深泥池のミツガシワ
ミツガシワのことは、既にこのブログに載せています(こちら)が、やはり自生地での花を見たいと思い、京都の深泥池(みぞろがいけ)に行ってきました。
深泥池は面積9haしかない小さな池で、近年まで灌漑用の池として、またジュンサイの採れる池として、人々の生活に密接な関りを持つ池でした。 ところが、ミツガシワやホロムイソウをはじめとする特異な生物群集が知られるようになり、池の底の堆積物の調査の結果、14万年前から湿地として存在しており、氷河時代以来の動植物が生息し続けていることが分かりました。 暖温帯にありながら、東日本北部の冷温帯に成立するはずの高層湿原が残っているわけで、「深泥池生物群集」は国の天然記念物に指定されています。
ミツガシワは花の盛りには既に遅く、ほとんどが球形の果実になっていました。 花の時期はそんなに長くは無く、果実の成熟も早そうです。 種子は夏前には散布されるとのことで、このように短期間に種子を成熟させるのも、生育期間の短い冷温帯に適応した結果なのかもしれません。 なお、果実は蒴果で、一つの果実には10個ほどの種子が入っています。
散布された種子は水に浮くとのことです。 ミツガシワは地下茎と種子で増え、水深の浅い所に根を張ります。 深泥池でも、ミツガシワは池の縁に沿って群落を形成しています。 種子は風に吹かれるなどで水面を移動し、漂着した岸辺で発芽するのでしょう。
ところで、ミツガシワの花には、メシベが長くオシベの短いタイプと、メシベが短くオシベの長いタイプがあり、株によって異なります。 以前載せたミツガシワ(こちら)は後者のタイプでしたので、メシベの長いタイプの花を下に載せておきます。 結実するのは、このメシベの長いタイプのものに限られるとされています。
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コメント
深泥池のミツガシワって
池の真ん中の方に居るものとばかり思ってました。
ず~っと順を追って読ませていただくと
池の岸辺に群がって咲いてるのンもナルホドです。
投稿: わんちゃん | 2012年5月 1日 (火) 21時57分
池の真ん中のほうにあるというのは、スイレン等のイメージが強いのかな?
投稿: そよかぜ | 2012年5月 2日 (水) 00時54分