉の上を縁に沿って歩き回っているアシナガオトシブミのメスがいました。 オスとメスは口吻や触角の長さで区別できます(詳しくはこちら)。
 メスは葉の形や長さを歩いて測定しているようでした。 すぐに揺籃づくりの準備だと分かりました。
 見ていると、葉を切り始めました。 葉の左の縁から主脈まで、続いて葉の右の縁から主脈まで。 切れ目に前脚を入れて、これで左右の切込みが主脈の位置で合うようにしているようでした。 アシナガオトシブミは両裁型の揺籃を作ります。
 そして主脈にも少し切れ目を入れ、葉を垂れ下がらせます(下の写真)。 切れ込みを入れはじめてからここまでは10秒ほどだったと思います。

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【11:44】 葉の表面を内側にして二つ折りになるよう、少しずつ場所を変え、葉を左右の脚で挟み、力を入れることを、何度も何度も繰り返します。

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【12:06】 葉がほぼ二つ折りになったところで、隣の葉の裏で交尾です。下の写真の右手前が二つ折りにした葉です。
 オスはこれまですぐ側で隠れてメスの作業を見守っていたようですが、私はここまでオスの存在に全く気づきませんでした。

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 下は葉の表面側から見たものです。 左側に二つ折りの葉があります。 そしてその隣の葉の上部にわずかに交尾中のアシナガオトシブミが見えます。

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【12:12】 ここで事件が起きます。 別のオスが飛来し、交尾中のカップルに重なりました。 交尾中だったオスは交尾を中断し、猛然と飛来したオスに挑みます。 暫くオス同士の争いが続きましたが、動きが激しすぎて、これをカメラで追うことはできませんでした。 その後、1頭のオスがスッと交尾に戻ったのですが、この間、メスは全く動かず、じっとしたままでした。
 この時、交尾を再開したオスが、元のオスだったのか、新たに飛来したオスだったのか、つまり元の状態に戻ったのか、既に交尾を終えてしまっていたオスがあっさりと離れたのかは分かりません。
 下の写真は争い後の様子で、右に交尾に戻ったカップル、左にもう一頭のオスがいます。

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【12:17】 交尾を終えたと判断したのでしょうか、メスは行動を再開しました。 しかしオスはメスから離れようとしません。 いつもこうなのか、上に書いたトラブルのせいで興奮しているのか、それともオスが入れ替わっていて、このオスはまだ交尾できていないのでしょうか。 とにかく、メスはオスにお構いなし。 まずはこれからの行動に備えて休憩を兼ねた軽食といったところでしょうか、少し葉をかじりました。

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 この続きは明日載せることにします。 この後、オスを待ち構える過酷な運命とは・・・なんて、無理に引き伸ばすつもりは無いのですが、ココログのブログは、1回の記事に載せることのできる写真の容量が1MBまでに制限されています。 かと言って、あまり圧縮しすぎたノイズいっぱいの写真は載せたくありませんので・・・。

続きは → こちら

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2012年5月 1日 (火)

アシナガオトシブミ

 4月28日は、200mほどの間に6頭のアシナガオトシブミに会いました。 葉の裏にいることが多いので、実際にはもっとたくさんいたのだと思います。

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 aの2枚の写真は同一個体です。 体にたくさん付いている毛はコナラの若い葉の毛でしょう。 またbは飛び立つ直前です。
 aもbもアシナガオトシブミですが、いろいろ違いが見られます。 じつはaは成虫になって間もないメスで、bは成虫になって時間が経過したオスです。
 オス・メスに関係なく、春に出現する成虫になって間もない個体は、aのように、上翅、前胸背、脚の各腿節が赤い色をしています。 しかし羽化してから時間が経過すると、上翅以外の部分は黒化してbのようになります。
 aの色の時は、体型は違うものの、色はルイスアシナガオトシブミに似ています。 しかしこの場合でも、アシナガオトシブミの小盾板は黒い色をしています。
 次に、オスとメスとの違いについてですが、オスは触角も口吻もメスに比べて長くなっています。 また脚の脛節はメスより長いだけでなく、湾曲しています。

※ 写真に入れた文字のうち、脚の「跗節」については、変換できませんでしたので「ふ節」としています。

 明日はアシナガオトシブミの揺籃づくりの様子を紹介します。

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