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2012年4月23日 (月)

ニオイタチツボスミレ(2) 花のつくりと受粉のしくみ

 昨日はニオイタチツボスミレの形態的特長をタチツボスミレと比較することで明らかにしようとしましたが、今日は、ニオイタチツボスミレの花を使って、スミレの仲間の花のつくりと受粉のしくみを見ていきたいと思います。

 下はニオイタチツボスミレの花を側面から見たものです。 スミレの仲間の花には、上弁2枚、側弁2枚、唇弁1枚の、計5枚の花弁があります。
 「スミレ」の名前は、この花の形が、大工さんの使う墨入れ(墨壺)に似ているからだという説を牧野富太郎が唱えましたが、定説にはなっていないようです。

Nioitachitsubo120417_8

 この花の断面を作ってみました(下の写真)。

Nioitachitsubo120417_6

 オシベの葯に入っていた花粉は、オシベの先にある膜状の付属体がメシベの柱頭にくっついているために、外に出ることはできません。
 花のいろんな部分が細長く突出した部分を「距(きょ)」と呼んでいます。 スミレの仲間の花には、唇弁の一部が延びた距があります。 この中にはオシベの一部が伸びだした距があり、ここから蜜が分泌されます。
 スミレの花を訪れた虫たちは、メシベの下からこの蜜を吸おうとします。 この時メシベに触れます。 虫の体について運ばれてきた花粉は、下を向いている柱頭にくっつきます。 この時、虫の体の一部がメシベに触れることで、メシベと付属体との間に隙間ができ、そこから花粉がこぼれ出て、虫の体に降りかかるのだと考えられます。 そしてこの花粉は、虫の体に付いて、次の花へと運ばれて行きます。

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