トリカブトとニリンソウ
北海道で、ニリンソウと間違えてトリカブトを3人が食べ、2人が亡くなったことがニュースになっています(私が見たのは毎日新聞 4月9日夕刊)。
トリカブトもニリンソウもキンポウゲ科で、キンポウゲ科には有毒植物が多いのですが、ニリンソウは例外的に山菜として知られています。
ニリンソウは Spring ephemeral で、大阪付近では4月の終わりから5月の初めに花を咲かせ、5月の終わりには消えるように姿を消してしまいます( 詳しくはこちらで )。 一方、トリカブトはどんどん生長して高くなり、夏の終わりから秋の初めにかけて花を咲かせます(こちら)ので、年間を通して見れば、全く別の植物だということが分かります。 しかし今の時期、葉を広げ始めたトリカブトは、たしかにニリンソウによく似ています(下の写真)。
上は4月上旬に金剛山で撮ったトリカブト(「トリカブト」は属の名称で、上は厳密にはカワチブシでしょう)、下は5月上旬に金剛山で撮ったニリンソウです。
上に書いたように、花が咲いているとはっきり分かるのですが、葉だけでは、トリカブトの葉は切れ込みガ深く、裂片の先が鋭い傾向はあるのですが、4月上旬の花をつけていないニリンソウとは、たしかによく似ています。
トリカブトは、伊達政宗が実弟を暗殺するのに用いたことでも知られているように、昔からよく知られている名高い毒草です。 しかし、トリカブトが関係する事故はこれまでに何度も起こっています。
たくさん生えている植物を少量いただく山菜摘みは、山野草に親しみを持ち、ひいては自然を大切にすることにつながるかもしれません。 しかしこのようなケースこそ、見慣れない植物を採る事になる可能性が高いでしょう。
今回お気の毒にも亡くなられた方がなぜ山菜摘みをされたのかは分かりませんが、山菜摘みをする際には、似た植物も含め、十分な知識を持ってから行う必要があるのでしょう。 その際、微妙な色の違いや大きさなど、写真だけで似たものを区別するのはなかなか難しいようです。 やはり最初は植物に詳しい人と同行するのがいいのではないでしょうか。
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