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2012年4月30日 (月)

トネハナヤスリ

 昨日は鵜殿のノウルシについて書きましたが、この鵜殿では、シダ植物のトネハナヤスリを見ることもできました。
 名前の「トネ」は利根川水系を意味するのだろうと思いますが、現在このトネハナヤスリが見られるのは、淀川の鵜殿以外では、千葉県の利根川と、栃木県の渡良瀬川の遊水地のみで、環境庁のレッドデータブックのカテゴリーで絶滅危惧ⅠB類に指定されています。

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 ハナヤスリの仲間は、フユノハナワラビなどのハナワラビの仲間に近縁です。 栄養葉と胞子葉、つまり光合成用の葉と生殖用の葉が、向かい合うように1枚ずつあるのは共通ですが、ハナワラビの仲間は栄養葉も胞子葉も羽状に裂けているのに対し、ハナヤスリの仲間では、栄養葉も胞子葉も裂けていません。
 ハナヤスリの名前は、「ハナ」については、この突き出した目立つ胞子葉を、光合成用の葉ではない花に見立て(生殖用の器官という意味では、たしかに花です)、その様子がヤスリに似ているところからでしょう。
 ハナヤスリやハナワラビの仲間は、新しく出る葉がゼンマイ状に巻いていないなど、多くのシダ植物とはかなり異なった系統にあると考えられていて、植物組織学的にはなかなか興味ある植物です。 前葉体は、多くのシダ植物とは異なり、地下で菌類と共生して菌根状になりますし、胞子葉と栄養葉との共通の茎に似た部分(写真では地中に隠れています)は、担葉体または担根体と呼ばれていますが、他のシダ植物のどの部分に相当するのか、または相当する部分が無いのかなど、いまだ定説がありません。

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 鵜殿のトネハナヤスリの生活型はノウルシにとてもよく似ています。 つまり春になると葉を出し、ヨシが芽吹いて地表が暗くなる6月頃には、地上部を枯らして休眠に入ります。 しかしノウルシよりもずっと小さなトネハナヤスリが生育する所は、地面に枯葉などが厚く積った場所などではダメで、毎年野焼きを行っている場所など、より地表に光が届く場所に限られているように思えました。

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2012年4月29日 (日)

淀川・鵜殿のノウルシ

 ノウルシは海岸や川辺の草地に生える多年生の植物で、早春に花を咲かせ、夏までに種子を散布し、休眠に入ります。 しかしそのようなノウルシの生育に適した場所が減少し、環境省のレッドデータブックでは、絶滅危惧II類(VU)「絶滅の危険が増大している種」とされています。 しかし鵜殿では、写真のようにたくさんのノウルシを見ることができます。

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 鵜殿ではノウルシはヨシ原に生え、ヨシが葉を広げて上を覆われるまでに種子を作るという生活をしています。 淀川でも治水工事が進むにつれ、冠水による撹乱がなくなると共に水位が低下し、他の植物の侵入などでヨシ原の生態系が壊れると共に、ノウルシもたいへん少なくなりました。
 しかし、1997年(平成9年)に河川法が改定され、従来の治水・利水に加えて生態系の保全が法律的に義務付けられ、鵜殿でもヨシ原を復元する努力がなされてきました。 揚水ポンプを設置し、導水路を開設したり、春にヨシの新芽が出ることを促進するためにヨシを刈り取ったり、ヨシ焼きなどが行われています。 このような努力により、ヨシ原の生態系が回復する傾向を見せると共に、ノウルシも増えてきたというわけです。

Nourusi120418_2    ノウルシの陰で休むツグミ

 ノウルシはトウダイグサ科の植物です。 名前は、茎を切ると乳液が出て、これに触れるとかぶれをおこすことに由来します。
 葉は長さ約10cmで対生です。 茎の先端から5本ほどの枝が出て、茎の先端とその枝の先に花序がつきます。 茎の先端付近の葉や、花序の苞葉が黄色になり、この部分で虫たちを惹きつけるのでしょう。

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 花そのもののつくりは基本的にはトウダイグサのところに書いた内容と同じですので、そちらを見てください。

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2012年4月28日 (土)

アジアイトトンボ

 アジアイトトンボは、その名のとおり、中国・台湾・朝鮮半島など広くアジアに分布しているイトトンボです。 日本の平地では、イトトンボの中では、春いちばん最初に現れます。

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 アジアイトトンボは雌雄で色が異なります。 上の写真で、左上のオレンジ色をしているのが若いメス、その奥と右下にいる青い色をしたのがオスです。

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 アジアイトトンボにたいへんよく似たイトトンボに、同属で少し大きいアオモンイトトンボがいます。 上はアジアイトトンボのオスで、腹部の節に赤で番号をつけておきましたが、腹部第9節に青い紋があります。 アオモンイトトンボでは、この青い紋は第8節にあります。

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 上は最初の写真の若いメスだけを拡大したものです。 若いメスもアオモンイトトンボの若いメスによく似ているのですが、アジアイトトンボの腹部第1~2節の背面に黒い斑があるのに対し、アオモンイトトンボのメスには、この斑がありません。

 アジアイトトンボのメスは、成熟すると下のようになります。

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2012年4月27日 (金)

深泥池のミツガシワ

 ミツガシワのことは、既にこのブログに載せています(こちら)が、やはり自生地での花を見たいと思い、京都の深泥池(みぞろがいけ)に行ってきました。

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 深泥池は面積9haしかない小さな池で、近年まで灌漑用の池として、またジュンサイの採れる池として、人々の生活に密接な関りを持つ池でした。 ところが、ミツガシワやホロムイソウをはじめとする特異な生物群集が知られるようになり、池の底の堆積物の調査の結果、14万年前から湿地として存在しており、氷河時代以来の動植物が生息し続けていることが分かりました。 暖温帯にありながら、東日本北部の冷温帯に成立するはずの高層湿原が残っているわけで、「深泥池生物群集」は国の天然記念物に指定されています。

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 ミツガシワは花の盛りには既に遅く、ほとんどが球形の果実になっていました。 花の時期はそんなに長くは無く、果実の成熟も早そうです。 種子は夏前には散布されるとのことで、このように短期間に種子を成熟させるのも、生育期間の短い冷温帯に適応した結果なのかもしれません。 なお、果実は蒴果で、一つの果実には10個ほどの種子が入っています。
 散布された種子は水に浮くとのことです。 ミツガシワは地下茎と種子で増え、水深の浅い所に根を張ります。 深泥池でも、ミツガシワは池の縁に沿って群落を形成しています。 種子は風に吹かれるなどで水面を移動し、漂着した岸辺で発芽するのでしょう。

 ところで、ミツガシワの花には、メシベが長くオシベの短いタイプと、メシベが短くオシベの長いタイプがあり、株によって異なります。 以前載せたミツガシワ(こちら)は後者のタイプでしたので、メシベの長いタイプの花を下に載せておきます。 結実するのは、このメシベの長いタイプのものに限られるとされています。

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2012年4月26日 (木)

キマダラハナバチの一種

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 堺自然ふれあいの森のナノハナに来ていたキマダラハナバチの一種です。 10平方メートルほどの小さなナノハナ畑に数頭来ていましたので、そんなに珍しくも無いハナバチのはずですが、キマダラハナバチの仲間(コシブトハナバチ科キマダラハナバチ亜科)にもたくさんの種がいて、詳しく調べる資料を持っていませんし、動き回られていろんな角度からの写真もありませんので、タイトルのようにしておきます。
 キマダラハナバチの仲間は、全体的に暗赤色をしていて、上の写真では翅が光ってよく分かりませんが、腹部前方に1対の大きな黄色い紋があります。
 下は上とは別種かな?

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 ハナバチとは花粉と花蜜(かみつ)を採取して巣に運び、これを混ぜ合わせて団子をつくり、幼虫の食糧とする蜂のグループで、ミツバチやクマバチなどもこのハナバチのなかまですが、たくさんの種類がいて、さまざまな生き方をしています。 なかには他のハナバチの巣に侵入して産卵し、幼虫はその巣のハチが働いて作った花粉団子を食べて育つという「労働寄生」をするハナバチもたくさんいて、このキマダラハナバチの仲間も、ヒメハナバチの仲間に労働寄生します。 ちなみに、このブログに以前載せたルリモンハナバチもコシブトハナバチに労働寄生するハチです。

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2012年4月25日 (水)

キランソウ・タチキランソウ

 キランソウは日当たりのよい山野に生えるシソ科の多年草です。 葉は対生で粗い鋸歯があり、葉にも茎にもガクにも白毛が密生しています。 多くのシソ科は茎の断面が四角ですが、このキランソウの茎の断面は丸くなっています。

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 花冠は下唇は3裂して大きく開いていますが、上唇がほとんど無く、オシベもメシベも外に突き出しています。 ちなみに、キランソウの仲間の属名は Ajuga(アジュガ)ですが、これは「対にならない」の意味で、この上唇と下唇の関係から来ています。
 べったりと地面を這っているところから、「地獄の釜の蓋(じごくのかまのふた)」という別名を持っています。 この意味には2とおりの説があって、ひとつは(整備されて土が見えない墓地ではなく)昔の墓地などにもキランソウがよく生えていて、彼岸の頃にも目立つことからで、もうひとつの説は、薬効があるため、地獄へ行く釜に蓋をして、病人を追い返すからだと言われています。
 薬効については、生葉の汁はあせもや切り傷に効き、陰干ししたものを煎じて服用すれば、高血圧、胃腸病、胆石、神経痛や発熱など、様々な病気に効き目があるとされています。 イシャコロシの別名もあり、特に九州では民間薬としてよく用いられているとのことです。
 しかし、上に書いたように地面にくっつくように育つ植物ですから、定期的に草刈りをしている場所など、上を覆われてしまわない所に生えていて、そんな場所が少なくなってきましたので、この植物も今では薬草にするためにたくさん集めることは慎みたい時代になってきました。

 このキランソウによく似た植物に、タチキランソウがあります。 タチキランソウは、名前のとおり、キランソウより少し立ち気味で、花の上唇が大きくなっています(下の写真)。

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 タチキランソウはキランソウと異なり、山地の落葉樹林下などの日陰ぎみの所に見られます。 分布も、関東地方から東海地方にかけての地域に限られていると言われているのですが、写真は藤原岳の三重県側で撮ったものです。

 ところで、園芸店で下のような植物が、キランソウやジュウニヒトエなどの名前で売られている場合もあり、野生化しているケースもあちこちで見られます。

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 この植物はヨーロッパ原産の多年草で、ツルジュウニヒトエまたはセイヨウジュウニヒトエという名前です。 茎が立ち、地表に走出枝(ランナー)を出して増える性質は日本に自生のジュウニヒトエに似ていますが、ジュウニヒトエの花は白っぽい色をしています。

※ 同じキランソウ属のツクバキンモンソウはこちらに載せています。

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2012年4月24日 (火)

ヤナギグンバイ

 ヤナギにいたヤナギグンバイです。

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 グンバイムシの仲間は形態的におもしろく、このブログでも、これまでにヒメグンバイプラタナスグンバイアワダチソウグンバイアザミグンバイなどを記事にしてきました。
 今回のヤナギグンバイは、上記のグンバイムシに比較すれば、“普通の虫”に近い姿ですね。

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 当時の大阪女子大の石原道博氏は、同じヤナギを餌とするヤナギルリハムシとヤナギグンバイの関係を研究されました(例えばこちら)。 研究によると、ヤナギグンバイの被害を受けたヤナギは防御のための物質を増やし、このことがヤナギルリハムシのパフォーマンスを低下させるということです。 また、ヤナギルリハムシやヤナギグンバイなどによる食害が激しい場合は、ヤナギは二次展葉し、柔らかい葉は植食者に好環境をもたらすこと、つまり、一部の植食者による食害が、葉の質を変えることで、間接的に植食性昆虫群集全体に影響を及ぼしている可能性を示唆していると書かれています。

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2012年4月23日 (月)

ニオイタチツボスミレ(2) 花のつくりと受粉のしくみ

 昨日はニオイタチツボスミレの形態的特長をタチツボスミレと比較することで明らかにしようとしましたが、今日は、ニオイタチツボスミレの花を使って、スミレの仲間の花のつくりと受粉のしくみを見ていきたいと思います。

 下はニオイタチツボスミレの花を側面から見たものです。 スミレの仲間の花には、上弁2枚、側弁2枚、唇弁1枚の、計5枚の花弁があります。
 「スミレ」の名前は、この花の形が、大工さんの使う墨入れ(墨壺)に似ているからだという説を牧野富太郎が唱えましたが、定説にはなっていないようです。

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 この花の断面を作ってみました(下の写真)。

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 オシベの葯に入っていた花粉は、オシベの先にある膜状の付属体がメシベの柱頭にくっついているために、外に出ることはできません。
 花のいろんな部分が細長く突出した部分を「距(きょ)」と呼んでいます。 スミレの仲間の花には、唇弁の一部が延びた距があります。 この中にはオシベの一部が伸びだした距があり、ここから蜜が分泌されます。
 スミレの花を訪れた虫たちは、メシベの下からこの蜜を吸おうとします。 この時メシベに触れます。 虫の体について運ばれてきた花粉は、下を向いている柱頭にくっつきます。 この時、虫の体の一部がメシベに触れることで、メシベと付属体との間に隙間ができ、そこから花粉がこぼれ出て、虫の体に降りかかるのだと考えられます。 そしてこの花粉は、虫の体に付いて、次の花へと運ばれて行きます。

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2012年4月22日 (日)

ニオイタチツボスミレ(1) タチツボスミレとの比較

Nioitachitsubo120417_1   ニオイタチツボスミレで吸蜜するツマキチョウ(堺自然ふれあいの森にて)

 スミレの仲間(スミレ属)は種類も多いし、雑種もあるし、ほんとうに難しいものです。 しかし、身近なところでたくさんのスミレの仲間が花をつけ、虫が来ているのですから、無視はできません。
 堺自然ふれあいの森でニオイタチツボスミレらしきものをみつけました。 比較しないと違いが見えてこないので、最も普通種である(と私が思っている)タチツボスミレと比較しながら、その形態的特長を見ていきたいと思います。

Nioitachitsubo120417_2    ニオイタチツボスミレ

Tachitsubo120421_1    タチツボスミレ

 ニオイタチツボスミレは、その名前のとおり、良い香りのするものが多いのですが、必ず香りがするとは限りません。 花の色はタチツボスミレより色が濃く、明るく華やかな印象の色ですが、特にこの赤紫系の色は、実際の色をカメラで再現するのは難しいものです。 また、ニオイタチツボスミレの花は、タチツボスミレの花より、花の中心部の白い部分がはっきりしています。 ニオイタチツボスミレの唇弁は、タチツボスミレより幅広く、結果として丸みを帯びて、花弁の重なりも大きくなります。
 花柄には微毛がある(最初の写真でよく分かります)のもニオイタチツボスミレの特徴のひとつですが、時に、特に海岸近くでは無毛になったり、微毛のあるタチツボスミレも出現したりするようです。
 スミレの仲間には地上茎のあるものと無いものがあり、タチツボスミレの仲間には地上茎があります。 ただタチツボスミレでも、咲き始めは地上茎はあまり延びていません。 タチツボスミレの花茎も、最初は根ぎわからでていますが、上の写真でも、ツボミの花茎は地上茎から出ています。
 ニオイタチツボスミレでは、あまり地上茎が伸びず、花柄は根生のものが多いので、花の時期には一見地上茎が無いように見えます。 しかし地際をよく見ると、下のような、若い葉をつけた地上茎を確認することができます。

Nioitachitsubo120417_3    ニオイタチツボスミレの地上茎

 葉の基部は心形で、葉の付け根に切れ込みの深い托葉があるのは、両者に共通しています。

 花をもう少し詳しく見ていくことにします。

Nioitachitsubo120417_4    ニオイタチツボスミレの花

 上はニオイタチツボスミレの花の正面から見たところです。 中央の黄緑色の部分がメシベ、その周囲の褐色の部分はオシベの付属体です。 これらの下には溝がありその奥に蜜が貯められています。 これらのことは、スミレの仲間の花に共通のつくりです。
 側弁の内側には毛がありません。 これも両者に共通の特徴ですが、ここに毛のあるスミレの仲間もたくさんあります。
 注目したいのはメシベの柱頭です。 スミレの仲間の花のつくりと受粉のしくみは、ニオイタチツボスミレの花を使って、明日記事にするつもりですが、スミレの仲間のメシベの先端には、虫が運んできてくれた花粉を受け止める窪み、つまり柱頭があります。 生物全般に言える傾向ですが、生殖に直接関係する部分ほど、変化しにくく、種の特徴が明確になるようです。

Nioitachitsubo120417_7    ニオイタチツボスミレのメシベ

Tachitsubo120421_2    タチツボスミレのメシベ

 上の写真は、側弁を除去し、花の斜め下から撮ったものです。 微妙な明暗の差を強調するためにコントラストを高めていますので、花弁の色などは実際の色とかなり異なっていますが、柱頭の位置にのみ注目してください。
 単純な筒型の花柱を持つのが、タチツボスミレの仲間の特徴ですが、柱頭の位置を比較すると、ニオイタチツボスミレの柱頭は、花柱の先端より少し後ろに下がった下側にあるのに対し、タチツボスミレの柱頭は、花柱の先端の斜め下方向に突き出しています。

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2012年4月21日 (土)

マメカミツレ

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 マメカミツレはオーストラリア原産のキク科の1年性の帰化植物で、昭和14年(1939年)に神戸で採集されたものに基づき、和名がつけられています。 今では暖地に広く分布し、春から冬の初めまで見ることができます。
 頭花は径が5~8mmと、とても小さいのですが、拡大してみると、驚くほどたくさんの小花が集まっています(下の写真:クリックで拡大します)。

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 上の頭花では、中央付近は筒状花のツボミです。 多くのキク科では花弁は5枚ですが、マメカミツレの筒状花の花弁は4枚です。 これだけ小さな花になると、花弁の枚数も省略されるのでしょうか。
 頭花の周辺に行くにしたがって、咲いている小花が多くなります。 黄色い花粉も見えます。 そして頭花の縁では、内側にある小花とは異なり、2裂したメシベだけが並んでいるようにみえます。
 キク科の植物には、タンポポなどのように1種類の小花のみからなる頭花をもつものと、キクなどのように2種類の小花からなる頭花をもつものがあります。 そして2種類の小花からなる頭花をもつものの多くは、中心部に近い小花は筒状花で、周辺部には舌状花が並んでいます。 しかしマメカミツレの頭花では、舌状花の花弁らしきものは見当たりません。
 上記のことを、頭花の断面を作って確認してみました(下の写真)。 やはり、頭花の縁に近い小花では、メシベ(子房+花柱+柱頭)だけからなるような形態で、花弁もオシベもありません。 花粉を出す所が無いのですから、雌花です。

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 中央部の筒状花は花粉も出していますし、メシベも見られます。 形態からすると両性花のようですが、ちゃんと種子を作っているのか、確認する必要があります。

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 上はこれまでの写真から20日ほど経ったマメカミツレです。 周辺部には扁平な果実がギッシリついています。 中央部の筒状花の子房はどうでしょうか。

 下の写真では、頭花の周辺部にあった果実の多くは、果実がついていた柄を残し、落ちてしまっています。 舌状花の子房も、少し小さいですが、ちゃんと果実として育っているようです。

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 ところで、マメカミツレの名前についてですが、これは「カミツレに似た小さな植物」の意味です。 カミツレとはハーブのカモミール、特にジャーマン・カモミール(下の写真)のことです。 たしかに切れ込みの多い葉は似ていますが、カミツレの頭花は大きく、舌状花もちゃんとあります。

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2012年4月20日 (金)

ヤナギルリハムシ

 昨日ルリマルノミハムシのことを記事にしましたが、似たハムシを続けます。
 ヤナギの新葉にたくさんいたハムシなので、たぶんヤナギルリハムシに間違いは無いと思います。 ルリマルノミハムシ同様、体の表面には光沢があり、周囲の景色が映っています。
 ヤナギルリハムシは、成虫で越冬し、年に数回(5~6回)発生を繰り返します。

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 黒っぽいハムシはたくさんいます。 このブログに今まで取り上げたものでも、ヨモギハムシコガタルリハムシクワハムシなどがいますが、この他にも、ルリハムシ、ルリクビボソハムシ、バラルリツツハムシ、ハラグロヒメハムシなど、たくさんの種がいて、よく見れば体型が違うのですが、互いによく似た印象です。 今回のヤナギルリハムシもダイコンハムシによく似ていますすが、ハムシの場合、救いは、多くの場合、いる植物が違うことです。 しかし、たまたま他の植物にとまることもあるでしょう。 なかなか難しいものですが、昨日も少し書いたように、触角に注目するのも同定に役立つのではないかと思っています。

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2012年4月19日 (木)

ルリマルノミハムシ

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 ナノハナをみていると、いろんな虫が来ています。 蜂の仲間が多いのですが、このルリマルノミハムシもたくさん来ていました。
 ルリマルノミハムシの成虫が見られるのは、3月から11月頃まで、温度さえあればいつでも見ることができるようです。 ハムシはその名のとおり、葉を食べる虫ですが、このルリマルノミハムシは少し変っていて、成虫はいろんな花の花粉や蜜を餌にしているようです。 なお、幼虫はスギゴケ類などを食べているようです。
 「ノミハムシ」の名前は蚤のようにジャンプするからです。 ハムシの多くは危険を感じるとポロッと落下するか、翅を広げて飛び去ります。 ところがこのルリマルノミハムシは、危険を感じると、まずジャンプします。 じっとしているこの虫を見つけたら、指を近づけてみてください。 そのジャンプ力に驚かれることでしょう。 ただしこの観察、メガネをかけていない人は顔を近づけないこと。 それほどすごいジャンプ力です。
 このジャンプ力の源は後肢にあります。 下はじっとしているルリマルノミハムシを上から見たところですが、太い後肢腿節が体の外に飛び出しています。

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 ルリマルノミハムシは触角も特徴的です。 多くのハムシの触角は11節からなっているのですが、ルリマルノミハムシの触角は9節しかありません。 そのうちの第1節~第3節は長方形で、第4節~第9節は鋸歯状です(写真をクリックして拡大して見てください)。 ちなみに、ルリマルノミハムシによく似たコマルノミハムシは、触角の第4節も長方形です。

※ ノミハムシの仲間もたくさんいます。 このブログではアカイロマルノミハムシをこちらで記事にしています。

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2012年4月18日 (水)

アオキ

 アオキの花が咲きだしています。 下の写真は斑入りの栽培されているものですが、自生しているものでも花のつくりは同じです。

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Aoki060326_2     雌花

 アオキは雌雄異株です。 雄花は紫褐色の花弁4枚にオシベが4本、雌花は4枚の花弁に囲まれてメシベが1本、分かりやすい花です。

 花が終わって実は大きくなり、冬に色づきます。 下は昨年の12月に撮ったものですが、まだ完全に赤くなっていません。 しかし、赤くなる時期には、かなりの幅があるようです。

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 アオキは少し暗めの林に入れば、よく生えている身近な植物です。 しかしアオキは日本固有の植物で、同じ属の植物も、中国~台湾とヒマラヤにあるだけです。
 ヨーロッパの人にとっては、冬の寒さによく耐え、常緑で赤いツヤのある美しい実をつけるアオキは、人気のある木です。 1690年にヨーロッパに入れられましたが、最初はどのように育てても実がつかない。 やっと雄株だということが分かって、1860年に雌株がヨーロッパに導入されたということです。

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2012年4月17日 (火)

ヒメカメノコテントウ

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 写真はヒメオドリコソウにいたヒメカメノコテントウです。 成虫はほぼ1年を通して見ることができ、成虫も幼虫もアブラムシを餌としています。
 昨日記事にしたカメノコテントウに模様が似ていて、体長はカメノコテントウの半分以下のテントウムシです。

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 ただしこの色には変異があり、黄色の部分が薄い黄色から橙黄色までありますし、模様のパターンにも変異があります。 下は黒い部分の多い個体ですが、もっと極端に、ほとんどまっ黒のものや、それに小さな1対の黄色の斑紋をもつもの、逆にほとんど黄色で中央に黒い縦線が1本あるだけのもの、それに1対の黒斑が加わったものや2対の黒斑があるものなどもいます(こちら)。

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2012年4月16日 (月)

カメノコテントウ

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 赤いアオキの実の上にカメノコテントウがいました。 アオキの実と比較して分かるように、大きなテントウムシで、体長でナナホシテントウの2倍近くあります。
 テントウムシの仲間は成虫で越冬するものが多く、カメノコテントウも成虫越冬で、この個体も冬を越してきたのでしょう、少し汚れが目立ちます。

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 気になったのは、アオキの実の腐った部分にいたことです。 最初、柔らかくなったこの部分の汁を吸っているのか、この部分に生えたカビでも食べているのかと思い、口の付近を拡大して撮ってみたのですが、よく分かりません。

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 カメノコテントウの餌は動物食で、クルミハムシやドロノキハムシの幼虫です。 写真のカメノコテントウは全く動きませんでしたから、たまたまこの場所で昼寝でもしていたのかもしれません。

※ このカメノコテントウに似て、体長が半分以下のヒメカメノコテントウはこちらに載せています。

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2012年4月15日 (日)

アオモジの雄花

 大阪府と奈良県の境にある生駒山の山頂から少し大阪側に下がった所で、アオモジがたくさんの花をつけていました(4月8日撮影)。

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 これほどたくさんの花をつけようとすれば、たくさん光合成をせねばならず、アオモジの生育している場所は伐採跡地や林縁部などの日当たりの良い所です。
 アオモジは亜熱帯や暖帯に育つ木で、日本での分布は、保育社の原色日本植物図鑑(昭和54年発行)では、九州、山口県、岡山県となっていますが、地球温暖化の影響か、分布地が拡大傾向にあるようです。 写真のアオモジは、道路脇にあり、植えられたものかもしれませんが、それなら1本だけというのも不自然です。
 アオモジはクスノキ科の落葉小高木で、芳香があり、材は楊枝に、果実は香料に使われます。 和名も、同じくクスノキ科で楊枝に使われるクロモジに対して、小枝が緑色をしていることによります。
 アオモジは雌雄異株です。 写真の木は雄株で、雌株は少なくとも写真の木の近くでは見つけることができませんでした。
 クスノキ科の花ですので、、1つの花はそんなに大きくありませんが、拡大して見ると、散形花序が1つの花のように見え、なかなか豪華な感じがします(下の写真)。

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 1つの雄花をもう少し丁寧に見ると、花被片は6枚、オシベは9本で、そのうちの内側の3本のオシベの基部には、それぞれ2つの腺体がつきます。 オシベの葯は花の中心部を向いていて、それぞれの葯には花粉を入れておく4室があります。
 クスノキ科の特徴として、それぞれの葯の室には弁があり、それが開いて花粉が出てきます。

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2012年4月14日 (土)

ソトカバナミシャク?

 カバナミシャクの仲間(Eupithecia属)には間違いが無いのですが・・・。
 この仲間の日本産は72種、互いによく似ていて、生殖器を見ないと、正確な同定ができない場合が多いようです。 春先に出現するものも複数います。
 ここに載せたのは全て同じ日(3月29日)に同じ場所(枚岡公園)で撮ったものですので、同種だとは思うのですが、複数種混じっている可能性もあります。
 タイトルにあげた種名も全く自身は無いのですが、たくさんいたので、とりあえず載せておきます。 どなたかのコメントを期待して・・・。

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2012年4月13日 (金)

ジャゴケの雌器托

 コケ植物は、蘚類(せんるい)と苔類(たいるい)、それに少数派のツノゴケ類の3種類に大別できます。
 ジャゴケはゼニゴケに似た平たい葉状体をもつ苔類です。 葉状体の表面は鱗を並べたような模様がはっきりしていて、その模様をヘビの体表に見立てて名付けられています。
 ジャゴケは雌雄異株です。 雄株は、夏から秋に、葉状体の先端に、精子を入れる小判形の雄器托を作ります。 雌株は秋に葉状体の先端に、小さな芽のような雌器托を作ります。 秋、精子は雌器托の中の卵細胞めざして泳ぎ、受精卵を作ります。
 受精卵は細胞分裂を繰り返して胞子体となり、この胞子体の中で胞子が作られるのですが、ジャゴケでは早春に胞子体を抱えた雌器托の柄が急激に伸び、下の写真のような姿になります。

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 下は長く伸びた雌器托を斜め下から撮ったものですが隙間から黒い楕円体が顔を覗かせています。 これが胞子体です。 多くの蘚類では、胞子体は長い柄で雌株から立ち上がっていますが、ジャゴケの胞子体の柄は雌器托の傘の中に短いものがあるだけです。

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 下は胞子体が破け、胞子が出ている状態です。 褐色の糸くずのようなものがたくさん見えますが、これは「弾糸」と呼ばれているもので、胞子の散布に役立っていると考えられます。

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 ちなみに弾糸は、苔類以外には、シダ植物のトクサ属や真正粘菌類でも見られますが、これらの起源は全て異なっていて、たまたま似た働きをするものを同じ名前で呼んでいるだけです。

※ おちゃたてむしさんの所では、土筆(=トクサ属のスギナの胞子茎)の胞子が弾糸の乾湿運動で移動する様子が動画で紹介されています。

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2012年4月12日 (木)

ハラビロクロバチ科ヘリカメタマゴクロバチ属の一種

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 体長は、真横から撮ったものがなくてはっきりしませんが、上を写真上で測るとで1.8mmありますから、約2mmとしておきます。 4月1日の撮影ですが、この日は寒かったせいか、ヤツデの葉の裏でじっとしていました。

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 このハチはおちゃたてむしさんのところに載せられている、集団でいるハラビロクロバチ科タマゴクロバチ亜科タマゴクロバチ族ヘリカメタマゴクロバチ属(Gryon)の一種だと思います。 名前のようにヘリカメムシの卵に寄生するようです。
 なお、これまでハラビロクロバチ科( Platygastridae )と並んでいたタマゴクロバチ科( Scelionidae )は、Masnerらにより、ハラビロクロバチ科の亜科に降格されたとのことです。

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2012年4月11日 (水)

ヒメカンスゲ

 今頃山道を歩いていると、よくこのヒメカンスゲに出会います。 スゲの分類は難しいのですが、常緑でこんなに細い葉を持った、そして小さいわりにはよく花の目立つスゲは他にありません。 まだ果実ができていない花の時期に種名が分かるのは、このスゲくらいではないでしょうか。

Himekansuge120408_1      (この写真はクリックで拡大します)

 1本の茎には3~4個の小穂をつけています。 上の写真では頂の小穂だけがよく目立っていますが、これが雄小穂で、その下にある2~3の小穂が雌小穂です(下の写真)。

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 下は雄小穂です。 雄小穂には雄花が集まっています。 下の写真ではオシベがたくさん見えます。 たくさんすぎてよく分かりませんが、1つの雄花は1枚の鱗片の内側にオシベが3本あるだけで、花弁もガクもありません。

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 下は雌小穂です。 雌小穂には雌花が集まっています。 下の写真をよく見ると、鱗片に保護されて緑の楕円体のものがあり、その先端から白いメシベが出ていて、柱頭は3裂しています。 この緑の楕円体は果胞と呼ばれていて、子房はこの中にあります。 このようにメシベが果胞に守られていて、果実がこの中で生長するのは、スゲ属の特徴です。

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2012年4月10日 (火)

オオマエキトビエダシャク

 羽化したばかりと思われる、美しいオオマエキトビエダシャクがいました。

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 いつもペチャッと張り付いている蛾なので、近くにあった落ち葉の葉柄に止まらせて、裏を見せてもらいました。

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 気温が低かったからか、羽化したばかりだからか、飛び立てず、必死で葉柄につかまっていました。

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 オオマエキトビエダシャクは漢字で書くと「大前黄鳶枝尺」でしょう。 マエキトビエダシャクというのがいるのですが、それよりも大きく、前(前翅前縁)が黄色で、他は鳶色のエダシャクということでしょう。

 オオマエキトビエダシャクは3月から出現し、10月頃まで見られるのですが、前述のマエキトビエダシャクが見られるのは、それより遅れて5月中旬頃からです。
 下は9月に撮ったマエキトビエダシャクです。 両者はよく似ているのですが、下の水色の楕円で囲った部分で、マエキトビエダシャクでは黄色の斑紋状になっています。

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2012年4月 9日 (月)

トリカブトとニリンソウ

 北海道で、ニリンソウと間違えてトリカブトを3人が食べ、2人が亡くなったことがニュースになっています(私が見たのは毎日新聞 4月9日夕刊)。
 トリカブトもニリンソウもキンポウゲ科で、キンポウゲ科には有毒植物が多いのですが、ニリンソウは例外的に山菜として知られています。
 ニリンソウは Spring ephemeral で、大阪付近では4月の終わりから5月の初めに花を咲かせ、5月の終わりには消えるように姿を消してしまいます( 詳しくはこちらで )。 一方、トリカブトはどんどん生長して高くなり、夏の終わりから秋の初めにかけて花を咲かせます(こちら)ので、年間を通して見れば、全く別の植物だということが分かります。 しかし今の時期、葉を広げ始めたトリカブトは、たしかにニリンソウによく似ています(下の写真)。

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 上は4月上旬に金剛山で撮ったトリカブト(「トリカブト」は属の名称で、上は厳密にはカワチブシでしょう)、下は5月上旬に金剛山で撮ったニリンソウです。

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 上に書いたように、花が咲いているとはっきり分かるのですが、葉だけでは、トリカブトの葉は切れ込みガ深く、裂片の先が鋭い傾向はあるのですが、4月上旬の花をつけていないニリンソウとは、たしかによく似ています。
 トリカブトは、伊達政宗が実弟を暗殺するのに用いたことでも知られているように、昔からよく知られている名高い毒草です。 しかし、トリカブトが関係する事故はこれまでに何度も起こっています。
 たくさん生えている植物を少量いただく山菜摘みは、山野草に親しみを持ち、ひいては自然を大切にすることにつながるかもしれません。 しかしこのようなケースこそ、見慣れない植物を採る事になる可能性が高いでしょう。
 今回お気の毒にも亡くなられた方がなぜ山菜摘みをされたのかは分かりませんが、山菜摘みをする際には、似た植物も含め、十分な知識を持ってから行う必要があるのでしょう。 その際、微妙な色の違いや大きさなど、写真だけで似たものを区別するのはなかなか難しいようです。 やはり最初は植物に詳しい人と同行するのがいいのではないでしょうか。

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2012年4月 8日 (日)

ハイゴケ

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 「這いゴケ」、なんとも安易なネーミングですが、安易なネーミングということは、それだけポピュラーなコケであるということではないでしょうか。 ハイゴケは日当たりのいい所であれば、岩上などの乾燥しやすい所から、湿原などの過湿な場所まで、いろんな所で育っています。
 いろんな環境で育つということは、環境に対する適応力が高いということで、ハイゴケは生育地の環境によって多くの変化が見られます。 例えば色は、日当たりが強い場所では黄色っぽくなり、日陰で育っているものは緑が濃くなります。

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 ハイゴケの特徴のひとつとして、葉が強く鎌上にカーブしていることが挙げられます。 この性質は、湿っていても乾燥していても同じです。
 コケは小さなものというイメージがありますが、このハイゴケなどは、高く立ち上がることは無いものの、多くの枝を羽状に出しながら、茎の長さは10cm以上にもなります。

 ハイゴケは園芸用に流通もよくしていますし、乾燥させて着色したものが、リースやバスケットなどの装飾用に使われたりしています。

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2012年4月 7日 (土)

ルリイロスカシクロバ

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 道の上にいたルリイロスカシクロバです。 マダラガ科クロマダラ亜科に分類されており、一年に一度、春先にのみ出現します。 朝の冷え込みのせいでしょうか、触っても飛び立てず、ひっくり返して腹部の瑠璃色を見せてもらいました。 口吻の黄色もよく目立ちます。

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 マダラガ科の蛾には、このブログにこれまで載せたホタルガヤホシホソマダラなど、瑠璃色に輝く鱗粉を持つものがいるのですが、ルリイロスカシクロバの腹面はみごとです。 背面からは見えないこの美しい色は、生態的にはどのような意味を持っているのでしょうね。

 「スカシ」は翅が透けてみえることに由来するのでしょう。 この仲間には、ウメスカシクロバやリンゴハマキクロバなど、似た蛾はいろいろいるのですが、これらの出現時期は早春ではありませんし、腹部もルリイロスカシクロバのように瑠璃色に輝いていることもありません。 また、ルリイロスカシクロバの前翅の翅脈は、きわめて鮮明です。 なお、幼虫の食餌植物は、ツタ、ノブドウなどです。

 ひっくり返って脚をバタつかせているルリイロスカシクロバに指を近づけると、つかまってきました。

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2012年4月 6日 (金)

ヒメコバチ科 Tetrastichinae 亜科の一種

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 泉北ニュータウンの自宅のすぐ近くの茶山公園のツブラジイの葉の裏にいたヒメコバチ科の蜂です。 体長は触角や翅を除いて 2.0mmでした。 おちゃたてむしさんのこちらや、そらさんのこちらこちらに載せられている蜂と同じだと思います。 そこへのezo-aphidさんからのコメントによれば、中胸背板の中央に1本、小盾板(scutellum)に1対の線がみえるので、Tetrastichinae 亜科だろうが、似たものが多く、画像での属以上の判定は無理だろうということです。

 ヒメコバチ科には5亜科あり、種類が多く、体色も、上のような黒色の他、緑色金属光沢のもの(例えばこちら)、褐色や黄色などの斑紋が組み合わさったもの(例えばこちら)など、様々です。

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2012年4月 5日 (木)

アズマイチゲ

 「アズマ」は関東を意味するのでしょうが、全国的に分布するスプリング・エフェメラルの一種で、山地や山麓の日当たりの良い場所に生育します。 といっても大阪府下では植えられたものしか知りませんが・・・。
 見ることができるなら、やはり自生地で・・・というわけで、兵庫県の篠山市大山宮まで行ってきました。 ここは町のみなさんが野草の保護に取り組んでおられ、アズマイチゲも広い群落を形成しています。

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 アズマイチゲは、太陽が照って暖かくないと花粉媒介の虫たちが来ないということなのか、雨で花粉が流れてしまうのを防ぐ意味なのか、とにかく、陽が当たらないと花が開きません。 ちゃんと咲いた花は、同じAnemone属のユキワリイチゲキクザキイチゲ(=キクザキイチリンソウ)によく似ているのですが、行った日は前日が雨、当日は曇で温度も低く、昼になっても花はみんな下を向いたままでした。

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 上に書いたように、花はユキワリイチゲやキクザキイチゲなどによく似ているのですが、葉は少し違っていて、アズマイチゲでは3出複葉の葉が3枚輪生します。 小葉も浅く3裂しやさしい感じがします。
 下は下向きの花を無理やり覗き込んで撮ったもので、たくさんのメシベをたくさんのオシベが取り囲んでいます。 花弁が無く、花弁のように見えるのはガク片です。

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2012年4月 4日 (水)

タマゴケ

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 玉のような蒴をつけるタマゴケです。 蒴もおもしろいのですが、明るい緑色をした、ふんわり盛り上がった群落も、なかなかのものです。

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 上は3月20日に撮ったものですが、下は4月1日の写真です。 蓋やその周辺が赤みを帯びてきています。 胞子の成熟が進んでいるようです。

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◎ タマゴケの若い胞子体の様子や葉の細胞の顕微鏡写真などはこちらに載せています。

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2012年4月 3日 (火)

コガネコバチ科の一種 Acroclisoides属

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 小さなハチの、特に寄生蜂の多様さには驚かされるばかりですが、色はどういうわけか、黒っぽいものが多いようです。 写真のハチも、上から見ても、横から見ても、黒っぽい小さなハチですが、顔を見ると、

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きれいな色をしています。

 写真のハチは、体長は、触角も翅も含めないと、1.7mmでした。 おちゃたてむしさんのところに載せられているAcroclisoides属のハチと同種またはきわめて近い種だと思います。
 コガネコバチ科のハチは、このように緑色の金属光沢を帯びることが多いようです。 コガネコバチ科全体としては、多様な昆虫に寄生しますが、上條博士によると、このハチはカメムシの卵に寄生するということです。
 おちゃたてむしさんのこちらには、これと同じ属のハチの美しい写真が載せられています。

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2012年4月 2日 (月)

クロヒラタヨコバイ(幼虫と成虫)

 下は3月19日に撮ったクロヒラタヨコバイの幼虫です。 全く動かず、最初は何かの蛹かなと思ったのですが、写真を撮った後に確認のために少し触ると、ジャンプして逃げられてしまいました。
 ネットで見ると、幼虫は2~7月頃に撮られています。

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 そして下は、上の幼虫がいたすぐ近くで、昨年の4月24日に撮っていた成虫です。 これもネットで調べると、成虫が見られるのは4~9月のようです。

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 成虫の体長は5~6mmあり、そんなに平らではありません。 クロヒラタヨコバイの「クロ」は成虫の色ですが、成虫にも幼虫のような褐色のタイプもいるようです。 そして「ヒラタ」については、幼虫はたしかに体高は低いのですが、成虫はそんなに平らではありません。

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2012年4月 1日 (日)

ヒナノハイゴケ

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 自宅近くの公園のコナラの幹に生えていたヒナノハイゴケです。 ヒナノハイゴケは、ヒナノハイゴケ科に分類され、このように樹幹や岩などに着生する小型のコケです。 密に生えていると分かりませんが、周辺部を見ると、ハイゴケの名前のように、茎は分枝しながら長く這っているのが分かります(下の写真)。

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 前にイクビゴケでは、胞子が入っている蒴(さく)の柄がとても短く、蒴が葉の間に埋もれるようについていることを書きましたが、このヒナノハイゴケも同様で、蒴は他の葉よりも大きな雌苞葉に抱かれるように直立しています。

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 蒴には蓋(ふた)があり、若いうちは尖帽形の帽子(蒴帽)をかぶっています。 橙色の蓋には短い嘴があります。 蓋と壺との境界には口環と呼ばれる部分があり、ここで離層ができて蓋が取れるしくみなのですが、ヒナノハイゴケの口環は赤色~赤褐色でよく目立つことから、クチベニゴケの異名があります。
 蓋が取れると蒴歯が見えます(下の写真)。 蒴歯も赤色~赤褐色です。 下の写真の下部に写っている蒴では、蓋が取れかけて、蒴歯の隙間から緑色の胞子があふれ出ています。

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 ヒナノハイゴケの1枚の葉の様子やさく歯の詳細などはこちらに載せています。

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