マメカミツレ
マメカミツレはオーストラリア原産のキク科の1年性の帰化植物で、昭和14年(1939年)に神戸で採集されたものに基づき、和名がつけられています。 今では暖地に広く分布し、春から冬の初めまで見ることができます。
頭花は径が5~8mmと、とても小さいのですが、拡大してみると、驚くほどたくさんの小花が集まっています(下の写真:クリックで拡大します)。
上の頭花では、中央付近は筒状花のツボミです。 多くのキク科では花弁は5枚ですが、マメカミツレの筒状花の花弁は4枚です。 これだけ小さな花になると、花弁の枚数も省略されるのでしょうか。
頭花の周辺に行くにしたがって、咲いている小花が多くなります。 黄色い花粉も見えます。 そして頭花の縁では、内側にある小花とは異なり、2裂したメシベだけが並んでいるようにみえます。
キク科の植物には、タンポポなどのように1種類の小花のみからなる頭花をもつものと、キクなどのように2種類の小花からなる頭花をもつものがあります。 そして2種類の小花からなる頭花をもつものの多くは、中心部に近い小花は筒状花で、周辺部には舌状花が並んでいます。 しかしマメカミツレの頭花では、舌状花の花弁らしきものは見当たりません。
上記のことを、頭花の断面を作って確認してみました(下の写真)。 やはり、頭花の縁に近い小花では、メシベ(子房+花柱+柱頭)だけからなるような形態で、花弁もオシベもありません。 花粉を出す所が無いのですから、雌花です。
中央部の筒状花は花粉も出していますし、メシベも見られます。 形態からすると両性花のようですが、ちゃんと種子を作っているのか、確認する必要があります。
上はこれまでの写真から20日ほど経ったマメカミツレです。 周辺部には扁平な果実がギッシリついています。 中央部の筒状花の子房はどうでしょうか。
下の写真では、頭花の周辺部にあった果実の多くは、果実がついていた柄を残し、落ちてしまっています。 舌状花の子房も、少し小さいですが、ちゃんと果実として育っているようです。
ところで、マメカミツレの名前についてですが、これは「カミツレに似た小さな植物」の意味です。 カミツレとはハーブのカモミール、特にジャーマン・カモミール(下の写真)のことです。 たしかに切れ込みの多い葉は似ていますが、カミツレの頭花は大きく、舌状花もちゃんとあります。
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